インタビュー
ロールプレイ特化のブラウザSRPG「英雄クロニクル」は第3シーズンに突入。プレイヤーの動向や新要素などを運営・開発チームに聞いた
そのロールプレイへのこだわりは,「ロールプレイを阻害しないよう,ゲーム内容はあえて紹介しないようにしている」というほどで,かなり変わったゲームであることは,前回のインタビューで伝えられたのではないかと思う。
今回は,第2シーズン終了間近のタイミングで,その内容を振り返ってもらいながら,第3シーズンでの新要素について運営,開発チームに聞いてみた。インタビューに応じてくれたのは,プロデューサーのオッド氏と運営担当の横山和弘氏の2名だ。
関連記事:コンセプトはTRPGのようなロールプレイを楽しむためのブラウザSRPG。「英雄クロニクル」運営・開発チームにインタビュー
「英雄クロニクル」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。英雄クロニクルの正式サービスが開始されたのは2011年9月のことでしたが,第1シーズンは本来の展開よりも短い2か月間でしたので,リアルタイムの3か月をフルに使ったのは第2シーズンが初となります。いわば,本格始動とも言える状況でしたが,第2シーズンを振り返ってみて,どういった反響がありましたか?
横山和弘氏(以下,横山氏):
第2シーズンの実装内容で大きな反響があったのは,やはり,シーズン開始とともに導入したギルドシステムです。
第1シーズンの場合,プレイヤーの皆さんは,所属する5つの陣営という大きなまとまりの中でプレイしていましたが,ギルドの概念が加わったことで,コミュニティがより活性化した印象です。
横山氏:
とくにギルド専用の倉庫が使えるようになったので,ギルドメンバー間のトレードが活発になりましたね。
4Gamer:
ギルド実装前,プレイヤーの皆さんはどういった方法でトレードを行っていたんですか?
オッド氏:
それまでは,アイテムのやり取りにバザー機能を使っていたのです。つまり「○○さんへ」といったコメントを添えて出品しておくわけですね。
4Gamer:
これまでシステム的には,ほかの誰かが買ってしまう可能性があったということですよね。ギルドが実装されたことで,そのあたりのトラブルも改善された,といったところですか。
オッド氏:
改善というなら確かにそうですが,もともと英雄クロニクルのプレイヤーさんは非常にマナーが良く,そういったケースは稀でした。
4Gamer:
プレイヤーのマナーの良さや,ロールプレイに対するリテラシーの高さは,前回のインタビューでも話題に挙がりましたよね。
オッド氏:
ええ,我々が驚くほどです。
マナーの良さとアイテムのやりとりといえば,第2シーズンで面白い話があります。英雄クロニクルでは,5つの陣営が存在するので,当然ながら同じ陣営同士のプレイヤーでないと同じギルドに入れません。ですから,ほかの陣営のプレイヤーとは,アイテムのトレードができないようになっています。かといって,陣営を移動しようとすると,それまでの功績などがすべて消えてしまいますから,なかなかトレードのためだけに移籍するわけにもいきません。
そんな中で,異なる陣営を行き来してアイテムを届ける「運び屋」として,ロールプレイを楽しむプレイヤーさんが登場してきたんですよ。
4Gamer:
アイテムを受け取って,陣営を移籍して目的のプレイヤーのいるギルドに入って……というような手順を踏むわけですか。それって,例えば運び屋に悪意があれば,アイテムを持ち逃げされてしまう可能性もありますよね。
はい。ところが,運び屋の皆さんは運び屋というロールプレイに徹しているので,そういったことが起きていません。きちんと信用取引が成立しているんです。
オッド氏:
非常に貴重なアイテムのやり取りも行われているので,見ている我々も驚いてしまいます。私はこれまで,いろいろなオンラインRPGの運営,開発に携わってきましたが,ここまでプレイヤー同士の信頼を実感できるケースは初めてですね。
4Gamer:
「ロールプレイを楽しむ」という方向に特化したタイトルだからこその遊ばれ方,といったところでしょうか。
オッド氏:
ええ。我々もまったく想定していなかった遊ばれ方で,作り手としては非常にありがたいです。
4Gamer:
そういえば,mixiアプリ版のプレイヤーはロールプレイ重視,サクセス公式版やハンゲーム版はシミュレーションRPG的な要素を重視して遊んでいる方が多い,という傾向があると以前お話されていましたが,そういう変わったプレイをされる人は,やはりmixiアプリ版に多いんですか?
オッド氏:
そうですね。とくにmixi版の動きで面白かったのは,ちょうど第2シーズンがクリスマスや正月,バレンタインデーといった時期にかかっていましたので,ゲーム内でプレイヤーがリアルタイムと連動した遊びを始めたことです。
例えば,ゲーム内では「恋人同士のキャラクター」というロールプレイをしている人がいますが,クリスマスやバレンタインデーにはそれに嫉妬するロールプレイが流行りましたね。部隊名に「リア充爆発しろ」「嫉妬団」みたいな文字列を組み込んで,キャラクターのアイコンやセリフもそれ専用に変えていたり。
逆にカップル側も,配置する陣形をそれに合わせようと,自分と恋人のキャラだけが海岸にいて,それを遠巻きにほかのキャラが見ている,というような構図を作っていました。最終的には,嫉妬側のプレイヤーがそこに突撃しまくる,“お祭り”状態になっていた感じで(笑)。
4Gamer:
お互いにロールプレイを満喫していますね(笑)。
オッド氏:
「リア充爆発しろ!」って叫びながら攻撃するキャラクターがいたりして,すごく面白い。
横山氏:
本当は,英雄クロニクルの世界観と,クリスマスやバレンタインデーなどの現実のイベントは関係がないので,ロールプレイとの相性が悪いのではないかと思っていました。そのため,できるだけ我々もそういったイベントを公式でやらないようにしていたのですが,プレイヤー側が始めてしまうのは意外でしたね。
オッド氏:
プレイヤーも,設定的に無理がないよう,上手に消化してくれていました。mixi版では「異世界とつながっている門から,どうやらバレンタインという文化が流れ込んできた。それをゲーム内の商店は貪欲に取り入れた」という設定になっていたようです。
横山氏:
今後は我々からも,皆さんのロールプレイをアシストするような形で,季節に合わせたイベントを提供していければと思っています。
4Gamer:
サクセス版とハンゲーム版で運用されているサクセスサーバーでは,そういった動きはないんですか?
オッド氏:
基本的な傾向は変わりませんが,次第にロールプレイを楽しむプレイヤーも増えているようです。mixi版ほどではないですが,やはりイベントに合わせたロールプレイを行う人は見られました。
どちらかというと,mixi版のほうが“お祭り好き”なんです。ちょっとしたきっかけで一気に盛り上がって,ゲームシステム以外の部分を積極的に楽しんでいます。
4Gamer:
逆に聞いてみたいのですが,全サーバーで共通しているプレイ傾向はありますか?
オッド氏:
サーバーが違っていても似ているのは,各陣営に所属するプレイヤーの性格です。
横山氏:
これは陣営ごとに設定された背景ストーリーで選択する人が多いからだと思いますが,どこもそっくりですね。
例えば,「マッカ連邦王国」はずっと内乱が続いており,ようやく統一された少数精鋭国家,力こそが正義の国,という設定です。しかし,ここは第1シーズンで人気がなく,人数的に劣ってしまい結局は最下位,という状態になってしまいました。
すると,第2シーズンではその状況をなんとかしようと,ものすごく強いプレイヤーさんが集中して,サーバーを問わず設定どおり少数精鋭の国ができあがってしまったんです。
横山氏:
今のマッカは,どこも異常に強いですね。あまりに強力なプレイヤーさんがいるせいか,ほかの国から「修羅の国」と呼ばれているぐらいで(笑)。
オッド氏:
ほかの国も,そういった感じです。プレイ傾向はサーバーによって違うのに,同じタイプの人が同じ陣営に集まっているのは興味深いですね。
命運を分けるはずの「英雄戦」で演じられた熱いロールプレイとは?
4Gamer:
お話を聞いていると,英雄クロニクルは第2シーズンで“キャラクターを作って楽しむコミュニティ”という部分に特化していったのかと思うのですが。
オッド氏:
それはあるかもしれませんが,ゲームシステム部分もちゃんと楽しまれていると思います。とくに盛り上がったのは,第2シーズン最終決戦の「英雄戦」ですね。英雄戦自体は第1シーズンでもありましたが,これまでは英雄が自分の部隊を率いて戦う,という形でした。その仕様を変更して,英雄は自分の部隊ではなく,自陣営の階級の高いほかのキャラクターとで編成された特別な部隊で戦うようにしたのです。
4Gamer:
各国を代表するキャラクター達による,オールスター戦になったというわけですね。
オッド氏:
ええ。オールスターとはいえ,英雄戦は英雄になったキャラクターのプレイヤーしか行えないので,それ以外の人は自分のキャラクターがどう使われるかを見ているしかないのですが,最終決戦に登場させられるということで,皆さんが熾烈な階級争いを繰り広げていました。
ロールプレイの話に戻ってしまいますけど,mixi版プレイヤーの面白いところは,英雄戦でもロールプレイを取り入れていることです。英雄戦での戦術を考えるときに,自陣営の誰が敵陣営の誰に攻撃するかまでも事前に相談していて,攻撃用のセリフなどを自分のキャラが攻撃する相手に合わせて,しっかり変えたりまでしていたんですよ。
4Gamer:
mixi版の方は,英雄に選ばれるほどの人でもロールプレイありき,という感じなんですか。
オッド氏:
そうみたいです。mixi版の英雄戦でとくに印象的だったのは,さきほどのバレンタインで恋人になったキャラクター同士が,仕方なく戦わなければならない展開になったことです。とある国の英雄が,英雄戦で「攻めろ」といわれた先に,恋人役の女性キャラクターがいたんですよ。
4Gamer:
国を超えた恋人同士,という設定なんですね。
オッド氏:
そうです。そこで,わざわざ恋人同士の戦闘が発生するような戦略を考えて,セリフもちゃんと専用のものを用意して,英雄戦を実行していました。
横山氏:
もう「このシチュエーションならやるしかない!」って雰囲気になったんでしょうね。
オッド氏:
まるで漫画かアニメのような,本当に熱いセリフと展開だったので,我々も見入ってしまいましたよ。しかも英雄戦後,駆け落ちのロールプレイを掲示板上で披露するというオチまで付いていたほどで。
4Gamer:
恋人同士が戦うような部隊編成になったのは,別に運営側が操作したというわけではないんですよね?
オッド氏:
一切ありません,まったくの偶然です。英雄戦といえば,ゲーム的には国の命運が掛かっている重要なイベントなのですが,まさかそんな場でもロールプレイをやり遂げてしまうとは……。
横山氏:
しかも当事者だけでなく,周りまで一緒になって盛り上げようとしていました。
4Gamer:
皆さん,本当にロールプレイを楽しんでいるのでしょうね。
自分が楽しむだけでなく,周囲も楽しませようという,エンターテイナーとしての心意気を感じます。見ていた我々も,本当に楽しませていただきました。
オッド氏:
ちなみに,そんな熱いストーリーが展開されている横で,マッカの英雄達は,圧倒的強さで戦闘を終わらせていました。あまりに強すぎて,こっちはこっちで驚いてしまいます。
横山氏:
各国の強豪が集まる英雄戦にも関わらず,1ターンで殲滅していました。しかもサーバーによっては,戦略の相談すらなく「じゃあ行ってくるわ」という感じで突き進んでいたほどです。
4Gamer:
さすが修羅の国(笑)。
新規プレイヤーでも「英雄」になれる
4Gamer:
ところで第2シーズンは,第1シーズンのキャラクターの一部を「継承」できたので,スタート時のキャラクターの強さに違いがある初めてのシーズンになりました。その点で,第1シーズンとは違った展開になりませんでしたか?
オンラインゲームである以上,長く続けたプレイヤーのほうが,どうしても新規に始めたプレイヤーより有利な要素はあります。第2シーズンは,そうした格差をどこまでシステム的に吸収できるか確認する意味でも,重要なシーズンでした。
その中で収穫だったのは,新規プレイヤーであってもきちんとプレイすれば,継承プレイヤーと互角以上にわたり合えるのが分かったことです。
4Gamer:
と,言いますと?
オッド氏:
英雄クロニクルでは,シーズンの中盤あたりから毎週入れ替わりで,各陣営ごとに上位4名のプレイヤーが「英雄」の階級に選ばれます。そのうち,3分の1から半分ぐらいを新規プレイヤーが占めた時があったぐらい,継承プレイヤーと遜色ない強さに到達していたのです。
4Gamer:
運営・開発チームとしては,そういう状況を予想していましたか?
オッド氏:
いえ,正直に申し上げると意外な結果でした。第1シーズンで英雄になっていたプレイヤーは,きちんとプレイしている上に有料サービスも利用している方が中心でしたから。そうした状況を跳ねのけて,新規プレイヤーが英雄にまでなるとは。
4Gamer:
なるほど。3月1日に始まる第3シーズンから英雄クロニクルを始めてみようという人にとっては,心強い話ですね。
オッド氏:
そうですね。それに継承は,あくまで直前のシーズンからの引継ぎのみですから,「第3シーズンだからスタート時の差がさらに広がっている」「第1シーズンからの継承プレイヤーは非常に有利」という展開にはならないはずです。
4Gamer:
第3シーズンになっても,新規プレイヤーが上位に名を上げるチャンスは十分にあると。
オッド氏:
新しく始める方は,最初は勝てないかもしれませんが,一つ一つをきちんとやっているうちに,勝ち方を覚えていけると思います。前回のインタビューでもお話しましたが,敵が強ければ自分と同じ陣営の強い人を部隊に組み込めば対抗できますし,基本的に攻撃側が有利なシステムですから,防御側にものすごく強力なキャラクターがいても,意外となんとかなります。
横山氏:
そうやって1か月ほど経てば,継承プレイヤーに並びますから,まったく手が出ないことはなくなるはずです。
4Gamer:
実際,新規プレイヤーは増えているんですか?
オッド氏:
増えてはいますが,やはりゲーム自体に癖があるので,じっくりと増えてきている感じですね。
4Gamer:
確かに,ロールプレイに親しみがない人にとっては,合わない面はあるかもしれませんね。
オッド氏:
その反面,ハマる人にはどっぷりハマっていただけるのですが。
新しく始める人は,陣営ごとに用意されている一言掲示板に「最近始めました」と書き込むことをオススメします。さきほどプレイヤーのマナーが良いという話がありましたが,本当に皆さん親切なんですよ。一言書き込むだけで大歓迎されるので,環境が全然変わってくるはずです。
横山氏:
ゲーム自体が複雑ですから,現役で遊んでいるプレイヤーのレクチャーを受けるのが,上達への近道ですね。
第3シーズンでは新能力に加え,未実装だったストーリー分岐とダンジョンが登場
4Gamer:
それでは,第3シーズンで新たに登場する要素を教えてください。
オッド氏:
分かりました。ただその前に,英雄クロニクルを楽しんでいるプレイヤーの皆さんに,お詫びさせてください。前回のインタビューで,第2シーズンでストーリーの分岐とダンジョンを実装するとお話しましたが,間に合いませんでした。本当に申し訳ないです。
4Gamer:
そういえばそうでしたね……何か理由はあるんですか?
オッド氏:
想定していたよりも,はるかに作業量が多くなってしまったのです。ストーリーは陣営ごとに用意しているのですが,分岐が発生すると陣営間の展開で整合性を図る必要があり,その確認作業に手間取ってしまいまして……。
例えば,ある陣営でNPCが大怪我をしたことになっているのに,ほかの陣営のストーリーでピンピンしているのが確認できてしまうと,がっかりしてしまいますよね。
4Gamer:
なるほど。ロールプレイがメインにあるゲームである以上,世界観は重要な要素ですし,そういった整合性は必要になりますよね。
横山氏:
ダンジョンに関しても,プレイヤーの期待度が予想以上に高まってしまったので,生半可なものにならないよう,作り込みに時間を割いています。
4Gamer:
第3シーズン中には,どちらも実装できそうですか?
横山氏:
はい,鋭意開発中です。
オッド氏:
ちなみにストーリー分岐について補足しておくと,頻繁に起きるものではなく,主に上位の国と下位の国で発生します。したがって1シーズン中に,分岐が起きるのは2〜3国家といったところになります。
4Gamer:
ということは,所属国のイベントが見たければ,順位は気にしておいたほうがよさそうですね。
オッド氏:
順位に大きく関わってくるのが,第3シーズンから導入される「中盤戦」です。これは,シーズンのスタートから6週目,ちょうど最初の英雄が決まるタイミングで行われるもので,仕様は従来の英雄戦と同様になっています。
横山氏:
中盤戦の勝敗次第で,最終的な順位が入れ替わる可能性も生まれてきます。
オッド氏:
普通に考えれば,「よし,勝つために頑張ろう」となるはずなんですが……。果たしてmixiサーバーは,ロールプレイと勝敗のどちらを選ぶのか,もしくはしっかり両立してくれるのか,個人的に注目しています。
4Gamer:
それは気になりますね(笑)。
そのほか,第3シーズンでアップデートされる要素はどういったものがあるのでしょう。
オッド氏:
キャラクターのスキルに手を入れます。これは第3シーズンに限らず,基本的に,毎シーズンの始めに新たなスキルを追加し,かつ前シーズンであまり活用されなかったスキルに,新たな価値を付加するような方向で調整していく予定です。
4Gamer:
例えばですが,今回はどういったスキルが追加されるのでしょう?
オッド氏:
まずは防御系のスキルですね。英雄クロニクルは攻撃側が有利なゲームとはいえ,「オレが皆を守る」というようなロールプレイをしたい人もいます。その人達が使いたくなるようなスキルを追加する予定です。
もう一つは,剣も魔法も一流というロールプレイをしたい人のための特殊能力です。実はこれは,私個人の考え方とは相反するものなのですが……。
4Gamer:
どういうことでしょうか?
オッド氏:
以前,公式ブログにも書いたのですが,剣と魔法の両方に長けている人物というのは,すばらしい才能を持っているはずです。しかし,同じだけの才能を持っている人が剣だけに注力してきたら,両方に長けている人よりも剣が得意になるのではないでしょうか。
4Gamer:
同じ才能であれば,そうなってもおかしくはないですね。
オッド氏:
そこで,ゲーム内でも双方を極めるのは相当困難な調整をしていました。ただ,英雄クロニクルは“自分の好きなキャラクターを自由に作る”というゲームですから,剣と魔法を両立したいというプレイヤーがやはり多かったのです。
そのため,新たな特殊能力を用意して,そういったキャラクターを少し作りやすくします。これまでは英雄になるぐらいの努力をしなければ,両方を一流にはできませんでしたが,第3シーズンでは大隊長や団長になるぐらいの努力で,それが実現できるはずです。
横山氏:
イメージ的には,敵の集団を範囲魔法でなぎ払い,生き残った強敵を剣で仕留めるキャラクター,という感じになります。
オッド氏:
キャラクターの幅という意味では,「トークン」を召喚して戦っている人に朗報があります。これまでは,トークンはスキルを使えませんでしたが,仕様を変更し,術者自身が持っているスキルをトークンも使えるようにしました。この仕様をうまく使うと,トークン使いの戦略/戦術が変わって,非常にテクニカルなものになるので,面白いですよ。
横山氏:
第3シーズンの仕様でうまくトークンを使うキャラクターが出てくれば,目立つかもしれません。
オッド氏:
そして,第3シーズンでは,これまでの戦略を一変させるかもしれない,目玉となるスキルも追加します。
4Gamer:
戦略を一変ですか……どういったスキルなんですか?
オッド氏:
現在は,確率で発動するスキルの発動率を1.5倍にする「発動」という,特殊能力があります。英雄クロニクルは,スキルの発動率を100%にしておくと非常に強力になる,というバランスなので,「発動」の能力はかなり有用なんです。今回追加するのは,この戦法へのカウンターとして,「自分と相手のスキルの発動率を下げる」というものになります。
4Gamer:
特定のスキルが100%発動することを前提にしていると,痛い目を見る,というわけですか。
オッド氏:
ええ。相手だけでなく術者自身の発動率も下げてしまいますから,使いどころはかなり考えなければなりませんが,面白い能力なので,楽しみにしてもらえればと思います。
また,発動されても100%を維持する手段は用意するので,その構成の人がまったく勝てなくなる,というわけではありません。そこはご安心ください。
4Gamer:
能力やスキル以外で,新たな要素はありますか?
オッド氏:
敵に効果をもたらすアイテムが登場します。これにより,アイテム使いのようなキャラクターが脚光を浴びるかもしれません。
4Gamer:
敵に使うというと,毒薬や火炎瓶を投げつける,みたいな感じですか?
オッド氏:
そうですね,それに近いです。固定ダメージを与えるようなアイテムもあります。
横山氏:
使い方次第で,意外と活躍できると思いますよ。
オッド氏:
ほかにも細かな調整はありますが,第3シーズンでとくに面白いところというと,この辺りのアップデートですね。
4Gamer:
分かりました。アップデート内容を聞いていると,英雄クロニクルはやはり,キャラクターのロールプレイの幅を広げていく,という方向で要素が追加されていくようですね。
オッド氏:
そうですね。皆さんの自由なキャラクター作りをサポートすべく,能力の追加や調整を絶え間なく行っていきます。
キャラクター作りといえば,実は開発チームが想定しているもので,プレイヤーの皆さんがまだ発見できていないキャラクタービルドがいくつか存在します。
よく皆さんから「ここのバランスがおかしい」「こう変えればバランスがよくなる」というご意見をいただくのですが,それを元に調整してしまうと,未発見のキャラクターがとんでもなく強くなってしまう,ということがありまして……。皆さんのご意見を反映できないのも心苦しいのですが。
4Gamer:
と言うと,いつまで経ってもバランスが調整されない部分には,そうした未発見キャラクターのヒントが隠されている,ということですか?
オッド氏:
そうとも言えます。実際,我々の想定にかなり近いキャラクターを作り出したプレイヤーさんも存在はしています。
横山氏:
プレイヤーは,有名な強いプレイヤーを仮想敵に見立ててキャラクターの作り直しを繰り返していますから,やがては発見されると思いますけれども。そうやっていろいろ試行錯誤するのが,英雄クロニクルの楽しいところです。
シーズンごとに能力の追加と調整を行いますので,その都度,頭を悩ませてください(笑)。
4Gamer:
キャラクタービルドの楽しみは今後も尽きないということですね。
それでは最後に,英雄クロニクルの第3シーズンと,それ以降の展開に期待する人に向けてメッセージをお願いします。
横山氏:
皆さんから寄せられるご意見,ご要望にはすべて目を通していますし,実際に参考にしています。例えば,クリティカルヒットのスキル「急所狙い」を減算する「察知」の能力は,皆さんかららいただいた意見をもとに実装したものです。
採用の可能性があるものは開発チームで検討しますので,今後もぜひ気づいた点をお寄せください。
オッド氏:
英雄クロニクルは,このゲームをプレイしている皆さんはもちろん,私たち自身も含めて楽しめるゲームにしていきたいと思っています。ですので,どんどんご意見,ご要望をいただきたいです。また前回の繰り返しになりますが,ぜひご自身のキャラクターを愛して,英雄クロニクルを楽しんでください。
4Gamer:
ありがとうございました。
オッド氏と横山氏を筆頭に,英雄クロニクルの運営,開発チームのスタッフの大半は,一般のプレイヤーに混じって実際にプレイしていることもあるという。もちろん有料アイテムを使う場合も,各自が自腹で購入しているそうだ。
またオッド氏は,プレイヤーのキャラクター設定やログをチェックするのが日課となっており,しばしば時間を忘れ読みふけってしまうこともあるらしい。
それらを裏付けるように,第2シーズンの特徴的なキャラクターについて話す2人は,本当に楽しそうにしていたのが印象的だった。開発へのモチベーションも非常に高いように感じられ,第3シーズン,そしてそれ以降のアップデートにも,期待が持てそうだ。
プレイヤーだけでなく,運営,開発チームまでハマってしまうのは,やはり,英雄クロニクルの世界でプレイヤー達が繰り広げる数々のロールプレイに,本作でしか楽しめない魅力があるからだろう。
ロールプレイという遊び方はハードルが高いかもしれないが,興味を持った人は新シーズンが開始されたこのタイミングで,ぜひ一度プレイしてほしい。
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