インタビュー
「英雄クロニクル」6周年では,オリジナルクエスト作成システムの実装や,HTML5への移行が実施。開発チームにインタビュー
今回4Gamerでは,第25シーズンや6周年でどのようなアップデートや施策が予定されているのかを,開発チームに聞いてみた。応じてくれたのは,サービス当初からおなじみの以下の4名だ。
- プロデューサー オッド氏
- ディレクター 稲川征史氏
- 企画 麓川智之氏
- 運営担当 横山和弘氏
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まだ少し先ですが,6周年おめでとうございます。
ありがとうございます。昨年はNightfallサーバーの開設や,アーマードバトルの大会を協賛してのオフラインイベントの実施など,これまでとは違った試みを行ってきました。どれも手応えはありましたが,ゲーム内での大きなアップデートができなかったので,6周年ではそこに力を入れていく予定です。
4Gamer:
Nightfallサーバーは,開設から1年になりますが,サービスは順調でしょうか。
オッド氏:
はい,既存のサーバーとは異なるレギュレーションのサーバーとして,おかげさまでご好評をいただいています。プラットフォームのランキングで上位に行くこともあり,やってよかったなと。
4Gamer:
オフラインイベントも初開催となりましたが,今年も大会に協賛されるんですか?
オッド氏:
今年は国内でアーマードバトルの大きな大会がないみたいなんです。今後も機会があればやりたいですけど。
横山和弘氏(以下,横山氏):
お越しいただいたユーザーさんにも好評でしたね。交流の場としても楽しんでいただけたようです。
オッド氏:
タイミングが合えば,アーマードバトルに限らずオフラインイベントはまたやりたいと思っています。
サービス継続のためにFlashからHTML5への移行が決定
4Gamer:
それでは6周年の施策について教えてください。
オッド氏:
最も重要なのが,英雄クロニクルのサービスを今後も長く続けていくために,現在のFlashベースから,HTML5への移行作業を行うことです。
4Gamer:
それは安心しました。Flashの終了は正式に発表されましたし,このままだとそう遠くないうちにサービスが終わってしまうのではないかと心配だったので……。
オッド氏:
実際,他社さんのタイトルで,HTML5への移行が自社でできず,外部への委託を検討したところ,新作を作れるコストになってしまい,移行を断念するというケースを聞いています。
英雄クロニクルは,たまたま社内のHTML5に強いメンバーが関わっていることもあり,来年の2月ぐらいに移行できたらいいな,というスケジュールで作業を進めているところです。
HTML5化すると,単純にサービスを続けていけるというだけでなく,これまで要望が来ていたスマートフォンのブラウザでの動作もできるようになるので,その点でもメリットがありますね。
ただ,問題もあって,戦闘中のエフェクトが全部作り直しになってしまうんです。Flashのエフェクトで利用していた機能も使えなくなるので,エフェクトによっては,これまでと見た目が変わってしまうものが出てくるかもしれません。なるべく印象を変えないように作り直すつもりですし,お金を払ってエフェクトを付けていただいているので心苦しいのですが,もし「以前のエフェクトが好きだった」という場合は,ご容赦いただけますと幸いです。
最近,新作のエフェクトがないのも,移行作業の都合なのですが,そのぶん,キャラシートスキンを増やしていければと思っています。
4Gamer:
見た目要素の追加といえば,刻印のデザインを変えたいです。
稲川氏:
自分で描けるといいですよね。どれだけ色や形をこちらが用意したところで,しっくりこないでしょうし。理想を言えば,マウスオーバーすると刻印の拡大画像と説明文が表示できるとか。
オッド氏:
今後のアップデートとの兼ね合いにはなりますが,刻印の表示は拡張していきたいと思っています。
6周年の目玉はオリジナルのクエストを作成できる「ユーザークエスト」
4Gamer:
6周年のアップデートはどういったものを予定しているのでしょう?
オッド氏:
目玉となるのは,エイプリルフールにお見せした,「ユーザークエスト」の実装です。これは,プレイヤーが自分でキャラやセリフを設定したクエストを公開できるという機能で,第25シーズン開始と同時に実装されます。
4Gamer:
数年前のインタビューで話題に出た覚えがありますけど,確か当時は「案にはあるけど,一部の人しか遊べないものになるからやらない」とお話されていたような。
オッド氏:
ええ。当時は,そうした「自由に作っていいよ」というツールを用意しても,最後まで完成させられる人は一握りになってしまうのではないかと考えていたんです。ツールの使い方を覚えて,クエストを考えて……というのはハードルが高いですから。
ただ,これは「英雄RPG 聖域の冒険者」の副産物なんですが,開発側のクエスト作成ツールを改良したところ,「これを簡単に使えるようにすれば,皆さんにも楽しんでもらえるんじゃないか」と思いつき,実装してみようということになりました。
実際,英雄RPGのシステムでストーリー仕立ての会話シーンを作っていた人もいて,そうした遊び方を英雄クロニクルでもできるようにしてほしいという要望が増えていたというのも,実装の決め手の1つです。
ゲーム内では,最近実装されているこれまでとは見た目が違っているクエストが,新しい作成ツールを使用したものになります。
4Gamer:
つまり,最近のクエスト画面に準じたものをプレイヤーが作れるようになるわけですよね。プレイヤー側が使えるツールの場合,どういった設定ができるんですか?
オッド氏:
通常のクエスト同様に,キャラの立ち絵や背景,セリフを設定した会話シーンを,簡単な設定で作れます。会話の合間に戦闘を入れることも可能ですし,戦闘の勝敗によって内容を分岐させることもできます。
4Gamer:
戦闘時の拠点を組むときに,どういったキャラが配置できるんでしょうか。
基本的には,自部隊のキャラとモンスターなどのNPCですね。各国のNPCは,援軍時の称号を所持していれば配置できます。
ほかのプレイヤーのキャラは,実装時は使用不可となっています。
4Gamer:
勝手に配置できてしまうと,トラブルにもなりそうですし。
麓川氏:
実装後に要望が多ければ,特定のプレイヤーにのみ配置を許可する設定などを追加するかもしれません。
オッド氏:
オリジナルのクエストならではの演出として面白いのが,背景を設定して,立ち絵のキャラを出さないことで,一枚絵を表示できることです。ただ,例えばクエストクリア時のラストシーンなどで一枚絵を出したいときなどに,普通にギャラリーにアップしてしまうと,ネタバレになってしまいます。
そこで,新しく専用アップローダーを設けて,非公開のイラストをアップロードできるようにします。その場合は,フリーギャラリーと同様,アップロード前にこちらの審査が必要になりますが,凝ったクエストを作りたい場合などにご活用いただければと思います。
4Gamer:
作ったクエストはどこに表示されるんですか?
麓川氏:
現在のクエストタブには「クエスト」「デイリークエスト」が表示されていますが,ここに追加されます。拠点のように,作ったクエストの表示オン/オフ設定ができるので,オンにするとここに表示される仕組みです。
オッド氏:
クエストごとにIDが割り振られるので,掲示板リンクなどと同様に,リンクも貼れます。
4Gamer:
シーズンが変わったらユーザークエストはどうなるんでしょう。
麓川氏:
引き継ぎがあるので一旦オフにはなりますが,データを削除したりはしません。編集内容を登録し直しにはならないのでご安心ください。
ただ「戦闘あり」のクエストに関しては,特殊能力やスキル,NPCの変更などの理由もあり,拠点データを持ち越せないため,申し訳ありませんが拠点だけ再登録してもらうことになります。
オッド氏:
ちなみに,拠点のデータは《黄昏の邂戦》同様,登録制です。キャラのレベルやアイコン,セリフなどを登録後に変えても,クエスト内容に影響はないので,クエスト専用の設定をするのも面白いかと思います。
なお,ユーザークエストは先ほどお話したHTML5への移行の一環として,HTML5で作成しております。すでにサポート期限の切れた古いOSですと,ブラウザの関係で動作対象外となってしまいますが,ご了承ください。
毎月のイベント開催やシステム改修なども予定
6周年の施策としては,第25シーズンから,毎月イベントを行うことも決定しています。
オッド氏:
これまでイベントが少ないというご意見をいただいてしましたので,毎月1回,1週間ぐらいの期間でレイドやスタンプ,アイテム収集などのイベントを実施する予定です。ただ,手軽に遊べるようにしたいので,中盤戦や英雄戦の邪魔にならないタイミングに,あまりハードルが高くならない内容で行いたいと考えています。
もちろん,6周年のイベントとして,例年どおりイラストコンテストと《黄昏の邂戦》も実施します。今回の《黄昏の邂戦》は,ランキングの賞品にイラストがあるので,奮ってご参加ください。
4Gamer:
Nightfallサーバーで《黄昏の邂戦》は発生するのでしょうか。
オッド氏:
レギュレーションの問題がありますし,1年経ったとはいえキャラ性能の差もあるので,Nightfallサーバーでは発生しません。その代わり,既存サーバーであった特殊なストーリーイベントを実施しますので,お楽しみいただければと思います。
4Gamer:
英雄キャッシュ購入ボーナスの6倍キャンペーンはやるんですか?
オッド氏:
6周年ですし,6倍ほしいですよね。私ががんばって会社的に許可をもらわないといけないんですけど……どうにかします!
4Gamer:
ぜひお願いします(笑)。
オッド氏:
それと第25シーズンには間に合わないとは思いますが,ほかにも,6周年のアップデートとしてシステム面の改良をいくつか予定しています。まずは「装備切替」です。これまでは,遠征用と防衛用の装備を手動で切り替える必要がありましたが,今後は個別に設定して自動で切り替えられるようになります。
4Gamer:
装備切り替えによる再雇用を頼んだりする必要もなくなるわけですね。
オッド氏:
これが入ると1つ問題になるのが,「防衛用装備にとりあえず皆が生命の珠を1個持つ」といった事態になりかねないことです。そこで,これに対応できる特殊能力の追加も予定しています。具体的には,「防衛側の相手が道具を1個しか持っていない場合,一括で使用不可にする」といったものですね。ただ,「携行」スキルで道具を3個所持している相手には効かないようにします。
4Gamer:
もともと携行を持っている防衛用のキャラに影響はないということですね。
オッド氏:
あとは細かいところですが,仲間NPCのパシュト達の扱いが,部隊NPCというものになります。これまでとは異なり,最初からレベル30ですが,装備の変更などが行えず,傭兵一覧の中にいるNPC的な立ち位置です。
これはシステム上の都合なのですが,これまでのような仲間NPCの処理をしていると,コラボキャラなどが登場しても援軍扱い止まりで,仲間にしてあげられなかったんです。装備の変更ができてしまうとまずいので。
部隊NPCという枠を設けることで,今後はコラボイベント終了後も,称号を持っていれば編入できるキャラとして残ってくれるといった処理ができるようになります。傭兵扱いなので,コストは必要になりますが。
麓川氏:
シーズン開始時に,パシュト達を身ぐるみ剥ぐ必要もなくなります(笑)。
新特殊能力は「無命中耐性」が実装
4Gamer:
6周年とは離れますが,第25シーズンの特殊能力やスキルの追加・変更は,どういったものがあるのでしょうか。
横山氏:
特殊能力やスキルのアップデートは,以下のとおりになります。
◆新特殊能力
「無命中耐性」
コスト80
命中判定をともなわない特殊能力、スキル、道具からの最終的な威力(威力のないものはダメージ)の50%を無視する。
■調整
「身体強化」
転生回数を追加
すべての能力基本値に+[(キャラのレベル+転生回数)*1/2]する。
「阻害(小/大)」
阻害(小/大)に回避力、防御力を減らす効果を追加
阻害(小)
周囲3マス内の敵の命中力と回避力に-[(キャラのレベル+転生回数)*1/2]し、
防御力に-[(キャラのレベル+転生回数)*1/4]する。
また、直接攻撃の威力に-[(キャラのレベル+転生回数)*1/3]、
間接攻撃の威力に-[(キャラのレベル+転生回数)*1/6]、範囲攻撃の威力に-[(キャラのレベル+転生回数)*1/9]する。
阻害(大)
周囲3マス内の敵の命中力と回避力に-[キャラのレベル+転生回数]し、
防御力に-[(キャラのレベル+転生回数)*1/2]する。
また、直接攻撃の威力に-[(キャラのレベル+転生回数)*2/3]、
間接攻撃の威力に-(キャラのレベル+転生回数)*2/6]、範囲攻撃の威力に-[(キャラのレベル+転生回数)*2/9]する。
4Gamer:
「無命中耐性」はコスト80になっていますけど,既存の耐性とは別扱いの能力なんですか?
横山氏:
はい。既存の耐性と同時に取得できますし,くじからも出ます。
オッド氏:
「身体強化」は,同じコストの「防御無視大」と比べるともう少し強化が必要だったので,転生回数が影響するようになります。「阻害」は,同じコストの「支援」のほうが圧倒的に使用者数が多いため,より遠征向きの効果を追加しています。
横山氏:
それと,NPCイラストコンテストと専門学校イラストコンテストの各受賞NPCが,第25シーズンで実装されます。こちらは専門学校イラストコンテストで受賞された学校に送る予定の額入りのイラストになります。
横山氏:
今回はシステム面のアップデートを中心に行うので,特殊能力やスキルの調整が少なくなってしまったのはごめんなさい。
稲川氏:
とはいえ,HTML5への移行もそうですが,英雄クロニクルのサービスをまだまだ続けていくという姿勢は,お伝えできたのではないかと思います。
オッド氏:
我々としては,10年はサービスしようというつもりでやっていますので,これからも応援よろしくお願いします。
麓川氏:
サクセスも来年の40周年に向けていろいろ動いていますが,「まだあったんだ!」と言われるほど長く続いている会社の,「まだ続いてるんだ!」と言われるコンテンツを目指してがんばります。
稲川氏:
毎年のインタビューで言っていますが,ご意見やご要望をいただければ必ず目を通して,ゲーム内に実装できないか検討しています。ぜひお送りください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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