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Imagination,次世代GPU「PowerVR Series7」を発表。据置型ゲーム機を狙う上位モデルSeries7XTと下位モデルSeries7XEの2種類を用意
PowerVR Series7(以下,Series7)には,最大512基の演算ユニットを集積して3Dゲーム機や次世代サーバー用とされるPowerVR Series7XTが5種類と,16〜32基の演算ユニットを集積する下位モデルPowerVR Series7XEが2種類というラインナップとなっている。同GPUの搭載製品が登場するのは,2015年内とのことだ。
発表されたGPUコアのラインナップは表のとおり。
PowerVR Series7XT | |
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PowerVR GT7900 | 16シェーダクラスタ,512演算ユニット |
PowerVR GT7800 | 8シェーダクラスタ,256演算ユニット |
PowerVR GT7600 | 6シェーダクラスタ,192演算ユニット |
PowerVR GT7400 | 4シェーダクラスタ,128演算ユニット |
PowerVR GT7200 | 2シェーダクラスタ,64演算ユニット |
PowerVR Series7XE | |
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PowerVR GE7800 | 1シェーダクラスタ,32演算ユニット |
PowerVR GT7800 | 2分の1シェーダクラスタ,16演算ユニット |
Series7は,現行世代のPowerVR Series6(以下,Series6)で採用された「Rogue」の発展系となるもので,ターゲットとする機器に合わせて,最小16基から最大512基までの演算ユニット(ALU)を集積可能な柔軟性が特徴だ。
性能面も大きく向上しているとのことで,PowerVR Series7XT(以下,7XT)シリーズは,100GFLOPSから1.5TFLOPSの浮動小数点演算性能を有するという。これは現行世代のPowerVR Series6XTまたは6XEと比べて,ベンチマークテストでは60%以上の性能向上を実現するとのことだ。
以下に示したのは,Imaginationが公開した7XTのブロック図である。これを見ると,基本的な構成はPowerVR Series6XTとほとんど変わっていないようだが,「Tessellation Co-Processor」と称するテッセレーション用の演算器が加わっているのが目に付く違いとなるようだ。
Imaginationはリリースの中で,Series7における性能向上要因として,以下の3点を挙げている。
- 命令セットの拡張
- 動作クロックの向上と新しい階層的なレイアウト構造
- GPU演算向けのセットアップとキャッシュスループットの改善により,並列演算性能が300%向上
とくにGPU演算に向けた性能強化は重点項目とされており,従来と同じFP16およびFP32対応の演算ユニット(ALU)を備えるのに加えて,新しくFP64対応ALUをオプションとして搭載することも可能になっているという。
ちなみに,Imaginationの公式Blogでは,FP64対応ALUはスーパーコンピュータ用アプリケーション※1に向けたものと位置付けられており,そのために標準搭載ではなくオプション扱いとなっているようだ。また,GPUハードウェアの仮想化やセキュリティ面も強化されているという。
High Performance Computing(HPC)分野のアプリケーションを意味すると思われる。
ハイエンドのスマートフォンやタブレット向けSoC(System-on-a-Chip)では,Qualcomm製の「Snapdragon」シリーズが優勢で,GPUも同社製のAdrenoシリーズをそのまま利用する例が一般的だ。さらに,NVIDIAがKeplerアーキテクチャGPUコアを採用した「Tegra K1」を投入するなど,強力なライバルがひしめいている。
そこで,より高いGPU性能を求める用途にも対応できるアーキテクチャを採用することで,モバイル向けSoC以外に据置型ゲーム機やHPC分野へも採用事例を広げたいというのが,7XTの狙いなのではないだろうか。
はたして,Series7を採用した据置型ゲーム機が登場してくることはあるのだろうか。今後の動向に注目したい。
Imaginationによる当該プレスリリース(英語)
7XTに関する当該ブログ(英語)
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