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あのチョップリフターが帰ってきた! リメイクされた「Choplifter HD」を紹介するのが今週の「海外ゲーム四天王」
今週の「海外ゲーム四天王」は,1982年にリリースされた名作「チョップリフター」の,約30年ぶりのリメイク「Choplifter HD」を紹介する。戦闘ヘリコプターを操作して,敵を撃ったり,人質を救出したりする横スクロールのアクションだが,オリジナル作品の特徴を忠実に受け継いだ今回のChoplifter HDもなかなかシビアなゲーム性になっており,うっかり人質を撃ったり敵に撃ち落とされたりしがちだという。
そんな本作を,チョップリフター大好きっ子だったUHAUHA氏が徹底解剖する。
30年の歳月を経たリメイク作は,どこがどうなったか
今週の「海外ゲーム四天王」は,横スクロールアクション「Choplifter HD」をお届けしたい。これは,1982年にブローダーバンドからApple II向けに発売された「Choplifter」の,実に約30年ぶりのリメイクとなる。チョップリフターだって?
今からン十年前,筆者は近所の電気屋さんでPC-8801(という名前の国産PCがあったのだ)に移植された「チョップリフター」を何時間も続けてプレイした経験があり,電気屋さんはさぞ迷惑したと思う。しかし,筆者はその後,ファミコン版とX1(という名前の国産PCがあったのだ)版を手に入れたので,電気屋さんはホッとしたことだろう。めでたしめでたし。
さて,それほど好きなゲームであるだけに,今回のリメイク版の登場を心待ちにしていたのも事実。果たして,帰ってきたChoplifter HDは,どのようなゲームになったのか。思い出は思い出として,そっと胸にしまっておいたほうがよかった,なんてことになっていないだろうか。さっそくプレイしてみよう。もちろん今回,電気屋さんへは行っていないので,安心してほしい。
ちなみに開発は「The Bard's Tale」などを手がけたアメリカのデベロッパ inXile Entertainmentが行っており,Steamなどのダウンロードサイトから入手できる。
「Choplifter HD」公式サイト
起動して最初に安心したのが,グラフィックスやプレイフィールなどが,原作のイメージを損なうことなくアレンジされているところ。起動すれば,まさにあのチョップリフターの世界が,ぐっと美しくなって広がるのだ。
本作もオリジナルと同じ横スクロールのシューティングになっており,画面上部にあるマップを見ながら,敵がいたら機銃やミサイルで攻撃し,救助を待つ人を見つけたら着陸して乗せて基地へ戻ることを繰り返すのだ。文章で書くととても地味な印象を持つかもしれないが,実際にやっても地味だ。だがこの地味さ加減が1980年代と変わっておらず,懐かしくて妙に嬉しい気分になれる。ちなみにマップには,ヘリの現在地,基地や給油所,救助を待つ人や攻撃目標などが示されている。
トータルで30種類となるミッションは,都市,ジャングル,極地,砂漠,軍事基地などロケーション豊富で,内容としては,先代と同じ「捕虜救出」のほか,「味方の援護」「ウイルス感染者や重篤な病人の救出」「軍事施設の破壊」,そして「所定のポイントへの脱出」などがある。また,もらえる星マークは,次のキャンペーンに進むだけでなく,チョップリフターの強化などにも使える。
現代的なアレンジとしては,ウイルス感染者=ゾンビが蔓延する都市や町で,人々を救助するミッションが用意されていたことだろう。やはり欧米ゲームにゾンビは欠かせない。ゾンビどもを上空からマシンガンでプチプチと撃っていくのは単純に爽快だが,着陸中や低空飛行時に猛烈なスピードでゾンビの大群が飛びかかってくるのがやっかいだ。でも,大丈夫。もし,飛び乗られたらヘリを左右に振って振り落としてやればいい。
ヘリコプター(チョップリフター)の基本操作はどれも共通で,上下左右の移動,旋回を組み合わせて操縦する。ヘリなので,進行方向とは異なる方向に攻撃ができるし,空中停止(ホバリング)を使えば正確に敵を狙える。しかしホバリング中は敵の攻撃も当たりやすくなるのでダメージを受けやすい。また,燃料を激しく消費してググッとスピードアップするブーストも利用可能だ。
3種類用意されたヘリコプターは,それぞれ搭乗人数,装甲,燃料,武装,スピードなどに違いがあるが,ここで意外に重要なのが搭乗人数で,救助を待つ人々を助けに行ったのはいいけど乗り切れない,ということも多く,何度もベース基地を行き来することになる。しかし,搭乗人数の多い機種は,飛行速度が遅かったりするので,速い機体でピストン輸送という考え方もある。このように,繰り返しミッションに挑戦して効率よくクリアできる方法を考えるのも,チョップリフター流の楽しみ方だ。
武器は機銃とミサイルを使えるが,どちらもターゲットに照準を合わせて撃つだけのシンプル設計。機銃は撃ちまくれるが,オーバーヒートに気をつけなければならない。また,勝手に敵に向かって飛んでいく誘導ミサイルは,使い勝手はいいものの,搭載弾数がそれほど多くなく,弾切れになったら基地で補給する必要がある。
さらに,多方向から同時に攻撃されたときは,機体の向きと移動の方向,そして攻撃方向がバラバラなヘリだけに,割と混乱するだろう。
敵の攻撃は,機銃によるものはあまり気にする必要はないが,追尾式のミサイル,対空ミサイル,戦車砲などは大ダメージを受けてしまう。特にEMP(電磁波)攻撃でヘリが操作不能になったところにRPGを撃ち込まれるパターンが要注意だ。
ヘルスの減少には気をつけなければならないが,飛行で消費される燃料にも注意を払っておく必要があり,ヘルスバー,燃料バー,どちらがなくなっても,爆発または不時着という形でミッション失敗になる。危なくなったら,すぐに基地へ戻って補給しよう(燃料は給油所でも可)。
それにしても,相変わらず敵を倒そうとして救助を待つ人に弾を当てちゃったり,助けようと思って,うっかり救助を待つ人の上に着地してプチっとつぶしちゃったりなど,昔と同じ失敗を筆者は繰り返しており,進歩のなさからちょっと切ない気持ちになっている。ゲーム性はシンプルだが,なかなかシビアなチョップリフターの面白さは健在なので,昔遊んだ人も,名前は聞いたことがあるものの,実際にはプレイした経験がないという人も,まるで知らんよという人も,ぜひ挑戦してほしい。
■■UHAUHA(ライター/四天王)■■
レースゲームやアクションゲームなどを好んでプレイする,反射神経系のライター。とはいえ,人間が相手だとつい熱くなってしまうので,マルチプレイはちょっと苦手。高いところと,ホラー系が不得意で,高い場所が出てくるゲームと,怖いゲームもちょっと苦手と意外と弱点も多いが,とくに悲壮感はない。4Gamerがスタートした頃からライターをやっている,ベテラン中のベテランだ。特技は,遠距離通勤。
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