「デーモントライヴ」の新章が始まる。大型アップデート「2.0」の狙いを開発スタッフに聞いた

　セガネットワークスは本日（2013年7月23日），iOS端末向けアクションRPG「デーモントライヴ」の大型アップデートを実施し，「2.0」として生まれ変わる。

　今回のアップデートでは，シングルプレイの「討伐ミッション」と，クランメンバーと共にデーモン殲滅を目指す「クラン協力戦」という2つの新モードが実装される。どちらも「デーモントライヴ」のプレイスタイルが大きく変わる，大胆なリニューアルと言えるだろう。

　配信開始（2月28日）から約5か月，「デーモントライヴ」がどう変わるのか。そして，その狙いとは何なのか。本作のディレクターを務める河井大輔氏と，リードプランナーの久井克也氏に話を聞いた。

「デーモントライヴ」公式サイト

「デーモントライヴ」2.0特設サイト

Ver.2.0で開発スタッフは何を目指したのか

セガネットワークス 河井大輔氏 （本作ではVer.2.0よりディレクターを務める）

4Gamer：
　本日はよろしくお願いします。
　「デーモントライヴ」初の大型アップデートとなる「Ver.2.0」について，今回から新たにディレクターを担当される河井さんから紹介していただけますか。

河井氏：
　Ver.2.0ではさまざまな部分に手を入れていますが，とくに大きく変わった点は2つあり，その1つがシングルプレイの「討伐ミッション」です。シングルプレイの要素自体はありましたが，ちょっと単調だったと感じています。今回は，もっと自分で物語を進めていく感覚を出すために，組織レベルに関わらず，プレイした分だけ新しいミッションがどんどん出現します。

4Gamer：
　いわゆるミッションクリア型で，次に何をすればいいのかが分かりやすくなりましたね。
　
河井氏：
　ええ。また，「デーモントライヴ」は世界観にも力を入れて作り込んでいるタイトルですが，これまではバトルの要素である「討伐」と「ストーリー」の要素が完全に分離していました。プレイヤーさんによっては，ストーリーに触れないままということもありました。そこで，Ver.2.0ではミッションの流れの中にストーリーの要素を織り込んだ形になっています。ちょうどストーリーがアクセントにもなっているので，以前のような単調さを感じないはずです。
　いくつかのミッションをクリアすると，ストーリー要素の高いミッションが出現するのですが，これらはバトルが発生することもありますし，会話シーンだけの場合もあります。

シングルプレイ用モードはミッションクリア型に

モード選択画面も全面的にリニューアルされた

これまでの「物語」の要素は，ミッションの流れの中で楽しめる

4Gamer：
　従来のシングルプレイ「討伐」はなくなるのですか。

河井氏：
　そうですね。正確には討伐ミッションに統合されて，一新される形になります。すべてのプレイヤーが一からのスタートになりますので，既存のプレイヤーさんには申し訳ないのですが，新しくなった報酬が手に入るようになっています。

セガネットワークス 久井克也氏

久井氏：
　率直に言って，これまでの討伐はいろいろな要素が雑然としていました。今回，シングルプレイはじっくり遊べるように整理しているので，新規のプレイヤーさんも戸惑わないだろうと思います。

4Gamer：
　これから始めるプレイヤーを意識した改修ということですね。

河井氏：
　はい。チュートリアルの流れも大幅に見直しましたので，これから始めても混乱しないと思います。「デーモンを育てて戦う」という面白さに自信はありますが，そこに辿り着く前に「やることが多くて面倒だな」と感じる人が多いようで，そこが改善できるのは大きいと思っています。実際，スマートフォンのゲームとしては難解だった部分があるので，そのネガティブなイメージを一新したいですね。

6人目のエージェント「アラジン」の登場も発表されている。当然，ストーリーに大きく関わるはずだ

4Gamer：
　もう1つの大きな変更点とは何でしょうか。

河井氏：
　新たに「クラン協力戦」を実装します。クランの要素はありましたが，クランメンバー同士の共闘感を味わえるコンテンツはなかったので，その点を補って「みんなで盛り上がろう！」という楽しさを実感できるモードです。

4Gamer：
　具体的には，どういった内容ですか。

河井氏：
　クラン協力戦の専用マップに多数のデーモンが配置されているので，これらをクランメンバーと協力して倒していきます。最大3人までのプレイヤーがリアルタイムで協力プレイを楽しめるようになっています。このモードでは，事前に確認できる敵の情報はあえて曖昧になっていて，おおよその強さしかわかりません。

4Gamer：
　実際に出撃してみないと，どこにどんな敵がいるのか分からないんですね。

久井氏：
　そのとおりです。フィールドには「デスフラワー」という敵がいるんですが，これを狩らないとキャラクターが強くならない仕組みなので，デスフラワーの出現場所も重要です。こうした敵やデスフラワーの情報について，クラン専用の掲示板でコミュニケーションを取りながら，攻略を進めていただければと思います。

クラン協力戦では，1つのマップをクランメンバー全員で攻略していく

攻略情報を掲示板に書き残して，クランメンバーに伝えることが可能に

4Gamer：
　マップ上に配置されているデーモンを全滅させるとどうなるのですか。

河井氏：
　1つのマップに配置されているデーモンをすべて倒すと，クランメンバー全員に報酬が与えられます。同時に敵が一新されて，新しいウェーブ（第2波）が始まることになります。
　報酬は，単に宝石やアイテムが手に入るだけではなく，「鉱石ジェネレーター」の効率が上昇するといった，ゲーム全般において有利になるものを予定しています。

4Gamer：
　直接参加していないクランメンバーにも恩恵があるんですね。

河井氏：
　クラン単位の遊び方としては「対戦」や討伐でのポイントを競う週間ランキングがありますが，上位で熾烈に争っているクランは数が限られている状況です。そこで，すべてのクランが各々の遊び方で楽しめる要素として，クラン協力戦を入れることにしました。メンバー数が少なくても，プレイする時間が合わなくても，少しずつやっていけば成果は確実に出ますから，ぜひ参加してほしいですね。

4Gamer：
　クラン協力戦は，最大3人まで参加できるということですが，やはり協力プレイが前提となるゲームバランスなのでしょうか？

久井氏：
　プレイヤーが3人に満たない場合，下級のエージェント（NPC）を連れていけますが，かなり弱いです。1人より2人，2人より3人でプレイしたほうが攻略しやすいのは間違いないですね。

クラン協力戦の実装により，ランキング争いが加熱しそうだ

河井氏：
　マルチプレイは「デーモントライヴ」のウリの1つではあるんですが，対戦だとハードルが高いのか，プレイヤーを選んでしまうという一面があります。我々としては，とにかくマルチプレイの楽しさを感じてもらいたくて，Ver.2.0ではクラン協力戦を前面に押し出すことにしました。
　先ほども言ったように，これまでクランの要素としては週間ランキングがメインでしたが，長いスパンで遊べるクラン協力戦であったり，メンバー同士でコミュニケーションを取れるシステムであったりと，楽しみ方を強化しています。

久井氏：
　最終的にランキングを競うという点は変わらないのですが，ポイントを獲得するための手段として，クラン協力戦という選択肢を追加しました。クラン協力戦も頑張っていただくのが，ランキングを上げるための近道となるようにしています。

河井氏：
　これまではクラン内の数人の頑張りでランキングは上がったのですが，今度はメンバー全員で頑張ってほしいということです。
　例えば，出撃してクリアできなかったとしても，「こういう敵が出たぞ」「ここに敵が隠れていた」といった情報を掲示板に書き残すことで，クランに貢献できるわけです。
　また，誰かが出撃して負けた場合には，そのバトルで出現するデーモンが弱体化するという効果があります。この効果は1時間で消えてしまいますが，タイミングを合わせて集中的に出撃すれば，クランの力が足りなくてもクリアできるかもしれない。

久井氏：
　もう1つ補足すると，クラン協力戦に出撃する際は，ほかのモードと同様にBPを消費しますが，クランメンバーに呼んでもらった場合は消費しません。つまり，クランの人数が多いほど，出撃のチャンスが増えるわけです。

4Gamer：
　プレイヤーのレベルに関わらず，メンバー全員に重要な役割があるということですね。

河井氏：
　対戦でポイントを稼ぐというクランもあれば，クラン協力戦に注力するクランも出てくると思うので，クランのランキング争いがますます熱くなりますよ。ただ，我々としては遊び方にはいろいろなスタンスがあっていいと考えているので，ランキングに関係なく楽しむのもありかなと。

配信開始から5か月，ここまでの手応え

4Gamer：
　ここからは「デーモントライヴ」全体について，お話を伺いたいと思います。配信開始（2月28日）配信から約5か月となりますが，手応えはいかがですか。

久井氏：
　まずダウンロード数と登録者数に関しては非常にいい数字で，そこには大きな手応えを感じています。壇蜜さんやデーモン閣下を起用したPRも奏功しまして，多くのお客さんに認知していただきました。

4Gamer：
　確かに大きなインパクトがありました。

久井氏：
　こちらが思っていた以上のプレイヤーに遊んでいただけたのは，うれしい誤算でした。ただ，たくさんのプレイヤーを獲得できたからこその悩みもありました。

4Gamer：
　といいますと？

河井氏：
　評価が大きく分かれてしまったと思っています。対戦の面白さを中心に設計したコアなゲームにも関わらず，カジュアルなプレイヤーも多くなったことで，全体としては継続率が低くなっているのが現状です。つかみは良かったんですが，せっかく来ていただいたすべてのプレイヤーを楽しませられなかったと反省しています。

久井氏：
　対戦を遊んでくれているプレイヤーさんには好評で，かなり熱心にプレイされています。その一方，対戦を全くやらないでやめてしまう人も多くいます。これが「デーモントライヴ」の課題であるという認識はずっと持っていて，今回のアップデートでは対戦以外の要素を強化したというわけです。

4Gamer：
　カジュアルなプレイヤーの多くが，対戦をはじめとするコアな部分に踏み込んでくれなかったということですね。

河井氏：
　こうしたプレイヤーに対して「絶対に面白いから対戦しようよ！」と呼びかける方法もあるとは思いますが，今回は「対戦しなくても楽しめるゲーム」にするという方法を選びました。
　もちろん，対戦をおろそかにしては本末転倒なので，そこはこれまで通り，ちゃんと力を入れていきます。Ver.2.0では，まずシングルプレイや協力プレイを楽しんでもらって，ちょっと気が向いたときにでも対戦してもらいたいと思ってます。

4Gamer：
　なるほど。ちなみに対戦を遊んでいるプレイヤーの現状を教えてください。

久井氏：
　現在，22時から24時にかけて，対戦することで討伐ポイントが入る仕組みになっています。この2時間に関しては想定どおりで，マッチング相手に困ることはまずありません。ただ，それ以外の時間になるとマッチング状況にはムラがあります。困るほどではないのですが，登録者数から考えるともっと多くなってほしいところです。

4Gamer：
　アクティブユーザーの大半は対戦を遊んでいると？

久井氏：
　対戦を中心に遊んでいただいているプレイヤーが多く，とくに3対3は非常に人気があります。我々も対戦の面白さには自信を持っていますが，逆にそこまで遊んでもらえなかったプレイヤーはもう離脱されているのかなと。

4Gamer：
　対戦のシステムに変更はありますか。

河井氏：
　これまで対戦のマッチングの基準は，対戦の強い弱いではなく，1人でじっくり遊んでいるだけでも上位クラスに放り込まれる仕様だったんですね。本来の実力ではないところでマッチングされるため，楽しめないということが起きていました。これを全面的に見直して，対戦で遊んでいる人が上位になるようにしています。
　実力が近いプレイヤーと当たるので，どのタイミングでも楽しんでもらえるはずです。負けたって不利益になることはありませんので，どんどん対戦してみてください。

久井氏：
　また，今回追加した「オプション」機能で，UIや操作方法，ゲームルールなど，非常に細かい部分まで設定できるようになっているので，ぜひこだわっていただきたいですね

河井氏：
　最初はデフォルトで全く問題ないと思いますが，ハマってくるとオプションが気になると思いますよ。

オプション機能のほかにも，実戦に近い擬似対戦が可能なモードを実装。対戦にも一層の充実が図られている

4Gamer：
　当初，今回のアップデートは6月中とアナウンスされていましたが，どうして遅れたのでしょうか。

河井氏：
　なかなか難しいもので（苦笑），作ってるうちにどうしても欲が出てきてしまって。スケジュールを守ることが一番大事ではなくて，ちゃんと面白いものを提供することが重要だと思いましたので，プレイヤーの皆さんには申し訳ないのですが延期を決めました。

4Gamer：
　アップデートに合わせて実施されるキャンペーンについて教えてください。

久井氏：
　たくさん用意していますが，注目していただきたいのは最高レアリティのデーモン「ロキ」ですね。いろいろな形で配布しようと考えています。
　スタートダッシュをサポートするイベントも仕掛けていきますので，新規のプレイヤーさんも一気にデーモンを育成していただけますよ。

北欧神話に登場する「ロキ」（左）や「クー＝フーリン」（右）といった新デーモンが追加

河井氏：
　新規のプレイヤーさんが感じるネックとして，育成に時間がかかるということがありました。これが対戦を遊んでもらえない理由のひとつでもありましたので，なるべく速く育てられ，ストレスなく楽しめるようなキャンペーンを用意しています。もちろん，既存のプレイヤー向けの施策もありますのでチェックしてほしいですね。

4Gamer：
　それでは最後に，今後のサービスに向けて意気込みをお願いします。

河井氏：
　今回，大型アップデートと言いつつも，まだまだ課題がたくさんありますので，1つずつ対応したいと思っています。より楽しい作品にしていきますので，以前遊んで「合わないな」と感じた人も，これを機にチャレンジしてほしいですね。

久井氏：
　新規のプレイヤー獲得はもちろんですが，やはり休眠されているプレイヤーさんの復活にも期待しています。今回紹介できなかった部分でも細かい修正を施して，だいぶ遊びやすくなっていますので，ぜひ遊んでください。よろしくお願いします。

「生贄」に選択するデーモンの上限数を撤廃したり，デーモンのレベル上限を引き上げたりといった細かい点も改善されている

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