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[TGS 2014]ニコラ・テスラの魂が生きる武器で戦え。「The Order:1886」プレゼンテーションレポート&開発者インタビュー
“史実とフィクションが入り交じる”というのは,本作に登場する武器についても同様だ。現実の19世紀で使われていたものと,当時の技術では実現できなかったものが混在している。それが独特のプレイ感を生んでいるのは,すでにTGS会場でのプレイレポートなどでもお伝えしたとおり。
ヴェーラスリヤ氏は,本作の特徴がリアリティとフィクションの混在にあることを改めて紹介したうえで,武器の制作については,過去に使用されていた武器の資料を徹底的に調べることから始めたと語った。そうして資料を読み込むうちに,生産された国による武器の傾向も分かってきたそうだ。
たとえば,イギリスの武器は大量生産されるものが多いため,製造効率が重視されているという。本作に登場する武器としては,基本的な装備であるカービン銃やグレネードがそれにあたるそうだ。
本作にはドイツ製の武器も登場するが,そちらはマシンピストルに代表されるように,当時としては先進的な技術が取り入れられたものが多いという。
一方,アメリカ製の武器は,使われている技術自体はそれほど高くないものの,とにかく強力なのが特徴だ。本作には,マグネシウム製の銃弾を使用する三連ショットガンが登場するとのこと。
そうした当時の武器を忠実に再現したものに続いて紹介されたのは,電流を放出する「アークガン」,圧縮空気による衝撃波とライフル弾を使い分けられる「コンボガン」,対象にアルミと酸化鉄の混合物であるサーマイト弾をぶつけた後に,着火剤を撃ち込み爆発させる「サーマイトライフル」などの架空武器だ。
どれもかなりユニークなものだが,ヴェーラスリヤ氏によれば,これらの武器も当時の技術をしっかりと調べることがベースになっているのは変わらないという。ただし,実際にあった技術を“少し超える”ことを意識して,アイデアを出したそうだ。
また,架空武器のアイデアには,19世紀終盤から20世紀前半にかけて活躍した発明家で,ゲーム中にも騎士団の兵器開発者として登場するニコラ・テスラの発明品からヒントを得たものもいくつかあるとのこと。
テスラは,空中放電などの実験で使われた「テスラコイル」などの発明品で知られているが,確かにアークガンなどからはそのイメージが強く感じられる。
ゲーム中にはテスラの研究室も登場するのだが,そこにはゲームの開発者による調査で分かったテスラの発明品や試作品のほか,開発者達が「テスラならこんなものを作ったかもしれない」と想像したものも並んでいるという。ちなみに,ヴェーラスリヤ氏自身もテスラのファンのようで,テスラについて語るときの口ぶりは,熱を帯びているようにも感じられた。
こういった開発者達の武器にかける熱意を紹介するムービーも公開されているので,興味のある人は見てみると楽しめるだろう。
プレゼンテーション終了後,ヴェーラスリヤ氏へインタビューする機会を得たので,その模様をお届けしよう。
4Gamer:
プレゼンテーションでは,とにかく当時の資料を徹底的に調べたということが紹介されましたが,19世紀末ですから,そういった資料が豊富に残っているというわけでもないですよね。
ええ,とくに今回は勝者だけでなく,その陰にあった敗者の歴史も調べるということがテーマになっていましたから,大変でした。
4Gamer:
実際にロンドンへも取材へ行かれたとか。
ヴェーラスリヤ氏:
はい。チャールズ・ディケンズの博物館は,当時のロンドンの雰囲気が残っていて,とても参考になりましたね。また,資料として使う建物などの写真撮影は,開発チーム20人が1週間ロンドンに滞在して行いましたが,データのサイズは合計で160GBにもなりました。
4Gamer:
The Order:1886には,今日紹介していただいた当時の技術力を少し超えた武器であるとか,実在の人物が登場しながら,半人半獣のライカンと戦うという世界設定であるとか,現実とフィクションが入り交じったさまざまな要素がありますが,これはどういった意図で取り入れているのでしょうか。
ヴェーラスリヤ氏:
誰もが知る歴史が,もし違った方向に進んでいたらどうなっただろうか,ということを描きたいと思って,ああいった要素を入れています。
4Gamer:
こうなっていてもおかしくない世界,ということですね。ただ,ライカンはさすがに現実離れしていませんか。
ヴェーラスリヤ氏:
そういった世界観の設定に関しては,「誰か1人でも信じる人がいるなら,取り入れてもいい」ということを基準に判断しました。たとえば,街行く人に「人狼は本当にいると思うか」と聞いていったとしましょう。ほとんどの人は否定するでしょうが,「いると信じている」と答える人がいたとしてもおかしくないでしょう。
4Gamer:
その基準はユニークですね。
ヴェーラスリヤ氏:
そうしたことって,ちょっと見方を変えると一気にリアルになるんです。「人が狼になる」だと嘘に近いですが,「突然変異で人間の体毛が狼のように濃くなる」だったら?
4Gamer:
ああ,なるほど。それなら信じられますね。19世紀末という舞台を選んだのは,そういった科学的な説明がつかない時代ということもあったのですか。
ヴェーラスリヤ氏:
それもありますが,古い人間や考えが,大きな変革の波に揉まれて変わっていく姿も描いてみたいと思っていました。
人類の歴史の中で,大きく状況が変わったポイントがいくつかあります。ローマ帝国の台頭やルネサンスなどがそれにあたるでしょう。産業革命もそのひとつですが,かなり短い期間で世界規模の影響を及ぼしたという点では,ほかに類を見ないものではないでしょうか。
4Gamer:
なるほど。さきほどのプレゼンテーションで,ニコラ・テスラの話が出ましたよね。エジソンとの関係についても触れられていましたが,本作で騎士団の兵器開発者にエジソンではなくテスラを選んだ理由は何でしょうか。同じ発明家ですし,知名度ならエジソンのほうがありそうですが。
ヴェーラスリヤ氏:
エジソンも優秀な発明家ですが,私はテスラのほうがより優れていたと感じています。現在,日常生活で使っているものにテスラの発明が生かされていますからね。また,エジソンは確かに発明で成功者となって,後世に名を残しましたが,人類の発展を本当に願っていたのはテスラのような気がするんです。そして私がテスラのファンでもあります(笑)。
4Gamer:
プレゼンテーションのときからそれは感じていました(笑)。
ヴェーラスリヤ氏:
もちろんファンだからという理由だけではないですよ。テスラのほうがエジソンよりも年下ですし,性格的にもちょっと変わったところがあったようなので,このゲームに登場させやすかったですね。
4Gamer:
開発者のみなさんが武器を語るムービーに,試作武器において安全性は二の次,不安定さが魅力,といったコメントがありましたが,そういう武器を開発しそうなのはテスラということですか。
ヴェーラスリヤ氏:
そういうことです。
4Gamer:
そうした架空の武器は,現実にはないものですから,どれくらいの威力なのか,どんな爆発をするのかといったことは分からないですよね。実際に武器を作ることはないにしても,たとえばサーマイトに着火する実験をやったりしたのでしょうか。
ヴェーラスリヤ氏:
いや,さすがにそこまでは(笑)。そういった資料はネットにもたくさんありましたし,開発チームにそういった実験を任せるのは非常に危険ですね(笑)。
4Gamer:
この作り込みなら実験もやってるんじゃないかと思ったんですが(笑)。
ヴェーラスリヤ氏:
作品がリリースされたら試してみるかもしれません(笑)。
4Gamer:
時間が来てしまったようなので,最後に「The Order:1886」を待っている人たちに向けてメッセージをお願いします。
ヴェーラスリヤ氏:
はい。本作は世界中の人に向けて作っている作品なので,発売後,どんな反応が返ってくるか,非常に楽しみにしながら開発しています。開発チームもさまざまな国籍のメンバーで構成されていて,誰にでも楽しめるものを目指していますので,もう少しお待ちください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「The Order: 1866」公式Webページ
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The Order:1886
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(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Created and developed by Ready At Dawn Studios LLC.
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