インタビュー
「ラーメンズ・片桐仁の粘土道」アプリ配信記念インタビュー。片桐 仁さんに聞く“アプリの見どころ”,そして“粘土作品を作り続けた14年”
無料でダウンロードできるこのアプリは,片桐さんが雑誌で連載している「粘土道」シリーズの作品をガチャガチャマシンからゲットし,コレクションボックスに集めていくというもの。手に入れた作品は,画像をズームアップして鑑賞したり,片桐さんによる作品解説を読んだりすることができる。
ガチャガチャマシンを回すためのコインは時間経過によって回復するが,未入手の作品が2種類手に入る「プレミアムコイン」が100円で購入できる。このほか最新の出演情報やイベント,告知などがチェックできる「片桐仁なう」や,書籍やグッズを紹介するコーナーも搭載されている。
今回,このアプリの配信を記念し,片桐さんにアプリの注目ポイントや粘土作品に対する思いなどを聞いている。ゲームの話はかなり控えめで,4Gamerとしては少々異色ではあるが,片桐さんの独特のセンスやユニークな人柄が感じられるインタビューになっているので,興味を持った人はぜひチェックしてほしい。
リリース時に用意されるガチャガチャマシンは4つで,そのうち1つは追加課金(300円)が必要。今後のアップデートにより,ガチャガチャマシンが追加される予定になっている |
入手した作品はカテゴリ別のコレクションボックスに収められ,画像を鑑賞したり,作品を解説をチェックできる。さらに1つのコレクションボックスをコンプリートすると,特典画像が見られるようになる |
App Store「ラーメンズ・片桐仁の粘土道」(iTunesが起動します)
Google Play「ラーメンズ・片桐仁の粘土道」
14年間で作り続けた粘土作品121点を収録
片桐 仁(かたぎり じん) 1973年生まれ。埼玉県出身。1996年,大学の同級生だった小林賢太郎さんとお笑いコンビ「ラーメンズ」を結成し,独自の世界観を持つコントが高い評価を得る。近年はコメディアン,俳優,創作活動など多方面で才能を発揮している。 |
本日はよろしくお願いします。
さっそくですが,「ラーメンズ・片桐仁の粘土道」が制作された経緯を教えてください。
片桐さん:
ちょっと前の話になりますが,今年4月に粘土の個展(片桐仁 感涙の大秘宝展〜粘土と締切と14年〜)を渋谷パルコでやらせてもらって,18日間で1万3000人くらいのお客さんに来ていただいたんですね。その後,すぐに知り合いを通じて今回のお話をいただいたんです。最初はガチャアプリというものをやったことがなかったので,「ちょっとこれはどういうものなのかな」というところから始まったんですけど。
ただ,個展で実物を見てもらったら,皆さんすごく喜んでくださったので,これはいろんな人に知ってもらいたいと思って,最終的に「やりましょうよ」ということになったんです。このアプリをきっかけに作品のことを知ってもらうことが,絶対にできますからね。
これまで本を出版したり,個展を開いたりしてきましたけど,やっぱり予算的になかなか難しいこともあって。その点,アプリだったら無料で落としてもらえますから,日本各地で個展をやっていく中で,「実物を見たい!」と思ってもらいたいですね。
4Gamer:
アプリにはどのような形で関わられているのですか。
今回,アプリに収録する粘土作品は,実際に粘土道の連載で14年間ずっと撮影してもらっている講談社の大坪(尚人)君に全部撮り直してもらったんです。130点近く撮ったんじゃないかな。その撮影に立ち会って膨大な写真の中から選んだり,作品解説のキャプションを全部書き直したりとか……。そういったこまごまとした作業をやってます(笑)。
4Gamer:
企画会議にも参加されたそうですが,片桐さんから開発チームに何か要望はありましたか。
片桐さん:
ガチャガチャから出てきた作品をコレクションできるんですけど,絶対にズームしてみたくなると思ったので,それはお願いしました。あとはゲームアプリでありつつも,僕の作品集の延長というか,そういうものになってほしいなと。そんな感じで,えっと,その,口出ししちゃいました(笑)。
課金のシステムとかは詳しくないので,ほとんどお任せです。なにしろやったことがなくて,どういう反応があるのがまったく分からないのでちょっと怖いんですけどね。
4Gamer:
アプリに収録されている作品の点数を教えてください。
片桐さん:
えーと,いくつだっけ? ガチャガチャが11台で,1台につき11点だから……121点になるのかな。
4Gamer:
おお!
ちなみに14年間で制作された作品の総数は?
片桐さん:
これはね,77+56なんですよ。だから133点。
……あれ,そんなもんだっけ? いや,でもよく連載がクビにならなかったですよ。意味が分からないですからね,こんなの。講談社にまったくお金を落としてないですから。
4Gamer:
それでは,すべての作品がアプリに収録されているわけではないんですね。
片桐さん:
年度別に古い作品から収録しているので,残りのぶんは配信後にいずれ追加したいとは思っています。写真は撮影していますので。
4Gamer:
なるほど,それは期待したいです。
133点の作品の中で紛失されたり,壊れたりしたものはありますか。
片桐さん:
ええ,ありますよ。壊れるのはしょっちゅうです。壊れたら直せばいいんですけど,丸ごとないのは2点。「俺ンピオンベルト」と「俺シュポポポポー」ですね。
4Gamer:
それはどうしてですか。
片桐さん:
いや,分からないです。
4Gamer:
(笑)。
片桐さん:
連載の雑誌が2回変わっていて,歴代の担当編集が7人もいるんですよ。それもあって,どっかいっちゃったのかなぁ。
俺ンピオンベルトなんてすごい大きいのに……ないの。ただ,もう手元にない作品もアプリには収録しています。で,解説を見るとちゃんと「行方不明」って出ます(笑)。
4Gamer:
この写真を見ると,スタジオ撮影中も修復作業をされているんですね。
片桐さん:
すぐに壊れちゃうのが,いくつかあるんですよ。撮るそばから壊れていきますから,スタジオで塗り直したり,くっつけ直したりとかしていかないと。これ(サイフォン)はとりあえず耳が折れやすくて,こっち(蟹ボーイ)のもツノがないでしょう。何回も補修しているんですけど,そういうのはもうしょうがないです。
インタビュー取材の現場に持参してもらった粘土作品。左からiPhoneカバーになっている「カエルちゃん2011」,「サイフォン」,ゲームボーイのカバーで「蟹ボーイ」。手前の小さいフィギュアはカプセルトイとして商品化されているもの |
4Gamer:
アプリに収録されている全作品にキャプションがあるんですね。
片桐さん:
そうです。個展のときに展示していたキャプションを元にしているんですが,アプリだと字数制限がないと言われて大幅に加筆修正しています。
実際,個展のキャプションは結構カットされているので,制作した当時の思い出とか,今になって振り返ってみた感想とか,まだまだ書き足りないことがあるんですよね。中には全然覚えてないものもありましたけど。
4Gamer:
ええ!
片桐さん:
いや,ホントに作った記憶がないんですよね。「俺,作ったかなぁ」っていう。そんなわけはないんですけど。
4Gamer:
そういった解説は,このアプリでないと見られないわけですね。
片桐さん:
あと,1台のガチャをコンプリートすると,特典の「お宝画像」が見られます(笑)。自分で言うのは恥ずかしいんですけど。
4Gamer:
それはどういったものですか。
片桐さん:
僕が家で作業しているときのスナップとか,スタジオで撮影した写真とか,そんな感じでいこうかなと思っています。
ライフワークなので一生できる限り続けていきたい
4Gamer:
これだけの点数だと撮影は大変だったでしょうね。
片桐さん:
今は個展を控えているので,作品はパルコの倉庫と自宅に置いてあるんですけど,車を出してもらったり,運転中も揺れないように丁寧に走ったり……。まぁ,壊れる箇所は決まっています。焼きが甘い部分と細長い部分ですね。
4Gamer:
焼きが甘いというのは?
片桐さん:
僕の作品はオーブン粘土を使っているんですが,これは135℃で焼くと固まる粘土なんです。僕の場合,毎月1個作らなきゃいけないので,ちゃんと仕上げをしてないまま,色を塗って完成させちゃう。だから脆いっていう,最大の弱点があるんです(笑)。
4Gamer:
1つの作品制作に要する期間を教えてください。
片桐さん:
ものによりますけど,時間があれば2週間くらいかけますし,ないときは最短一晩で完成させたこともあります。
4Gamer:
だいぶ差がありますね。制作期間を左右する,大きな要因はなんでしょうか。
片桐さん:
作品のサイズもありますし,細かい部分までこだわるかどうかとか。こだわり出すと,いつまでたっても終わらなくなっちゃうので,結局はなんて言うんですかね,僕の気分で(笑)。
4Gamer:
気分ですか。
片桐さん:
いろんなものに粘土を盛るというコンセプトなので,ベースが大きいものであれば,やっぱり大変ですね。あとは細かいギミックみたいなものが付くと,結構面倒くさくなるというか……。
粘土作品はスーパー面倒くさいですよ。サイフォンなんて1個1個ドライバーの先で,身体の模様を作ってますからね。で,失敗したら「ああああ!(壁に投げる動作をしながら)」っていう気持ちを必死に抑えてます。
4Gamer:
(笑)。
片桐さん:
でも,色を塗るのは一番楽しいです。これはいつも思いますよ。そこまでの粘土で作るほうが100倍大変なんですから。
4Gamer:
なるほど。それでは,ベースにするアイテムはどのように決めているのですか。
片桐さん:
これもそのときどきなんですけど,サイフォンの場合はちょうどiPhoneにしたばっかりだったからかな。ダジャレですけど。魚の「鯛Phone5」っていうのもあります。
ベースのものからインスピレーションを受けて,その形に合わせて作品にする場合もありますし,反対にそのとき作りたいものがあれば,無理やりそのときはやっているものに盛っていくこともあります。このカエルちゃんなんてiPhoneの形とまったく違いますけど,とにかくカエルが作りたかっただけという作品です。
1回だけ,青森県さんとのコラボレーション企画で「遮光器土偶にしてくれ」っていうオーダーがありましたね。これはペットボトルの容器にしたんですけど,面白かったですね。
作品を作り始めた時点で,すでに片桐さんの頭の中に完成形があるのでしょうか。
片桐さん:
最近はそうですね。初期の頃は暇だったこともあって,粘土を盛ってはやり直し,盛ってはやり直しで,完成形が見えてくるまでずっと繰り返してましたけど。
何も考えないで作り始めて,うまくできあがったこともあるんですよ。「俺ホッチキス」とかがそうなんですけど,もうホッチキスとしては使えないですから。今だったらちゃんと考えて使えるようにしますけど,当時は若気の至りというか……使えないのが面白いとか考えてたのかなぁ(笑)。
4Gamer:
個展のキャッチコピーによると「不条理アート」と紹介されていますが,ご自身としては意識されていますか。
片桐さん:
いえいえ,そんなことはないですよ。例えば携帯電話の場合,出たての頃は銀とか黒とかのムダのないデザインばっかりだったじゃないですか。それを,機能性だけじゃない方向に振ってあげられないかなと思っていましたね。
ただ,まったく分かってもらえなかったので,「俺が思っていることは,世の中と全然つながってないな」っていう。だからこそ,これまで勝手にやらせてもらえたと思うので,それも含めてありがたいことばっかりです。
4Gamer:
片桐さんとしては,もっと同じ志を持った人が出てきてほしいですか。
片桐さん:
少しだけいるんですよ。後輩がiPhoneで「貝フォン」を作ってきましたけど,びっくりしましたね。「ついに来たか」と。あとは名古屋にいる若い子が,携帯電話の粘土作品を見せてくれましたが,まだ僕を脅かすほどの存在じゃなかったかな。
本当はある程度の技術を持った人にやられちゃったら,勝ち目ないんですけどね(笑)。それでも楽しいと思うんですよ。
ただ,電車とかでiPhoneを出すのは恥ずかしいですよ。これはカエルだし,こっちはサイだし。「何だ? あいつ」って目で見られますよ。
4Gamer:
今後も作品制作は続けられますか。
片桐さん:
もちろん! ライフワークなので一生できる限り続けていきたいですね。講談社さん次第ですけど,今年は「進撃の巨人」でかなり盛り上がっているので,しばらくは大丈夫かな(笑)。
4Gamer:
アプリの配信日には個展が開催されますね。
片桐さん:
はい。9月12日から30日まで札幌のパルコで開催します。お客さんが来てくれるのか不安ですが,個展の初日に間に合わせるために,アプリの制作を頑張ってもらいました。これで興味を持った人は,ぜひ実物を見に来てほしいですね。
一番ハマったゲームは
「モンスターハンターポータブル 3rd」
4Gamer:
またとない機会ですのでゲームのこともお聞きしたいのですが,どんなゲームがお好きですか。
片桐さん:
僕はドラクエ(ドラゴンクエスト)シリーズが大好きなんですけど,「X」(ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン)は遊んでないんですよ。一人暮らしだったら120%やってるんですけど,家族がいるとなかなかね……。子供には「Wiiは30分しかダメ」とか平気で言ってますから。ドラクエなんて,30分で済むわけがないじゃないですか。30時間はやりたくなると思うんですよ,もう目が開かなくなるまでね。
それでは現在,遊んでいるゲームは?
片桐さん:
もっぱらiPhoneでゲームしてますね。最近だとLINEの「ポコパン」。2万円以上は課金しました。熱くなって,やっちゃったって(苦笑)。嫁さんもハマってたので,夫婦で5万円くらいになってますよ。怖いですよね。
それからLINEで「クローバー」(ゲーム内のチケット)を人にあげると,フレンズポイントがもらえるんです。それで自分の動物が強くなるんですけど,全然ゲームとかやってない人にも贈りまくったら,Twitterで「本当にやめてほしいです」っていろんな人に書かれました……。
4Gamer:
……ハマってますね。今は自宅でゲームをされないんですね。
片桐さん:
そうです。自宅ではもうできないです。子供に示しがつかなくなるまで,やっちゃうのが分かっているので。「ポコパン」は嫁さんも一緒だったので怒られなかったんですが,これは特別ですね。
でも「VII」(ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち)はやりましたよ。久しぶりに全員レベル99にしました!
4Gamer:
それでは,一番ハマったタイトルを教えてください。
モンハンです。「モンスターハンターポータブル 3rd」はやり込みましたよ。ジンオウガが好きすぎて,PSP本体に粘土を盛って「ギリジンオウガ」っていう作品を作っちゃいましたから。
もちろん「モンスターハンター4」も気になるんですけど,PSPと3DSだとボタン配置が違うじゃないですか。僕は不器用なので,あれだけ苦労して覚えた操作を一からやり直すのは,どうしたもんかなぁと思ったんですけど……。
4Gamer:
……けど?
片桐さん:
モンハンのために3DS LL買いましたんでね。今回こそはやりますよ!
4Gamer:
ぜひ頑張ってください!
それでは最後に4Gamer読者にメッセージをお願いします。
片桐さん:
そうですね。今回のアプリって,僕の顔がアイコンになっているという,すごく特殊なアプリだと思うんです。「ラーメンズとかアーティストぶりやがって」みたいに思っている人も多いと聞いてますが(笑)。それでも無料なので,お試し感覚でダウンロードしてもらって,「こういうのやってんだ」と思っていただきたいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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ラーメンズ・片桐仁の粘土道
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