プレイレポート
iOS版「R-TYPE II」のプレイレポートをお届け。再現度抜群のグラフィックスやサウンドで手のひらがゲームセンターになる
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本作は1989年にアイレムがリリースしたアーケードタイトルの移植版だ。配信元は「DotEmu」という海外企業になっているが,アイレムから公式にライセンスを取得した作品となっている。
「R-TYPE」シリーズは,緻密なドットグラフィックスで描かれたグロテスクな敵やステージ造形が特徴的な横スクロールシューティングで,KONAMIの「グラディウス」やタイトーの「ダライアス」と並び称されシリーズだ。
しかし,シリーズ2作目として登場した「R-TYPE II」はその魅力を十分に受け継ぎながらも,前作ほどのヒットとはならなかった。シリーズ屈指を誇る高難度が災いしてか,アーケードからは早々に姿を消してしまたため,オリジナル版をプレイした人はそう多くないかもしれない。隠れた名作がスマートフォンでプレイできるというわけだ。
本作では「ショット」と「フォース」を駆使して自機「R-9C」を操作し,敵である「バイド帝国」の生命体を撃破しながら全6ステージを進んでいく。
「ショット」は連射が効く通常弾と,ボタンを一定時間押し続けてから離すことで放てる強力な波動砲の使い分けが可能。波動砲はチャージ時間に比例して威力が高くなるほか,“チャージゲージが青と赤に点滅したときにボタンを離す”ことで,より強力な拡散波動砲が発射できるようになっている。
「フォース」は自機の前後に着脱できるオプションパーツで,それ自体は敵に対して完全無敵。フォースを装着しているときにレーザークリスタルというアイテムを取ると,クリスタルの色に応じた5種類のレーザーを発射できるようになる。また,フォースにはオレンジ色の敵弾を打ち消す効果があり,これを盾代わりに使うのが攻略のうえで必須のテクニックだ。
各ステージの最後には巨大なボスが待ち受けており,これを破壊するか,時間切れになるまで粘ればステージクリアとなる。ステージ6をクリアすると2周目に突入し,もう一度クリアすれば真のエンディングが見られるのだ
さて,本作はスマートフォン向けタイトルということで,オリジナル版からさまざまなアレンジが加えられている。大きなものは以下の3つだ。
1つめは,3種類の難度設定。難度といってもゲームバランスの調整ではなく,イージーは残機無制限,ノーマルはアーケード版の再現,ハードはチャレンジ要素の追加といった具合でアレンジされている。
2つめは,コントロールの最適化。自機の移動方法は,画面のドラッグと仮想パッドの2種類から選べる。画面のドラッグで遊ぶ場合は,スピードアップアイテムを取らなくても高速で自機を操作可能だ。また,ショットやフォースなどのボタンは画面の好きな位置にレイアウトでき,ショットの自動連射のオンオフも設定可能となっている。
そして3つめは,画面比率やグラフィックスの設定機能。初期設定のフルスクリーンモードでは横長の画面でプレイすることになるが,これをオフにすればアーケード版と同じ4対3の画面サイズになる。さらに,ビデオフィルタをオンにすれば,ゲーセンの雰囲気を思い出させるブラウン管ディスプレイ風のグラフィックスでプレイできるのだ。
グラフィックスやサウンドは再現度抜群といえる出来。しかし,実際にプレイしてみるといくつか気になる点もある。
まずゲームスタート直後に挿入されるR-9Cの発進ムービーがばっさりカットされているところ。ゲーム性には関係ない要素かもしれないが,ある意味「R-TYPE II」を象徴する演出でもあるので,ファンとしては非常に残念に感じた。
オート連射のオンオフが選べるのはうれしいが,ショットの連射スピードが遅いのも気になるところ。拡散波動砲のチャージにかかる時間もオリジナルに比べて遅い気がするのは気のせいだろうか。
また,これは仕方ないことではあるが,画面タッチや仮想パッドで自機を自在に操るには相当な慣れが必要。筆者はiPhone5でプレイしたが,敵弾よりも地形にぶつかって死ぬことが多く,ストレスを感じてしまった。iPadでプレイすれば多少はマシになるのだろうが,難度イージーは残機無制限よりも地形激突死なしの設定にしたほうがいいのでは……などと考えてしまった。
なお,本作はロジクールから発売されているiPhone・iPod touch用のゲームコントローラ「G550パワーシェルコントローラ+バッテリー」に対応している。今回は試せなかったが,こちらを使えば操作性の問題は解決できるかもしれない。
細かい違いをあげればキリがないが,スマートフォンをポケットから取り出して気軽に遊ぶ分には十分満足できる本作。ゲームセンターが次々とクローズする昨今,レトロゲームを遊べる環境がますます失われそうなだけに,アーケードシューティングを積極的に移植してくれるDotEmuにはぜひ活躍してほしいところだ。
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(C)DotEmu