プレイレポート
「重装機兵レイノス」リメイク版はどのような形に仕上がったのか? “重装機兵愛”がふんだんに盛り込まれたゲーム内容を紹介
「機装猟兵ガンハウンド」で実力を見せてくれたドラキューが手掛けるとはいえ,四半世紀を経ての復活には不安を抱いている人も少なくないだろう。そこで,本稿では復活した重装機兵レイノスがどのようなタイトルなのかを,プレイフィールを交えつつ紹介したい。
そもそも「重装機兵レイノス」とは?
レイノスは主人公機ながら,それほど強くない。なにせ,決戦兵器でも次世代試験機でもない,単なる量産機なのだ。強力な武器は弾数が限られており,マシンガンは弾数無制限だがマグチェンジの隙が大きい。自機の耐久力を示すエネルギーゲージは,敵の集中砲火を浴びればあっという間に底をつく。
そんな自機で挑む全8ステージには,降下用舟艇への収容に遅れた僚機が大気圏突入時に爆散したり,被弾した友軍機が血路を切り開くために特攻したり,ライバルと複数回にわたって戦ったりと,「どこかで見たような」シチュエーションが随所に散りばめられている。プレイヤーは「特別な機体を駆るヒーロー」でなく「ありふれた機体を駆る,いち兵士」として,名作ロボットアニメのようなシナリオを体験できるというわけだ。
“シビアながらクリア不可能ではない難度”と“熱さとドライさを合わせ持つシナリオ”の組み合わせは,ほかのゲームではなかなか見られない。このユニークさこそ,重装機兵レイノスが四半世紀を経ても愛されている理由だろう。
PS4版の変わったところ,変わっていないところ
PS4版はグラフィックスこそ大きく刷新されたものの,操作システムはLスティックで移動,×ボタンでジャンプ,□ボタンで射撃,R2/L2トリガーで武器変更と,基本的にメガドライブ版を踏襲している。少し違うのは,バーニアパックとシールドが初期装備となっており,R1ボタンで防御,○ボタンでブーストダッシュ,ジャンプ中に×ボタンでバーニア噴射を行えるという点だ。さらに,△ボタンでパンチ,L1ボタンで射角固定を行える。
シリーズファンは,ここで「あれっ?」と戸惑うかもしれない。そう,本作の操作システムは,メガドライブ版の重装機兵レイノスよりも,スーパーファミコンでリリースされた姉妹作「重装機兵ヴァルケン」と似ているのだ。マシンガンの弾道も一直線ではなく,散らばるようになっている。
とは言え,オリジナル版の操作体系は十字キー+3ボタン(+ポーズ用のSTARTボタン)。これを現代にそのまま持ってくるというのは些か厳しく,再構成が求められるのは必然だ。
モダンなボタン配置にするならば「R2でマシンガンを発射」のようなスタイルになるのだろうが,本作が「オリジナルを踏まえたリメイク」である手前,そこまで変えてしまうのも正解ではないだろう。そして,直接の続編とはいえセガサターンでリリースされた「重装機兵レイノス2」のシステム(パッドの各ボタンが装備に対応)を用いるには,ゲームシステムの大幅な改修が必要となる。そんな中での“姉妹作である重装機兵ヴァルケンの踏襲”は,悪くない選択だと感じられる。
このように“操作性”はヴァルケンっぽいのだが,しかし“操作感”には「レイノスらしさ」が確かに存在する。
レイノスらしい操作感とは何か? 個人的には,それは高所から着地したときに生じる数フレームの硬直と効果音,つまり巨大な金属塊であるアサルトスーツの重量と加速度から生じる衝撃をクッションさせているような雰囲気,そういった部分に代表される「重量感の表現」にあると考えている。正直,これがきちんと再現されるかには懸念を覚えていたのだが,PS4版のレイノスはしっかりと重量感のある挙動を見せてくれて,かなりの満足を覚えた。
また,ガニメデ,地球,スペースコロニーといった舞台の違いによる重力や慣性の差も見事に表現されている。操作感については,おおよそパーフェクトと言っていい出来だろう。
ただ,「レイノスらしさ」が大幅に軽減された部分もある。それは難度だ。
メガドライブ版重装機兵レイノスの難度は語り草になるほどの高さ。しかし,PS4版の難度は「遊びやすい」レベルに調整されている。マシンガンの弾倉は20発入りから40発入りに増えているし,敵機の爆発に巻き込まれての被ダメージもない。
この記事を書くにあたって「オリジナルってどんなのだったっけ」と思ってプロジェクトEGGで配信されているメガドライブ版を遊んでみたが,やはり「とっつきにくい」難度なのは否めない。できるだけ多くの人にプレイしてもらうという観点において,難度の緩和は当然だろう。
それでも難しい設定で遊びたいという人のために,難易度選択やメガドライブ版を可能な限り再現した「クラシックモード」というゲームモードが搭載されている。クラシックモードでは単に難度や仕様が変わるだけでなく,サウンドやステージ構成までオリジナル版の再現となる。
いくつか存在する重装機兵シリーズタイトルのオマージュも,旧作ファンに注目してほしいところだ。プレイしていて重装機兵ヴァルケンのようなステージが出てきたときは驚いたが,開発者のディープな“重装機兵愛”を感じられる。
アーケードモードのステージ7は,「重装機兵ヴァルケン」のステージ1がモチーフだ |
ステージ2に登場する四足兵器は,「重装機兵レイノス2」に登場したバズラム機甲戦車を髣髴とさせる |
そのほか,詳細なオプション,収録用台本や旧作の設定画,大気圏突入時にゾウザリーが生き残るという分岐シナリオなど,さまざまなオマケ要素が用意されている。メガドライブ版をやり込んだ人ほど,PS4版を楽しめるだろう。
ゲームをプレイして“スコアランク”を上げていくと,さまざまなオプションがアンロックされていく |
実績の要素も存在する。ちなみに,これらはトロフィーにも関連している |
収録用台本,旧作の設定画,旧作の取扱説明書などの閲覧も可能だ |
多少,荒さを感じる部分もある本作だが,プレイしていて確かに楽しく,「刷新されたレイノス」として及第点を軽く突破している。「レイノスそのもの」を期待する人は拍子抜けするかもしれないが,メガドライブ版の重装機兵レイノスはWii用バーチャルコンソールやプロジェクトEGGで遊べるので,「レイノスそのもの」を今一度作っても面白みに欠けていただろう。
変わってしまった部分について可能な限りのサポートを用意しているのも嬉しいポイントだ。かつて重装機兵シリーズにハマった人や,本作の「マニアックさ」に好感を持てる人には,十分にオススメできる内容となっている。
「重装機兵レイノス」公式サイト
- 関連タイトル:
重装機兵レイノス
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