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少女の“存在感”に驚く「サマーレッスン」や,怖すぎて目を閉じたくなる「Kitchen」など,「Project Morpheus」体験会で確認できたデモをレポート
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印刷2015/07/22 17:56

プレイレポート

少女の“存在感”に驚く「サマーレッスン」や,怖すぎて目を閉じたくなる「Kitchen」など,「Project Morpheus」体験会で確認できたデモをレポート

 2015年7月21日,ソニー・コンピュータエンタテインメントのSSJ 品川ビルにて,仮想現実(VR)対応ヘッドマウントディスプレイ(HMD)「Project Morpheus」(開発コードネーム 以下,Morpheus)のメディア向け体験会が行われた。これは,E3 2015に出展されたMorpheus向けのデモを国内で体験できるよう行われたもの。E3 2015では,列に並んでもプレイできるコンテンツはランダムで,思うように取材できなかったが,今回,改めて体験できる場が設けられた形だ。

 体験できたのは,「Kitchen」「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO」「The PlayRoom VR(Monster Escape)」「The London Heist - The Getaway」「Summer Lesson 2015 E3 Demo」の5つ。今回は,技術的な話は抜きにして,「Morpheusを使ったVR体験って,どう面白いの?」という点に絞って,それぞれレポートしていこう。

画像集 No.001のサムネイル画像 / 少女の“存在感”に驚く「サマーレッスン」や,怖すぎて目を閉じたくなる「Kitchen」など,「Project Morpheus」体験会で確認できたデモをレポート


あまりの怖さに目を閉じたくなる「Kitchen」


 Kitchenは,カプコンが手掛けるVRデモだ。プロデューサーを務めるのは,「バイオハザード」シリーズのプロデューサー川田将央氏であり,本作も体験した人に恐怖を与える,ホラーな内容となっている。

 デモは,キッチンがある朽ち果てた部屋に座った……というか,座らされた状況からスタートする。プレイヤーは椅子に縛られているのか,首を動かしてあたりを見回すぐらいしかできないのだが,目の前に三脚に立てられたカメラがあって何者かに撮影されているし,なぜか近くに男が倒れているし,キッチンは血まみれだしと,もう嫌な予感しかしない。
 デモをスタートする前にDUALSHOCK 4を持たされたので,これを動かしてみると,Morpheus越しに,縛られた自分の手首も動くのが確認できる。DUALSHOCK 4を握る両手の位置関係が,ちょうど縛られた手首に見立てられ,操作の没入感は高い。

 そんなどうしようもない状況に置かれ,とりあえず腕を動かしてみたところ,カメラを倒すことに成功。しかし,その音に気付き,倒れていた男がナイフを持って立ち上がった!
 暗い部屋で縛られた自分の前に,ナイフを持った男が立っている。ゲームの画面と考えれば,なんてことのないありがちなシーンかもしれないが,これをMorpheusで体験すると,本当に男が目の前にいるように見えてしまい,怖いなんてものではない。

 幸い,男は悪人ではないようで,ナイフを使って手首のロープを切ってくれようとする。ただ,男は目が見えないのか,ロープを切る様子は危なっかしく,さらに異様なほど慌てているので,勢い余って筆者にナイフが刺さりそうだ。助けてもらっているのに,「頼むからやめてくれ!」という気分である。
 そして,胸元に突きつけられたナイフで散々恐怖心をあおられ,もう嫌だと視線を動かしてみると……いつの間にか,男の後ろに黒髪の不気味な女性が立っているではないか。怖ぇぇぇ!!!

 問答無用で背後から男に襲いかかる女。さらに筆者の太ももにもナイフを突き刺してくる。痛い! わけはないのだが,ホラーが大の苦手な筆者としては,あまりの臨場感に目を閉じたい気持ちでいっぱいだ。しかし,見ないことには原稿が書けない。辛すぎる。

 女は男をキッチンの裏手に連れ去り,筆者の視界外へ。ほっとするのもつかの間,今度は嫌な音が続き,足下にゴロンと男の生首が投げ出された。そのまましばらく間が空き,これで終わりかと思いきや……筆者の背後から女の手が伸び,視界が覆い隠される。そして最後は,目の前(Morpheus越しに見ているので,本当に目の前!)に女が不気味な顔を見せ,筆者の胸にナイフを突き刺したところで,デモは終了となった。

 VRというと,臨場感や没入感の高さが醍醐味だが,これをホラーでやられると,とにかく怖い。本当に怖い。その威力を,Kitchenで思い知らされることとなった。とくに「本当に刃物で刺される」と思える光景が目の前に広がるシーンは,体験中に叫んでしまう人もいるのではないだろうか。それぐらい強烈なデモだった。


初音ミクが目の前で踊ってくれる!


 セガの技術デモであるSEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMOは,初音ミクのバーチャルリアリティライブを間近で鑑賞できるという内容だ。

電子の歌姫,初音ミクのステージを間近で見られるVRデモ。Kitchenを体験して恐怖に怯える筆者がどれだけ癒されたことか
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 プレイヤーが行える操作は,サイリウムに見立てたPlayStation Moveを振るだけ。それによって,デモの展開が変わったりはしないが,画面にはステージ上で歌うミクと,それに合わせてサイリウムを振る来場者が映っているので,一緒にライブを楽しめるというわけだ。
 これだけなら,Morpheusの強みはあまり感じられないのだが,面白いのはライブの演出だ。プレイヤーは最初,ほかの来場者と一緒にステージを見ているのだが,途中で自分だけステージに上がることになったのか,ミクのすぐ横に移動することになる。つまり,手の届きそうな距離で,こちらを向いてミクが歌って踊ってくれるというわけ。サイリウム振ってる場合じゃねぇ!
 この「距離の近さ」はVRならではと言えるもので,キャラクター推しのコンテンツとの相性はかなり良さそうだ。

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デモ体験中の筆者。端から見たら,画面に向かってサイリウムっぽいものを振っている変人だが,本人はいたって真面目だ
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なんとか下のほうから覗けないかと頑張る筆者。どう見ても変人だ


VRを利用した非対称型対戦アクション「Monster Escape」


 The PlayRoom VR(Monster Escape)は,PlayStation Cameraを活用した拡張現実型アプリケーション「The PlayRoom」のVR版だ。The PlayRoomと同様,小人型のロボット達が登場するのだが,Monster Escapeの面白いところは,Morpheusを装着した怪獣役と,通常のディスプレイを見てDUALSHOCK 4でプレイする最大4人のロボット役による,非対称型のゲームメカニクスを採用した対戦アクションになっているということ。

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 Monster Escapeは,怪獣がロボットを追いかけ回す前半と,ロボットが怪獣を攻撃する後半に分かれている。前半では,怪獣が自動で移動するので,怪獣役のプレイヤーは周囲の建物や空を飛ぶヘリコプターに向かって頭部を動かして「頭突き」をする。そうすると,瓦礫などが道に落ちてくるので,ロボット役はそれにぶつからないよう避けて進むのだ。
 後半は,ロボット役がオブジェクトを拾って怪獣に投げつけて攻撃する一方,怪獣役は頭を動かしてそれを回避する。前半の結果によって,ロボット役が攻撃を行える時間が延びるので,時間内に一定のダメージを与えて怪獣を撃退できればロボット役の勝ち,時間いっぱいまで攻撃を避けきれば怪獣役の勝ちだ。

 怪獣役は,基本的に頭を動かすだけなのだが,頭突きで建物を吹き飛ばしたり,現実で飛んできたボールを回避するように攻撃を避けたりと,シンプルな操作だからこそ,自分の動きがゲーム内に反映されている感覚が気持ち良い。
 また,ロボット役でもプレイさせてもらったのだが,こちらはこちらでMorpheusを装着していない人でも一緒に楽しめる内容だった。

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 Morpheusを使った非対称型のゲームをプレイする場合,Morpheus装着者は完全に独立した視界で参加することとなる。これを利用して,Monster Escapeのような対戦アクションに限らず,例えばゲームマスター役が必要になるボードゲームなど,異なる役割のプレイヤーが集まるタイプのタイトルが出てくると,これまでとは違ったマルチプレイが遊べるのではないだろうか。


右へ左へと銃をぶっ放すのがとにかく楽しい「The London Heist - The Getaway」


 今回体験できたデモの中で,純粋にゲームとしてもっとも楽しめたのがThe London Heist - The Getawayだ。「The London Heist」自体は,これまでさまざまなイベントで出展されており,GDC 2015では拷問シーンなどがあったのだが,今回のThe Getawayは,カーチェイスでの銃撃戦のシーンとなっていた。

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 The Getawayは,NPCが運転する車の助手席に座った状態からスタートする。しばらくすると敵のバイクや車が並走してきて,こちらを攻撃してくるので,サブマシンガンで彼らを撃退していくという内容だ。
 プレイヤーは,PlayStation Moveを両手に持ってプレイし,トリガーを引いて射撃を行う。敵は次々とやってくるので,首や腕を右へ左へと動かして銃をぶっ放し,片っ端から敵を倒しまくるのだ。

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 個人的に気に入ったのはリロード操作だ。サブマシンガンは頻繁に弾切れするのだが,これをリロードするために,サブマシンガンを持っていないほうの手で車内にあるバッグの中のマガジンを掴み,これをサブマシンガンの下部にもっていくという動作を行う必要がある。普通のFPSであればリロードボタンを押せば終わりなのだが,The Getawayは「自分でリロードしている」感じがして,弾切れが楽しみになってくるのだ。
 普通のFPSと違うという点では,慣れてくると,視線は次に倒すべき敵を向き,右手では別の手近な敵を射撃,左手ではバッグを探ってマガジンを用意しておくといった,ちょっと玄人っぽいプレイもできる。視線と左右の手を別々に動かせるということが,FPSをこれだけ面白くしてくれるのかと,期待が高まるデモだった。

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目の前にいる女の子の“存在感”に驚く「サマーレッスン」


 最後はバンダイナムコエンターテインメントの技術デモSummer Lesson 2015 E3 Demoだ。これは,原田勝弘氏率いる鉄拳チームが手掛ける「サマーレッスン」のE3 2015向けバージョンで,昨年のデモ第1弾とは違うキャラクターが登場し,彼女との夏のひとときを体験することになる。


 デモがスタートして目の前に広がるのは,夏の海と太陽に照らされたひまわり。そして日本家屋の縁側で,アメリカからホームステイに来ているミュージシャンがギターを弾いているという,ちょっとミスマッチな光景だ。こちらに気付いた彼女は,アリソンと名乗って自己紹介。話を聞くと,プレイヤーはアリソンに日本語を教える先生という立場のようだ。

 今回のデモは,話しかけてくるアリソンとのコミュニケーションを楽しめる内容で,プレイヤーが行える操作は,彼女からの問いかけに対して首を縦か横に振り「YES」「NO」を答えたり,「教科書を見てほしい」と言われたときに指定された場所へ視線を合わせたりといった,受け身の動作が中心だ。DUALSHOCK 4などの入力デバイスも使用しないので,会話中にこちらから行えるアクションというと,視線を動かして好きなところを見たり顔を寄せたりする,ぐらいだろうか。

 さて,「VRで女の子とコミュニケーション」となると,やはり期待するのはその現実感,存在感だろう。プレイヤーが「そのキャラクターと同じ空間にいる」という感覚が得られるかどうかが,もっとも重要な要素であることは間違いない。
 その点で,サマーレッスンはどうなのかというと……「同じ空間どころか,アリソンが本当に目の前にいる気がしてくる」

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 というのも,とにかくアリソンの動作が自然なのだ。アリソンは会話中,プレイヤーの周りを動き回ったり,ころころと表情を変えたりするのだが,そこにまったく違和感がない。また,HMDを装着しているので,得られる視覚情報は完全にサマーレッスンの世界のみ。そのため,目の前にいるバーチャルなキャラクターであるアリソンを,現実の人間のように錯覚してしまうのである。
 「大げさな」と思われるかもしれないが,別に原稿執筆にあたって誇張しているわけではなく,実際に筆者は,現実の人間と会話しているような反応を返してしまったのだ。例えば,最初の自己紹介のシーンでは,アリソンが右手を差し出してくるのだが,握り返せるわけがないのに,つい自分も握手しようと右手を出してしまった。また,アリソンが話しかけてきたあとに自然な“間”があるので,つい応答しようと声が漏れてしまう。

 さらに驚いたのが,視線を動かして好きなところを見ることは可能と述べたが,実際は話しかけてくる最中,それをする気にならないということ。「人間が話しかけてきている」という感覚があり,どうしてもアリソンの目を見て話を聞いてしまうのだ。これをただのデモだと考えれば,例えば必要以上に近づいたり,あえてそっぽを向いたりして反応を探るといったこともできるはずなのだが,これがどうにも,意識して……というか,デモだと割り切ってやらないと難しい。筆者は,すっかりアリソンを現実の人間と誤認してしまっているわけだ。
 原田氏は,6月5日に行った講演で,「サマーレッスンではおそらく85%以上の人が初見から3回くらいのプレイでは『緊張してまったくなにもできなかった』」と述べていたが,納得のいく話である。
 サマーレッスンからは,VRキャラクターの存在感の凄まじさを感じられた。今後MorpheusなどのVR対応HMDが普及し,こういったタイトルが増えたらどうなるのかを考えると,非常に楽しみである。

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  • 関連タイトル:

    PlayStation VR本体

  • 関連タイトル:

    サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム(基本ゲームパック)

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