インタビュー
直撃世代の小宇宙(コスモ)を燃やすPCブラウザゲーム「聖闘士星矢 ビッグバンコスモ」開発者インタビュー
本作は,ペガサス星矢やドラゴン紫龍といった聖闘士(セイント)のカードを集めてデッキを組み,次々と現れる強敵を倒していくというカードバトルゲームとなっている。ほかのプレイヤーと力を合わせて戦う「レイドバトル」や,星座の形をモチーフにした陣形「星座フォーメーション」,特定の条件を満たすことで使える必殺技「BIGBANG BURST(ビッグバンバースト)」など,「聖闘士星矢」の世界観を活かした特徴的なシステムが盛り込まれている,ファンにはたまらないブラウザゲームだ。
今回4Gamerでは,DeNAの立山泰斗氏,小林大介氏と,「聖闘士星矢 ビッグバンコスモ」の開発を手がけたコアエッジのディレクター浅和 潤氏に,本作の開発経緯や見どころを聞いてきた。現役プレイヤーはもちろん,2014年6月21日に公開される劇場版「聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY」(公式サイト)に注目しているという聖闘士星矢ファンもぜひご一読を。
「聖闘士星矢 ビッグバンコスモ」ゲームプレイはこちらから
まずは立山氏と小林氏が,「聖闘士星矢 ビッグバンコスモ」を立ち上げることになった経緯について説明してくれた。両氏はYahoo! Mobageの運営に携わりながら,幅広い年齢層にアピールする有力なIPを常に探し求めていたが,「聖闘士星矢」は,そんな小林氏の理想に限りなく近い題材だったという。
気軽にゲームを楽しめるYahoo! Mobageというプラットフォームには,さまざまな年代のユーザーが集まってきているが,中でも目立つのは30〜40代の男性だ。そういった世代にとって,少年時代に週刊少年ジャンプで連載を読み,青年時代にはアニメ版に熱中した「聖闘士星矢」は,まさにドンピシャの題材と言えるだろう。子供の頃,「お前何座?」「俺,蟹座」「デスマスクかよ〜!」などと聖闘士星矢トークで盛り上がっていた筆者としても,非常に思い入れの強い作品だ。もちろん小林氏と浅和氏も,聖闘士の戦いに胸を躍らせた「聖闘士星矢」直撃世代である。
本作は,いわゆるカードバトル系のソーシャルブラウザゲームだが,聖闘士カードだけでなく,聖衣(クロス)のカードが盛り込まれているところが興味深い。「聖闘士星矢」といえば,かつて聖衣を着脱可能なフィギュアが発売され,大ブームを巻き起こした実績があるため,「聖衣を入手し,特定の聖闘士に装着させる」という部分においても,往年のファンにアピールできるのではないかと立山氏は分析する。
加えて,現在もMobageで提供中のソーシャルゲーム「聖闘士星矢ギャラクシーカードバトル」(フィーチャーフォン版,スマートフォン版)が好評を博していることもあり,同作をプレイしていたユーザーとも親和性が高いと思われる。
では,制作は具体的にどのような形で行われていたのか。それについては,浅和氏が答えてくれた。
DeNAから本作の企画を提示された際,「『聖闘士星矢』のイメージは大事にしつつも,ゲーム部分に関しては,既存の枠にとらわれることなく自由に作ってほしい」との要望を伝えられたという浅和氏。コアエッジは,「モンスタートレジャー」や「闘神!アルテイル★コロシアム」など,すでに何本かのYahoo! Mobage向けタイトルを制作済みで,「聖闘士星矢 ビッグバンコスモ」においても,そのノウハウは存分に生かせる。しかし浅和氏は「本作は,カードバトル系ソーシャルゲームに聖闘士星矢のキャラを載せただけのタイトルではありません」と断言。システムや演出面に,これまでのカードバトルゲームにはない要素を取り入れているのが本作の特徴だとアピールし,とくにこだわったという要素について紹介してくれた。
仲間と協力して強大な敵を打ち砕く「レイドバトル」
本作の「レイドバトル」は,フレンドと協力して強大なボスと戦うというコンテンツだ。「聖闘士星矢」では,ポセイドンやハーデスといった強大な敵に対し,聖闘士達が力を合わせて立ち向かうシーンがあるが,「レイドバトル」という言葉に馴染みのない人は,ああいうクライマックスシーンをイメージすれば分かりやすいかもしれない。
レイドバトルでは,1人が敵を攻撃すると「1チェイン」となるのだが,聖闘士軍(ギルドのようなもの)の仲間や戦友(フレンド)に救援依頼を出し共に戦うことで,チェイン数がどんどん増えていく。チェイン数の上昇によって与ダメージも上がっていくので,レイドボスが登場した際は,原作の聖闘士のようにぜひ仲間と共に戦ってほしいと浅和氏は語っていた。
聖闘士カードに聖衣カードを装着し,
狙え「ビッグバンバースト」!
ちなみに原作の「聖闘士星矢」では,星矢が射手座(サジタリアス)の聖衣を装着したり,紫龍が天秤座(ライブラ)の聖衣を装着したりするシーンがあるが,もちろん本作でも,そういった“特殊な組み合わせ”が用意されているそうだ。原作を知っている人であれば,細かな工夫にニヤリとしてもらえるのではと,運営/開発チームのスタッフは語っていた。
「カードバトル系のソーシャルゲームには,装備品でパラメータを上昇させられるものもありますが,見た目まで変化するものは少ないですよね。本作ではその部分に工夫を施し,装着した聖衣のイメージが,聖闘士カードの縁の部分に反映される形になっています。そういったところにも,ぜひ注目してください」(浅和氏)
なお聖衣は,ペガサス聖衣+ペガサス聖衣といったように,同じカードを合成するとレベルを上げられるようになっている。聖衣にはレア度もあり、レア度が高い聖衣ほど能力の上昇も多いから、自分にあった聖衣を探す楽しみもありそうだ。また浅和氏によると,カードをMAXレベルまで上げると,何か良いことが起きるらしい。
聖闘士に適した聖衣を装着させることによって,「ビッグバンバースト」という必殺技が撃てるようになるのも,本作の大きな見どころだ。星矢であればペガサス流星拳,紫龍であれば廬山昇龍覇,氷河ならダイヤモンドダストといった具合に,原作ファンお馴染みの必殺技がバトルをド派手に彩る。ちなみに「ビッグバンバースト」とは,キャラクター固有の技ではなく,キャラクターが使う必殺技の総称だ。ビッグバンバーストを使えば,敵に大ダメージを与えられるのはもちろん,先述したチェイン数を大きく稼げるので,原作と同様ここぞという場面で使用していきたい。
「ビッグバンバーストは,威力がものすごく高いうえに,チェイン数を稼げるのが特徴です。将来的にはとんでもなく強い敵を登場させたいと思ってるんですけど,その時は,仲間と一緒にビッグバンバーストを撃ちまくって戦ってほしいですね。また,ちょっと大変ではありますが,1人でもチェイン数を稼ぐことは可能なので,ソロで遊びたいという方にもぜひ一度プレイしてほしいです」(浅和氏)
先述したように,本作ではデッキフォーメーション(陣形)もバトルの重要な要素となる。たとえばカシオペア座では,中央の位置がリーダー用のスペースとなっており,パラメータが最も上昇する。
浅和氏によると,ゲームがある程度進むにつれ,フォーメーションはどんどん拡張されていくとのこと。本作ではカードの強さだけでなく,デッキ構成およびフォーメーションの組み合わせでも,プレイヤーの強さが変化する。デッキのフォーメーションには,カシオペア座,子犬座,魚座などさまざまなものがある。フォーメーションの特定のスロットにカードを配置すると能力が上昇するなど,それぞれに特徴が用意されている。
ちなみに,まったく同じデッキ構成のプレイヤーが対戦した場合,バトルの勝敗を分けるのは,フォーメーションによる能力補正の差になるという。どのフォーメーションを用い,どこに聖闘士カードを配置するかによって,カードのHP,攻撃,防御が変化するというわけだ。
原作を忠実に再現したストーリーモードは
「聖闘士星矢」ファン納得の出来映え
またBGMは,アニメテイストに近い雰囲気を持った完全書き下ろし曲が採用されている。アニメ風のタイトルコールもあり,その雰囲気はかなりアニメ版に近いと言っていいだろう。読み込み時間が火時計で表示されているのも芸が細かい。浅和氏は本作を幅広い人に遊んでもらえるタイトルにしたいとしつつも,メインのターゲットは「聖闘士星矢」直撃世代である30〜40代に設定しているのだ。開発チームはほぼ30代で占められているらしく,皆「聖闘士星矢」に思い入れを持つスタッフばかりだと浅和氏。こういった部分からも,本作に対する本気度がビシビシ伝わってくるのではないだろうか。
最後に,立山氏/小林氏と,浅和氏からいただいたコメントを掲載して,本稿の締めとしたい。
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