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Lenovo「YOGA TABLET 10 HD+」をテスト。独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?
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印刷2014/07/24 12:20

レビュー

独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?

Lenovo YOGA TABLET 10 HD+

Text by 二瓶 朗


YOGA TABLET 10 HD+
メーカー:Lenovo
問い合わせ先:TEL 0120-80-4545(月曜日〜土曜日 9時〜18時)
実勢価格:3万5000〜4万2000円程度(税込。2014年7月24日現在)
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 2013年11月にLenovoが発売したAndroidタブレットのYOGA TABLETシリーズは,本体下側面を丸く膨らませた形状と,そこに装備した折りたたみ式スタンドによって,「3つのモード」で使い分けられるという点が好評価を受けた製品だ。
 ただその一方で,採用するSoC(System-on-a-Chip)の性能が今ひとつなため,ゲーム用途には向かないタブレットであったのも事実だ。画面解像度も1280×800ドットで,10インチクラスとして見ると今となっては物足りない。

従来モデルのYOGA TABLET 10。見た目はYOGA TABLET 10 HD+と変わらない
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 今回取り上げる「YOGA TABLET 10 HD+」は,YOGA TABLETシリーズの上位モデルとして登場したAndroidタブレットだ。前モデルのコンセプトを継承しながら,解像度1920×1200ドットの液晶パネルや,より高性能のSoCを採用するといったスペックアップを図っている。
 「3つのモード」で使えることが売りのタブレットは,スペックアップによってゲームに向いた製品になったのだろうか。じっくりと検証してみたい。


マルチモードスタンドで利用シーンに合わせた3モードを使い分けられる


YOGA TABLET 10 HD+と同梱品。小型のUSB−ACアダプターとケーブルが付属している。ちなみに,ボディカラーは若干くすんだ銀色となる「シルバーグレー」1色のみ
画像集#029のサムネイル/Lenovo「YOGA TABLET 10 HD+」をテスト。独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?
 まずはYOGA TABLET 10 HD+の外観からチェックしていこう。
 YOGA TABLET 10 HD+は,10.1インチサイズの液晶パネルを搭載する製品だ。本体サイズは実測で261(W)×180(D)×3〜9(H)mmで,重量は約625gだった。9.7インチ弱の液晶パネルを採用した「iPad Air」が469g(※Wi-Fiモデルの公称スペック)なので,YOGA TABLET 10 HD+は軽いタブレットとはいえない。

直径約9mmのヒンジ部分。ここにバッテリーを集約したことにより,ヒンジ部以外の本体は厚みがわずか3mm程度となっている
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 重い理由は,本体を横置きにした状態での下側面に円筒状のヒンジがあり,この内部に3セル・約9000mAhのリチウムポリマーバッテリーが内蔵されているためである。このバッテリー容量はiPar Air(約8700mAh)よりも若干多く,そのおかげもあって,バッテリー駆動時間は最大で約20時間(無線LAN使用時)と謳われている。
 ヒンジ部分にバッテリーを集約したことにより,本体の大部分は厚さが約3mmと非常に薄くなっているのも注目すべき点だろう。

本体背面。下側に見えるのがマルチモードスタンド。閉じた状態では本体背面ときれいに一体化される
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 バッテリーを内蔵したヒンジ部の背面側には,折りたたみ式のスタンド「マルチモードスタンド」(以下,スタンド)が内蔵されている。このスタンドの開閉と本体の向きの組み合わせに応じて,YOGA TABLETシリーズの特徴である「3つのモード」を使い分けられるようになっているという仕掛けだ。

 まず1つめは「スタンドモード」。スタンドを開いて横置きの本体を自立させた状態のことをこう呼ぶ。机などに立てて置き,動画を視聴したり,Bluetooth接続のキーボードやゲームパッドと組み合わせたりしてゲームをプレイするのに適したモードだ。スタンドのヒンジは開ききると「カチッ」と音がして固定されるので,タッチ操作でスタンドが閉じてしまうといった心配もいらない。
 なお,スタンドを開ききらない状態でも使えるが,タッチ時の安定感には欠けるので,タッチ操作が前提のゲームをプレイするなら,スタンドをカチッと固定させた状態が必須となるだろう。

スタンドモードで直立させた状態(左)。机の上でのゲームプレイやPC的に使ったりするのに適している。右写真はスタンドモード時の背面。スタンドが頼りなく見えるかもしれないが,タッチ操作くらいでは倒れない
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チルトモードは,スタンドのあるヒンジ側を奥側に向けて,水平に置いた状態
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 2つめは「チルトモード」。スタンドを閉じたまま,タブレットを平面に寝かせて使うモードである。寝かせた状態で上から見下ろすようにタブレットを使うときは,画面にある程度の傾斜があったほうが使いやすいため本モードが役立つ。ソフトウェアキーボードを使って何かを入力するときにお勧めだ。
 なお,チルトモードの状態からスタンドを立てると,傾斜の角度をさらに大きくできる。この形態はチルトモードではないのだが,スタンドはしっかりとしているので,タッチ操作で本体が滑ったりガタついたりすることもなく,むしろこちらのほうが使いやすい。

チルトモードからスタンドを立てた状態。本来のチルトモードよりも,こちらのほうが使いやすく思えた
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 最後は「ホールドモード」。スタンドを畳んだ状態で,ヒンジ部分を縦に持つというだけだが,丸みを帯びたヒンジが手にフィットするので,単なる板型のタブレットよりもしっかりホールドできて,手持ち状態での操作がしやすい。

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縦持ち時に,膨らんだヒンジ部分を持つのがホールドモード(左)。ほどよい丸みのおかげで,なかなか持ちやすい

 使うアプリケーションやコンテンツに合わせて,3つのモードで使いやすい形態を選べるというのは確かに便利で,YOGA TABLET 10 HD+(というかYOGA TABLET 10シリーズ)における大きな魅力といえるだろう。


スタンド部の左右にステレオスピーカーを搭載


 前段でも軽く触れたが,YOGA TABLET 10 HD+は,10.1インチサイズで解像度1920×1200ドット,アスペクト比16:10のIPS液晶パネルを採用している。スペック上の視野角は178度と広く,ごく一般的な使い方であれば,画面を見る向きによって液晶パネルの色味が大きく変わってしまうようなことはなかった。色調もイマドキのスマートフォンやタブレットと似たようなものといった印象だ。

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輝度を最大に設定して,液晶ディスプレイの検証用画像を表示してみたところ(左)。右は斜め方向から見たところで,表示画像が違うのは申し訳ない。ここまで傾けるとさすがに画面全体が白っぽく見えてしまうが,色味の変化は少ないのも分かる

 本体前面のスタンド部分左右には,ステレオスピーカーが内蔵されている。スタンドモードやチルトモードで音楽再生やゲームプレイを行ってみたが,タブレットの内蔵スピーカーとして見れば,音質は良好な印象だ。ただ,スピーカー同士の距離が近いので,左右から出る音の違いはそれほど感じられない。
 縦位置で使う場合は,当然ながら左右のスピーカーが上下に並んでしまうので,ステレオ音声に違和感が出てしまうが,これはやむを得ないか。

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本体前面左側(左)と右側(右)に内蔵されたステレオスピーカー。タブレットの内蔵スピーカーとして評価するなら,音質は良好な部類に入る

本体左側面の裏には800万画素のアウトカメラを装備する。写真でアウトカメラの下側に見えるのは[電源/スリープ]ボタンだ
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 各種インタフェース類は本体左右のスタンド周辺にまとめられている。
 本体左側面には,ヒンジ部分に大きな[電源/スリープ]ボタンがあり,液晶パネル側面部分には,充電端子を兼ねたUSB Micro-B端子が1つ配置されている。本体右側面は,ヒンジ部分にヘッドフォン端子が,液晶パネル側面に音量調節ボタンがあるといった具合だ。

 ところで,タブレットにはHDMI Micro Type D端子を映像出力用に備える製品も多いが,YOGA TABLET 10 HD+は映像出力端子を備えていない。ワイヤレス伝送機能も持たないため,大画面のディスプレイデバイスにつないで使うことは不可能だ。この点は押さえておいてほしい。

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本体左側面(左)には,左からUSB Micro-B端子,[電源/スリープ]ボタンが並ぶ。本体右側面(右)には,左からヘッドセット端子,音量調節ボタンが配置されている

 メモリカード用のmicroSDカードスロットは,側面ではなくスタンドを開いた内側にあり,普段はカバーに覆われている。microSDカードスロットの隣には,もう1つの凹みも見えるが,欧州版のYOGA TABLET 10 HD+には3G通信対応のmicro-SIMカードスロットが用意されているそうなので,それ用のスペースだと思われる。

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スタンドを開けると,本体右側面寄りに取り外し可能なカバーで覆われた一角があり(左),蓋を開けるとmicroSDカードスロットが顔を出す

 残念ながら,日本で販売されているYOGA TABLET 10 HD+に,micro-SIMカードスロットを備えた製品はない。だが,8インチタイプの「YOGA TABLET 8」にmicro-SIMカードを同梱した製品が2014年2月に発売されたこともあったので,国内モデルのYOGA TABLET 10 HD+でも,SIM対応モデルが発売される可能性もゼロではないだろう。


従来モデルと比べた搭載SoCの強化点は動作クロックとGPUコア


 高解像度液晶パネルの採用と並んでYOGA TABLET 10 HD+の強化ポイントとなっているスペック周りもまとめておこう。

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 搭載するSoCはQualcomm製SoC「Snapdragon 400」。ARM製のCPUコア「Cortex-A7」を4基と,Qualcomm独自のGPUコア「Adreno 305」が統合されたプロセッサで,CPUコアは最大1.6GHz駆動となる。

 従来のYOGA TABLETシリーズは,Cortex-A7を4基と「PowerVR Series5XT SGX544」GPUコアが統合されたMediaTek製SoC「MT8125」を採用し,CPUコアは1.2GHzで駆動していた。CPUコアが同じであることを考慮すると,性能に違いを与える大きな要因は,CPUコアの動作クロックとGPUコアということになりそうだ。
 ただ,QualcommではSnapdragon 400を低価格製品向けに位置付けているので(関連記事),「Snapdragon 800」シリーズを搭載するハイエンドタブレットとは,性能面で戦うのは難しいかもしれない。ここはベンチマークテストで検証してみる必要があるだろう。

 話を戻すと,YOGA TABLET 10 HD+のメインメモリ容量は2GB。従来モデルはメインメモリ容量が1GBしかなく,発売当時としても少なめだったので,この点ではイマドキのタブレットやスマートフォンに追いついたというところだ。内蔵ストレージ容量は32GBで,こちらも既存モデルの16GBから倍増している。
 なお,搭載OSはAndroid 4.3(Jelly Bean)で,Android 4.4(KitKat)へのアップデートを提供することも予告されていた。ただし,本稿執筆時点ではまだ提供されていなかったため,Android 4.3のままテストしている。

 そのほかにスペック面で触れておきたいのは,内蔵無線LAN機能がIEEE 802.11g/nの2.4GHz帯のみにしか対応しないことだ。タブレットやスマートフォンは,IEEE 802.11acを始めとする5GHz帯の無線LAN規格に対応するのが標準となりつつあるので,この点はちょっと残念である。


グラフィックス性能を中心に

ベンチマークテストで性能を検証


 それでは,YOGA TABLET 10 HD+の実力を各種ベンチマークテストを使って検証してみよう。

 まずは,グラフィックス性能のチェックとして,定番の「3DMark」によるテストを実施した。Ice StormとIce Storm Extreme,Ice Storm Unlimitedの各プリセットを3回ずつ計測して,その平均値(小数点以下四捨五入,以下同)を採用している。
 さらに,スコアの比較用として,Googleブランドのタブレット「Nexus 10」でも,同じ方法で性能を計測することにした。
 Nexus 10は2012年11月に世界市場で発売された製品で,SoCにはSamsung Electronics製の「Exynos 5 Dual」(Exynos 5250)を採用している。Exynos 5 Dualは,CPUコアとして「Cortex-A15」を2基,GPUコアとして「Mali-T604」を集積したSoCであり,2014年夏時点におけるタブレット用SoCとして,スペックがそれほど高いものではない。なので,低価格製品向けに位置付けられるSoCを搭載するYOGA TABLET 10 HD+との比較にはちょうどいいのではないかと考えて選択した次第だ。

 さて,テスト結果はグラフ1のとおり。いずれのプリセットもスコアは低く,最も負荷の低いIce StormでNexus 10の約55%,負荷の高いIce Storm Extremeでは約43%となった。OSや画面解像度の影響を極力廃してSoCのグラフィックス性能を測るIce Storm Unlimitedも,対Nexus 10で約46%の成績に留まっている。計測中の画面を見ていても処理落ちが非常に激しく,Ice Stormプリセットにおけるフレームレートは21〜22fps程度だった。なかなか厳しい結果といっていいだろう。

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 あくまで参考値だが,2014年6月に発売されたソニーモバイルコミュニケーションズ製タブレット「Xperia Z2 Tablet」(※搭載SoCは「Snapdragon 800」)の場合,4Gamerでの簡易テストでは,Ice StormとIce Storm Extremeは測定上限到達を意味する「Maxed out!」に届き,Ice Storm Unlimitedでも18115というスコアを計測している。つまり,現在のハイエンドタブレットと3DMarkで比較した場合,YOGA TABLET 10 HD+のグラフィックス性能は2〜3割程度ということだ。

GFXBench 3.0でManhattanのテストを実行している様子
画像集#021のサムネイル/Lenovo「YOGA TABLET 10 HD+」をテスト。独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?
 次に,ハンガリーのデベロッパであるKishontiが開発したグラフィックスベンチマークソフト「GFXBench 3.0」を実行してみた。
 GFXBench 3.0は,OpenGL ES 3.0および2.0を使用してグラフィックス性能を計測するアプリケーションで,3DMarkと同様に,AndroidやiOS,Windowsストアアプリ版が提供されているマルチプラットフォーム対応のベンチマークソフトである。

 今回は,ゲームを模した総合テストであるOpenGL ES 3.0対応テスト「Manhattan」と,OpenGL ES 2.0対応テスト「T-Rex」を使用した。どちらのテストも測定する端末の画面解像度でレンダリングする「Onscreen」テストと,Ice Storm Unlimitedと同様にオフスクリーンレンダリングを行う「Offscreen」テストが用意されている。そのため,実ゲームに近い性能を見るにはOnscreenの結果を,SoCの性能比較にはOffscreenの結果を使うことになる。
 スコアはいずれも,計測中にレンダリングできたフレーム数を示すが,今回はそれを3回ずつ計測して,各スコアの平均値を採用することにした。

 測定結果はグラフ2のとおり。これもかなりお寒い結果だ。
 Nexus 10のGPUコアであるMali-T604はOpenGL ES 2.0までしかサポートしていないので,Manhattanはエミュレーション動作と思われる。一方,YOGA TABLET 10 HD+のGPUコアであるAdreno 305はOpenGL ES 3.0対応だ。だが,YOGA TABLET 10 HD+はOnscreenでのテストでこそNexus 10をわずかに上回ったものの,Offscreenでのテストは約59%のスコアで大きく下回っている。OnscreenでYOGA TABLET 10 HD+が上回ったのは,Nexus 10の画面解像度が2560×1600ドットと,画素数にして2倍もあるからだろう。
 T-Rexのテストに至っては,Onscreenでは約65%,Offscreenは2倍以上の差を付けられる始末だった。

画像集#024のサムネイル/Lenovo「YOGA TABLET 10 HD+」をテスト。独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?

 ちなみに,GFXBenchの「Result」ページで公開されているスコアを調べてみると,Snapdragon 800を搭載するスマートフォン「Xperia Z2」が,T-RexのOffscreenで1533,フレームレート27.4fpsというスコアを記録していた。YOGA TABLET 10 HD+は,最新のハイエンドスマートフォンと比べて2割程度の3D性能に留まるわけだ。

3DRating for OpenGL ES 2.0のテストを実行している様子
画像集#022のサムネイル/Lenovo「YOGA TABLET 10 HD+」をテスト。独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?
 グラフィックス性能テストではこのほかに,AnTuTu Labsのグラフィックスベンチマークソフト「3DRating for OpenGL ES 3.0」と「3DRating for OpenGL ES 2.0」での計測も行ってみた。

 両ソフトは名前のとおり,OpenGL ES 3.0またはOpenGL ES 2.0を使ってゲームを模したシーンを描画し,GPUの3Dグラフィックス性能を計測するベンチマークテストだ。3DMarkやGFXBenchのように,オフスクリーンで描画する機能はないので,スコアは画面解像度の影響を受ける。
 ただ,AnTuTu Labsからスコアの詳細な見方についてのガイドが公開されていないので,スコアをどう評価すべきかは,検証を積み重ねることで理解していくしかなさそうだ。

 測定結果はグラフ3のとおり。問題なく動作したとはいえ,かなり負荷の高いテストなので,両機種とも画面描画は非常にぎこちない。Nexus 10と比較してみると,3DRating for OpenGL ES 3.0のスコアはやや下回る程度だったものの,3DRating for OpenGL ES 2.0はほぼ2倍の差がついてしまった。GFXBenchのOnscreenスコアと比べると,差は若干縮まってはいるもののスコアの傾向は似たようなものだ。

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 グラフィックス性能は残念な結果に終わったが,SoCのCPU性能はどうだろう。CPU性能の計測には,Primate Labsのベンチマークソフト「Geekbench 3」を使用することにした。3回計測して平均値を採用するのは他のテストと同じで,採用するのは総合成績である「Single-Core Score」と「Multi-Core Score」の2種類だ。

 グラフ4は総合成績で,クリックすると細目別スコアを並べたグラフ4’を表示するようにしてあるので,興味のある人はそちらもチェックしてほしい。総合成績で見ると,Single-Coreのスコアは2倍以上の差がついているものの,意外にMulti-Coreのスコアだと大きな違いはない。

※クリックすると細目別スコアのグラフ画像を表示します
画像集#026のサムネイル/Lenovo「YOGA TABLET 10 HD+」をテスト。独自スタンドが魅力のAndroidタブレットはゲームにも使えるか?

 そこで細目別のスコアを見比べてみたところ,YOGA TABLET 10 HD+はMulti-Coreのテストで,Nexus 10よりも高いスコアを記録したものが多数あった。CPUコア1基のスペックはNexus 10のほうが上だが,単純なCPUコア数比較なら4基対2基でYOGA TABLET 10 HD+のほうが多い。このCPUコア数の差が,Multi-Coreテストに反映されて,結果として総合成績でもNexus 10に迫る結果となったのではないだろうか。

 ちなみに,Geekbenchの公式Webページに投稿されているベンチマークテスト結果を見てみると,Xperia Z2はSingle-Core Scoreが905,Multi-Core Scoreは2602となっている。最新ハイエンドモデルとの性能差は,CPUでも大きいようだ。

 以上のように,いずれのテストの結果を見ても,YOGA TABLET 10 HD+の性能は,2012年〜2013年前半のハイエンドタブレットと比べても低いと言わざるを得ない。3Dゲームを快適に楽しむのは難しいのだろうか……。そこで,レースゲームの「Asphalt 8: Airborne」(以下,Asphalt 8)をYOGA TABLET 10 HD+でプレイしてみた。

 最初はタブレットを両手で持ち,左右に傾けて車を動かす操作方法でシングルプレイに挑戦したのだが,操作に処理が追いついていない感じで,どうにもギクシャク感がぬぐえない。
 「これは厳しいかな……」と懸念しつつ,操作方法を画面の左右端をタップしてハンドル操作とする操作方法に切り替えてみたところ,意外にも遊べるではないか。プレイの様子を撮影した動画を掲載しておこう。若干ぎこちなく見えるシーンもあるが,これなら遊べると判断してもいいのではないだろうか。


 自動で選択されたゲームの画質設定は「MEDIUM」。最新のタブレットやスマートフォンなら「HIGH」になるのに比べると,低い設定ではある。フレームレートも高いとはいえず,30fpsを下回る瞬間もあるように見えた。しかし,きちんと遊べる程度のパフォーマンスが出ているのは確かだ。
 Asphalt 8をこれくらい動かせるなら,3Dゲームタイトルでも,描画負荷の低いものであればたいていはプレイできるのではなかろうか。少なくとも,ベンチマークテストの振るわない結果から思えば大健闘といっていいだろう。

 なお,傾けて動かす操作方法でギクシャクしているように感じた理由は判然としなかった。2013年モデルのファブレット「GALAXY Note 3」でAsphalt 8を動かして同じ操作方法を試しても,とくに遅いといった印象は受けない。もしかすると,YOGA TABLET 10 HD+が内蔵する加速度センサーは,リアルタイムのゲーム操作に使えるほどの処理性能を備えていないのかもしれない。

ファミコンのゲームパッドを模した連射計測アプリ「連射カウンター」
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 最後にSoCの性能だけでなく,ゲームの操作性に大きく関わるタッチパネルの反応も確認してみた。今回使用した測定ソフトは「連射カウンター」で,これは制限時間内に画面上のボタンを何回タップできるかをカウントするというものだ。タッチの連打に対するデバイス側の処理能力に問題があると,連打してもタップが認識されず,カウントされないことがあるので,それを数字のカウントアップ状況で見ようというわけだ。

 今回は制限時間10秒に設定して,筆者ができる限り素早く連打するというテストを5回繰り返した。その結果,10秒間での連打回数は平均67.6回。1秒あたり6.7回の連打は早いとはいえないが,カウントアップの様子を見ている限り,タップが認識されずに飽和するようなことはなかった。この程度の連打スピードであれば,タッチしたのに認識されないという問題はなさそうだ。


スタンドの使い勝手が良好なだけに惜しい

さらなる高スペック化が望まれる


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 YOGA TABLET 10 HD+は,独特のデザインと内蔵スタンドによる使いやすさを重視したタブレットである。直販モデルの価格は4万円台前半と,やや割高なものの,店頭販売モデルは3万5000円前後なので,10インチ級のAndroidタブレットとしては高いものではない。ゲーム以外の用途でAndroidタブレットを利用するならば,快適に使える1台だ。

 ただし,ゲーム用途となると話は別だ,その3D処理性能はひいき目に見ても2014年のエントリークラスといったところで,カジュアルなタイトルでもない限り,フレームレートの低下を受け入れたり,グラフィックス設定を引き下げるのを余儀なくされたりするだろう。今日(こんにち)的なスマートフォンよりも低い性能を受け入れられるか,というと,ゲーマー的には受け入れられない人のほうが多いのではなかろうか。

 とにかく,スタンドによる使いやすさには太鼓判を押せる製品なので,Lenovoに求められるのは,同じ製品コンセプトを採用する上位モデルだ。今後,より高スペックなYOGA TABLETが出てくることを大いに期待したい。

レノボジャパンのYOGA TABLET 10 HD+製品情報ページ


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    ThinkPad,Miix,YOGA

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