プレイレポート
「Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)」は“雰囲気”だけのゲームじゃない。ゲーマーをムキにさせる難関ステージのギミックをレポート
※Xbox 360版は2015年内の配信予定。価格は未定。
「Ori and the Blind Forest」は,ニブルの森に棲む小さな精霊「オリ」が故郷を守るために,勇気を振り絞って暗黒の敵に立ち向かう冒険を描いた横スクロールアクションゲームだ。手書き風のタッチで描かれたグラフィックスや幻想的なキャラクター,そしてフルオーケストラによるBGMが繊細で美しい世界を彩っている。
4Gamerでは昨年の東京ゲームショウに出展されていたプレイアブルデモのレポートを掲載しており,そのときは感動的な物語と独特の雰囲気に焦点を当てていた。その理由は,まだ本格的なアクション要素を遊べる状態ではなかったからだが,読者の中にはいわゆる“雰囲気ゲー”だと思った人もいるのではないだろうか。
何を隠そう,筆者はそう思っていた。しかし,このたび正式配信に先がけて「Ori and the Blind Forest」をプレイする機会があり,その認識は間違っていたことが分かったので,今回のレポートでは“硬派なアクションゲーム”としての魅力をお伝えしたい。
今回,日本マイクロソフトに用意してもらったのはメディア向けのデモバージョンで,特定のステージを選んでプレイすることができた。その中でも「Forlorn Ruins:忘れられた廃墟」は,かなり特徴的なギミックが用意された難関ステージだった。
Forlorn Ruinsでは序盤に登場する「光の杯」を背負って進むことになる。その重さのためか,オリの動きはやや鈍くなってしまうが,地熱で赤くなった場所でもダメージを受けなくなったり,垂直にそびえる壁や天井を歩いたりできるようになる。
ただし,重力に関係なく壁や天井を歩くときは移動の操作方法が特殊で,たとえば左に向かって地上を歩いてから壁を上ると,アナログスティックを左に倒すことでオリは上に向かって進んでいく。そのまま天井までたどり着くと,今度はアナログスティックを左に倒したときにオリは右方向に進むことになる。つまり,画面上の見た目と,実際にアナログスティックを倒す方向が異なるというわけだ。
もちろん,壁や天井を歩いているときでも,敵の攻撃にさらされたり,動く足場をジャンプしたりと,ゆっくりはしていられない。そのため,とっさのアクションに慌てたり,ふと気を抜いたりすると,自分が望んでいないあらぬ方向にオリが進んでしまうことになる。
さらに光の杯を背負っている間は重力が発生する方向がずっと変化しているので,地形によっては画面の下から上に(または左右に)向かって飛び降りるという状況もある。そのうえで着地地点をアナログスティックで調整する必要があったりすると,「頭では分かっているのに……」と歯痒い思いをしてしまうことになる。
こうしたギミックは文章だけではうまく伝わらないかもしれないが,以下のムービーをぜひご覧いただきたい。だいぶイメージがつかめると思う。
今回プレイしたステージは難度が高く,何度もリトライを選択することになった。失敗を繰り返しながら解法を探して,少しずつ先に進んでいくスタイルのアクションゲームといえるだろう。ミスしても直後にリトライが可能なのでストレスは溜まらないが,その再開地点となるセーブポイントを作成することが攻略の鍵になっている。
ステージで「エナジーセル」を集めると,「ソウルリンク」と呼ばれる光を発生させることが可能になる。これはオリのライフを回復できるだけでなく,セーブポイントにもなっているので,難関ポイントをクリアしたら,こまめにソウルリンクを発生させると効率的に攻略できるというわけだ。
ちなみに,筆者は上記のアドバイスを受けていたものの,アクションゲームがうまいわけでもないのに生半可なプライドが邪魔して,なかなかソウルリンクを作らなかった。「ちょっと進んでセーブ。またちょっと進んでセーブなんて,まどろっこしいことをやってたまるか」ということだ。
実際,難度が高いとはいえ,まったく歯が立たないという難しさではなく,集中すればクリアできそうといったステージデザインが絶妙。そのため,取材だというのにムキになって熱くなってしまったというわけだ。その結果,同じ難関ポイントに何度も挑む羽目になってしまったので,ぜひ反面教師としていただきたい。
オリの基本アクションは移動とジャンプ,そしてオリの頭上に浮かぶ精霊「セイン」が放つ炎の攻撃だ。炎の攻撃は,ある程度まで敵に接近すると自動的に追尾するようになっている。
そのほかにもステージの進行に合わせて,壁を蹴って上れる「壁面ジャンプ」,ジャンプ中にさらにジャンプできる「二段ジャンプ」など,さまざまなアクションを身につけていく。
さらに「精霊の光」を集めることで,特別な能力を任意に習得できる。その能力は全28種で,プレイヤーそれぞれのスタイルでオリを強化する楽しさもあるようだ。
美しいグラフィックスや幻想的なキャラクターといった“雰囲気”に惹かれる「Ori and the Blind Forest」だが,ゲーマーのプライドに火をつける高めの難度や緻密なステージデザインは,いたって硬派なアクションゲームである。どうやら“雰囲気”だけのゲームだと思っていたら,いい意味で裏切られることになりそうだ。
「Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)」公式サイト
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