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[SPIEL’14]あのM:tGがボードゲームに! ついにベールを脱いだ「Magic: The Gathering Strategy Board Game」プレイレポート
「Magic: The Gathering Strategy Board Game」(以下,M:tG SBG)と銘打たれた本作は,6枚のマップを自由に組み合わせて遊ぶミニチュアゲームだ。Wizards of the Coastとともに開発を手がけるのは,北米の大手ゲームメーカーであるHasbro。ゲームデザインはミニチュアゲーム「Heroscape」の共同デザイナーとして知られるCraig Van Ness氏が担当してる。
なにせ直前まで情報が伏せられていたタイトルであるため,プレイアブルな状態で展示が行われたのは,今回のSPIEL’14が初のこと。というわけで,SPIEAL’14のHasbroブースで行われていたデモンストレーションに参加してみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。
なお今回のデモはルールサマリーなどの資料配布がなく,ほとんどインストラクターの口頭説明のみだったため,用語などは正確でない可能性がある。M:tGからそれっぽい用語を引用してはいるものの,製品版では変わる可能性もあるので,その点はご留意をいただきたい。
我はプレインズウォーカー
M:tG SBGはヘックスタイルとフィギュア,カード,そして専用ダイスを用いるミニチュアストラテジーゲームだ。プレイヤーは青・黒・赤・緑・白の各色を代表するプレインズウォーカー(M:tGの世界で神のような力を持つ魔法使い)となり,ほかのプレインズウォーカーとのバトルを楽しむというのが本作の主旨となっている。
対応プレイヤーは2〜5名で,同梱された6枚のマップを組み合わせてフィールドを作成。盤上には高い場所を表す追加ヘクス,視線を遮る壁なども用意されており,これらを自由に組み合わせて対戦を楽しめる。
ちなみに,今回のデモプレイで選べたのは青・黒・赤・緑の4色のみだった。それぞれプレインズウォーカーは,青のJace,黒のLilana,赤のChandra,緑のNissaだ。白のプレインズウォーカーが誰なのかは,今後のお楽しみとのことである。
今回のデモプレイでは集まった4人の参加者がランダムに色決めを行い,筆者は緑のNissaを担当することになった。隣に座る赤のChandraと連合を組んで,青のJaceと黒のLilanaのチームと対決することとなった。……個人的には赤か黒が好きで,青もプレイするが,緑はかなり苦手である。
対戦相手は見たところいずれも本場ドイツのM:tG経験者のようで,対面に座り油断なくカードのチェックをし始めた青のプレイヤーは,かなりやりてのパーミッション使いのように見える。対角線上で赤と対峙する黒プレイヤーは,陽気に見えてこれまた思慮深そうである。
行動順は20面ダイスを振って決定し,青→赤→黒→緑となった。筆者の行動順は一番最後というわけで,あまり良くない予感がする。ゲームの目標はシンプルに敵陣営を殲滅させること。というわけでゲームがスタートとなった。
赤緑陣営vs.黒青陣営のバトルが開始
最初はプレインズウォーカーをフィールド上に配置することから始める。これはマップの端に面したヘクスであれば,ある程度任意の場所において構わない。次のターンでは,プレインズウォーカーから5マス以内のヘクスに,Squadのクリーチャーを召喚する。相手の配置を見てから位置を決められるので,ここは後手のほうが有利なポイントだろう。
緑のSquadには,Trampleを持つ大型クリーチャーであるElementalsと,射撃により5マス先までが攻撃が可能なElvesがいる。同盟軍のChandraに近いサイドにNissaを配置し,前衛のElementalsを可能な限り先行させ,そのすぐ後ろにElvesを配置する。パワー自慢の緑としては突撃で青の戦線を蹂躙したいところである。
敵SquadにはLeyline Phantomsもいて,こちらはUnblockableという一方的に攻撃できる能力を持っている。どちらも油断のならない敵というわけだ。
ここで,よくシャッフルしたデッキから3枚のSpellカードを引く。初期の手札はこの3枚で,最大7枚まで手札とできるが,ドローを強化した青以外,そこまで貯めこむことはないだろう。筆者は,最初の手札で《Overrun》と戦闘のダメージを1回無効化できる《Fog》を引いた。すぐさま敵陣に切り込めそうな素晴らしい手札だ。
各ターンはM:tGのターン進行に似ているが,本作にはマナの概念がないのでアンタップはない。各プレイヤーの手番は,デッキからカードを1枚引くことから始まり,召喚→戦闘へと進んでいく。筆者は1ターン目のドローで,プレインズウォーカーの移動を強化する《Nissa's Expedition》を引いた。Spellカードには即時効果が発動するSorceryと,いずれかのSquadに付与することで,攻撃されたときに効果が発動させられるEnchantmentがあり,どちらも手番の間ならいつでも使うことができる。本作にはInstantのカードタイプがないため,例えばTCG版でInstantの《Fog》は,Enchantmentとして伏せた状態で守りたいSquadにつけておく。言ってみれば遊戯王の罠カードのようなものだ。
続いて召喚を行い,Squadをフィールド上に呼び出す。Squadはプレインズウォーカーから5マス以内にしか召喚できない。また,Haste(速攻)の能力を持たない限り,召喚されたターンは戦闘に参加できない。というわけで,1ターン目はどの陣営も召喚したクリーチャーを前進させ,陣形を整えるのみで終了となった。状況としては緑対青,赤対黒の激突となる格好だ。
Spellを駆使したバトルが展開
いよいよ両陣営が激突する第2ターン。黒と赤による格闘戦が開始となった。本作の戦闘は,攻撃側と防御側がそれぞれダイスを振って解決する。このときに用いられる6面の専用ダイスには,3つの面に剣のアイコン,2つの面に盾のアイコンが描かれている。残る1つの面は空白だ。クリーチャーのデータカードには,M:tGのパワー/タフネスと同様に攻撃力/防御力が示されている。攻撃側なら攻撃力,防御側なら防御力の数だけ先の専用ダイスを振り,剣の目の数が盾の目の数より多ければ,その上回った数だけ相手にダメージを与えられる。盾の目のほうが多ければ,攻撃は失敗だ。
至って単純な戦闘システムだが,もちろん本作の戦闘はこれだけではない。手元にあるSpellカードを使うことによって,さまざまな絡め手を展開できるのだ。
例えば,青陣営に丘を占拠させまいと攻撃力を強化する《Overrun》を使ってElementals達を突撃させた筆者だったが,青のトラップカード,もといEnchantmentの《Call to Heel》が発動してしまい攻撃は失敗。Elementals達は召喚を解かれ,オーナーの手元に戻されてしまった。
この後,攻撃レンジが5ヘクスあるElvesで,青のLeyline Phantomsを攻撃するも,今度は攻撃力と防御力を入れ替える《Twisted Image》を発動されて攻撃力が激減。またも攻撃は失敗。青陣営に肉薄されてピンチにおちいったElves達だったが,ここで虎の子の《Fog》を発動させ,これを乗り切る。
……なんだか劣勢ムードが濃厚なのだが,両陣営ともカード効果を確かめつつの手探りプレイであるため,なかなか決定的なキルは出てこない。隣の赤陣営は,攻撃Spellを駆使して黒のゾンビどもを排除しているが,お互いに被害が大きく,こちらも乱戦模様だ。いずれにせよプレインズウォーカー以外のクリーチャーは倒されても再召喚が可能なので,なんとかプレインズウォーカー本体にダメージを与えたいところなのだが……。と,そうこうしているうちにプレイ時間は刻々と過ぎ,ラストターンを宣告されてしまった。
基本セットは2015年8月のGenConにて発売
ゲーム終了後は,皆でデッキをひっくり返しながら,しばしの感想戦。ああ,あのときこれが引けていれば,これがあれば勝てたのに,などと考えてしまうあたり,このゲームにハマった証拠かもしれない。
各色のプレインズウォーカーや,Spellの選択はいかにもで,個性が際立っている。ちょっと青が強い気がしないでもないが……ここはドロー次第でもあるだろう。原作の世界観がうまく取り入れられていることもあり,M:tGの経験者ならすぐにルールを理解できるし,なにより分かりやすい。そういう意味でも,本作はなかなか良いゲームになる予感がする。
本作の基本セットは,2015年8月に北米インディアナポリスで開催されるアナログゲームイベント,GenConにて発売される予定だ。また追加のプレインズウォーカーと,追加カードを含めたエキスパンションの発売なども予定されている。
白の《Wrath of God》のような殲滅Spellとか,回復呪文が加わることを考えるとワクワクしてしまうし,なにより旧来のマジックファンとしては彼女がいるのかどうかが気になる。そう,“セラの天使”だ。しかしこの質問に対するデザイナーの回答は「来年の夏まで待て」の一言だった。……期待して続報を待つとしよう。
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Magic: The Gathering Strategy Board Game
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