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PC総合ベンチマーク「PCMark 10」に2種類の新規テストを追加したバージョン「2.0.2106」が登場
PCベンチマーク「PCMark 10」の無償版「Basic Edition」公開。4Gamerからダウンロード可能に
日本時間2017年6月23日,Futuremarkは,PC総合ベンチマークソフト「PCMark 10」の個人向け無償版「Basic Edition」と,29.99ドルで買い切りの個人向け有償版「Advanced Edition」を公開した。公式ミラーサイトとして4GamerではBasic Editionをダウンロードできるので,ぜひチェックを。
2017年6月に最初のバージョンがリリースされたPCMark 10は,PCの総合的な性能を計測するベンチマークアプリである。「PCMark 10」「PCMark 10 Express」「PCMark 10 Extended」という3種類の「テストグループ」があり,グループごとにテストに用いる「ワークロード」が異なるので,さまざまなPCの使用シーンを想定したテストが行えるというソフトウェアだ(関連記事)。
今回公開となったPCMark 10初のバージョン2世代となる2.0.2106は,従来までのテストグループに加えて,新たにMicrosoft製のOfficeスイートにおける性能をテストする「PCMark 10 Applications」と,既存のワークロードやMicrosoftのOfficeスイートを使ってノートPCにおけるバッテリー運用時の性能や駆動時間を調べる「PCMark 10 Battery Profile」というテストグループが追加となったのが見どころである。
ただ,新しいPCMark 10 ApplicationsとPCMark 10 Battery Profileを実行できるのは「PCMark 10 Professional Edition」のみ。無料のPCMark 10 Basic Editionや一般向け有償版となるPCMark 10 Advanced Editionでは実行できないので,あくまでも企業やメディアによるテストで用いられるものと理解していい。
なお,従来からあるPCMark 10,PCMark 10 Express,PCMark 10 Extendedのテストグループは,バージョン2.0.2106でも変わっていない。先述したとおり,新設のPCMark 10 ApplicationsではMicrosoft製Officeスイートにおける性能を調べられるようになったが,既存のテストグループが使用するOfficeスイートは,オープンソースソフトウェアである「LibreOffice」のままである。
本稿では,PCMark 10 ApplicationsとPCMark 10 Battery Profileの概要をざっくりとまとめてみたい。
PCMark 10 Applications
PCMark 10 Applicationsは,Microsoft製Officeスイートを実行したときの処理性能計測に加えて,Windows 10標準のWebブラウザである「Edge」によるWebブラウジング性能計測を行い,PCの総合性能を算出するテストである
要は,Microsoft製ソフトウェアを実行したときの性能を調べるテストグループと考えればいい。
PCMark 10 Applicationsを実行するにあたって注意が必要なのは,テストを行うPCには,別途,Microsoft製Officeスイートをインストールしておく必要がある点だ。
従来からあるテストグループは,PCMark 10に組み込まれているLibreOfficeを使用するので,実行にあたってPCMark 10以外のソフトウェアは必要ない。しかし,PCMark 10 Applicationsはそれと異なり,PC上にあるMicrosoft製Officeスイートをいわばリモート制御して性能を調べるテストというわけだ。
なお,PCMark 10 ApplicationsがサポートするMicrosoft製Officeスイートのバージョンは,「Office 2013」「Office 2016」「Office 2019」と,サブスクリプション版である「Office 365」となる。これ以外のOfficeスイートは対象外だ。
PCMark 10 Applicationsのテスト内容は,PCMark 10におけるProductivityワークロードに近い。具体的には以下のような処理を行う。
- Word:アプリケーションの起動時間,文書の作成操作,コピーアンドペーストにかかる時間
- Excel:アプリケーションの起動時間,セルのコピーアンドペーストにかかる時間,計算の実行時間
- PowerPoint:アプリケーションの起動時間,文書の作成操作,コピーアンドペーストにかかる時間
- Edge:JavaScriptを多用するWebページやメディアコンテンツを組み込んだWebページの表示に要する時間
PCMark 10 Applicationsでは,これらの処理に要した時間における幾何平均の逆数に定数をかけて個別スコアを算出し,さらに,個別スコアの幾何平均に定数をかけて総合スコアを算出するという計算手法をとっている。
従来からあるテストグループとは異なり,PCに別途インストールしたMicrosoft製Officeスイートを用いるという仕組みのため,PCMark 10 Applicationsは実行時にトラブルが起きやすいのが難点だ。
たとえば,筆者のPC環境では,どうやってもWordのテストを実行できなかった。理由は不明だが,PCMark 10からWordの起動に失敗してしまうのだ。Word以外のテストは実行できていたので,原因はまったく分からない。もしかすると,日本語版Windows 10の環境なので,IMEが絡んだトラブルが起きているのかもしれない。昔のベンチマークアプリでも,日本語版Windowsではうまく動かないというトラブルはよくあったものだ。
いずれにしても,テストを実行できない問題が見られたので,PCMark 10 Applicationsを,4Gamerにおけるハードウェア評価用に利用するのは,まだ難しい印象だ。今後のバージョンで安定性が改善されることを期待したい。
PCMark 10 Battery Profile
バッテリー運用時の性能や駆動時間を計測するPCMark 10 Battery Profileには,「Modern Office」「Applications」「Video」「Gaming」「Idle」という5種類のシナリオが用意されている。
Modern Officeは,LibreOfficeによる文書作成,ビデオカンファレンス,ChromiumによるWebブラウジングを実行し続けるシナリオだ。PCMark 10における「Productivity」ワークロードに相当する動作を実行し続けると理解していい。
Applicationsは,PCMark 10 Applications相当の動作を実行し続けるテストで,実行にはMicrosoft製Officeスイートのインストールが必要だ。
Videoは,フルHD解像度のビデオを再生し続けるテスト。Gamingは,「3DMark」の「Fire Strike」をウインドウモードで実行し続けるテスト。最後のIdleは,何もせずにアイドル状態でPCを放置するテストだ。
いずれのテストも,ノートPCのバッテリーが減って自動的にスリープまたはハイバネーション状態になるまで実行し続ける。ノートPCを復帰させたうえで,PCMark 10を改めて起動すると,スコアとバッテリー駆動時間が得られる仕組みだ。
ざっくり言えば,PCMark 10に組み込まれているベンチマークを使ったノートPCとバッテリーの性能テストと言ったところだが,実用的な負荷をかけた状態でノートPCの運用時間が調べられるのは利点と言えよう。今後,4Gamerのレビューで用いることがあるかもしれない。
PCベンチマーク「PCMark 10」の無償版「Basic Edition」公開。4Gamerからダウンロード可能に
日本時間2017年6月23日,Futuremarkは,PC総合ベンチマークソフト「PCMark 10」の個人向け無償版「Basic Edition」と,29.99ドルで買い切りの個人向け有償版「Advanced Edition」を公開した。公式ミラーサイトとして4GamerではBasic Editionをダウンロードできるので,ぜひチェックを。
ULのPCMark 10公式Webページ(英語)
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