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「ロマンシング佐賀3」開催初日に行われた共同会見レポート。河津秋敏氏,小林智美氏,市川雅統氏が見どころを語った
貴重な展示作品やオープニングセレモニー,佐賀市と嬉野市のさまざまなスポットについては,すでにレポートを掲載しているが,本稿では開催初日に用意された共同会見の模様をお伝えする。
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「ロマンシング佐賀3」公式サイト
――「ロマンシング佐賀展」をご覧になった感想をお願いします。
市川雅統氏(以下。市川氏):
今年の頭くらいにプロジェクトはスタートしているのですが,東京でのミーティングでしかやりとりがなく,改装後の県立美術館に入ったことがなかったんですね。あまりに広くて,すごく綺麗で驚きました。展示イラストが美しく映えているのが印象的でした。
小林智美氏(以下,小林氏):
本当に綺麗な美術館で,変化に富んだジグザグのレイアウトで展示していただきまして。もっと開発資料が多いと思っていたのですが,自分の絵がほとんどだったので,びっくりしちゃったんですけど,すごく嬉しかったです。
河津秋敏氏(以下。河津氏):
自分が最初にイラストを見るときというのは,基本的にまだ色を付けていない原画の段階なんですね。その段階で「もうちょっとこうしてください」「これでいきましょう」と答えるのですが,そのあとの色が付いた完成品はちらっと見るだけで,実は色の付いた原画をじっくり見たことがほぼないんです。
今回,すごく近くで見ることができ,自分にとっても貴重な機会ですし,皆さんにも楽しんでもらえると思いました。
小林氏:
マットを貼って,額装すると,絵がおめかしされるので,いつもの雑然とした机で描いているときとは違って,感動もひとしおでした。
市川氏:
この展示自体,初めてなんですよ。これだけの小林さんのイラストがずらりと並んでいるというのは,誰も見たことがないので,非常に壮観ですばらしいことだと思います。
――今回,70点近くの作品が展示されていますが,思い出深い1枚を挙げていただけますか。
市川氏:
うーん,1つには決められないですね(笑)。
小林氏:
そうですね(笑)。ただ,大きな絵は精神力も体力も使いましたので,4月に書いてお渡しした「光焔万丈」(「SaGa SCARLET GRACE」)は印象に残っています。ファイアブリンガーは気に入っているキャラクターです。
あとは「サガ フロンティア」のときに,「キャラクターが7人いるので,イメージイラストも最低7枚はお願いします」と言われて,「えーっ」ってなりながら,必死に書いた記憶が走馬灯のように思い出されます(苦笑)。
市川氏:
小林さんのところへイラストを受け取りに行ったとき,「光焔万丈」はタクシーに入らなかったんですよ。あれだけ大きいイラストでも,これだけ大きい美術館だと,すごく映えますよね。
小林氏:
フランス製の「アルシュ」という紙を使っているのですが,画材屋さんに行ったら,さらに大きい紙があるんですよ。縦110cm×横9mのサイズで「これ,天野(喜孝)さんの絵だ」と。「私もいつか,これに描いてみたい」と思ってしまいました。ただ,部屋に置けないので巻物のようにしないといけないのかなと(笑)。
河津氏:
私は「ロマンシング サガ -ミンストレルソング-」の攻略本用(「アルティマニア」)に描いていただいた絵ですね。キャラクターが左右に分かれているので,1枚の絵として見ると,ちょっと不思議な構図になっていますが,それは書籍の背表紙の部分を空けていたからなんです。
――今回もさまざまなコラボグッズが展開されますが,お気に入りの一品を教えてください。
市川氏:
とくに挙げるなら「佐賀丸 焼のり」ですね。なかなか“のり”に合うキャラクターはいないと思いますが,面白いデザインに仕上がったなと。
――ちなみに「怪傑ロビン」をフィーチャーされた理由とは?
市川氏:
それは,服装の色ですね(笑)。
小林氏:
どれも素敵だと思ったんですけど,「『佐賀風呂』湯上がりサイダー」はビンが小ぶりなので,「飲み終わったら花瓶になるな」と(笑)。あとは「『ロマンシング佐賀』ブレンドティー」がエレガントな仕上がりでいいですね。
河津氏:
私は「肥前名尾和紙 ファイアブリンガー扇子」のクオリティがすばらしいと思いました。
――それでは,皆さんにとっての佐賀県の魅力を教えていただけますか。
小林氏:
牛です。昨日,いただきました(笑)。
市川氏:
熱い人が多いですね。コラボ先の方々とお話させていただくのですが,すごく情熱的で「どうしたら佐賀の良さが伝わるのか」にこだわっていて,一緒にものを作り続けられているのは,私も良い経験をさせていただいています。
河津氏:
自分は九州人(熊本県出身)なのですが,おそらく九州のほかの県ではこういう風にはできなかっただろうと思います。いい意味でコンパクトなので,すごく集中して取り組めるというのが佐賀県の魅力だと思います。どうしても九州人は「俺が俺が」みたいなところがありますから(笑)。
――会場に展示されている作品の数々をご覧になっていましたが,当時の印象的な思い出を教えてください。
小林氏:
河津さんは「予定調和」がどうもお好きじゃないみたいで,どんなものがあがるのかを見ているところがあると思うんです。河津さんなりの言葉でキャラクターのイメージを伝えられるので,私の受け止め方が違うとリテイクを何度も繰り返すことになって……。
――とくにリテイクがあったキャラクターは?
小林氏:
「サガ フロンティア」の「ヒューズ」ですね。
新しいところでは「SaGa SCARLET GRACE」の男性キャラクターについて,「北関東系」と言われたんですね。聞いたことがない言葉だったので,最初は「力士かな?」と(笑)。最終的に河津さんから「ジェームズ・ディーンみたいな感じ」「ちょっと怖い感じ」という話だったので,10種類の顔を描いたんですが,全部リテイクになりました。
河津氏:
あまり細かい発注はしませんね。「ロマンシング サ・ガ2」のときに,「トカゲ」とだけ伝えたところ,小林さんから「エリマキトカゲ」の絵が上がってきたんです。社内のデザイナーでは,ここまで踏み込んだ造形にはならなかったと思います。これがプロのイラストレーターだと,感動したのを覚えています。
「ロマンシング佐賀3」公式サイト
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サガ スカーレット グレイス
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