ミュージック フロム ゲームワールド：Track 43

　レトロ系ゲームミュージックを聴いていると，その当時のことが蘇ります。ふと，「ファンタシースターII」がやりたくてメガドライブを買い，パーティメンバーの一人，風のシルカがお気に入りでペンネームを“風のイオナ”としたことを思い出しました。こうして今でもそのペンネームを使っているとは，当時は思いもしませんでした。ちなみに“イオナ”というのは2000年代に活躍したバンド，SUPERCARの「IONADISCO」から取っています。
　それでは，今週も自由気ままな「ミュージック フロム ゲームワールド」の旅へ出かけましょう！

メガドラ音源が懐かしい復刻サントラ第1弾

「メサイヤゲームミュージックコレクション VOL.1 〜ラングリッサーI・II・III〜」

タイトル	メサイヤゲームミュージックコレクション VOL.1 〜ラングリッサーI・II・III〜	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2015年12月15日
価格	6000円（税抜）
発売元	SweepRecord
コピーライト	（C）extreme

　メガドライブでは，たくさんのゲームで遊んだ思い出があります。中でもメガドライブでは珍しかったファンタジーシミュレーションRPGというジャンルと，うるし原智志氏の描く魅力的な女性キャラに惹かれて遊び始めた「ラングリッサー」は記憶に残る作品。当時リリースされたシリーズのサントラもよく聴いていました。そんな筆者を含む「ラングリッサー」ファン待望の新録サントラ第1弾がこの度リリースされたので，今週の1枚めはその「メサイヤゲームミュージックコレクション VOL.1 〜ラングリッサーI・II・III〜」を紹介します！

　リズムパートを強調したロック色の強いアレンジと，勇敢な熱血系メロディが「ラングリッサー」シリーズの楽曲の魅力。「I」から「III」まで，すべてサウンド制作会社のCUBEが楽曲制作を担当しているのですが，当時CUBEに所属しており，「II」までの作曲に関わった岩垂徳行氏，溝口 功氏，藤岡 央氏の3人が“ラングリッサーサウンド”の色を作り上げたと言ってもいいでしょう。

　記念すべきシリーズ第1弾のメガドライブ版「ラングリッサー」は，初期メガドラテイストのFM音源が堪能できる1作。軍隊行進曲風リズムの「ラングリッサーのテーマ」が懐かしく，自軍ターン時と敵軍ターン時に聴けるBGM群にもノリの良いロック系アレンジの楽曲が揃っています。「ラングリッサーII」の洗練されたサンプリングドラムや「味方2［Knights errant］」で聴ける擬似ディストーションギターによるミュートカッティングの再現も聴きどころです。

　生音アレンジが楽しめるPCエンジン版「ラングリッサー 光輝の末裔」や，PlayStation版「ラングリッサーI＆II」の楽曲が収録されているのも，メガドライブ版しか知らないファンには嬉しいところ。原曲のアレンジバージョンとしても楽しめます。また，セガサターン版「ラングリッサーIII」では新たな作曲スタッフが多く参加していますが，シリーズのカラーをしっかり踏襲していて安心して聴くことができます。「ジェシカのテーマ」のハードロック風ギターリフは，今聴いてもカッコイイ！

　CD6枚組で初代「ラングリッサー」から「ラングリッサーIII」までのシリーズ音源を網羅した，このサントラボックス。シリーズファンは，ぜひ生涯の愛聴盤にしてください。そして今後もメサイヤ作品のサントラ復刻に期待したいところです。

「メサイヤゲームミュージックコレクション VOL.1 〜ラングリッサーI・II・III〜」公式サイト

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豪華作曲陣によるドラマチックな音楽体験

「フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE オリジナルサウンドトラック」

タイトル	フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE オリジナルサウンドトラック	→Amazon.co.jpで購入
発売日	2015年12月4日
価格	2500円（税抜）
発売元	ZIZZ STUDIO
コピーライト	（C）2015 COMPILE HEART

　「ガラパゴスRPG」の第1弾として，2013年にコンパイルハートよりリリースされたPS3用ソフト「フェアリーフェンサー エフ」を大幅にパワーアップし，2015年にPS4向けタイトルとして登場した「フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE」。多くの新曲も追加されたことで，同作でも待望のサントラが発売されました。そこで，今週の2枚めは「フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE オリジナルサウンドトラック」を紹介します。

　オリジナルのPS3版と同様，今回も植松伸夫氏，アイディアファクトリーの金子憲次氏，ZIZZ STUDIOから磯江俊道氏，加藤敏樹氏，大山 曜氏，神保伸太郎氏，伊東ヒロム氏，筒井香織氏と豪華作曲陣が集結。植松氏の楽曲のアレンジには，氏自身とEARTHBOUND PAPASで活動を共にする成田 勤氏，弘田佳考氏の両名が参加し，濃い1枚に仕上がっています。

　オープニングから「フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE メインテーマ」「共鳴する時空の中で」と2曲続けて植松節が炸裂！　植松氏ならではの楽曲の構築で，とくに「共鳴する時空の中で」は「ファイナルファンタジー」の戦闘曲を思わせる曲展開に思わず興奮。スタイリッシュなシンセアレンジも，作品のカラーにマッチしています。

　そんな植松氏のカラーを継承するかのように，ドラマチックな疾走チューンを聴かせてくれる「フューリーを求めて」，力強いメロディをオーケストラアレンジで刻んでいく「冒険の軌跡」，軽快でピースフルな演奏が楽しめる「ブライト・ムービング・ダウン」「爽風」など，印象的な楽曲が目白押しです。さらに，Sakinaが歌う女神編のエンディング曲「奇跡はそう、ここにあると」が新曲として収録。身も心も浄化してくれる，透明感あふれるバラードナンバーが気持ちよくアルバムを締めます。

　1曲の演奏が長めの曲が多ことが，各曲が強い印象を残す要因になっており，濃い音楽体験ができるこの1枚。PS3版の楽曲を収録した「フェアリーフェンサー エフ オリジナルサウンドトラック」も2枚組でリリースされているので，ぜひ3枚合わせて「フェアリーフェンサー エフ」の音楽をコンプリートしましょう！

「フェアリーフェンサー エフ ADVENT DARK FORCE」公式サイト

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■■風のイオナ■■ マーベルランドで産まれ，フェアリーランドで育ち，さざなみの島で一攫千金を夢見るも，バビリム王国に連れ去られて塔建設の奴隷として働く。巨大宇宙船に密航して惑星あくあへ逃亡後，仕事の都合でモタビア星に移住し，ハンターとして惑星ラグオルの調査をして生計を立てていたが，現在はNEO TOKYOを拠点に活動中。ゲーム＆ゲーム音楽に加えて邦楽インディーロック＆サブカルアイドル追跡，自転車旅行，広島東洋カープの応援などが趣味。2016年で編集＆ライター生活20周年を迎えてしまいました。