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ASUS,スマートフォン新製品「ZenFone 4」を発表。5モデル展開で,いずれもデュアルカメラ標準搭載
ラインナップと北米市場における税別のメーカー想定売価は表のとおり。
製品名 | 価格 |
---|---|
ZenFone 4 Pro | 599ドル |
ZenFone 4 | 399ドル |
ZenFone 4 Selfie Pro | 379ドル |
ZenFone 4 Selfie | 279ドル |
ZenFone 4 Max Pro | 未公開 |
日本市場では旧ZenFone 4が販売されていなかったが,ASUSでは,新製品であるZenFone 4シリーズと旧製品あるいはZenFone 5との違いについて「お客様に混乱を起こさないような周知を行いたい」としている。
なお,発表された5製品のZenFone 4は,いずれもデュアルレンズのカメラを搭載し,写真撮影機能に重点を置いた製品である。それぞれの特徴を簡単に説明していこう。
カメラ機能を大幅に強化した
「ZenFone 4 Pro」「ZenFone 4」
事実上の最上位機種となるのが「ZenFone 4 Pro」だ。
本製品は,Qualcomm製のハイエンドSoC(System-on-a-Chip)である「Snapdragon 835 Mobile Platform」と容量6GBのメインメモリ,5.5インチサイズで解像度1080×1920ドットの「Super AMOLED」有機ELパネルを搭載。有機ELパネルを保護するカバーガラスには,Corningの「Gorilla Glass」を採用しており,パネルのエッジ部分には,2.5D加工も施してあるという。
ZenFone 4 Proは,アウトカメラがデュアルカメラ仕様となっている。どちらのカメラもソニー製のカメラモジュールを採用しており,メインカメラ側は画角83度(35mm換算25mm相当)で約1200万画素(デュアルフォトダイオード技術により約2400万画素相当),F値1.7。サブカメラ側は画角47度(35mm換算50mm相当)で約1600万画素,F値2.6というスペックだ。
オートフォーカスは,メイン側が位相差方式と,ASUS製品では第2世代となるレーザー方式,そしてコントラスト比方式という3種類に対応。サブ側はコントラスト比方式のオートフォーカスのみとなるという。
ズームは,25mm相当の1倍から,250mm相当の10倍までサポートする。ただし,1.1〜1.9倍まではメインカメラを使ったデジタルズーム,2.1倍から10倍まではサブカメラを使ったデジタルズームになるとのことだった。
ASUSが標準モデルに位置付ける「ZenFone 4」も,アウト側にデュアルレンズのカメラを搭載するという点では,ZenFone 4 Proと同じだ。ただ,サブカメラ側の画角をワイド側に振っているのが大きな違いである。
メインカメラ側にはソニー製のカメラモジュールを採用しており,画角83度(35mm換算25mm相当)で約1200万画素(デュアルフォトダイオード技術により約2400万画素相当),F値1.8。サブカメラ側はOmniVision Technologies(以下,OmniVision)製で約500万画素のカメラモジュールを採用しており,画角は120度(35mm換算12mm相当),F値2.2だ。フォーカス機能はメイン側が位相差方式,サブ側はコントラスト比方式となっている。
いずれの製品も,2つのカメラによる画像を組み合わせて,擬似的にボケをつくり出すことができる「ポートレートモード」を搭載。それに加えて,メイン側のカメラを使ったスローモーション撮影やタイムラプス撮影,ホワイトバランスや露出を設定できる「プロモード」撮影などが可能だ。
ズーム機能はいずれもデジタルで最大10倍となるが,ZenFone 4 Proがメインカメラ(25mm相当)を起点とする10倍(250mm相当)であるのに対して,ZenFone 4はサブカメラ(12mm相当)を起点とする10倍(120mm相当)となる。ちなみに,ZenFone 4 Proは,カメラモジュール部分が背面パネルよりやや突出しているのだが,ZenFone 4の背面はカメラモジュールも含めてフラットだった。
ZenFone 4のスペックも見ておこう。ZenFone 4は,Qualcomm製のミドルクラスSoC「Snapdragon 660 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 660),または「Snapdragon 630 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 630)を搭載しており,メインメモリ容量は6GBである。
ディスプレイはZenFone 4 Proと同じ5.5インチサイズで解像度1080×1920ドットだが,こちらは有機ELパネルではなく,IPS液晶パネルを採用するとのこと。
通信機能にも触れておこう。ZenFone 4 Proは,現行のLTE通信規格では最速のCat 16に対応する4バンドのキャリアアグリゲーション機能を備えており,通信会社側が対応していれば,最大約1Gbpsの下り通信速度を実現可能だ。2枚の4G/3G対応SIMを使ったデュアルSIMデュアルスタンバイ(以下,DSDS)にも対応する。無線LAN機能がIEEE 802.11adに対応する点も見逃せない。
一方,ZenFone 4は,Cat 12およびCat 13のキャリアアグリゲーション機能に対応しており,下り通信速度は最大600Mbpsとなる。4Gおよび3GのDSDS対応は,ZenFone 4 Pro同様だ。ただ,無線LAN機能はIEEE 802.11acまでとなる。
なお,両製品ともサポートする通信周波数は,提供する市場により異なるので,本稿では言及しないことをお断りしたい。
●ZenFone 4 Proの主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- ディスプレイパネル:5.5インチ有機EL,解像度1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 835」(MSM8998,「Kryo」CPU(オクタコア,最大CPU動作クロック2.35GHz)+「Adreno 540」GPU)
- メインメモリ容量:最大6GB
- ストレージ:内蔵(容量最大128GB)
- アウトカメラ(メイン):有効画素数約1200万画素,F値1.7
- アウトカメラ(サブ):有効画素数約1600万画素,F値2.6
- フロントカメラ:有効画素数約800万画素,F値1.9
- バッテリー容量:3600mAh
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ad
- USBポート:Type-C
- 本体公称サイズ:未公開
- 本体公称重量:未公開
●ZenFone 4の主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- OS:Android 7.1(Nougat)
- ディスプレイパネル:5.5インチIPS液晶,解像度1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 660」または「Snapdragon 630」
- メインメモリ容量:最大6GB
- ストレージ:内蔵(容量64GB)
- アウトカメラ(メイン):有効画素数約1200万画素,F値1.8
- アウトカメラ(サブ):有効画素数約800万画素,F値2.2
- フロントカメラ:有効画素数約800万画素,F値2.0
- バッテリー容量:3300mAh
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- USBポート:Type-C
- 本体公称サイズ:未公開
- 本体公称重量:166g
自撮り特化のセルフィーモデル「ZenFone 4 Selfie Pro」「ZenFone 4 Selfie」
Selfieシリーズの新モデルとして登場するのが,「ZenFone 4 Selfie Pro」と「ZenFone 4 Selfie」で,両製品はいずれも,デュアルレンズ機能を自撮り用のフロントカメラ側に採用しているのが目玉である。
ZenFone 4 Selfie Proは,上部のベゼル部分にメインとサブのフロント側カメラモジュールを備えている。メインカメラ側はソニー製のカメラモジュールを採用し,画角83度(35mm換算25mm相当)で約1200万画素(デュアルフォトダイオード技術により約2400万画素相当),F値1.8というスペックだ。一方のサブカメラ側は,OmniVision製で約500万画素のカメラモジュールを採用し,画角は120度(35mm換算12mm相当),F値は2.2とワイド側に振っている。
これは,メイン側がいわゆる自撮り(Selfie)用であるのに対して,サブ側はグループ写真を撮影する「Wefies」(ウィフィーズ)用途を目的としているためだそうだ。「ZenFone 4 Selfie Proでは,ZenFone 4のアウトカメラがそのままフロントにやってきた」とイメージすると分かりやすいだろう。
ZenFone 4 Selfieも同様に,フロント側がデュアルレンズ構成となっているが,カメラのスペックは,ZenFone 4 Selfie Proよりも低めだ。
フロント側のカメラモジュールはいずれもOmniVision製で,メイン側が約200万画素,画角は69度(35mm換算31mm相当),F値は2.0となっている。サブ側は,約80万画素で画角は120度(35mm換算12mm相当),F値は2.4。メイン側をSelfie用,サブ側をWefies用として使い分ける点は同様だ。
ZenFone 4 Selfieシリーズでは,Selfie専用アプリがプリインストールされている。自撮り初心者でも簡単にできるよう,専用アプリからは,状況や目的に応じた設定選択から撮影までを3ステップで行えるチュートリアル機能を利用できるとのことだ。また,いわゆる美顔モードである「Beauty level」の設定はもちろんあり,さらに上位モデルのZenFone 4 Selfie Proでは,ライブ配信においても連続的に美顔モードを適用できるという。
なお,設定を細かく調整できるプロモードはこちらでも利用可能とのことだった。
アウト側のカメラは,いずれもシングルレンズだった。ZenFone 4 Selfie Proの場合,ソニー製のカメラモジュールを採用しており,約160万画素で画角80度(35mm換算26mm),F値は2.2。ZenFone 4 Selfieのアウトカメラは,OmniVision製のカメラモジュールを採用して,約160万画素で画角80度(35mm換算26mm),F値2.0となっている。
撮影機能は基本的に同一だが,カメラモジュールの違いにより,下位モデルとなるZenFone 4 Selfieではスローモーション撮影ができないという。
画面サイズはいずれも5.5インチだが,ZenFone 4 Selfie Proは,有機ELパネルを採用しており,解像度は1080×1920。ZenFone 4 SelfieはIPS液晶パネルだが,ASUSの資料に揺れがあり,解像度が1080
搭載SoCは,ZenFone 4 Selfie Proが「Snapdragon 625」,ZenFone 4 Selfieが「Snapdragon 430」となっている。通信機能は,両製品ともにCat 7のキャリアアグリゲーションに対応し,下り最大通信速度は300Mbps。4Gおよび3GのDSDSにも対応する。
ちなみに,両製品のSIMカードトレイだが,ZenFone 4 Selfie Proには,nano SIMスロットとnano SIMまたはmicroSDカードの排他使用スロットという2つを備えていたが,ZenFone 4 Selfieのほうは,2つのnano SIMスロットとmicroSDカードスロットの3つを同時使用できる構造になっていた。
●ZenFone 4 Selfie Proの主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- ディスプレイパネル:5.5インチ有機EL,解像度1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 625」(MSM8953,「Cortex-A53」CPU×8 最大CPU動作クロック2GHz+「Adreno 506」GPUコア)
- メインメモリ容量:3GBまたは4GB
- ストレージ:内蔵(容量最大128GB)
- アウトカメラ:有効画素数約1600万画素,F値2.2
- フロントカメラ(メイン):有効画素数約1200万画素,F値1.8
- フロントカメラ(サブ):有効画素数約500万画素,F値2.2
- バッテリー容量:3000mAh
- 無線LAN対応:IEEE 802.11n(※5GHz帯未対応)
- USBポート:USB 2.0 Micro-B
- 本体公称サイズ:74.83(W)×154.02(D)×6.85(H)mm
- 本体公称重量:147g
●ZenFone 4 Selfieの主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- OS:Android 7.1(Nougat)
- ディスプレイパネル:5.5インチIPS液晶,解像度確認中
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 430」(「Cortex-A53」CPU×8,最大CPU動作クロック1.4GHz+「Adreno 505」GPUコア)
- メインメモリ容量:4GB
- ストレージ:内蔵(容量64GB)
- アウトカメラ:有効画素数約1600万画素,F値2.0
- フロントカメラ(メイン):有効画素数約2000万画素,F値2.0
- フロントカメラ(サブ):有効画素数約800万画素,F値2.4
- バッテリー容量:3000mAh
- 無線LAN対応:IEEE 802.11n(※5GHz帯未対応)
- USBポート:USB 2.0 Micro-B
- 本体公称サイズ:76.2(W)×155.7(D)×7.85(H)mm
- 本体公称重量:144g
5000mAhバッテリー内蔵の「ZenFone 4 Max Pro」
最後に紹介するのは,5000mAhという大容量バッテリー内蔵が特徴の「ZenFone 4 Max Pro」で,本製品は,すでにロシアなど特定地域で先行発売済みとなっているスマートフォン「ZenFone 4 Max」の上位版という位置づけだ。
冒頭で,今回発表となったのは5モデルという話をしたが,すでに発売済みのZenFone 4 Maxを加えると,ZenFone 4シリーズは計6モデルということになる。
さて,そんなZenFone 4 Max Proも,デュアルカメラを採用するのはアウト側である。
アウトカメラは,いずれもOmniVision製のカメラモジュールを採用しており,メイン側が約1600万画素で画角は80度(35mm換算25mm相当),F値2.0。サブ側は約500万画素で画角は120度(35mm換算12mm相当)となっている。カメラモジュールの違いこそあれ,ZenFone 4のアウトカメラと同様に,サブ側をワイドカメラとする構成だ。
余談気味だが,今回の5製品はアウトとフロントの差こそあれ,いずれもデュアルレンズを搭載しているが,カメラモジュールの構成はすべて異なっており,必然的に撮影機能もある程度異なっている。各製品の個性も,撮影画像に反映されるのではないだろうか。
話を戻そう。ZenFone 4 Max Proの内蔵バッテリーは,単に5000mAhと容量が多いだけでなく,さまざまな省電力のチューニングを施すことで,バッテリー駆動時間をできる限り伸ばす工夫を凝らしてあるという。また,「Max」の名を冠するZenFoneシリーズと同様に,ZenFone 4 Max Proも,本体のUSB 2.0 Micro-Bポートにつないだほかのデバイスに,内蔵バッテリーから給電する機能も備えている。
一方,さまざまな安全対策を盛り込むことで,万が一のバッテリー破損事故に備えているそうだ。具体的には,12もの安全対策を盛り込んでいるそうで,ASUS純正の充電器でしか急速充電機能が働かないようにする対策や,日本の業界団体であるJEITA(電子情報技術産業協会)基準でのテストなども行っているとのことだった。
通信機能は,Cat 4のキャリアアグリゲーションに対応しており,下り最大通信速度は150Mbpsとなる。無線LAN機能は,2.4GHz帯のみのIEEE 802.11n対応だ。4Gおよび3GのDSDSに対応する点は,ほかのZenFone 4シリーズと変わらない。
なお,SIMカードのトレイはZenFone 4 Selfieと同じ仕組みで,nano SIM×2とmicroSDを同時に利用できる構造だ。
●ZenFone 4 Max Proの主なスペック
- メーカー:ASUSTeK Computer
- OS:Android 7.1(Nougat)
- ディスプレイパネル:5.5インチIPS液晶パネル,解像度720×1280ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 425」(MSM8917,「Cortex-A53」CPU×4 最大CPU動作クロック1.4GHz+「Adreno 308」GPU)
- メインメモリ容量:最大3GB
- ストレージ:内蔵(容量32GB)
- アウトカメラ(メイン):有効画素数約1600万画素,F値2.0
- アウトカメラ(サブ):有効画素数約500万画素,F値2.2
- フロントカメラ:有効画素数約1600万画素,F値2.0
- バッテリー容量:5000mAh
- 無線LAN対応:IEEE 802.11n(※5GHz帯未対応)
- USBポート:USB 2.0 Micro-B
- 本体公称サイズ:未公開
- 本体公称重量:未公開
新製品の概要は以上のとおり。各製品の価格やカラーバリエーションは,現在開催中のイベントで公開予定となっているため,追って紹介したいと思う。
ちなみにASUSによれば,ローンチイベントが終了次第,発表会場外にある特設ブースでさらに数モデルを特別先行販売するとのことなので,最終的なZenFone 4シリーズの陣容はさらに増える可能性がある。これらも,詳細が分かり次第お伝えしよう。
ASUSのZenFone 4発表イベント特設ページ(英語)
ASUSTeK Computer 公式Webサイト
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Zen
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