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ASUSが有機ELディスプレイ搭載ノートで大攻勢。重さ1kgの薄型軽量マシンから,ゲームにも使えるハイエンドPCまで多数を発表
それに先立ち,ASUSは,本社のある台湾・台北市に日本の報道関係者を招いて製品発表会を開催した。発表となった製品は,いずれもゲーマー向けではないものの,有機ELディスプレイを搭載するノートPCが大量に登場したり,NVIDIAのノートPC向け「GeForce RTX 40」シリーズを搭載する製品も多数ラインナップされていたりと,非常に見どころが多い。そこで,今回の目玉である重量約1kgの薄型軽量ノートPCや,ゲーム用途にも適したGeForce内蔵ノートPCを中心に,新製品を紹介したい。
厚さ10.9mm,重量約1kgを実現
Zenbook S 13 OLED
今回発表となった製品の中でも目玉となるのが,「ASUS Zenbook S 13 OLED」(型番:UX5304VA,以下 Zenbook S 13)だ。発売日は4月21日の予定である。
最大の特徴は,薄さと軽さ。最薄部は10.9mm,最厚部でも12.3mmしかない薄型ボディと,公称本体重量は約1kgであるという点だ。史上最軽量のノートPCというわけではないが,この軽さと薄さはすごい。なにせUSB Type-Aポートがギリギリ入る程度の厚みしかなく,フルサイズのHDMI出力端子に至っては,わずかにはみ出すほどだ。
デザイン的にも洗練されている。天板はプラズマ電解酸化処理によって金属の表面をセラミック層で保護しながら,指触りのいい紙のような質感を実現した。その天板に,ASUSの頭文字である「A」を意匠化したシンボルマークが線だけで描かれるという,シンプルだがしゃれたデザインをしているのだ。
昨今は,ブランドのロゴを天板にデカデカと目立つように載せるデザインを,PCメーカー各社とも避けるようになっている。Zenbook S 13の天板は,そうした路線を踏襲しつつも,シンボルマークをうまく使っているのではなかろうか。
製品名にもあるとおり,Zenbook S 13のディスプレイはOLED,つまり有機ELパネルである。サイズは13.3インチで,解像度は2880×1800ドット,アスペクト比は2023年のトレンドである16:10となっている。ゲーマー向け製品ではないので,最大リフレッシュレートは60Hz止まりのようだ。
今どきのPCは,本体の素材や梱包にリサイクル可能な素材や再生素材を用いることが増えている。Zenbook S 13も同様で,パッケージは紙を中心にリサイクル可能な素材だけを用いており,さらに本体を包む梱包材は,ノートPCスタンドとして使えるようになっているという。梱包材をほかの用途にも使えるようにするというのは,なかなかいいアイデアだ。
スペックについても見ておこう。搭載CPUは,上位モデルが10コア12スレッド仕様の「Core i7-1355U」,下位モデルは同じコア数で動作クロックが低めの「Core i5-1335U」となっている。単体GPUは搭載しておらず,CPU内蔵の統合型グラフィックス機能「Iris Xe Graphics」を用いる。
メインメモリ容量は16GB(増設不可)で,内蔵ストレージ容量は512GB(増設不可)だ。
オフィスソフトとして,「Microsoft Office Home and Business 2021」をプリインストールするモデルと,「WPS Office 2 Standard Edition」(以下,WPS Office 2)をプリインストールするモデルの2種類があり,税込価格は以下のとおり。
- Core i7搭載,WPS Office 2モデル:22万9800円
- Core i7搭載,Microsoft Officeモデル:25万9800円
- Core i5搭載,WPS Office 2モデル:15万9800円
- Core i5搭載,Microsoft Officeモデル:17万9800円
アンダー2kgでRTX 4070/4060搭載の高性能ノートPC Zenbook Pro 14 OLED
本来はクリエイター向けや一般消費者向けの製品だが,GeForce RTX 40シリーズのGPUを内蔵しており,ゲームも快適な性能を期待できそうなノートPCも多数発表となった。そうした1台が「ASUS Zenbook Pro 14 OLED」だ。
Zenbook Pro 14 OLEDは,名前から分かるように14.5インチサイズの有機ELディスプレイを備えたノートPCだ。本製品も薄さと軽さが特徴で,最薄部は約18.54mm,公称本体重量は約1.6kgと,持ち歩くモバイルノートPCとしても使える程度に収まっている。
この薄さと軽さを実現しつつ,Zenbook Pro 14 OLEDは,CPUとして最大で14コア20スレッド仕様の「Core i9-13900H」を,GPUには最大でノートPC向け「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」を搭載する高スペックを両立しているのだ。ディスプレイも,解像度2880×1800ドットで最大リフレッシュレートは120Hzと,ゲーム用途に十分なスペックを有する。
これだけのスペックを詰め込みながら,TDP(Thermal Design Power,
ちなみに,Zenbook Pro 14 OLEDはクリエイター向け製品に位置付けられているため,標準インストールのグラフィックスドライバは,クリエイター向けの「NVIDIA Studio Driver」になっている。ただ,NVIDIAユーザー向け無料ソフト「GeForce Experience」を使えば,ゲーム用の「GeForce Driver」に切り替えられるので,Zenbook Pro 14 OLEDをゲーム用途に用いることも可能だ。
Zenbook Pro 14 OLEDには,搭載CPUやGPU,メインメモリ容量およびストレージ容量の異なる2モデルがラインナップされている。税込価格は以下のとおり。
- ASUS Zenbook Pro 14 OLED UX6404VI:Core i9-13900H,
GeForce RTX 4070, メインメモリ容量32GB, 内蔵ストレージ容量1TB, 29万9800円 - ASUS Zenbook Pro 14 OLED UX6404VV:Core i7-13700H,
GeForce RTX 4060, メインメモリ容量16GB, 内蔵ストレージ容量512GB, 24万9800円
キーボード面が浮き上がって冷却するハイエンドノートPC Zenbook Pro 16X OLED
「ASUS Zenbook Pro 16X OLED」も,ハイエンドゲームPC並みの高いスペックを有するクリエイター向けノートPCの1台だ。
CPUには,14コア20スレッドモデルの「Core i9-13905H」を,GPUは「GeForce RTX 4080 Laptop GPU」を採用しており,メインメモリ容量も32GBと,スペック面で見劣りする点はまったくない。そのうえで,厚さは最薄部で約16.9mm,公称本体重量は約2.4kgと,スペックのわりには薄型かつ軽量であるのも見どころだ。
構成は1モデルのみで,税込価格は59万9800円である。
Zenbook Pro 16X OLEDで注目すべき点のひとつは,ASUSが「ASUS Active AeroDynamic System Ultra」と呼ぶ冷却機構である。キーボード部分の奥側が立ち上がって斜めに約7度の傾斜が付いた状態になり,本体とキーボードの隙間から,内部に空気を取り込むことで冷却効率を高めているのだ。
また,CPUとヒートシンクの間に入る「TIM」(Thermal Interface Material)に,液体金属を用いることで,熱伝導効率を高める工夫も凝らされている。
搭載ディスプレイは,16インチサイズで解像度3200×2000ドット,アスペクト比16:10の有機ELパネルだ。最大リフレッシュレートも120Hzなので,ゲームを高フレームレートで表示できる。
Zenbook Pro 14 OLEDでは,タッチパッド内にダイヤル型入力機能を備えていたが,Zenbook Pro 16X OLEDでは,タッチパッドの左横に独立したダイヤル型入力装置「ASUS DialPad」を備えているのもポイントだ。クリエイター向けアプリでの作業時に,マウスホイールのように使えるので,ノート単体での作業効率を改善できるだろう。
クリエイター向けハイエンドノートPC ProArt Studiobook 16 OLED
ASUSのクリエイター向けブランド「ProArt」からは,Zenbookよりも,さらにクリエイター向けに特化したノートPC「ASUS ProArt Studiobook 16 OLED」が登場した。発売は5月12日の予定で,税込価格は49万9980円である。
基本的には,Zenbook Pro 16X OLEDのスペックをさらに高めたような製品で,CPUにIntelのノートPC向け最上位「Core i9-13980HX」を採用する点と,物理的に回転するダイヤル型入力装置「ASUS Dial」を備える点が大きな違いだ。GPUはGeForce RTX 4070である。
また,タッチパッドが専用スタイラス(ペン)入力に対応している点も,目に付く違いと言えよう。
搭載ディスプレイは,Zenbook Pro 16X OLEDと同じスペックをしており,16インチサイズで解像度3200×2000ドットのアスペクト比16:10,最大リフレッシュレート120Hzとなっている。メインメモリ容量は32GBで,内蔵ストレージ容量は1TBだ。
なお,ProArt Studiobook 16 OLEDには,GPUにワークステーション向けの「NVIDIA RTX 3000」を採用して,メインメモリ容量を64GBにした「ProArt Studiobook Pro 16 OLED」も存在する。NVIDIA RTX 3000は,GeForce RTX 4070と同規模のCUDA Coreを備えるモバイルワークステーション向けGPUだ。税込価格は同じ49万9980円であるが,ゲーム用途にも使いたいのであれば,ProなしのProArt Studiobook 16 OLEDを選ぶほうが適切であろう。
Vivobook Pro 16X OLED
ASUSのノートPCには,ミドルクラス〜ハイエンド市場向けに位置付けられるZenbookブランドのほかに,それよりもやや下の市場を狙ったVivobook(ヴィボブック)ブランドが存在する。とはいえ,今回発表となったVivobook新製品では,Zenbookに勝るとも劣らない,ゲーマー向けPC並みのスペックを有する製品も登場してきた。
「ASUS Vivobook Pro 16X OLED」も,そうした高スペックなVivobookの一例である。発売は2023年6月中旬以降の予定で,税込価格は32万9800円だ。
Vivobook Pro 16X OLEDは,Zenbook Pro 16X OLEDと同スペックの16インチサイズ,解像度3200×2000ドット,120Hz表示対応有機ELパネルを採用している。GPUはGeForce RTX 4070,CPUにはCore i9-13980HXを搭載しており,メインメモリ容量32GB,内蔵ストレージ容量は1TBなど,スペックも高い。ゲーム用途にも余裕で対応できるだろう。
なお,ディスプレイに有機ELパネルではなく液晶パネルを採用した「ASUS Vivobook Pro 16X」も同時期に発売の予定だ。
液晶パネルは解像度2560×1600ドットのアスペクト比16:10,最大リフレッシュレートは165Hzと,ゲーマー向けノートPCでよくある仕様だ。GPUはGeForce RTX 4070で,CPUは「Core i7-13650HX」,メインメモリ容量16GBで,内蔵ストレージ容量は512GBというスペックを有する。税込価格は24万5999円だ。
冒頭でも触れたとおり,今回は単体GPUを搭載してゲーム用途にも使えるスペックを有する製品を中心に取り上げたが,ZenbookやVivobookには,ほかにも多くのノートPC新製品もラインナップされている。興味のある人は,ASUSの製品情報ページをチェックしてみることをお勧めしよう。
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