連載
結のほえほえゲーム演説:第49回「興味という免罪符をかざし,プレイヤーの役割をロールプレイする『UNDERTALE』」
皆さんは「UNDERTALE」(PC / PlayStation 4 / PlayStation Vita)というゲームをご存じでしょうか。私とUNDERTALEの出会いは昨年の夏のこと。Steamの英語版と非公式日本語版で全ルートをクリアし,とてつもない衝撃を受けたものです。
今年の8月に公式日本語版の配信がスタートし,PlayStation 4,PlayStation Vitaでも遊べるようになったことで,UNDERTALEプレイヤーもグッと増えたはず。しかし,4Gamer読者の皆さんの中にも,未プレイの方はいるかもしれません。
先日,公式日本語版をトロコンし,あらためてUNDERTALEの素晴らしさを思い知った私は,未プレイの方にオススメしたい! というケツイがみなぎりました。
ネタバレを避けるために抽象的な話が多くなりますが,お付き合いいただけると嬉しいです。
ユーモアってなんだ?
こんなにも驚くべきスピードで,親近感や愛着を抱かせるゲームはなかなかないでしょう。登場するキャラクターのセリフ,性格,存在。すべてが等身大のユーモアにあふれています。
ところで,皆さんが「ユーモア」という言葉を聞いて,思い浮かべるものは何でしょうか。「フルハウス」? 「Mrビーン」……? は,ブラック寄りのユーモアかしら? うーん。
私が「ユーモア」と聞いて思い浮かべたのは,おどけたように愚痴ったり,まわりくどくデートに誘ったり,ライバルと嫌みの空中戦を繰り広げたりするような海外コメディでした。しゃれていたり,面白かったりはするけれど,身近な存在ではないもの。そんなイメージです。
一方,親近感を抱ける等身大のユーモアを私が人生で初めて感じたのは,「MOTHER2」なんです。粗いドットと短いテキスト,少ない情報の中に,ゲームを進めるうえで必要なさそうなセリフやテキストを見つけるたび,キャラクター一人一人が生きていて,その世界に存在しているように感じました。まるで友達のように。
これがきっと和製のユーモアなんだと,小学3年生の私は思ったものです。
UNDERTALEは,(私が思う)日本のRPGのだいご味である等身大のユーモアを取り入れ,ゲームならではの親近感を巧みに表現しているように感じられる作品でした。登場するキャラクターに人格や欠点が存在するのがミソなんですよね。着飾らない彼らを見ているうちに,プレイヤーも心を着飾らずにのめりこんでしまうのです。
誰も死ぬ必要のないRPG
先程,登場するキャラクターに人格や欠点が存在すると言いましたが,これは仲間キャラクターのことではなく,敵として登場するモンスターのことなんです。
主人公のニンゲンは一人ぼっちで,周囲はモンスターばかり。でも,プレイヤーの選択次第で戦わずに和解したり,友達にもなれちゃいます。
「ロールプレイ」の意味
UNDERATALEのキャッチコピーは,「誰も死ぬ必要のないRPG」です。「誰も死ぬ必要のない」という言葉は非常に印象的ですが,実はこのゲームにとって本当に重要なのは,むしろ「RPG」という部分だと思っています。
いやいやRPGなんて,この世の中にどれだけ存在すると思ってるの? 何も特別なことなんてないでしょう? 「ドラゴンクエスト」も「ファイナルファンタジー」も「MOTHER」も「ペルソナ」も「テイルズ オブ」も「アークザラッド」も「ワイルドアームズ」も「幻想水滸伝」もRPGだよ?
……と思ったそこのアナタ。そんなゲーム好きのアナタにこそUNDERTALEに出会ってほしいのです。
ゲームをプレイしていると「あの時,別の選択をしていたら,どうなっただろう?」と思い,やり直すことがありますよね。キャラクターに愛着がわいて,ゲームにのめりこむほど,何が起きるか知りたい,遊び尽くしたいという感情がわきますよね。
そんなあなたは,ぜひ興味という免罪符をかざし,プレイヤーとしての役割をUNDERTALEでロールプレイしてください。等身大ユーモアを入り口に,親近感や愛着を抱いてきたからこそ,シリアスな展開が身に染みることになるでしょう。
プレイヤーとしての役割を演じるという意味において,UNDERATALEは最高にロールプレイングなゲームなのです。
音楽が良過ぎる
UNDERTALEにはたくさんのBGMが用意されているのですが,特定のキャラクターが登場するシーンや,それを示唆するシーンで,別の曲なのに同じメロディやフレーズが出てくることが非常に多いのです。
バトル中に聴き覚えのある短いメロディやフレーズが繰り返されると,これまでに起こった出来事などが自然と思い出されて感慨深さがカンストします。
未プレイの方に曲名を出してもネタバレにならないと思うので言ってしまいますが,「Battle Against a True Hero」「Megalovania」など,とにかく名曲達が待っています。とにかく後半になればなるほど最高です。そこまではどうか,頑張ってください。
公式日本語版
オリジナルの英語版,非公式日本語版,公式日本語版と三つをプレイしてきましたが,ニュアンスの違いもまた,非常に楽しめました。
アイテムの名前などの細かいところから,いわゆる決めゼリフのようなシーンまで,それぞれの解釈をイメージしながら,きっとこうに違いない! と自分の中のUNDERTALEが固まっていくと,より思い入れが深くなります。
UNDERATALEやってみてネ
……ということで,UNDERATALEの具体的なゲーム要素には一切触れずにオススメしてきましたが,それでも本作の本質的な部分に興味を抱いてもらえたらと願っております。キャラクター達も一人一人を紹介したいほど大好きですが,私の拙い説明よりも,ぜひ実際に出会ってみてほしいのです。
既プレイの方は,私のTwitterなどに感想などをいただけたら嬉しいです。ではでは。また次回。
最近プレイしているゲーム(2017/11/10)
PS4:「いただきストリート ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー 30th ANNIVERSARY」
PS4:「New みんなのGOLF」
PS4:「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
■■結(女優・タレント)■■
女優・タレントとしてフリーランスで活動中。国内映画祭にて主演女優賞を多数受賞。幼少期からのゲーム好きが高じ,数多くのゲーム番組でMCを務め,イトキチ(糸吉)の愛称で親しまれている。
公式サイト:http://yui-monogatari.com/
公式Twitter:https://twitter.com/xxxjyururixxx
ニコニコチャンネル「結チャンネル」:http://ch.nicovideo.jp/yuichannel
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UNDERTALE (C)Toby Fox 2015-2017. All rights reserved.
UNDERTALE (C)Toby Fox 2015-2017. All rights reserved.
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