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デスクトップGPU市場でシェアを34%にまで回復させたAMDは,年内にGPU関連の「何か」を投入――部門トップが予告
それから約1年の節目となる日本時間2016年9月13日,RTGを率いる上級副社長兼チーフアーキテクトのRaja Koduri(ラジャ・コドゥリ)氏が,報道陣の質問に回答するという形の電話会議があった。
その場でKoduri氏はこの1年を振り返り,2014年第4四半期には調査期間調べで26.2%だったデスクトップPC市場におけるGPUシェアが,2016年第2四半期末の時点で34.2%まで回復したと発表している。RTGにとって,最も成功を収めた分野がデスクトップ市場向け単体グラフィックスカードだというわけだ。
さらに,報道関係者の質問に答える形で,2017年に向けて,RTGの活動をさらに強化していくことを強調。合わせて,「2016年第4四半期の年末商戦シーズンに向けて,デスクトップPC向けに『新しい何か』(new stuff)を投入する」とも予告していた。その詳細については,近々に明らかにできるだろうとのことだ。
よく知られているとおり,AMDは2017年に,開発コードネーム「Vega」(ベガ)と呼ばれるハイエンド市場向けGPUを市場投入予定だが,あくまでもVegaは2017年がターゲットだ。今年の年末商戦には間に合わない。
「新しい何か」が必ずしもハードウェアの新製品とは限らないのだが,ひょっとすると,以前,AMDが資料の中に名前だけ載せていた(関連記事),「3桁数字の2桁めが9」の製品が本当に登場するという可能性もなくはない。Radeon派の人達は大いに期待しておこう。
なおKoduri氏は,Polarisマクロアーキテクチャ搭載のノートPC向けGPUに関しても予告を行っている。いわく,「2016年第4四半期から2017年第1四半期にかけてOEM(となるPCメーカー)から発表があるだろう」とのことだ。現在RTGはOEMと共同で,RTGはOEMと共同で,ノートPCの設計にあたっているそうだ。
DirectX 12への対応は簡単ではないが,VR(Virtual Reality,仮想現実)技術や現行世代のゲーム機,さらには2017年に登場する次世代のCPU――おそらくはZenアーキテクチャを採用する次世代デスクトップPC向けCPU「Summit Ridge」(サミットリッジ,開発コードネーム)のこと――によって,DirectX 12の効率がさらに上がり,DirectX 12が主流になっていくだろうというのが,Koduri氏による見通しだ。
というわけで,新情報はさほど多くはなかったが,AMDが年末に向けて何らかのアクションを予定していることが明らかになったのは収穫だろう。AMDからの続報を待ちたい。
RTG一周年記念インフォグラフィックスが登場
RTGは過去1年のトピックをまとめたインフォグラフィックスを公開した。下のようなものだが,それぞれのトピックを記憶している読者が多いだろう。
RTGとして初めて大々的プロモーション活動を行ったのは,2015年11月にリリースされたドライバソフトウェア「Radeon Software Crimson Edition」だ。それまでのドライバソフトウェアCatalystから,名称だけでなく,ユーザーインタフェースも一新させて話題になった。ちなみにKoduri氏によれば,「Crimson」に続く次世代Radeon Softwareは,現在,エンドユーザーからのフィードバックを下敷きに,ソフトウェアチームが開発を進めているそうだ。
あと,印象に残るものとしてピックアップするなら,やはり2016年6月のRadeon RX 400シリーズ立ち上げ,そして2016年7月のSIGRAPH 2016に合わせてあったRadeon Proブランドの立ち上げと,極めてユニークな「Radeon Pro SSG」の発表あたりだろうか。画像を眺めながらこの1年を振り返りつつ,次の1年におけるRTGの活動に期待してみるといいかもしれない。
AMD公式Webサイト
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