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HTC,新型HMD「VIVE XR Elite」を発表。バッテリーを外してメガネ型HMDとしても利用できる
発売日は明らかになっていないが,HTCの日本語公式Webサイトでは,先行予約の受付が始まっている。税込の直販価格は17万9000円だ。早期予約者は,フィットネスソフトの「LES MILLS BODYCOMBAT」やVRサバイバルゲーム「Green Hell VR」など,5つのゲームをもらえるそうだ。
本稿では,HTCが開催した製品発表会の内容を基に,VIVE XR Eliteの概要を紹介しよう。製品説明を行ったのは,HTCのGeneral Manager兼President AmericasのDaniel O'Brien氏と,Global Head of Productsを務めるShen Ye氏だ。
ARやMRにも対応した新世代VR HMD
VIVE XR Eliteの製品名に「XR」と入っている理由は,VR(Virtual Reality:仮想現実)だけでなく,AR(Augmented Reality:拡張現実)や,MR(Mixed Reality:複合現実)への対応を視野に入れた製品であるからだという。
搭載SoC(System-on-a-chip)は,「Meta Quest 2」と同じQualcommの「Snapdragon XR2」で,容量8GBのメインメモリと容量128GBの内蔵ストレージを備えている。PCとはUSB Type-Cでの有線接続に加えて,Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)による無線接続にも対応するという。なお,スマートフォン上で再生している映像コンテンツをVIVE XR Eliteへストリーミングすることも可能とのことだ。
VIVE XR Eliteを単体VR HMDとして使うときのアプリは,既存のHTC製HMDと同様に,HTC独自のアプリストアである「VIVEPORT」から入手する形となる。
VIVE XR Eliteのディスプレイパネルは,RGBストライプ構造の液晶パネルを採用する。解像度は1920×1920ドット(両眼解像度3840×1920ドット)で,最大リフレッシュレートは90Hzだ。
VIVE XR Eliteの光学系は,HTCが2021年に発表した「VIVE Pro 2」や「VIVE Focus 3」(関連記事)でも使われたパンケーキ型レンズを採用した。これにより,ゴーグル部分を小型化しつつ,対角110度の広い視野角(FOV)と長めの焦点距離を実現した。
VIVE XR Eliteの接眼レンズは,54mm〜73mmの範囲内で無段階に瞳孔間距離(Interpupillary Distance,IPD)を調整できるだけでなく,焦点距離も7段階で設定可能だ。視力補正機能を標準で備えており,視度調整をすることで,普段眼鏡をかけている人でも裸眼でHMDを利用できるということだ。
HMDのトラッキング機能は,外部センサーの設置が不要なインサイドアウト方式となっている。VIVE XR Elite本体に組み込まれた4基のモノクロカメラによって,6軸自由度(6DoF)のトラッキングを行う仕組みだ。ユーザーのHMD装着を検知する近接センサーや,HMDの動きを捉える加速度センサー,ジャイロスコープも備えている。
また,VIVE XR Eliteのゴーグル前面には,トラッキング用カメラとは別に1600万画素のRGBカメラと深度センサーを搭載しており,これらをAR/MRコンテンツに有効活用するという。RGBカメラは,HMDを被ったまま周辺をカラー映像で表示するシースルー機能にも利用する。
なお,深度センサーは,出力の特性上,屋内のみの使用に限られるそうだ。さらに2023年3月ごろまでは,意図的に深度センサーの機能を停止しているとのこと。製品発売後のアップデートで開放されるのだろう。
コントローラは,左右1本ずつが属する。さらに,既存のHTC製VR HMD用(※インサイドアウト方式対応のもの)をそのまま利用できるとのこと。コントローラを持たない状態でのハンドトラッキングにも対応するそうだ。
なお,製品発表会では,VIVE XR Eliteが視線トラッキング機能を搭載していないことについての質問が挙がった。これに対してYe氏は「現状は,視線トラッキング機能を活用するアプリケーションが少ないので,標準実装としなかった」と答えていた。ただし,将来的には視線トラッキング機能をはじめ,表情トラッキング機能などもオプションパーツで実現する用意があるとのことだった。
ホットスワップ可能なバッテリーを搭載
バッテリーは,VIVE XR Eliteのヘッドストラップ後部に備えており,「Pico 4」といった競合製品と同じく,重さを前後に分散させて装着感を改善している。バッテリー駆動時間は用途によっても変化するが,約2時間前後を想定しているとのこと。
VIVE XR Eliteのバッテリー部分は,VIVE XR Eliteの動作中にヘッドストラップから外して,充電済みバッテリーと交換するホットスワップも可能なのがポイントだ。Ye氏は,「VIVE XR Elite本体にも超小型のバッテリーを内蔵しており,この電力を使ってバッテリー交換中の電力を賄う。交換が間に合わないときは,VIVE XR Eliteがサスペンド状態へと移行する」と説明する。
また,VIVE XR Eliteは,バッテリー部分を完全に取り外して「VIVE Flow」のような眼鏡型のVR HMDとして利用できるのも見どころと言えよう。眼鏡型時はPCとの有線接続がメインとなるが,モバイルバッテリーからの電力供給も可能なようだ。体や頭を動かすようなアプリを使うのには適さないが,椅子に座ったまま,映像鑑賞をするような用途には適した形体だろう。
サウンド機能は,ヘッドストラップの耳元付近に指向性型スピーカーを備える。イヤフォンタイプではないので,外界の音をそれなりに聞きつつ,高音質が楽しめる。Ye氏によると,既存のHTC製HMD製品よりも最適化を進めたことで,音質には自信があるとのことだった。また,エコーキャンセリング機構付きのマイクも内蔵しているそうだ。
HTCは現在,独自のメタバースプラットフォームである「VIVERSE」を開発中だが,VIVE XR Eliteは,VIVERSEを利用するための主力デバイスとして注力していくという。
HTCのVIVE XR Elite製品情報ページ
HTC日本語公式Webサイト
4GamerのCES 2023記事まとめページ
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