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[COMPUTEX]次世代CPU「Kaby Lake」と「Apollo Lake」は2016年後半に登場。Intelのプロセッサ戦略が垣間見えた基調講演レポート
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印刷2016/06/02 00:00

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[COMPUTEX]次世代CPU「Kaby Lake」と「Apollo Lake」は2016年後半に登場。Intelのプロセッサ戦略が垣間見えた基調講演レポート

いわゆるコンシューマー向けPCを担当するクライアントコンピューティング部門のジェネラルマネージャであるNavin Shenoy氏
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 COMPUTEX TAIPEI 2016初日である2016年5月31日,Intelは,台北市内のイベント会場にて基調講演を行い,同社のプロセッサ戦略における最新事情を説明した。
 講演を担当したのは,Intelのコーポレートバイスプレジデント兼クライアントコンピューティング部門(CCG)担当ジェネラルマネージャのNavin Shenoy氏と,エグゼクティブバイスプレジデント兼データセンター部門(DCG)担当ジェネラルマネージャのDiane Bryant氏であるが,本稿ではゲーマーにも関係のあるShenoy氏による講演を中心に,その概要をレポートしたい。

 Intelは,直近の2016年4月に大規模な人員整理を発表し,それにともなうプロセッサ製品(Atom系列の大半)の開発をキャンセルしていた。そのため,スマートフォンやタブレット製品において,とくにローエンドに近いOEMメーカーの製品計画に大きな影響が出てしまっている。そして台湾は,世界のPCやスマートデバイスの製造を担うメーカーが集積している場所でもあり,改めてパートナー企業に対して,Intelは将来の戦略を説明する必要に迫られている状況だった。今回の基調講演を通じて,Intelはパートナー企業や世界のユーザーに対して,どのようなメッセージを打ち出せたのだろうか。


なぜマイナーチェンジ版の「Kaby Lake」がリリースされるのか


 Intelは今回の基調講演に合わせて,「Broadwell-E」の開発コードネームで呼ばれていた新型CPU「Core i7-6950X Extreme Edition」などの提供を開始した。詳細は掲載済みの解説記事並びにレビュー記事を参照してほしいが,最大で10コア20スレッド動作が可能なハイエンド製品で,「Turbo Boost Max Technology 3.0」といった最新技術も盛り込まれている。
 とくに,マルチスレッド処理を大量にこなすような処理負荷の高い用途に対応できる性能を備えている点が特徴で,グラフィックスアプリケーションを扱うプロフェッショナルユーザーや一部のゲーマーにとっては,選択肢のひとつとなるだろう。

基調講演の行われた5月31日に発売された,Broadwell-EことCore i7 Extreme Edition
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 ただ,今回のタイミングで発表となったCPUは,このBroadwell-Eのみ。それ以外では,新型CPUである「Kaby Lake」と「Apollo Lake」(どちらも開発コードネーム)が,2016年第2四半期中にPCメーカーへの出荷が始まり,搭載製品は2016年後半に登場することが改めて明言されたのみだ。

「Skylake」こと第6世代Coreプロセッサの後継になるのが,第7世代Coreプロセッサ「Kaby Lake」。Skylakeと同世代の第9世代統合型グラフィックス機能を搭載するAtomプロセッサが「Apollo Lake」だ。どちらも2016年後半に登場する
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 Kaby Lakeは,現行の第6世代Coreプロセッサこと「Skylake」の後継となる第7世代Coreプロセッサで,最近ではIntel自体も使わなくなった「Tick-Tock」のリリースサイクルでいえば,「Semi-Tock」とでも呼ぶべき世代の製品だ。
 SkylakeまでのIntel CPUは,製造プロセスの微細化が進む「Tick」とプロセッサのアーキテクチャを変更する「Tock」が毎年交互にやってきて,1年ごとに新プロセッサがリリースされるというサイクルを,過去10年ほど続けていた。しかし,2016年はTickにあたる10nm世代のCPU「Cannonlake」のリリースが間に合わないことが,2015年時点ですでに判明しており,そのため,Skylakeのマイナーチェンジ版にあたるKaby LakeをSemi-Tockとして追加リリースすることが決まったというわけだ。

Shenoy氏の背後にちらりと見えるのが,Kaby Lake搭載のデモPC。最速では,2016年秋頃に搭載製品が登場するとみられる
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 基調講演後に行われた質疑応答で,「なぜKaby Lakeを市場投入するのか」と,その存在の意義を問われたShenoy氏は,「(Cannonlakeを製造する)10nm製造プロセスの投入が2016年に間に合わないと分かっていた以上,Kaby Lakeの投入は必然だった。PCメーカーやユーザーは,毎年の新製品投入を期待しており,それに応えなければならない」と回答している。
 もっとも,PCを毎年購入するようなユーザーは非常に限られているわけで,多くは4〜5年周期程度で買い換えているというケースのほうが多いだろう。それでも,新CPUが登場することで市場が活気づく効果はあるし,Semi-Tockといえども前年比での性能向上や新機能追加は期待できるので,ユーザーから見れば,PCは毎年リフレッシュされているように見える。つまり,わずかな進化であっても,新CPUを「出すことに意味がある」というのが一番大きな理由だ。

 もう一方の次世代AtomであるApollo Lakeは,Atom向けの最新マイクロアーキテクチャ「Goldmont」を初めて採用して登場するSoC(System-on-a-Chip)である。
 一連の人員整理にともなう構造改革で,Goldmontを採用予定だったSoCの「Broxton」や,SoCにモデムチップを統合した「SoFIA」の市場投入がキャンセルされてしまったので,次世代Atomプロセッサとしては,組み込み向けAtomと噂される「Apollo Lake-I」と並んで,唯一のコンシューマ向けAtomプロセッサとなるだろう。
 ちなみにApollo Lakeは,Skylakeと同じ第9世代の統合型グラフィックス機能を搭載しており,「Pentium」「Celeron」の名称を冠した廉価版CPUという位置付けとなるそうだ。

 質疑応答では,Apollo Lakeに続くAtomラインの製品計画についてShenoy氏に質問したのだが,「計画の詳細は説明できないが,2017年以降もハイエンドからローエンドまで,一通りの製品ラインナップは提供していく」と回答されただけだった。このローエンドのラインに,Apollo Lakeの後継となるAtom製品が登場するかについて,Shenoy氏は明言していない。
 低価格なスマートフォンやタブレットで市場を沸かせてきたAtomだが,最終的にApollo Lakeなど“Coreプロセッサにより近い”製品ラインのみが生き残り,単一のアーキテクチャへと収れんしていく可能性が高くなったと見ている。


バックパックPCを使ったVRのデモも披露


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 「2016年はVR元年」といわれるほど,急速に盛り上がりつつある仮想現実(VR)分野。今回のIntel基調講演においても,PCゲームにおける大きな要素として取り上げられていた。
 VR対応ヘッドマウントディスプレイ(以下 HMD)を用いたVRアプリケーションにおいて,没入感がありながらストレスのない体験を楽しむためには,相応のディスプレイ解像度とレスポンスに加えて,映像を出力するPCに高い処理能力が必要となる。一連のVRブームで,ハイエンドPCに再び注目が集まりつつある理由のひとつだ。Broadwell-Eは,このタイミングで投入された期待のハイエンド製品という位置付けだろう。

 ただ,VR HMDとハイエンドPCを用意したとしても,両者を接続するための長いケーブルが,没入体験の邪魔となりがちだ。据え置き型PCとの位置関係による移動上の制約も大きい。それを解決するアイデアの1つとして壇上で紹介されたのが,あのバックパック型PCだ。
 壇上では,実際にHTCのVR HMD「Vive」と両手に持つ専用コントローラ,そしてHP製のバックパックPCを装着して,実際にVRゲームでマルチプレイを行う様子が披露された。

右の男性が手にしているのが,HPのゲーマー向けPCブランド「Omen」の名を冠するバックパックPCだ。HP以外にも,MSIZOTACが同種の製品を発表している
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Viveを使ったVRゲームのマルチプレイデモ。写真右下の人物は会場にいるShenoy氏で,左下の人物は別の場所にいるもう1人のプレイヤーだ
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 VR HMDでは,顔を動かすことで360度の視界を得られるので,ゲーム以外での応用も期待できる。たとえば,ライブ会場に360度全周カメラを置いてライブ映像の配信を行えば,遠隔地,それこそ地球の裏で行われているライブを,
自宅でそのまま楽しむことが可能だ。
 壇上では,ジャズクラブで有名なニューヨークの「Blue Note」でのライブを360度ビデオで配信するデモが披露された。Viveを装着して,ライブ会場にいるような雰囲気を楽しむだけでなく,スマートフォンやタブレットを使って「会場の様子を覗き見」することも可能だという。

ニューヨークのジャズクラブ「Blue Note」で行われているLiving Colourのライブを360度ビデオで配信するデモの様子
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VR HMDで体験するだけでなく,通常のタブレットでライブ配信を試聴することも可能だ
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 今回のライブ配信デモは,サーバー向けCPU「Xeon」の処理能力を配信プラットフォームとして使った場合を想定したデモだったが,さまざまなデバイスを利用して,自然な臨場感の溢れる体験が可能になりつつあることを,端的に示した例だといえるだろう。

IntelのCOMPUTEX TAIPEI 2016特設ページ

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    第7世代Core(Kaby Lake)

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