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「ワールドチェイン」開発者インタビュー。“チェンクロイズム”を継承する新たなチェインシナリオRPGとは
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印刷2016/09/05 12:30

インタビュー

「ワールドチェイン」開発者インタビュー。“チェンクロイズム”を継承する新たなチェインシナリオRPGとは

 セガゲームスが2016年秋に配信を予定しているスマートフォン向けRPG「ワールドチェイン」iOS / Android)は,「チェインクロニクル」iOS / Android /以下,チェンクロ)に続くチェインシリーズ第2弾としてリリースされるタイトルだ。

画像集 No.006のサムネイル画像 / 「ワールドチェイン」開発者インタビュー。“チェンクロイズム”を継承する新たなチェインシナリオRPGとは
  
 2016年8月に行われた「『チェイン』シリーズ新タイトル発表会」にて,これまでのシリーズでは表現できなかった“異なる切り口を持ったチェインシナリオRPG”として発表されて以来,シリーズファンの間で話題を呼んでいる。

 本作では,歴史が歪み人々が消えてしまった学園都市を舞台に,とある理由で選ばれた主人公達が歴史をリライト(修正)し,現代に起きた異変の謎を解き明かす「現代学園ジュヴナイル×歴史IF」をテーマとしたストーリーが展開していく。歴史上の偉人達を召喚し戦況を打破する,戦略性に富んだ新たなバトルシステム「リヴァイブ・アクション・ディフェンス」バトルも注目すべき大きな特徴だろう。
 
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 今回4Gamerでは,開発ディレクターを務める殿崎 悟氏にインタビューを行い,企画/開発の成り立ちや,ゲームシステムについて詳しく聞いてきた。

「ワールドチェイン」公式サイト



描きたかったのは歴史の行間にある
偉人達の人間らしさと魅力的なドラマ


「ワールドチェイン」開発ディレクター 殿崎 悟氏
画像集 No.004のサムネイル画像 / 「ワールドチェイン」開発者インタビュー。“チェンクロイズム”を継承する新たなチェインシナリオRPGとは
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはじめに自己紹介を兼ねて,殿崎さんの経歴や本作での立ち位置をお聞かせください。

殿崎 悟氏(以下,殿崎氏):
 「ワールドチェイン」の開発ディレクターを務めています殿崎です。ソーシャルゲーム開発の現場を経て,かねてより縁があったセガに移籍しました。

4Gamer:
 正統なチェインシリーズの第2弾として注目を集めていますが,本作の開発チームにはどういった方々が集っているのでしょうか。

殿崎氏:
 本作はチェインシリーズ総合ディレクターである松永 純が原案を立ち上げています。開発スタッフについては,非常に多種多様な人材が集っていまして,「maimai」や「CHUNITHM」「Wonderland Wars」といったアーケードゲームを手がけたスタッフのほか,「戦国大戦」の群雄伝モードのシナリオを書いていたスタッフもメインストーリーのライターとして開発に加わっています。チェンクロのスタジオから出すシリーズ第2弾ということもあり,シリーズの名に恥じないものになるよう,セガの総力を挙げて制作しています。

4Gamer:
 ソーシャルゲーム開発に特化したスタッフだけではなく,アーケードゲームに精通したスタッフも多く所属されているんですね。

殿崎氏:
 戦闘システムについては,「Wonderland Wars」のスタッフが手がけているところもあり,アーケードゲーム畑の者,ソーシャルゲーム畑の者がうまい具合にミックスされ,開発チームとして成立しています。さまざまなキャリアのスタッフが集ったことで,プレイヤーを楽しませる柔軟なアイディアが盛り込めていると感じています。

4Gamer:
 チェンクロでは表現できない異なる切り口の“チェインシナリオRPG”を目指して開発されているとのことですが,企画の立ち上がりはいつ頃だったのでしょうか。

殿崎氏:
 立ち上がったのは約3年前ですね。

4Gamer:
 それはもしかして,チェンクロのサービス開始よりも前のことですか?

殿崎氏:
 サービス開始とほぼ同時期ですね。チェンクロはもともと汎用的なRPGエンジンとして開発されていて,そのエンジンを活用した新たなタイトルを作るために「ワールドチェイン」の原案が作られました。その原案を軸に,チェンクロとは異なるゲームの方向性,世界観/物語のテーマを掲げ,企画が立ち上がっています。
 そこから長い開発期間を経て,ようやくリリースできるようになりました。立ち上がりの時期は早かったものの,ほかのスタジオからチェンクロのエンジンを利用したタイトルが先に出てしまったんですよね……。ですが,ジックリと開発に時間をかけて,本当に良いものに仕上げられたと思っています。

4Gamer:
 てっきりチェンクロの運営をしているうちに,異なった見せ方やシステムに挑戦したいという流れが生まれて,立ち上がった企画なのかと思っていました。

殿崎氏:
 もちろん開発の過程で,チェンクロとは異なる見せ方を意識した挑戦がいくつも取り入れられています。ただ,そもそものスタートは,松永自身が「戦国大戦」「三国志大戦」の開発に携わっていた経験も相まって“歴史が好き”であるということ,“歴史なら新しいストーリーRPGが作れる”というのが大きな出発点だったんですよね。

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4Gamer:
 歴史が好き,ですか。

殿崎氏:
 歴史上の人物のことは,書籍や伝聞でしか当時の様子を知ることはできませんよね。けれど,偉人と語り継がれる歴史上の人物達はあくまで人間であったし,歴史に刻まれたさまざまな分岐点では葛藤をしていたはず……そんな歴史上の人物を紐解く“行間”となるストーリーを描きたかったんです。

4Gamer:
 史実に沿った淡泊な伝記ものというよりも,歴史の行間にある偉人達の人間らしさを描いていきたかったと。

殿崎氏:
 そうですね。これは歴史小説にも言えることですが,裏に広がる物語性は,人を惹きつける大きな魅力になっていると思うんです。そこに注目することで,従来のシナリオRPGをより踏み込んだものに昇華させ,オリジナルのファンタジー世界では表現できないドラマに仕上げられたと思います。

4Gamer:
 コンセプトが現代学園ものというところから,チェンクロの世界とは大きな違いが生まれていますね。

殿崎氏:
 シリーズの王道ファンタジーのイメージを振り切った「現代学園ジュヴナイル×歴史IF」をテーマにしています。現代学園ものと歴史の要素をつなぐ符号として,“タイムスリップ”要素を取り入れ,SFチックな歴史IFというコンセプトに行き着きました。伝奇ものではない,完全な歴史ファンタジーでもない,ありそうでなかった歴史の描き方が本作のアプローチとしてこだわっているポイントです。

4Gamer:
 “ジュヴナイル”をテーマにされているということは,ターゲットは若い層でしょうか。

殿崎氏:
 そうですね。チェンクロはプレイヤーの年齢層が30〜40代と高めで,昔RPGが好きだったプレイヤー達が懐かしさを感じながら遊んでくださっています。当然,その層にも同じようにアプローチしていきたいですが,プレイヤー層を拡大して,若い人達にも遊んでいただきたいという狙いがあります。

4Gamer:
 素朴な疑問なのですが,チェンクロの世界とのつながりは……?

殿崎氏:
 基本的には,ないです。基本的には(笑)。

4Gamer:
 意味深ですね(笑)。

殿崎氏:
 チェンクロを知っている人がシナリオを読み進めていくと,ニヤッとするようなことがあるかもしれません。あまり種明かししてしまうと,プレイヤーの皆さんが小ネタを見つけたときの新鮮な楽しさを奪ってしまいますので,これぐらいにしておきますね。

4Gamer:
 それでは,本作のゲームの舞台“上代市”について詳しく教えてください。

殿崎氏:
 ファンタジーの世界というよりも現代のイメージに近く,現実世界と同じぐらいの文明レベルを持った学園都市を舞台にしています。設定上では東京湾上にある複合都市となっていて,「商業区」「リゾート区」「学園都市区」「研究都市区」の4つのエリアに分かれています。上代市がどういった意図を持って作られているかは,先々の展開によって明かされていきます。

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商業区
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研究都市区
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学園都市区

4Gamer:
 主人公達はこの都市に通う学生ということでしょうか。

殿崎氏:
 下は小学生,上は大学生ぐらいの,学園都市に通う学生達です。彼らは,ある理由によって選ばれた存在“リライター”と呼ばれていて,主人公が持つ“チェインドライバー”と呼ばれる端末でタイムスリップし,さまざまな時代で歴史をリライト(修正)していくこととなります。リライター同士はほぼ初対面ではありますが,一方的に存在を知っていて憧れを抱いている,といった設定のキャラクターもいますね。
 最後までリライター達が物語に登場していく構造になっていますので,チェンクロよりも1人のキャラクターに対して思い入れを抱きやすい形になっています。現段階で公開されているリライターは数人ほどですが,ストーリー進行に応じて追加され,最終的には何十人も登場します。

4Gamer:
 リライターだけでもかなりの人数が登場するんですね。

殿崎氏:
 はい。そのうえ,ゲーム的にリライターそれぞれに能力の違いを設けつつ,キャラクターにも個性を持たせていますので,自己投影する対象はプレイヤーごとに違ってくるかもしれません。
 リライター達は選ばれた存在といえど元は普通の現代人なので,大変な状況に陥ったときに等身大のリアルな感情を出すようにしています。初めのうちは頼りないところもありますが,歴史上の偉人達とあらゆる葛藤や困難を乗り越え,成長していきます。

◆物語を彩るリライター◆

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主人公
(CV:梅原裕一郎)

冷静で無口。あまり人に囲まれているほうではないが人嫌いではない。少数の心を許した友人と仲良くするタイプで,人望は厚い
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織田信吾
(CV:櫻井孝宏)

おおざっぱでいい加減な性格。政治家の父を持ち,厳格な家庭環境に反発しつつも何も出来ない自分に苛立ちを抱いている
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東雲なぎさ
(CV:斎藤千和)

真面目で行動的ないわゆる委員長タイプの性格。歴史マニアであり,歴史上の偉人と接するとオタクな一面が突出してしまうことも
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常葉・茉莉花・アリーユースフ
(CV:阿澄佳奈)
前に出ることが苦手でやや消極的。スタイルが抜群なせいか注目を集めやすく,異性からの視線に敏感で男嫌いな面も。見かけによらず健啖家
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エリザベス・ブライトウェル
(CV:竹達彩奈)
自信家で自己中心的。自分の正義に反する事には徹底的に対抗するため,喧嘩っ早い。常に自分がリーダーであるべきだと考えているワガママな少女
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ホヮン・シャオミン
(CV:鳥海浩輔)
計算高く基本的に人を見下している。少し人情味に欠けており感情的な話をされると戸惑う面も。思ったことをズケズケと言う毒舌タイプ

※画像をクリックすると全身が表示されます。



リライターとレブナントをつなぐ“血脈”と
セガワールドをつなぐ作り手の遊び心


4Gamer:
 本作のキャッチコピーにある“血脈(ルーツ)”という言葉から察するに,リライターはタイムスリップ先で出会う偉人(レブナント)と,なんらかのつながりがありそうですが……。

殿崎氏:
 中心となるリライターにはテーマとなる時代が設定されていて,彼らの血脈に関係のある時代へとタイムスリップしていきますので,偉人達とつながりがあるかもしれませんし,ないかもしれません(笑)。これは,シナリオの中でルーツを感じさせる出来事が起きるかを,自分の目で確かめていただきたいですね。“つながり”を示唆するヒントは,リライター達の名前やプロフィールなどから読み取っていただければと。

4Gamer:
 どういったつながりがあるかを予想しながら遊ぶ楽しさもありそうですね。リライター達はどのようにして偉人達と接点を持つことになるのでしょうか。
 
殿崎氏:
 例えば戦国時代であれば,ある武将を中心としたストーリーの中で彼を取り巻く時代を修正していきます。リライター達は過去にタイムトラベルして歴史をリライトするために行動していますが,歴史の線の上に生きている偉人達にもなすべきことがあり,独自に行動しています。このリライターと偉人の“線”がぶつかり合うことでストーリー上に接点が生まれ,物語が動いていくんです。出会いを経て歴史リライトをすると,新たにタイムスリップできる時代が増え,獲得できるキャラクターのガチャも開放されていく仕組みになっています。

4Gamer:
 タイムスリップできる時代ごとに,引けるガチャの内容が変わるということですか。

殿崎氏:
 そうですね。ストーリー上の重要なキャラクターを獲得できるストーリーガチャが,時代ごとに開放されていきます。このガチャは,一定の数まで引くとすべてのキャラクターを獲得できるようになっていまして,なるべくプレイヤーのみなさんに狙っているレブナントが行き渡るような設計にしてあります。
 また,バトルで獲得できるガチャポイントを使うことでも引ける仕組みになっているので,シナリオを進めるとガチャを引きやすいようにも調整をしています。
 
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フランシス・ドレイク
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井伊直虎
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真田幸村
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紫式部
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ビリー・ザ・キッド
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佐々木小次郎
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カラミティ・ジェーン

4Gamer:
 メインストーリーやリライター達の専用ストーリーのほか,偉人ごとの列伝ストーリーも楽しめると発表会でお話しされていましたね。

殿崎氏:
 ええ。チェンクロのようにキャラクター1人1人の専用ストーリーを楽しんでいただきたくて,「戦国大戦」「三国志大戦」のキャラクターはもちろん,本作独自に新規で書き起こしたすべての偉人にもストーリーを用意しました。歴史好きのこだわりが炸裂するとこうなるのかと思わずにはいられない,マニアックな時代の登場人物もいたりします。

4Gamer:
 列伝ストーリーだけでも500以上のシナリオがあると伺っていますが,これは書き手さんの作業量もすごそうですね。

殿崎氏:
 物量は確かに多いですけど,シナリオライター達はかなりノリノリで書いてますよ(笑)。しかも歴史が非常に好きなライターばかりなので,ベタなものは書かないんですよね。これ,誰が知ってるエピソードなんだろう,というものもあったり。特定の時代だったら目をつぶってでもシナリオを書けるというぐらい,歴史愛に溢れているスタッフもいて,とても心強いです。

4Gamer:
 チェンクロの場合は,専用ストーリーをこなすとキャラクターのアビリティが開放される仕様ですが,本作も同様のシステムでしょうか。

殿崎氏:
 いえ,基本的にレブナント(偉人)は,獲得時からすべての性能を発揮できるようにしてあります。代わりに,列伝ストーリーをクリアすることによってガチャを回すための石を得られます。

4Gamer:
 ということは,基本のプレイサイクルとしては,現代を拠点に過去の時代へタイムスリップし,メインストーリーを進めてさまざまな時代を開放。列伝ストーリーもこなしながら石を溜めて,仲間にできる偉人を増やしていくという形ですね。

殿崎氏:
 そうですね。過去へタイムスリップしてメインストーリーを進めていくこととなりますが,歴史のリライト後に現代へ戻り,学園都市を探索するアドベンチャーパートも重要なファクターになっています。

4Gamer:
 リライトを繰り返しながら,アドベンチャーパートで現代に起きている異変が修正されているかを確認するわけですね。

殿崎氏:
 加えて,アドベンチャーパートは,キャラクターの性格や意外な一面を楽しんでいただくためのお楽しみであり,リライターのパラメータを成長させるためのパートでもあります。
 過去パートで行うバトルでは,プレイヤーキャラ(リライター)は基本的に成長しません。バトルによって経験値を得るのはセットしているレブナントのみですので,リライターを育成したい場合はアドベンチャーパートでの探索が必要になるということです。まぁ,アドベンチャーパートは,いわゆるパートナーキャラとのデートなんですけどね。

4Gamer:
 アドベンチャーパートがデートという括りになると,主人公と織田信吾の組み合わせに,ドキドキしちゃいますね(笑)。探索と言えば,都市内でのシーンでゲームセンターが登場しますよね。そのシーンの中で「maimai」と「CHUNITHM」の筐体が写っていて,“セガ”という大きな枠組みの中でつながりを持たせているのかなと,ニンマリしてしまいました。

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殿崎氏:
 あれは意図的に入れたものではなく,開発スタッフの遊び心によるものです(笑)。先ほどもお話ししましたが,さまざまなキャリアを持ったスタッフが集っていることもあって,こういった社内コラボをゲリラ的に仕込んでいることがちょこちょこあるんですよ。
 セガ好きな人であれば,探索中に“隠れ○○”を探す楽しみもあるんじゃないかなと思います。ゲームの中にタイトルの垣根を越えた遊び心を仕込んでいるので,ぜひ探してみてください。

(※)男性用小便器に液晶モニターとセンサーを設置し,モニター上でゲームが遊べる電子POP。用を足すときの水流の強さや総水量,照準によってさまざまなミニゲームを楽しめる一種の体感ゲームだ
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4Gamer:
 ちょっとした思いつきなんですが,トイレのシーンに「トイレッツ」(※)があったら面白そうですね。

殿崎氏:
 なるほど(笑)。これは信吾のシナリオあたりにいいかもしれません。

4Gamer:
 現代をベースにしているからこそのコラボ感もきっとありますよね。

殿崎氏:
 ゲームを作っていたら,こういった遊びを入れてこそなんぼ,というところは確かにあります。

4Gamer:
 ぜひご検討ください(笑)。ちなみに,パートナーと探索することで,イベントが起きたり,パラメータに変化はあるのでしょうか。

殿崎氏:
 アタッカー,ライダー,シューターといったレブナントが持つ特性との相性を表す“兵種適合率”が上がっていきます。加えて,同じパートナーと何度も探索することで,親密度(ハートマーク)が上昇し,リライター達のアビリティが開放/成長していきます。このアビリティには,つながりのある偉人の攻撃力などを高める効果を持つものもありますので,探索で習得させておいて損はないですね。兵種適合率はキャラクター傾向,アビリティはキャラクターのユニークな特徴と思っていただければと。

4Gamer:
 兵種適合率が上がれば相性のいいレブナントが増え,編成の幅が広げられるという要素ですね。特定のリライターと探索に出かける回数に制限はありますか。

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殿崎氏:
 探索用のチケットを用意していますので,デートに行ける回数は決まっています。チケットを課金で増やすということは考えていなくて,毎日ログインすることでチケットをもらえるようにしています。現実世界でも,デートに何回も行って初めて付き合ってもらえるようになるのであって,お金を払ってデートをしたら恋人になれるって,なんか違うと思うんですよね。

4Gamer:
 ゲーム内においても,キャラクターごとの特性が壊れるぐらい課金でカバーできるようにしてしまうと,後々出るキャラクターを育てる欲求が起きにくくなってしまいますよね。

殿崎氏:
 “プレイヤーに楽しんでもらうこと”が僕らにとっては最も重要なことで,ただ課金をすればすべてを解決できるシステムは好きではないんです。これはアーケードゲーム開発出身のスタッフがよく言っていることなんですが,「ゲーセンのゲームは先にお金を払っていただいて,その後にいかに楽しんでいただくかが重要だし,楽しんでもらうための施策を純粋に考えて開発している」と。

4Gamer:
 アーケードゲームとFree-to-Playのゲームでは,根本的な部分が大きく異なりますよね。

殿崎氏:
 ソーシャルゲーム畑にいた僕からするとこのゲーム作りに対する想いは新鮮で,これまでプレイヤーを楽しませることに重きを置く“イズム”を意識せずに表現していたんだなと。「セガらしいな」と言われるくらいイズムの活きたタイトルになればいいなと思っています。

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戦略性に富んだ「R・A・D」バトルシステムに迫る

 
4Gamer:
 バトルシステムについてですが,基本のシステムはチェンクロのラインディフェンスバトルをベースとしたものなのでしょうか。

殿崎氏:
 見た目がチェンクロのバトルに近いのもあって,誤解されることが多いのですが,本作のバトルシステムはまったく新しいシステムを搭載した「リヴァイブ・アクション・ディフェンス」(R・A・D)バトルになっています。
 チェンクロの場合だと,プレイヤーにとって「キャラクターを動かす」ことが最もプライオリティの高い行動になっていて,自分の陣地を守るためにライン上の敵を排除するシステムですよね。
 しかし「ワールドチェイン」の場合は,レーンやマスといった概念がなく,ウェーブごとにワラワラと出現する敵を倒していきます。メインで戦うのはあくまでリライター達で,一定時間召喚できるレブナント(偉人)をリヴァイブ(召喚)し,有効に活用することでバトルの戦況が変化していきます。

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4Gamer:
 プレイヤーの介入するタイミングや,バトル中に見るべきポイントもチェンクロとかなり異なっていそうですね。

殿崎氏:
 おっしゃるとおりで,「ワールドチェイン」は基本的にオート/セミオートで戦うことを前提としていて,プレイヤーが介入すべきポイントが“どのキャラクターを移動させるか”ではなく,“どのタイミングでどのキャラクターをリヴァイブさせるか”になっています。
 オート中もキャラクターの移動は任意で行えますが,基本はシステムが代行することで,戦況に合わせたキャラクターの運用を考える余裕が生まれます。
 リヴァイブによるアクション性と,アビリティや敵との兵種相関で生まれる戦略性に,オートプレイの快適性をうまく融合させた新しいバトルシステムが生まれました。これによって,プレイフィール自体もチェンクロと大きく変わっているはずです。


4Gamer:
 お話を聞く限りかなり印象の違ったバトルになっていますね。

殿崎氏:
 押し寄せる敵をなぎ払う爽快感のあるバトルに仕上がっていますが,中にはかなり強い敵も出現するので,4人のリライターにセットするレブナントの編成も意識すると攻略がスムーズになりますよ。
 例えば,プレイムービーに登場しているシューターのビリー・ザ・キッドをリヴァイブすると,仲間のターゲットや攻撃に合わせて支援射撃をする効果を発揮します。前線で敵の体勢を崩すキャラクターを組み込んで,支援射撃してくれるビリー・ザ・キッドを召喚すると,相乗効果が生まれて爽快感のある連続攻撃を繰り出せます。これがめちゃくちゃ気持ちいいんです。

4Gamer:
 戦略がうまくハマったときの達成感や爽快感は相当気持ちよさそうですね。

殿崎氏:
 一般的なスマホゲームでは,ステータスが最強の4人をセットすればあとはもうクリアするだけという仕様に陥りがちです。ですが本作は,敵ごとの特徴やリライターとレブナントの相性,パーティとしてのバランス,戦闘での有効な立ち回りが必要となるので,出現する敵に合わせてレブナントを付け替えなければなりません。
 パラメータの優劣だけでははかれない戦略性,攻略性を感じていただけると思います。リアルタイムでバトルを行い,効果的なタイミングでリヴァイブして戦況を打破する,これが「リヴァイブ・アクション・ディフェンス」バトルとなっています。

4Gamer:
 ふと気になったのですが,特定の時代の武将をパーティ内に組み込むことで“戦国結束”のようなパラメータ変動が起きることはあるのでしょうか。

殿崎氏:
 いいところを突きますね。レブナントの組み合わせは戦術的な相性はありますが,編成でパラメータに変化が及ぶことはありません。ただ,レブナントを召喚したときに一定時間“戦国系のレブナント”の能力をアップさせるなど,さまざまな効果が発動します。いろいろとバランス調整に苦しんだところはありますが,戦闘システムが一番面白くあるべきということが開発サイドとして重要なテーマとなっていたので,最終的にいい形にまとまってくれてとてもよかったです。

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4Gamer:
 バランシングがかなり重要となるバトルシステムのように感じますが,マルチプレイの要素はあるのでしょうか。

殿崎氏:
 フレンド機能はありますが,フレンドにならなければ使えない機能はないです。バトルの保険として活躍してくれるゲストキャラに至っても,フレンドである必要はなかったりします。

4Gamer:
 あくまで1人で遊んでもらうためのゲームとして作っていらっしゃるんですね。

殿崎氏:
 みんなで遊ぶというよりも,1人で遊ぶためのゲームですね。ソーシャルゲーム全盛期に逆らうような仕様にしてしまうのか……と思う人もいるでしょうが,みんなで遊ぶときに楽しいポイントと,1人で遊ぶときに楽しいポイントは違うと思うんです。本作を楽しんでもらうのに最適な手段を突き詰めると,マルチプレイの要素はなくてもいいんじゃないかなと。
 うまいアプローチの仕方があれば,後々マルチプレイの機能を搭載するかもしれませんが,現状では基本のコンセプトからはあえて外しています。

4Gamer:
 だからこそゲームとしてのバランシングをとことん突き詰められているわけですね。

殿崎氏:
 そのとおりです。マルチプレイを搭載しないからこそ突き詰められるものもあると思っています。また,いろんな層の人に遊んでもらうために,随所に長く遊ぶための仕掛けが入っていますので,マイペースでコツコツと遊んでいただきたいです。

4Gamer:
 チェンクロは第二部,第三部といった展開をされますが,「ワールドチェイン」でもそういった展開の予定はあるのでしょうか。

殿崎氏:
 どういった言い方をするかは分かりませんが,順次いろんな時代が追加されていきます。すでに終盤のストーリーを構成するところまで開発は進んでいて,これは何年後に見られるシナリオなんだろうか……というぐらいのボリューム感になっています。チェンクロの第二部を上回るぐらいのボリュームになっていますので,なんらかの形で展開するかもしれません。

4Gamer:
 リリースを前に,終盤まで開発が進んでいるとは……。

殿崎氏:
 なにせ開発期間が長かったですから(笑)。
 それに,開発チームがプロジェクトを監修する“松永イズム”を継承しているところもあって,基本の設計段階からキチンと詰めていく開発の流れがあるというのも理由としてあるのかもしれません。後付けでの補填は厳しいというのは開発チームのスタッフも十二分に理解していますし,作るのであればとことん突き詰めてプレイヤーが楽しめるものを作るべきだと思うんです。

事前登録者数15万人を突破すると,ゲーム開始時にSSRキャラクターである立花誾千代が配布される
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4Gamer:
 聞き忘れていたのですが……事前登録者数15万人突破で配布される立花誾千代はどういったタイプのレブナントなんでしょうか。
 
殿崎氏:
 ゲーム開始時に最初に手に入れられるSSRキャラクターですね。兵種はライダーで,いわゆる騎兵のようなものです。バトル中にリヴァイブすると移動速度が速くなり,突撃特性による突進もできます。汎用性に富んでいて,どんなパーティにも組み込みやすいキャラクターになっています。また,ライダーの兵種は,助走をつけることで強力な突撃を繰り出せるようになりますので,操作に慣れてきたら助走をつけて突撃させる玄人技を試してみるのも面白いかもしれません。

4Gamer:
 ウッカリ事前登録を忘れてしまっている人は,今のうちに登録してゲーム開始時にSSRキャラをゲットできるようにしておきたいですね。それでは最後に,「ワールドチェイン」を心待ちにしている読者にメッセージをお願いいたします。

殿崎氏:
 何年も続くタイトルとなるよう制作していますので,ぜひいろんな人に長く遊んでいただきたいです。正統派のチェインシリーズ第2弾のリリースを楽しみにしていてください。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。
 
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