インタビュー
好きなゲームはまったく一致しない──「ORDINAL STRATA -オーディナル ストラータ」,今後の展開も聞けたプロデューサーインタビューを掲載
今回4Gamerは,その2名のプロデューサーに話を聞く機会が得られた。本作の開発経緯やコンセプト,今後の展開に関して教えてもらえたので,その内容をお届けしよう。
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好きなゲームはまったく一致しない
4Gamer:
本日はよろしくお願いいたします。本作はフジゲームス側,マーベラス側それぞれにプロデューサーを立てる体制で制作されているそうですが,自己紹介を兼ねてそれぞれの具体的な役割からお聞かせください。
フジゲームス 前田駿輔氏(以下,前田氏):
それぞれの役割を一言で説明するのは難しいですね。プロモーションはフジゲームスが,開発はマーベラスさんが担当する形ですが,実のところは相互に関わり合っています。
マーベラス 高木康次朗氏(以下,高木氏):
そうなんですよ。自分の立場としては,フジゲームスさんと開発側の意向をすり合わせる代表者という言い方になるかもしれません。
4Gamer:
元々は「プロジェクトクロノス」として発表された本作ですが,これまでの開発経緯や流れはどういった形だったんでしょうか。
関連記事:[TGS 2016]メインテーマはX JAPANのToshlさんが作曲。フジゲームスとマーベラスが共同制作中の“ドラマチックRPG”「プロジェクトクロノス」が発表に
オデストは企画が立ち上がった当初,マーベラス単独のものでした。詳細を詰めていく中でフジゲームスさんとの協業が決まり,開発がある程度進んだ段階で,東京ゲームショウにて発表した形となります。この発表後に,フジゲームス側の陣頭として前田さんが参加しました。
前田氏:
大体の時期としては2016年の12月頃です。
高木氏:
そのときからプロデューサーは2人となり,互いに「ここは譲れない」という部分があったので,ゲームの調整や修正は大変でしたね(笑)。しかし異なる切り口から指摘をもらえたことで,最終的には良き着地点を見つけられたと思います。
4Gamer:
具体的にはどういった変化があったんですか?
前田氏:
もっとも大きな変化といえば,かつてはキャラクターを直接操作するバトルシステムだったという点でしょうか。その頃の戦闘はオートではなく,アクションや探索といった要素なども用意されていて,かなり据え置きタイプのRPGっぽかったんです。ROUND数に応じてキャラが移動するとき,背景もキチンと動くのはその名残ですね。
高木氏:
歩き回って冒険するというRPG的な部分を残そうと思ったんですが,やはりスマートフォン向けのタイトルだったので,より遊びやすい現在の仕様へと変わっていきました。
4Gamer:
プロジェクトの陣頭に立つ人間が2人いるということに,複雑な心境を抱いたこともあるとは思いますが,振り返ってみて「良かった」と思える部分はどういったところでしょうか。
高木氏:
僕だけでは思いつかなかったアイデアが出せるというのはもちろんですが,それ以上に1人だと固執してしまう考えに対し,冷静な目線から意見をもらえたのは貴重な経験だったと思います。1人では開発が行き詰まっていたかもしれません。
アクションや探索といった要素は,プレイヤーに相応の操作量を課してしまいますし,面倒だと受け取られてしまうリスクもあります。それぞれの要素に見合う面白さは提供できるのか。当時はこの答えを明確に出せていなかったので,現在の仕様に振り切れたのは良き判断だったと思います。
4Gamer:
前田さんと高木さんは普段遊ぶゲームも近かったりするんでしょうか。
いえ,まったくといっていいほど一致していません(笑)。僕は対戦ゲームが好きなんですが,高木さんはシングルプレイのゲームが好きですね。
高木氏:
そうですね。「ファイナルファンタジー」シリーズが好きですし,スマホでもRPG系を好んで遊びます。どちらかというと,プレイヤースキルが問われるゲームは苦手なので,1人でゲームの世界観に浸りながら遊ぶのが好きですね。
前田氏:
お互いに好きなゲームのジャンルも感性も違うからこそ,話し合いの中でも「そういう見方があるのか!」という意見が出てくるんですよ。
新たな発見こそがRPGの楽しさ!
ゲーマーに向けた調整の裏側にある「こだわり」
4Gamer:
「オデスト」が配信されてから約1週間が経過しました。配信前と比べて現在の心境はいかがでしょうか。
※本インタビューは1月17日に収録しています。
高木氏:
開発期間が長かったうえに,初期バージョンから変化した要素が非常に多かったので,リリース前は不安でいっぱいでした。配信開始直後から多くの人に遊んでいただき,サーバー負荷の面でもトラブルなく進行できたので,今は少し安心しています。
前田氏:
サーバーの負荷は大丈夫だと分かった瞬間,まだ具体的なデータが見えなかったので,もしかして遊んでいる人がいないのかと心配もしましたが,データが上がってきてようやくホッとしたものです。
4Gamer:
プレイヤーからの反応は現状いかがでしょうか。
前田氏:
とくに3Dキャラクターの掛け合いや,2Dのアニメーションを含めた“キャラ劇”が評価され,お褒めの言葉を多くいただいています。主人公だけでなく,さまざまなキャラに人気が出ていて嬉しいですね。
高木氏:
実際にプレイされた方の中には「思っていたゲームと違う」と感じた人もいらっしゃると思います。オデストは比較的歯応えのあるゲームバランスを採用していますが,カジュアルに楽しみたいユーザーさんを切り捨てるつもりではありません。今後も積極的に要望を集めて,より遊びやすい環境を構築していきたいです。
前田氏:
どんな要望でも必ず目を通していますので,ガンガン寄せてほしいですね。多くの声が集まれば,問題解決の優先度を前後させることもできますから! お問い合わせのご意見以外でも,オデストの公式Twitterにリプライを飛ばしていただくか,「#オデスト」でツイートしていただければ,より早く拾えますので,ぜひこちらもよろしくお願いいたします。
4Gamer:
確かに,ゲームの難度は高めです。油断しているとストーリー上のボスにも倒されてしまうバランスですが,この歯応えのある形にした意図とはなんでしょうか。
前田氏:
難度のバランスも含めて「コンシューマライクなゲーム」という評価をいただくことが多いのですが,これがまさに意図したとおりの反応です。コンシューマのRPGでは,進行に応じて明確な“壁”にぶつかるのが王道ですよね。手強いボスはその“壁”なんです。
高木氏:
それらの“壁”は,システムの活用で乗り越えられるバランスに細かく調整していますので,ぜひ工夫を凝らして乗り越えてほしいと思います。
前田氏:
「ガチャでキャラを引けば勝てる」というゲームバランスにしたくもありませんでしたので,ストーリー進行によって獲得できるキャラもちゃんと強くなるように調整しています。もちろんガチャを利用するのも手段の1つですが,それだけが突破の道ではありません。
4Gamer:
強いボスといえば,バルログ降臨イベントで登場したレイドボスのバルログは,非常に強力な敵でしたね。しかし工夫次第では,戦いをかなり有利に進められて,とてもRPGらしい体験を味わいました。
前田氏:
バルログ攻略の一例としては,「エレナ」の状態異常技がよく使われている様子でした。「オルディナ」の“スイッチオーバー”と組み合わせて,状態異常の成功率を高めれば,より攻略しやすくなります。実はランダムではなく,行動パターンは決まっているので,よく分析すれば,戦力が劣っていても勝ち目がありますよ。たとえば,バルログの“ブラッディムーン”は,HPがもっとも低いキャラを必ず対象とするので,あらかじめHPの低いキャラにバフをかけておくなど,対策すれば勝てるようにもなると思います。ぜひいろいろな戦い方を試してみてほしいですね。
高木氏:
パーティ編成や戦い方は,遊んでいく中で“発見するもの”だと考えています。ゲーム全体をとおして,そういった体験を楽しんでもらいたいです。
前田氏:
個人では調べ切れないだろう仕様もたくさんあるので,攻略情報はプレイヤーの皆さんで共有してもらえると嬉しいです。また,精霊討伐は最大20名が参加できるので,プレイヤーさん同士で協力を募って攻略いただけると嬉しいです。
4Gamer:
スマホのゲームとして,この方向性を採用するのは勇気がいる決断ではありませんでしたか?
高木氏:
最近はゲーム性の高いタイトルも増えてきました。おっしゃるとおり,バランス調整に関してはかなり悩みましたが,最終的には“どちらがゲームらしいか”で振り切っています。
4Gamer:
細かな部分にもプレイヤー側が強くなれる仕掛けが施されていますよね。
僕の考えではありますが,RPGというジャンルは“新しい発見”がゲーム体験において重要だと思っています。そのためオデストのチュートリアルは基礎的な要素の紹介に留めており,細かい部分はプレイヤー自身が発見して,活用できるようにしました。
前田氏:
システム面だけでなく,実はストーリーに関してもいろいろ仕込んでいます。たとえば,全員プレゼントのキャラクター,オルディナという名前とオデストのタイトルは,語感が似ているでしょう? そういった世界観を考察できるような要素も取り入れています。
4Gamer:
その追及は……今ここでは難しいでしょうね(笑)。ちなみに,スマホゲームとしてはキャラの数が少なめだと思いますが,こちらも意図的なものでしょうか。
高木氏:
ええ,それは個々の存在感を薄めたくなかったからです。「このキャラはレアリティが低いから,序盤しか役に立たない」で終わりではなく,出会ったキャラとは長く付き合えるゲームにしたかったんです。ガチャにも,「強いキャラを手に入れるため」というよりは「愛着あるキャラを強くするため」という方針をとっています。
たとえばカードゲームでも,高いレアリティでコストも低いカードが強いと「嫌だなぁ」と感じますよね。低レアリティには強いカードを,高レアリティには面白いカードを用意してほしいと僕は思います。オデストにもこの考えが反映されていて,入手方法がガチャではない「アスセナ」や「ロダン」は,ぱっと見で強さが分かりやすい能力を持たせています。
4Gamer:
ゲームの進行に応じて敵が強くなっていき,前線に出していたキャラが力不足だと感じる局面を迎えることもあるかもしれません。このときの“救済”は用意されているんでしょうか。
高木氏:
確かに,初期から仲間にいる「アスセナ」も,いずれは見劣りしてしまうことがあるかもしれません。そういった局面を迎えたときは,新しい能力を追加するなど,上方修正を入れることも考えています。
前田氏:
ストーリー上で加入する仲間には現状,専用ボイス付きの装備がありませんよね。彼らの専用ボイスは収録済みなので,どこかでその装備も登場させる予定です。今後の強化イベントの1種としてご期待ください。
「ルーンファクトリー4」コラボは2段構えで開催
“時代が変わる”ストーリー第3章も準備中
4Gamer:
オデストでは「ルーンファクトリー4」とのコラボも発表されていますが,どういった内容を予定されているんでしょうか。
\\オデスト初コラボ決定!//
— 【公式】ORDINAL STRATA -オーディナル ストラータ (@odesto_official) 2018年1月11日
2018年春頃に『 #ルーンファクトリー4 』とのコラボレーションが決定!
続報は近日公開予定ですのでお楽しみに! #オデスト pic.twitter.com/ArvH6DQfuX
前田氏:
まずは「ルーンファクトリ−4」に関連する武器が登場し,春以降にはキャラクターも実装するという2段構えの展開を予定しています。
4Gamer:
コラボイベントを分割した理由について教えてください。
前田氏:
「オデスト」とのコラボでもっとも大切なことは何かを考えた場合,それはやはりキャラ劇だと思うんですよ。「ルーンファクトリー4」のファンの皆さんも,作品のキャラクターが登場してプレイアブルになることを期待しているはずです。
とはいえ,キャラクターの3Dモデルやシナリオ,それに沿ったアクションなどを作るには,相応のコスト(時間)が必要ですなので,できたものから展開していこうというわけですね。
4Gamer:
なるほど。ちなみにルーンファクトリーは戦闘だけでなく,シミュレーション部分にも切り離せない魅力がありますよね。
高木氏:
単にキャラクターを実装するだけでなく,ファンの皆さんが楽しめるように,意味のある形で登場させたいと考えています。細かく作り込むために,もう少しだけお時間をいただければという次第です。また2月には,飯田里穂さんのキャラクタープロデュース企画も控えています。まだ詳細はお伝えできませんが,ほかのコラボも複数決定していますよ。
前田氏:
本当は今すぐにでも言いたいのですが(笑)。各所の準備が完了するまでお待ちください。
高木氏:
ちょうど先日に,飯田さんのキャラクタープロデュース企画によるキャラ劇を拝見したんですが,とても良いお話になっていました。飯田さんの演技が光っておりますので,ぜひご期待ください。
4Gamer:
発表時から期待されているファンは大勢いらっしゃると思います。2月が楽しみですね。
前田氏:
さらに,メインテーマを担当されているToshlさんもゲームに直接関わることになります。
4Gamer:
というと,新たな楽曲提供が発表されるんですか?
前田氏:
Toshlさんについては,近々驚愕の発表がありますので,楽しみにしててください。
4Gamer:
盛りだくさんの情報を聞けました。ストーリー第3章の公開も気になるところなんですが,こちらはいつ頃を予定されていますか。
前田氏:
具体的な時期は未定ですが,第3章の配信は2月のコラボイベント以降となります。
高木氏:
第3章は“古代編”というテーマで,現代から過去へとさかのぼることになります。
4Gamer:
タイムトラベルモノのストーリーなので,もっと時代が変わっていくのかと思いましたが,第2章の終わりまでまるっと“現代編”とは思いませんでした。
これは狙った部分でもありますが,ストーリーではタイムトラベルを便利に使いすぎないように気をつけています。オデストの世界観はオリジナルなので,プレイ開始直後は「ここがどんな世界か分からない」という状態でゲームを進めることになります。あまり目まぐるしく舞台が変わってしまうと,各時代の世界に理解が持てないんですよね。とくに最初の現代編は,世界観や仕組みを分かりやすく伝える必要がありましたので,かなり掘り下げています。
4Gamer:
第3章以降も2Dアニメーションは用意されるんでしょうか。
前田氏:
もちろんです。今後もストーリーの重要な場面では,2Dアニメーションを挿入していきます。
高木氏:
ゲームの開発段階では,2Dアニメーションの導入をかなり悩んでいました。スマホゲームのアニメーションって,まずスキップされがちなんです。容量も増えますし,不要な要素の筆頭でしたから。
4Gamer:
では,なぜ導入に踏み切ったんです?
高木氏:
ストーリーを見せるための一環です。本編の重要なシーンでは,デフォルメの3Dキャラよりも2Dアニメーションのほうが,演出としてはしっくりとくるんですよね。
前田氏:
プレイヤーさん達の反応を見ていたら,第3章以降の登場キャラに気づいている方もいました。2Dアニメーションもしっかりと見られているんだと安心しています。
新キャラが手に入るイベントも実施予定
各種機能強化&強力な精霊討伐も実施予定
4Gamer:
直近のアップデートでは,どういった内容が実装されるんでしょうか。
高木氏:
まずは倍速機能です。開発段階からあった機能ですが,リリース時には一時オミットしていたんです。多くの要望があることを確認しているので,早めに対応いたします。
4Gamer:
消費BPに関する調整も行われたばかりですが,レイドバトルのシステムには引き続き手が入りますか?
高木氏:
もちろんです。貢献度の細かい情報や,チャットで画面の一部が隠れてしまうなど,多岐にわたる調整項目を用意しています。さらに強力な精霊の実装も予定しており,それに伴って上位の精霊武器も登場するので,ご期待ください。
4Gamer:
現状でも,精霊武器はガチャの武器よりも強いというケースがありますよね。
高木氏:
精霊討伐を通じて入手できるSR武器を強化するだけでも,戦力はかなり安定すると思います。バースト演出も通常のSR武器より派手でカッコイイので,ぜひ手に入れて一度見てほしいですね。
今後はさまざまな組み合わせが楽しめるように,面白い効果を持つ武器も用意したいと考えています。
4Gamer:
ざっくりと言って,オデストでは今後どういった方向を目指されているんでしょうか。
前田氏:
何よりも第一にキャラを愛してもらえるゲームにしたいです。凝ったキャラ劇を制作する関係上,キャラ開発には長い時間を費やしてしまいますが,その分掘り下げを大切にしていきます。今後はストーリーに関わるイベントを中心に展開しますので,その点もご期待ください。
4Gamer:
ストーリーに関わるイベントというのは,どういったものになりますか?
前田氏:
イメージとしては,本編の番外編のようなものです。新キャラクターを中心としたストーリーが展開し,通常のストーリークエストのように物語をお楽しみいただけます。
イベントクリア時にはその新キャラを獲得できるので,ぜひ挑戦してみてほしいです。
4Gamer:
ありがとうございました。最後に,オデストのプレイヤーに向けてメッセージをお願いいたします。
高木氏:
まだサービス開始から日の浅い作品ですが,プレイヤーの皆さんと一緒に育っていけるゲームにしていきたいです。まだ遊んでいないという方は,ぜひプレイしてみて,主人公や仲間たちを愛してあげてください。
前田氏:
新規IPの作品でシステム面でもさまざまな挑戦を含んだタイトルなだけに,皆さんのご意見を待っています。より良いゲーム体験を提案するだけでなく,楽しめるさまざまなプロモーションの仕掛けも用意していきますので,今後ともよろしくお願いいたします!
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(C)Fuji Games Inc. / Marvelous Inc.
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