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マーベラス・高木氏が明かす「閃乱カグラ」の裏側――鉄拳・原田Pの不定期連載「原田が斬る!」。第4回は爆乳プロデューサーがその半生と,これからの10年を語る
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印刷2017/04/29 00:00

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マーベラス・高木氏が明かす「閃乱カグラ」の裏側――鉄拳・原田Pの不定期連載「原田が斬る!」。第4回は爆乳プロデューサーがその半生と,これからの10年を語る

ゲーム以外の仕事はやれないし,向いてないと思っていた


原田氏:
 閃乱カグラの話はもちろんですけれど,高木さん自身がどんな人なのかってところに僕は興味があって。だからまず,生い立ちから聞いてみたいんですけど,ゲームは昔からお好きだったんですか? というか,子供の頃は家でゲームができる環境でした?

高木氏:
 ウチは親に禁止されてて,ゲームできなかったんですよ。ファミコンすら買ってもらえなくて,だからゲーセンに行くっていう。

原田氏:
 ああ,そこは僕とまったく一緒ですね。

高木氏:
 カツアゲされながら,命がけでゲームをする。それが小学校高学年くらいまで続いてました。

原田氏:
 そうなんですよ。禁止されたら外でやるしかないから,塾の帰りとか習い事の帰りの合間を縫って,ゲーセンに行くんですよね。


高木氏:
 ゲーセンに行くとか,ファミコン持ってる友達の家をはしごして,今日はアイツの家に行こう,みたいな感じで遊びに行くとか。そういったことをずっとやってましたね。

原田氏:
 解放されたのはいつぐらいですか。僕は大阪生まれの奈良育ちで,18になってから東京に来たので,ゲームが自由にできるようになったのは,一人暮らしを始めてからだったんですけど。

高木氏:
 少しずつ家の中でもやってもいいよ,という雰囲気にはなっていたんですが,当然時間を決められたり,「うるさい」ってすぐに止めさせられたりしたので,解禁というならやっぱり大学生になってからですね。一人暮らしを始めて最初にやったのが,テレビの前にゲーム機を並べることでしたから。

原田氏:
 分かります! ファミコンにスーパーファミコン,PCエンジンにネオジオって全部並べるんですよね。

高木氏:
 それまでは,遊び終わったらしまえって言われてたのが,これからは置きっぱでいいんだって。嬉しかったですね。

原田氏:
 ここまでまったく一緒だ(笑)。じゃあ,ちょっと話が戻りますが,子供の頃の思い出のゲーム,自分が影響を受けたゲームって何ですか。僕は鈴木 裕さんの体感ゲームシリーズに,小中学校ですごい影響を受けたんですけど。

高木氏:
 僕は「ダブルドラゴン」ですね。あとは,「魔界村」とかも好きでした。難しくてあまり進めなかったですけど。

原田氏:
 魔界村! そうそう,だいたい2面で死ぬんですよね。「ダブルドラゴン」は大好きです! 後の「ファイナルファイト」「バーチャファイター」に続く,格闘ゲームの原点ですもんね。おかしいな,ここまで人生がほぼ同じだぞ(笑)。

高木氏:
 あとはスーパーファミコンだと,「重装機兵ヴァルケン」とかですね。あれはROMが焼けるまで遊びました。やり過ぎて色がおかしくなったんですよ。

4Gamer:
 大学時代はいかがですか?

高木氏:
 僕が大学のときって,PlayStationやセガサターンが出始めた時期で,ソフトも安くなったのでそれはもう遊びまくりましたね。セガ好きだったので,PlayStationより先にセガサターンを買ってしまったんですけど。

原田氏:
 ゲーム豊作の時代でしたものね。そうか,あの頃僕はもう社会人だったから,世代が少し違うんだ。セガサターンを選んだのは,当時のスタートダッシュとしては正解だと思います(笑)。

高木氏:
 あとからPlayStationも買いましたけど,遊んでたのは,やっぱりセガサターンが中心でしたね。その前,中高校生の時分はずっとネオジオだったんだけど。SNKの荒々しさがすごく好きで。

原田氏:
 やっぱネオジオですよね。全員通った道ですよ。

高木氏:
 あの当時,カプコンのゲームはすごく丁寧に作られていたんだけど,そこが優等生すぎると感じて,血気盛んな自分はあまり好みじゃなかったんですよね。SNKのゲームは,いい意味で適当なところがあって……きっとぎゃははと笑いながら「いいじゃん,これ面白いじゃん」って作ってるんだろうなってのが,中高生だった自分にも伝わってきた。それがすごく刺激的で,響きました。あ,でも鉄拳シリーズも遊んでましたよ。

原田氏:
 おお,ありがとうございます。それはゲーセンでですか?

高木氏:
 ゲーセンで。1作目から遊んでましたし,「3」から「タッグ」あたりの時代は,対戦も盛んにやってました。最近のは,さすがに時間が取れなくてちゃんとやれてないですが。だから,たまにやるとボコボコにされます(笑)。

原田氏:
 僕が若かりし頃のタイトルですね。

高木氏:
 僕は酔っぱらうとよく,「仕事と鉄拳は一緒なんだ」って,若いのに言うんですよ。あれ,中途半端に知識がついて,技の連係とかを覚えだすと,とたんに弱くなりますよね。ここはしゃがまないと,とか,この技はガードとか。それよりは,むしろやり始めでガチャプレイしてるときのほうが強いっていう。

原田氏:
 ガードを意識し始めた当初は,何も考えず暴れてる人のほうが強かったりしますね。そのまま続けていくとブレイクスルーするタイミングがあるんだけど,中途半端なうちは逆にぜんぜん勝てない。

高木氏:
 そこなんですよ。「中途半端な知識でやるんじゃなくて,勢いよくやりなさい」ってことが言いたくて。「だって鉄拳はそうだろ?」って言ってます(笑)。

原田氏:
 そんな例えに使っていただけているとは。

4Gamer:
 ちょっと脱線しますけど,高木さんのご自宅にはゲーム部屋があるんですよね? もう壁一面,崩れんばかりにゲームが積み上がってるみたいな。

高木氏:
 ええ。去年家を新築したので,以前よりパワーアップしています。仕事部屋兼ゲーム部屋という感じで。崩れんばかりなのは一緒ですけど(笑)。

原田氏:
 えっ,それはすごい。欧米のクリエイターみたいですね。向こうはそういう人が多くて。ああ……これ地震がきたらやばいやつですね(笑)。当時からずっとコレクションされていたんですか?

閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH
こちらが高木氏宅の仕事部屋兼ゲーム部屋。主にファミコンやセガ・マークIIIなどのレトロゲームが並んでいる。高木氏「ナムコはハードケースなのが大好きで。3900円で買えるサンキューシリーズとかも,小学生としてはありがたかったです」

高木氏:
 いや,かなり買い直してます。当時は遊んだら売らないと,次が買えませんでしたから。売っては買ってを繰り返して,手元には残らなかった。社会人になって余裕が出てきてから,ちょっとずつ取り戻していってるんです。

原田氏:
 これは飾ってるだけじゃなく,実際に遊ぶんですか。たまに引っ張り出したりとか。

高木氏:
 たまに遊びます。あと箱が目に入ると,記憶が甦えるんですよね。目に見えなくなると忘れちゃうから,箱が大事です。

1階と2階の吹き抜けに設置された棚には,歴代のゲームハードが並べられている。箱だけでなく,中身もちゃんと入っているとのこと。原田氏「この棚は,家を建てるときから考えて,このために用意したんですか?」 高木氏「そうですね。並べたくて(笑)」
閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH
原田氏:
 なるほど,そこかあ。いや,気持ちはすごく分かります。僕も昔パッケージマニアだったので,付属品を含めて箱は全部残してたんですけど,今はもう全部デジタルになっちゃいましたね。2000年になってSteamが出てきたあたりから,頭が切り替わっちゃて。紙の本もゲームのパッケージも捨ててしまって,今は電子書籍と“デジタル積みゲー”ですよ。

高木氏:
 僕も本とか雑誌とかはほぼデジタルです。だけどゲームだけは……それができない。中身なくてもいいから,箱だけ欲しい。あと昔のゲーメストなんかも,捨てられずに全部並べてあります。

原田氏:
 ああ,そうかゲームはダメなんですね。ちなみに,これ奥さんは怒ったりしないんですか?

高木氏:
 怒りはしませんけど,娘が生まれてからは危ないので,ちょっと気を使ってほしいとは言われてますね。だから,もう少し片付けないといけないんですけど……。

原田氏:
 そうか,爆乳プロデューサーと知って結婚されてる奥さんだから,理解が深いんだ。でもこれだけあると,場所はかなり取りますよね。

高木氏:
 なのでもう,この先はもう地下にプライベートゲーセンを作るしかないなって思ってるんです。そうすれば音も出せますし。先立つものはないんですけど(苦笑)。

玄関部分に置かれたアストロシティ筐体。夜はたまに,この筐体にコインを入れながら,お酒を飲むという。高木氏「コインが溜まってないといい音がしないので,ちょっと溜めてあるんです」 原田氏「筐体は,もう大きな貯金箱だっていうくらいしか,言い訳が効かないですよね」
閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH

2階のリビングには比較的新しいめのタイトルが並んでいるとのこと。原田氏「これはヤバい。やってることのレベルがアメリカ人ですよ」
閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH

4Gamer:
 すいません,話を戻しましょう(笑)。高木さんは高校とか大学はどういった方面に進んだんですか?

高木氏:
 高校は普通科に行って,大学は工学部の電気系でした。

原田氏:
 そのときは,将来は何になろうと考えてたんです?

高木氏:
 そのときはもう,ゲームデザイナーになりたいと思ってました。それは小学生ぐらいから,ずっとですね。

原田氏:
 それってゲームで遊びながら,僕もこういうの作りたいって思ってたわけですよね。でも実際にはいろんな道があるわけじゃないですか。俺もこんなキャラクターを描きたいと思ったら,絵の練習をするでしょうし,プログラムに興味があったら「マイコンBASICマガジン」とか見ながら自分でもプログラムを書いてみる。高木さんの場合は?

高木氏:
 最初はやっぱり,「ドラゴンクエストII」とかを遊んで,俺もモンスターデザイナーになろうって,鳥山先生の絵を模写してましたよ。あと,家ではゲーム禁止だからって,ボードゲームを自作したりとか。自分で紙に描いていろいろね。

原田氏:
 僕もゲームブックを自作しましたね。絵も自分で描いて,判定はサイコロで,とか。

高木氏:
 今もそうなんですけど,僕は人と“時間を合わせて一緒に遊ぶ”のが苦手だったんです。1人で自由に遊びたいので,ボードゲームも自分で作って,自分で遊ぶという感じでした。仮想のプレイヤーを増やして,「こいつはこういう趣向でプレイする」って決めたうえで,1人で4人分動かすんです。……ここだけ聞くと,すごい寂しい奴みたいですけど(笑)。

原田氏:
 そんなもんですよ。僕も「大戦略」とか,ああいうゲームで対戦は絶対にやらなかった。自分vs.自分で一方を追い詰めてから,ここから逆転するにはどうすれば? みたいなのを延々とやってました。じゃあ,その頃は将来の道筋を具体的には考えはしなかったんですか?

高木氏:
 具体的なことは,全然考えてなかったですね。岡山の田舎にいて,あまりそういう情報も入らずに。

原田氏:
 昔はネットもなかったですからね。僕が大学の頃にようやく出てきましたけど,まだ一般人が使うにはハードルが高い時代だった。それにあの頃の情報交換なんて,今ほど洗練されてもいなかった。

高木氏:
 ゲーム開発者なんて,どこにいるんだって思ってましたね。

原田氏:
 なんとなく,東京にはいるんだろうな,でも高橋名人は北海道だよな,みたいなイメージで。じゃあ,そんな状態からいきなりマーベラスに入社したわけですか?

高木氏:
 いや,まず開発会社に入ったんです。もう普通に就職活動をして,なんとか拾ってもらったという感じで。

原田氏:
 そのときは,まだゲーム開発の知識もなにもない状態で飛び込んだわけですよね。まあ,大学で教えてくれるものでもないですし,学歴は関係ないといえば関係ないですけど。

高木氏:
 それが,結局新卒だと全然受からなくてですね。血迷って,卒業後にゲーム系の専門学校に行っちゃったんですよ。で,3日くらい通って,「あ,これヤバいぞ」と(笑)。

原田氏:
 あー,“あの当時”の専門学校では,優秀な人は,最初から優秀だったという話をよく聞きます。

高木氏:
 もう,自分でやらなきゃどうにもならないって。ちょっと期待してた部分はあったんです。専門学校に行けば,道筋を作ってくれるんじゃないかって。そのとき,人を頼っていてはダメだってことを痛感しました。結局2年間のうち,半分くらいしか通わなかった。

原田氏:
 通わずに,何をしていたんです?

高木氏:
 ゲーセンのバイトしながら企画書とかをひたすら毎日作って,段ボールひと箱分くらいの作品を積んで,それをゲーム会社に送り付けてました。今思えば……すごく迷惑な話ですけど(笑)。

原田氏:
 漫画家志望の少年みたいな状態だったわけだ。そういう企画書,今の高木さんのところにも送られてくるでしょう? 僕の考えた「閃乱カグラ」のシナリオとか,キャラクターとか。

高木氏:
 すごい来ますね。でも,ほとんど見ない……というか,見きれないんです。

原田氏:
 そうですよね。なかには真剣にゲーム業界に入りたいって人もいるだろうし,その熱意は汲んであげたい。だから,僕は基本全部読んではいるんですけど。若き日の高木さんの場合は,送った先からのレスポンスはありました?

高木氏:
 なかったです。ただそれは,あの当時作ってたものが,やっぱり単純に面白くなかったからじゃないかな。で,専門学校を卒業する頃になって,そのときは24とかでしたけど,とりあえず東京に行こうって思い立って。

原田氏:
 東京に行けば糸口がつかめるんじゃないか。ゲーム開発者がそのへんを歩いてるんじゃないか,みたいな?

高木氏:
 それもありますし,背水の陣ってことで,家も仕事も決めずに1回行ってみようと思ったんです。で,跳び込みで家とかも決めて,派遣の仕事とかしながら1年半くらい。ずっと企画書を書いてました。

原田氏:
 それで開発会社の応募を見つけて,企画書を持って売り込みに行ったと。

高木氏:
 そうです。そのときはテレビのADとかを派遣でやってたんですけど,少しずつ居心地が良くなってきちゃってたんですよね。昇進までしちゃって,これはまずい。このまま上に行っちゃうと,取り返しが付かなくなるって。

原田氏:
 本来行きたかったところに行かず,違う業界に住みついてしまいかねない。

高木氏:
 そうそう。そこで「違う,俺は東京にゲームを作りに来たんだ!」って辞めて,最後の1〜2か月くらいは無職でした。これがラストチャンスだと思いながら,企画書を書いてた。

原田氏:
 じゃあ,ゲームデザイナーになろうという意思が,かなり明確にあったわけだ。

高木氏:
 意思はありましたけど,今思うと,ちゃんと考えてなかっただけですよね。勢いだけだった。

原田氏:
 でも,普通はできないと思いますよ。テレビ業界でうまく行きかけてたのならなおさら,先立つものもないのに,いきなり辞めたりなんて怖くてできない。ただ,勇気づけられる話ではあるけど,今の学生さんには参考にならないですね。

高木氏:
 結構,無茶をしたと思います。汚い話ですけど,東京来てからゲーム会社に受かる日まで,毎日,腹を下しっぱなしでしたから。受かった日に治まりましたけど,そのくらい精神的に追い込まれてたし,追い込んでました。

原田氏:
 ストイックですねえ。

高木氏:
 ゲーム以外の仕事は,やっぱりやりたくなかったんですよ。やれないし,向いてないんだろうなと。

原田氏:
 素晴らしい。……いやこれ,いい話を引き出せましたよね? 高木さんのこんなインタビュー,なかなかないんじゃないかな(笑)。

(一同笑)



「サマーレッスン」に感じた嫉妬と悔しさ


原田氏:
 いちおう自分の話もしておこうと思うんですけど,僕は開発者になろうという発想は,中学生の頃に一回捨ててるんですよね。プログラマーになろうと思って,試しに1週間くらいかけてプログラミングしてみたんだけど,それがあまりに面白くなかった。こんな無駄な苦労をするくらいなら,俺はプレイする側でいいやって。

4Gamer:
 それなら,どうしてナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)に入社されたんですか?

原田氏:
 それはもう,いろんなゲームがタダで遊べると思ったから。だから営業で新卒入社したんだけど,いざ入ってみたらなんとタダゲー禁止だった。それで驚愕して,仕事で大暴れしたあげく,すぐに開発に移ったんです。

4Gamer:
 なるほど(笑)。

原田氏:
 だから高木さんの今の話を聞いて,そこは随分と違うんだなって思ったんですよ。僕と高木さんは好きなものはほとんど一緒で,今は同じプロデューサーという立場なわけだけど,辿ったルートはかなり違う。やっぱりきっかけとかタイミングで,歩く道は全然違ってくるんだなあって,思いましたね。

高木氏:
 そういう意味で言うと,僕はプロデューサーになるとは思ってなかったんですよ。ディレクターになりたいとは思ってましたけど。

原田氏:
 ああ,それはちょっと分かりますね。映画産業の影響もあるんだろうけど,やっぱり作品を作るんだったら監督(ディレクター)でありたい。昔のゲーム業界には,ゲーム開発のカの字も分からないようなインチキプロデューサーも多かったので,若い頃はとくに「ああはなりたくないな」という気持ちが強かった。できることなら,僕もバリバリ働けるうちは,現場の企画やディレクターでいたい。まあ僕の場合は部長になっちゃったし,そんなわがままはもう言えませんけど(笑)。

4Gamer:
 ディレクターとプロデューサーの違いって,実は皆,よく分かってないんじゃないかという気がするんですよ。ゲーム業界では,けっこう曖昧ですよね?

高木氏:
 これ,分かんないですよねえ。

原田氏:
 現在だと,一般的にはディレクターは開発現場の責任者で,主にゲームの内容に口を出す人。プロデューサーになると,今度は収益に対する責任が発生するようになるから,もっと大きなマネジメントの視点が入ってくる。だからプロデューサーになると,実際にゲームの中身に手を出したり,スクリプト打ったりとかはしなくなります。

高木氏:
 スクリプトは打たないですけど,僕はゲームの中身にも相当手を出してますよ。

原田氏:
 ああ,そうなんだ。やっぱり会社によって違いますね。ただ,プロデューサーになっちゃうと,広告とか宣伝とかゲーム制作以外の仕事が増えてしまうから,ゲーム作りに集中はできなくなっちゃう。どっちも究極の雑用係みたいなもんだけど,その雑用の中身が違うというのかな。

4Gamer:
 でもなんとなく,プロデューサーのほうがディレクターよりも偉いって印象はあります。キャリアパス的にも,まずディレクターをやって,それからプロデューサー,みたいな?

高木氏:
 それって本当はおかしいんですけどね。僕は常に言ってるんだけど,ディレクターとプロデューサーは役割が別なんだから,上下じゃなくて横並びであるべきなんです。でも,実際そうはなってなくて,やっぱりプロデューサーがディレクターに指示を出す。

原田氏:
 難しいですね。ゲーム業界ってやっぱりまだ若い産業なので,そのあたりの道筋というのは,まだ確立してない部分がある。僕よりもさらに2世代くらい上の先輩達が,皆そういうルートを辿ったのかというと,まったくそうじゃないわけで。そもそもゲーム屋じゃなかったって人もいるし,逆にクリエイター一本だけで偉くなった人もいる。もうバラバラで,ロールモデルがないんです。

4Gamer:
 とくにファミコン時代のクリエイターは,技術オタクから山師みたいな人まで,海千山千の人が多かった印象ですね。

原田氏:
 そうそう。さらに今だとパブリッシャとデベロッパっていう枠組もあるから,デベロッパが出してきたレジェンド級のディレクターに対して,現場開発経験の無い若いプロデューサーがメーカーから付けられる,というケースだって,稀にだけどある。だから会社によって扱いもバラバラで,いわゆる係長・課長・部長みたいなヒエラルキーでまとめちゃってるところもあれば,開発チームごとに別の会社みたいになってることもある。そのあたりがちょっと,外から見ると分かりにくいのかもしれないな。

高木氏:
 当時の僕は,プロデューサーにそうやって横やりを出されるのが嫌で,大暴れしたクチなんですよ。「俺の作品に口を出すんじゃねぇ」って。だから「じゃあ,プロデューサーも俺がやるわ」ってなったという。

4Gamer:
 そういえば,原田さんが高木さんとお会いになるのは,今回が初めてなんですよね?

原田氏:
 そう。ただ「サマーレッスン」の体験会で,一度お見かけはしてました。以前も言いましたけど,プレイ後に外に走って行ったと思ったら,また戻って来てプレイしてるので,すごく印象に残ったんです。あのとき,めっちゃニコニコしてませんでした?

サマーレッスン
閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH

高木氏:
 それはもう,楽しくて興奮してたんだと思います。なにせ待望のゲームでしたから。SIEの人が周りにいましたけど,「ちょっと下から行っていいっすか」って,こう……。

原田氏:
 あの環境でそれができる人,なかなかいないんですけどね(笑)。

高木氏:
 いやいや,SIEの人もむしろ,「ぜひやってください」という感じでしたからね。まあ,これが爆乳プロデューサーのメリットなのかな,と(笑)。

原田氏:
 ああ,確かに。それでそのとき,どう思いました? 自分でもVRをやろうってなりました?

高木氏:
  ずっと作りたいとは思ってたんです。ただ,どういうビジネスにするか悩んでて。純粋に,そこでストップがかかっちゃってる。企画もあるし,いろいろなところと話もしてるんだけど……。

原田氏:
  新しいハードは,常にビジネスの難しさがありますよね。ただ,僕は数年後にバンダイナムコがVRの先駆者的な立場にいるための投資だと考えて,無理矢理突破しちゃいました。まあ,悪い癖なんですが。

高木氏:
 最初だったら,それこそ「サマーレッスン」みたいに,まだ何か手はあったと思うんですよ。でも,もうやられちゃったから。「閃乱カグラ」の一発目と同じで,最初じゃなきゃ意味がない。

原田氏:
 僕も最初しかないと思って,そこを狙っていきました。あれですよね,誰もが一度は思い浮かべるけど,「いやいや」って消してしまうアイデアを本当にやってしまう。しかも一番にやるから意味がある,というような。

高木氏:
 飲み会とかでゲラゲラ笑いながらアイデアを語るんだけど,結局やらないみたいな。そういうのを本当に最初にやっちゃうというのが,僕は重要だと思っているので。

原田氏:
 そう。そこなんですよね。

高木氏:
 僕も含めたプランナーって,基本的には自分が一番面白いって思ってるわけじゃないですか。だから,あんまりほかの作品への嫉妬を感じたことはなかったんですけど,「サマーレッスン」だけはメチャクチャ悔しかった。SIEさんのカンファレンス発表されたとき,「やられた! マジやられた!」って思いましたもの。しかも,最初の段階からすごいレベルで作られてて。

原田氏:
 作ってる側としては,それが一番の褒め言葉ですね。僕も,嫉妬を感じるようなことって滅多にないけど,そういうゲームって,めちゃくちゃ売れるかめちゃくちゃファンがつくじゃないですか。嫉妬のあまり,ちょっと一言アンチ的なことでも言ってやろうってものほど,人気が出たりする。でも反対に,アンチもファンもつかない状況ってのが一番マズイです。

高木氏:
 そこはもう,マーベラスに入ってからすごく意識したところです。気づかれない,悪いとも言われないものは,もうどうにもならないですから。

原田氏:
 「閃乱カグラ」であれ「サマーレッスン」であれ,それ自体は別に奇抜なアイデアってわけでもないじゃないですか。誰しもその発想はあったはずです。その中で,最初に実現してしまったものが,嫉妬を買うんじゃないかな。

高木氏:
 僕も当時,よく言われたんですよ。「いやぁ,俺も考えてたんだよ」みたいな。じゃあやればいいじゃん,って思うんですけどね(笑)。

原田氏:
 その違いだけなんですよね。だから「俺だってできたのに」って言いたくなる気持ちも,分からないでもない。

高木氏:
 言ってくるのは,だいたいやれる立場も力もある人ですから。こんなこと,実際に面と向かっては言えないですけど(苦笑)。


 
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