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エクストリームが海外のPC/スマホ向けオンラインゲームのパブリッシング事業を展開。佐藤昌平社長が語る,その狙いと今後の展望
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印刷2016/10/12 11:30

インタビュー

エクストリームが海外のPC/スマホ向けオンラインゲームのパブリッシング事業を展開。佐藤昌平社長が語る,その狙いと今後の展望

 2016年10月11日に掲載した記事でもお伝えしたとおり,エクストリームはロシアのデベロッパ,Datcroft Gamesとのパートナーシップを締結し,新たなオンラインゲームパブリッシング事業を国内で展開すると発表した。同社は今後,Datcroft Gamesのタイトルを皮切りにさまざまな海外デベロッパ/パブリッシャのPCおよびスマートフォン向けゲームを展開していく予定とのこと。
 4Gamerでは,この発表を受けて,エクストリームの代表取締役社長CEOの佐藤昌平氏に,海外ゲームパブリッシング事業をスタートする狙いと,今後の展望などを聞いた。


ミドル〜ハードコアゲーマーの増加やe-Sportsの台頭に垣間見えるPCゲームの可能性


エクストリームの代表取締役社長CEO,佐藤昌平氏
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 エクストリームは自社開発のPCオンラインゲームや,コンシューマゲームブランド「メサイヤ」の運営を手がけてきた会社だ。それがなぜ今,海外のPCオンラインゲームタイトルのパブリッシング事業に乗り出すのだろうか?

 「国内ゲーム市場は今,スマートフォン向けタイトルが席巻していますが,その反面,レッドオーシャン化していることも事実です。一方,国内のPCゲーム市場は縮小傾向とは言われつつも,一定の規模をキープしている状態ですから,私達はそちらをきちんとキャッチアップしていったほうがいいと考えたんです。
 またメサイヤというブランドに代表されるように,私達はミドルコアからハードコアなゲーマーにリーチすることを目指しています。そのためには日本の著名IPだけでなく,海外のIPをフィーチャーすることを視野に入れる必要が生じます。
 そして海外では,Steamを筆頭にPCゲームの大きな市場が存在しています。これらの3点を踏まえた結果が,今回の海外ゲームパブリッシング事業というわけなんです」(佐藤氏)

Datcroft GamesのイケメンすぎるCEO,Sergey Sholom氏と佐藤氏(写真提供:エクストリーム)
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 さらに佐藤氏は,8月にドイツで開催されたgamescomを視察し,ヨーロッパにおけるe-Sportsの盛り上がりを目の当たりにしたこと,そして,「Unity」など新世代のミドルウェアの登場によって,ゲームをマルチチャンネル,マルチデバイス向けに開発できる環境が整ったことからも,今後の日本におけるPCゲームの可能性を感じていると述べた。

 「エクストリームが長らく手がけていたPCオンラインゲーム,『桃色大戦ぱいろん』が8月にサービス提供を終了し,以降,何かやらないのかという問い合わせを多数もらっていました。もちろん水面下ではいろいろ動いていたのですが,ようやく満を持してこうして新しい事業を発表できました。この事業では,『桃色大戦ぱいろん』とはまた違ったエクストリームの側面をお目に掛けられるかと思います」(佐藤氏)


ロシアの実力派デベロッパ,Datcroft Gamesの4タイトルを相次いでリリース


 エクストリームは新規事業の最初のパートナーとしてDatcroft Gamesを選んだわけだが,その理由はヨーロッパ,北米,アジアとグローバルに展開していること,そして累計500万ダウンロードを誇るタイトルなど,各国で人気の高いオンラインゲームを多数手がけていることにあったという。

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フルーツ・フォレスト(スクリーンショットは英語版です。以下同)
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 今回,エクストリームがパブリッシングするDatcroft Gamesのゲームは4タイトルで,第1弾として10月下旬にリリースされる「フルーツ・フォレスト」(原題:BravoBIRDS)はパズルゲームだ。ミドルコア,ハードコアというよりカジュアルゲーマー向けだが,やはり最初は多くの人に遊んでもらえるタイトルを展開したいという思いがあるとのこと。
 しかしカジュアルとは言え,先読みが必要となる部分やキャラクターの育成など,奥深いやり込み要素もあるという。

バトルドラゴン〜いにしえの財宝〜
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 11月上旬にリリース予定の「バトルドラゴン〜いにしえの財宝〜」(原題:Treasure Master 〜DRAGON WORLD〜)は,対戦型のストラテジーゲームだ。各プレイヤーは自分の拠点となる「空中島」を繁栄させつつ,ドラゴンを育成したり,ほかのプレイヤーのドラゴンと対戦したりすることになる。こちらもカジュアルゲーマーにも受け入れられる,親しみやすいグラフィックスを重視したという。

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ガンズ オブ レクイエム
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 2017年春リリース予定の「ガンズ オブ レクイエム」(原題:GET the GUN)は,マルチプレイ対戦型のシューターだ。コミカルなキャラクターデザインや操作の容易さを特徴としており,誰でも気軽に遊べるとのこと。
 このタイトルは,北米で500万ダウンロードを記録したほか,「2015年モスクワDevGAMM」ではベストオンラインゲーム賞,そして「Casual Connect 2015」ではベストモバイルゲーム賞を受賞した実績を持っている。

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FRAGORIA plus
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 同じく2017年春リリース予定の「FRAGORIA plus」(原題:FRAGORIA)は,PCブラウザでプレイ可能な正統派のMMORPG。実はこのタイトル,以前日本でサービス展開した経歴があり,そのときは2010年にサービスが終了している。しかしそののち,海外では大幅なリニューアルが施され,クオリティが上がった状態でのサービスが続いており,今やDatcroft Gamesの看板タイトルになるまで成長しているとのこと。その点を踏まえ,今回の日本展開にあたってはエクストリームも相当に可能性を感じているという。

 4タイトルとも海外でサービス中なので,日本からアクセスしてプレイしているという人もいるかもしれないが,今回エクストリームの提供する日本版は,いずれも新たに専用のサーバーを構築するため,誰もが最初からプレイすることになるそうだ。残念ながら,すでに海外版をプレイしている人向けの乗り換えサービスなどは現段階では考えていないとのこと。

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 「エクストリームでは,この4タイトルをすべて日本向けにローカライズしてリリースします。また『桃色大戦ぱいろん』で培ったノウハウを活かして,国内サービスならではのきめ細かい対応を心がけていますので,すでに海外版をプレイしているという人も日本版に乗り換えていただけると嬉しいですね。
 とくにPCゲーマーの皆さんの中には,コミュニティを作って初心者を助けてくださる方がたくさんいらっしゃいます。そうした皆さんの活動が,ひいては日本におけるPCゲーム全体を盛り上げることにつながると考えていますので,ぜひ日本版をよろしくお願いします」(佐藤氏)


ゲームクリエイターやエンジニアの下支えとなるようなサービスを展開


 現在エクストリームは,この新事業においてDatcroft Games以外の海外のデベロッパ/パブリッシャとの交渉も合わせて進めており,2017年3月までには発表済みの4タイトルを含め全7〜8タイトルを展開する予定とのこと。
 また,ゆくゆくは新ブランドを掲げて,すべてのタイトルを包括するポータルサイトを立ち上げる予定だという。

 「この新ブランドのポータルサイトでは,海外のオンラインゲームをローカライズ/カルチャライズしてサービスを提供するだけでなく,ユーザーの皆さんと直接コミュニケーションを図れるような体制を整える予定です。例えば,『このゲームをローカライズしてサービスしてほしい』といったリクエストを受けられるような仕組みを採用するなどです。
 さらに将来的には,国内のインディーズゲームの配信サービスも検討しています。と言うのは,ゲーム開発も音楽や映画,小説のようにアマチュア層がもっと盛り上がることで,ゲームがカルチャーとして根付くのではないかと考えているからです。ビジネスとしてのゲーム開発はどうしてもマーケティングの観点から逃れることは難しいですが,その意味で,インディーズゲームには独特の発想や発明を期待しています。エクストリームは『クリエイター&エンジニアのプロダクション企業』を標榜しており,オープン予定のポータルサイトでも,クリエイターやエンジニアの下支えとなるサービスを提供していきたいです」(佐藤氏)

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VR体験スペースや,セミナールームなどが完備されている
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 このほかエクストリームでは,e-Sports関連事業の展開やVRコンテンツの開発も視野に入れているとのこと。そのため,9月20日に移転したばかりの新オフィスには技術交流施設「Co-CORE」が設置されている。
 この施設内にはVRコンテンツが体験できる「エクストリーム VR スタジオ」や,社員が無料で技術研修を受けられるセミナールームが設けられており,実際,利用者からは新たな企画やアイデアが続々と上がっているとのこと。今後,エクストリームから独創的で先進的なコンテンツが生まれることに期待が高まる。

 最後に,佐藤氏がエクストリームの海外ゲームパブリッシング事業や同社の今後の展望について,あらためて語ったコメントを掲載して本稿の締めとしよう。

 「私達が本当にやりたいことは,国内,海外を問わず良質なコンテンツを多くの人に紹介することです。当然,そうした活動を個人でやっている人が国内に多数おられることは知っています。私達のサービスが,その人達の活動の一助になれば幸いです。ぜひ,今後のエクストリームに期待してください」(佐藤氏)
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    フルーツ・フォレスト

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