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「真・女神転生V」の成功祈願に参列。プロデューサーの山井一千氏に,通称“お払い”で知られる恒例行事とナンバリング最新作について聞いた
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印刷2018/02/19 17:10

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「真・女神転生V」の成功祈願に参列。プロデューサーの山井一千氏に,通称“お払い”で知られる恒例行事とナンバリング最新作について聞いた

 長く続いた厳しい冷え込みも落ち着き,穏やかな日差しが差す陽気に包まれた2月某日。東京・雑司ヶ谷の鬼子母神堂にて,アトラスがNintendo Switch向けに制作している「真・女神転生」シリーズ最新作「真・女神転生V」の成功祈願が執り行われた。

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 “アトラスの恒例行事”という祈願が行われた雑司ヶ谷の鬼子母神堂で祀られている鬼子母神(きしもじん。訶梨帝母[かりていも]とも呼ばれる)は,元は人間の子供を喰らう鬼女であったが,釈迦に諭されて三宝に帰依し,以来多くの人に尊崇されるようになった安産と子育の神だ。同山のご尊像は鬼の形ではなく,羽衣と瓔珞(ようらく)をまとい,吉祥果(きちじょうか)を手に幼児を抱いた菩薩形をしており,その美しい姿から,1画め(角)がない鬼の字を用いた尊称で呼ばれている。
 「真・女神転生」シリーズおよび派生作品には,サンスクリットの表記であるハリティーの名で登場。その守護(回復スキル)を受け,窮地を救われたというプレイヤーも多いのではないだろうか。

 さて,「真・女神転生V」だが,2017年1月にNintendo Switch向けに開発中とアナウンスされていたタイトルが,ナンバリング最新作であることが明かされた10月23日から(関連記事)まもなく4か月を迎える。
 そんな本作の祈願が行われるということは,いよいよ制作も本格的にスタートしたということなのだろうか――アトラスからのお誘いで参列することになった筆者は,「真・女神転生」シリーズのプロデューサーである山井一千氏に時間をもらい,この成功祈願や,制作中の「真・女神転生V」について話を聞いてきた。

「真・女神転生」シリーズ プロデューサー 山井一千氏
画像集 No.008のサムネイル画像 / 「真・女神転生V」の成功祈願に参列。プロデューサーの山井一千氏に,通称“お払い”で知られる恒例行事とナンバリング最新作について聞いた

4Gamer:
 貴重な機会にお誘いいただきありがとうございます。成功祈願が行われたということは,「真・女神転生V」の制作が本格的に動き出したということでしょうか。

山井氏:
 はい。ゲーム制作のプロジェクトは,最初は中心にいる数人で始まり,そこからだんだんと関わる人達が増えていくわけです。まだまだ増えるのですが,だいぶ制作スタッフも揃ってきて,本格的に「作ってますよ」と言える節目を迎えたという感じですね。

4Gamer:
 「真・女神転生」シリーズと言えば,その作品性から,制作現場やスタッフの周りで起きる怪奇現象や事件など,嘘か真かさまざまな噂が都市伝説として広がっています。
 そういった理由もあって,「アトラスは災いを払い清めるための儀式――“お払い”を行っている」と思っている人は少なくないのですが,実際は仏式で行われる祈願だったのですね。

山井氏:
祈願が執り行われる直前の様子
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 そうですね,正しくは“祈願”なんです。そういった点では,まずスタッフの無事を,そしてゲームをプレイしていただく皆さんに悪いことが起きないようお祈りするといった意味合いが強いですね。
 あと,雑司ヶ谷の鬼子母神堂は,1作めの「真・女神転生」から祈願を執り行っていただいている,“メガテン”にとっては由緒あるお寺さんなんです。信心深いスタッフも多いですし,やはり神様を扱うゲームだから許可を得なければというか,「新作を制作するとなったのなら,ご挨拶に参らなければ」という思いもあります。
 あっでも,実は怪奇現象みたいな話もありまして……。

4Gamer:
 なんでしょう。気になります。

山井氏:
 作業用のPCが連続して壊れていくという事象が続いたんです。それも,“何か”が通り抜けていったかのような順番で。やはりそれを気にするスタッフもいて,「そろそろ“お払い”やらないんですか」といった声が2017年末くらいからあがっていましたね。

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4Gamer:
 こんな言い方をしては失礼かもしれませんが,実にアトラスらしいトピックです。
 「真・女神転生V」ですが,発表されてまもなく4か月になります。シリーズファンの反響などはいかがでしょう。

山井氏:
 期待の声も寄せていただいていますし,不安の声も当然届いています。そういった皆さんの声を「いろいろな形で叱咤激励をいただいているな」と受けとめています。

4Gamer:
 25年続いているシリーズだけあって,プレイヤーそれぞれが思い描く“メガテン観”というのもありますよね。

山井氏:
 ナンバリングとしては4タイトル……「真・女神転生III -NOCTURNE マニアクス」「真・女神転生IV FINAL」があるので4.7タイトルくらいと言えるかもしれませんが,実際は25年でそれだけしか出ていないシリーズ作品ながら,ファンの皆さんも3世代くらいになっているんです。
 例えば,1作めからプレイしていただいている方は初期の雰囲気を求めたり,「真・女神転生III」から入った方はあの世界観の延長上にあるものを期待したり,「真・女神転生IV」からのプレイヤーさんはIVをベースに新しい形のゲームを期待している……といったように,メガテンとの出会いとなった作品が違うと,期待しているポイントも違うと思うんです。

4Gamer:
 同世代で同じ作品から入った人であっても,それぞれ作品の捉え方の違いも生まれますよね。

山井氏:
 はい。「Law」「Chaos」「Neutral」じゃないですけど,一つの作品でも一人ひとり思い入れのある部分は分かれていますよね。
 そういったことも考えながら,変わってはいけない部分はしっかり押さえつつ,新ハードで出すというところで,皆さんがびっくりしてもらえるような,新しいゲーム内容や映像を届けたいと思っています。

4Gamer:
 初のNintendo Switch向けのゲーム制作かと思いますが,この新ハードでどのような作品を作りたいと考えていますか。

山井氏:
 まず,久しぶりの据え置き機向けタイトルとして,テレビでじっくり遊んでもらえるような壮大な内容にしたいと思っています。もう一方で,3DSで出した「真・女神転生IV」や「真・女神転生IV FINAL」のように,寝っ転がりながら悪魔合体が楽しめるみたいな,携帯機ならではの気軽さも入れたい。ほかにもやり込み要素などもありますが,据え置き機向け,携帯機向けの両面がしっかりしている作品を目指しています。
 当然,悪魔もたくさん出したいですし,ハードのスペックにふさわしいものに仕上げたいと考えています。悪魔の制作に掛けている労力は,これまでのタイトルと比較すると1体につき3倍ぐらいになっているかと思います。

4Gamer:
 凄いですね。それで悪魔もガシガシ動くと。

山井氏:
 もちろんガシガシ動くものを,と思っています。その分(制作作業で)ヒーヒー言っているという感じではあるのですが(笑)。

4Gamer:
 これまで崩壊した東京らしき都市のカットや,ティザートレイラーなどが公開されていますが,どんな世界観や物語になるか気になります。

2017年3月に公開された,崩壊し砂漠化した都市らしき1シーン(関連記事)。10月に公開されたティザートレイラーでは,崩壊した東京の街で悪魔が人間を襲うシーンなどが確認できる
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山井氏:
 まだ明かせないことが多いですが……これまで公開したカットやトレイラーは,もちろんゲームのシナリオやドラマ性が垣間見えるものなのですが,本当に尻尾のちょっと先みたいな部分で,まったく何も言っていないことに近いかなと思います。そこから何かを感じてほしいというのは難しいとは思いますが,いろいろ想像して楽しんでほしいですね。
 いろいろと情報を出していきたいとは思いますが,本格的に(制作が)始まったいまは,まず制作に集中したいと思います。

4Gamer:
 楽しみに待っています。本日はありがとうございました。



 現在揃っている制作チームの全メンバーが参列した「真・女神転生V」の成功祈願は,粛々と執り行われその儀を終えた。安産と子育の神である鬼子母神の守護を受け,無事に心身苦労の節目を乗り越えながらゲームが生まれ,そして健やかに成長するよういちゲームファンとして祈りつつ,新たな情報が明かされることを期待して待ちたい。

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「真・女神転生」シリーズ公式サイト

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