プレイレポート
2017年の「FIRE PRO WRESTLING WORLD」は,どのような姿となったのか!? アーリーアクセス開始に先駆けて気になる点をレポート
「FIRE PRO WRESTLING WORLD」公式サイト
「FIRE PRO WRESTLING WORLD」(Steam)
ただし今回プレイしたのは,開発途中バージョンで,目玉であるオンライン対戦,そしてエディットレスラーのやり取りができるSteam Workshop機能は実装前。なので,あくまで“2017年のファイヤープロレスリング”が,どんな姿になっているのかの参考としてご一読いただきたい。
本題に入る前に,これまでのファイプロは家庭用ゲーム機が主体だったということで,PCでのプレイについてちょっと補足。動作環境についてはOSがWindows 7以降,CPUがCore i5以上,DirectX 9が動作すればオーケーと,いまどきのPCゲームとしてはだいぶ軽め。2012年に発売されたIvy Bridge世代のCore i5ノートでも動作が確認できた。
コントローラーについては,市販のPC用USBゲームパッド(12ボタン)を用意すれば,家庭用ゲーム機と変わらぬ感覚でプレイができる(筆者はXbox 360用の有線コントローラーを使用)。仮にゲームが動かなくても,購入直後なら返金が可能なので,不安がらずに買っちゃうことをオススメする。
両手を組んだら技ボタンを入力するだけ
変わらぬシンプルな操作性で誰でもプロレスラーになれる
12年ぶりの新作ということで,まずはシリーズ未経験の人向けに,ファイプロがいかなるゲームなのかを簡単に解説しよう。ファイプロとは,プロレス(と総合格闘技)をテーマとした対戦型のアクションゲーム。2Dグラフィックスで描かれたレスラー同士が,リング(や10角形ケージ)の中で試合を行い,ルールに則って勝敗を決するのが基本の遊び方だ。
相手を痛めつけるための技は打撃,そしてタイミング勝負となる組み技からなる。操作するレスラーが相手と接触すると,両者が組み合おうとするので,手を組んだ瞬間に(大中小いずれかの)技ボタンを入力。より正確なタイミングで押したほうの技が決まるというもの。まったくの初心者でも2秒で理解できるシンプルさで,プレイしなれた人ともすぐに対戦を楽しむことができる。
相手レスラーと接触するとロックアップ(組み)を開始 |
両手を組んだ瞬間に合わせて技ボタン+方向キーを入力 |
その一方で,プロレスならではの多彩なアクションができることも魅力だ。立って組み合う以外にも,走ってからの攻撃やダウンした相手への追撃,コーナーポストやエプロンサイドからの攻撃などなど,それぞれのシチュエーションごとに異なる技が用意され,その数は100項目オーバー。セットできる技は800種類以上と膨大だ。
現実のプロレスがそうであるように,試合形式やルールは多数用意されている。対戦モードや試合形式については以下の画像を参照いただきたいが,バトルロイヤルにオーバー・ザ・トップロープルールが選択可能になるなど,本作より加わったルールもある。
簡単に……と言った割には前置きが長くなったが,シンプルな操作ながらもプロレスの情景が見事なまでに再現できる――ひと言で言うなら“プロレス全部入り”なのがファイプロの魅力。基本操作は従来どおりなので,シリーズのファンであれば,手にした瞬間から違和感ゼロでプレイできるはずだ。
21世紀に合わせてリファインを実施
しかし道場での「ダメだ!」は健在
新作をプレイしておそらく最初に目に止まるのは,グラフィックスのHD化だろう。従来作で感じたドット絵のジャギー感は薄れ,クッキリシャッキリした映像でゲームが楽しめるのは素直に嬉しい。シリーズを初代から愛好している筆者としては,毒霧や爆発の描写が妙にキレイなことに時代の進歩を感じてしまったり。余談だが,BGMが過去作のアレンジなのはなんともファン泣かせだ。
新アクションとして,打撃応酬,ダッシュリングイン,ロープエスケープが用意され,プロレス再現度はさらに高まっている。加えて,相手の得意技を繰り出す“掟破り”がついに実現。ほかのプロレスゲームではできていたのでファイプロファン的には「やっとか!」といった気持ちはあるが,宿命の戦いをドラマチックに再現できる仕掛けなので,これもまた歓迎したい。
新要素ではないが,ミッションモードについても触れておきたい。これは与えられた課題をこなしていく練習モードで,古くからのファイプロファンには「若元道場のようなもの」と説明したほうが早いだろう。
ミッションは,「組み技のタイミングをマスターしろ!」といった基礎編と,「相手を流血させて勝利しろ!」など,より具体的になった実践編の2段構え。課題は数十個用意されており,クリアすることでエディットで使える新技やコストが追加されていくようになっている。
かなり使いやすくなってはいるが
まだまだ課題の残るエディット機能
クリエイトモードを説明する前に,登場レスラーについて触れておきたい。以前にもお伝えしたが,従来作では当たり前だった“実在のレスラーとよく似た選手達”は,本作には存在しない。デフォルトで用意された30人の架空レスラー達は,標準的な日本人レスラーから,パワーファイターなアメリカン,ハイフライヤー,ルチャドール,シュートスタイルに格闘家,女子といった具合に,各スタイルが偏りなく用意されている。後述するレスラーエディットでは,彼らを元にしてのエディットが可能なので,ある意味エディット用の“モデルレスラー”と言っていいだろう。
さて本題。クリエイトモードでは,レスラーに加え,レフェリー,チーム,リング,ベルトのエディットができる。Steam Workshopへはゲーム内からアクセスが可能だ。
レスラーエディットは,前作「ファイプロ・リターンズ」をベースとしつつも各所が強化されている。とくにレスラーの容姿を決める「レスラーメイク」は,HD化の恩恵でパーツの一覧性が増し,パーツ選択ではマウス操作が可能など,操作性はなかなかに良好。
機能面としては,顔,胸,腹,上腕,下腕,すね,もも,手,足の部位ごとに,基本+最大9個までのパーツを重ね合わせることが可能に。例えば,角が複数本生えた模様の複雑なマスクでも,パーツを重ね合わせれば作成可能と,表現力はアップしている。
ただ,現状で不満に感じたのは,パーツや技の検索性だ。髪の毛など一部のパーツではフィルター機能が用意されているが,該当のパーツや技を見つけるには,結局のところ一個ずつ根気よく探していく必要がある。加えて,「やっぱ前のパーツのほうが良かったな」「あの技,どこ(どの状態)にあるんだっけ?」といったときに,記憶やメモに頼らざるを得ないのは前時代的だし,せっかくのエディット意欲を削ぐことにもなりかねない。
裏を返せば,それだけ膨大なパーツや技が用意されているわけなのだが,エディットレスラー作成が前提の本作だからこそ,よりエディットがはかどるよう改善されることを期待したい。
ファンの妄想が具現化した
真・ファイプロの誕生の予感!
ほかにも「取り出したラダーに登りたいなー」「左右非対称のコスチュームが作りたいなー」「入場シーンでアピールができたらなー」と,いった要望がないわけではないが,あくまで本リリースまでの修正を前提としたアーリーアクセスということで,あれこれ書かせてもらった次第。しかもそれは,現時点でそれだけ欲を掻き立てられる出来栄えであるということの証明でもある。まるで12年ぶりの旧友との再開に,思わず一晩語り明かしてしまったような気分だ。実際エディットが楽しすぎて,原稿の締め切りを1日(※編注:1日……?)ぶっちぎったしね!
しかもリリース後からは,全世界のエディット職人たちがこぞって自慢のレスラーを投稿し始めるのかと想像すると,そのワクワク感はハンパない。あくまで仮にだが,オンライン対戦が“プロレスを分かっていない連中”のためにアレなことになっても,エディット職人たちがこだわり抜いて作ったレスラー同士を戦わせれば,もうそれは自分だけの“ファイプロ・ワールド”となるはず。まずは本作が,プロレスファンの妄想を現実世界にあふれださせるためのツールとして末永く愛されることを期待して,ひとまずの結びとしたい。
「FIRE PRO WRESTLING WORLD」公式サイト
「FIRE PRO WRESTLING WORLD」(Steam)
- 関連タイトル:
ファイヤープロレスリング ワールド
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