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[TGS 2017]ゲームを通していろいろな音楽に触れてほしい。「Return to 4star 2017」開催記念トークショーをレポート
ステージでは,2083の斉藤健二氏がMCを務め,ゲストには,「聖剣伝説2」「聖剣伝説3」の楽曲など,数多くのゲーム音楽を手がけていることで知られる作曲家の菊田裕樹氏,「朧村正」などのゲーム音楽を手がけ,「世界樹の迷宮」のバンド「SQ F.O.E band」のリーダーとしても活動している作曲家の上倉紀行氏,多くのゲーム音楽ライブに参加しているベーシストのAKIRA氏が登壇し,トークを繰り広げた。
「Return to 4star」公式サイト
まず最初の「もともとゲーム音楽の演奏をやりたい気持ちがあったんですか」という質問に対し,AKIRA氏は「小さいころは,ゲームと音楽は自分の中ですごくかけ離れているイメージだったんですが,音楽活動をし始め,知識が身についていく中で『そういえば,昔プレイしていたゲームの音楽ってすごいな。これを生で演奏したら絶対すごいぞ!』という思いが強くなっていきました」と答えた。
それを聞いた菊田氏が「ゲーム音楽のどこがすごいと思った?」と質問をすると,AKIRA氏は「大人たちが本気で作っている音楽なんだ! というのを,子ども心ながらに感じていたんだと思います。あの当時の僕には衝撃的でした」と少年時代を思い出しながら語っていた。
菊田氏は,そもそも“ゲーム音楽とは”ということが分かっていなかった時代だったからこそ,自分の持っているやりたいことを詰め込んだのだという。その結果,多様な音楽性を持つ当時のゲーム音楽が生まれたのだと分析していた。そんな冒険心があったこともあってか,人間が弾くのが,非常に難しいフレーズも当時沢山使われていたという話題になると,菊田氏は「好き放題作ってたから,今コンサートで演奏するとなると,まあ大変だよね(笑)」と笑いながら答えていた。
ゲーム音楽を作曲しながら,自身も数多くのライブイベントで演奏を行う上倉氏は,「昔のゲームは,出る音が限られていたので,生演奏するとなると,楽器のチョイスにいつも悩んでいる」と語ると,AKIRA氏は,「大変ですけど,『作曲家の皆さんが本当に入れたかった音はきっとこうだろう』と想像しながら,音を決めていくのは楽しい」「ゲーム音楽は,基本ループすることを前提に作ってあるので,演奏の終わり方もお客さんが納得できるようなものを目指すようにしています」と,音作りの難しさや魅力を語っていた。
続いて,ゲーム音楽が持つ“ジャンルの多様性”についての話になると,菊田氏は,「音楽が細分化されていて,偶然に興味のなかったジャンルの音楽を聞く機会がなくなっているので,ゲームを通していろいろなジャンルの音楽を知ってもらえたら嬉しい」と語り,実際の音楽作りでも,多種多様なジャンルの音楽を取り入れていたという。それを聞いた上倉氏は,「僕は,ゲーム音楽から色んなジャンルに興味を広げていったので,完全に菊田さんの思惑通りになってますね」とコメントしていた。
イベントの終盤になると,トークテーマは,今回のイベントタイトルにもなっている「ゲーム音楽の未来」に。上倉氏が,「作曲家が自身の曲をライブイベントで,演奏する姿を見せるのは大事ですね。お客さんも喜んでくれますし,作曲家自身がアーティストとして見られる時代なので,イベントにはどんどん出るべきだと思います」と語り,AKIRA氏が「それは菊田さんに『Return to 4star』で何かやれって振ってるんですよね?」とツッコむと,菊田氏は黙ってうなづいていた。11月3日に期待だ。
最後には,出演者が「Return to 4star」に向けての意気込みを語り,ステージイベントは幕を閉じた。
「ゲームへの愛情とミュージシャンシップを見せられればと思いますので,皆さんお楽しみに!」(AKIRA氏)
「『SQ F.O.E band』として参加します。今年は多くのイベントをこなしているので,バンドのパフォーマンスや演奏技術にもさらに磨きがかかっていると思います。ライブを楽しみにしていてください」(上倉氏)
「大変なところは,他のみんながやってくれるはずですが,僕はちょっと演奏に加わることができればと思っています。どんな形になるかはまだ分からないですが頑張りたいと思います」(菊田氏)
「Return to 4star」公式サイト
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