インタビュー
「CODE VEIN」再始動。開発チームの吉村 広氏と依田優一氏に発売延期の経緯や変更点,そしてネットワークテストについて聞いた
本作は当初,2018年9月の発売が予定されていたが,「より良い品質,高い遊びごたえのある作品としてお客様にお届けするには,今しばらくの期間が必要」という理由から発売時期を2019年内に延期した経緯がある。
今回4Gamerでは,「CODE VEIN」のディレクターを務める吉村 広氏,アクションディレクター/サブディレクターの依田優一氏に発売延期の理由やこの期間で何を変えたのか,そして後日実施されるネットワークテストの話を聞いてみた。
なお,4Gamerではネットワークテスト版のプレイレポートも掲載しているので,こちらも合わせてチェックしてほしい。
関連記事:「CODE VEIN」ネットワークテスト実施が発表に。自由なキャラクリ,序盤のストーリー,そして高難度ダンジョンを一足早く体験してきた
「CODE VEIN」公式サイト
より多くの人に「CODE VEIN」の魅力を伝えるために
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。さっそくなのですが,「CODE VEIN」は2018年7月に発売延期を発表しましたが,今回の発表に至るまで長く動きがありませんでした。
最初にお伝えしたいことは,「CODE VEIN」の根幹であるコンセプトは発売延期の発表以前から一貫しており,まったく変わっていません。この数か月はそのコンセプトをより深く味わっていただくために,パフォーマンスの強化を図ってきました。
もちろん発売延期を発表したタイミングでも,ベストのパフォーマンスを実現し,皆さんにお届けしようと注力していました。しかし,発売日が近づくにつれ,皆さんから期待の声が多く寄せられるようになり,また我々も本作のコンセプトに基づく魅力をより伸ばせるのではないか,と考えるようになったんです。
そこで踏まえて,本当に異例ではありますが,長い期間をいただくという決断をしました。
4Gamer:
「CODE VEIN」のコンセプトをあらためて説明していただけますか。
吉村氏:
「CODE VEIN」ではプレイヤー自身が主人公となり,困難を乗り越えていく「主人公体験」を重視しています。そこには壮大なストーリーを主人公として体験することだけでなく,自分自身の好みを投影したキャラクターを作成できることも含まれます。
外見はもちろん,「ブラッドコード」(いわゆるクラスやジョブに相当)に紐付くパラメータビルド,「錬血」(同じくスキルに相当)の組み合わせに基づくアクションビルドなど,プレイヤー自身を主人公に投影できるという部分が非常に優れていると自負しています。
さらに主人公と一緒に行動する「バディ」との共闘により,複数の敵を相手にしたり,強大な敵と戦ったりする場合に,1人での戦いでは得られない緊張感や連携の感覚が得られます。
4Gamer:
プレイヤーの投影とバディの存在により,既存のいわゆる“死にゲー”と差別化を図っていくということですね。
吉村氏:
はい。また,差別化という意味ではリトライ性の高さも挙げられます。「CODE VEIN」は確かに難度の高いゲームなのですが,その一方でさまざまな要因により,“心が折れる”ことなく“倒されても,もう一度挑戦”しようと思っていただけるようになっています。
4Gamer:
リトライを楽しめる要因とは?
吉村氏:
例えば,パラメータビルドはブラッドコードを変更することにより,随時切り替えられます。カードゲームにおいて,あらかじめ複数のデッキを用意しておくようなイメージですね。
また,アクションビルドも錬血を習得・継承して組み合わせを変えることにより,随時変更可能です。さらにバディは各自が異なるスタイルで主人公をサポートするため,誰を連れていくかによって戦い方が変わってきます。
つまり,「敵が強くて倒せない」といった壁にぶつかったとき,ブラッドコードや錬血,バディを構築し直すことで打開できる可能性が生まれるというわけです。
4Gamer:
プレイヤーに与えられる試行錯誤の幅が広いということですね。
吉村氏:
ストーリーや世界観,そしてバディに代表されるキャラクターの個性もプレイヤーの精神的な支えになります。例えば,ストーリーが進むにつれて主人公の使命が明らかになり,バディそれぞれのバックボーンも明かされていきます。
ゲーム自体はストーリーの進行に沿って難度が上がりますが,それに合わせて主人公やキャラクターに対する思い入れが高まる構造になっているので,「使命を果たすために,あきらめるわけにはいかない」「この子のためにも頑張らないと」という感覚でリトライしていただけるのも大きなポイントです。
こうした精神的な支えにより,もともと“死にゲー”が好きな方はもちろん,以前に手を出したときに投げ出してしまった方,「CODE VEIN」で初めて“死にゲー”に挑む方にもリトライを楽しんでいただけると考えています。
4Gamer:
そのあたりのクオリティを高めるため,発売延期を決定したということでしょうか。
吉村氏:
先ほどの繰り返しになりますが,我々はクオリティが足りないと考えたのではなく,より多くの皆さんに「CODE VEIN」のコンセプトを享受していただくための部分を伸ばしたいと考えました。発売延期の発表以降,レスポンスの高い錬血や多彩なプレイスタイルを望む声に応えるべく,取り組んできました。
また,レーダーマップの追加により,エリアを探索して踏破する楽しさと共に,バディがもたらす「向こうに敵がいる」「ここにアイテムがある」といった情報がマップに反映されるようにしました。以前から存在した要素をより伝わりやすくすることで,バディの魅力や一緒に行動している感覚を強めていったわけです。
4Gamer:
実際にネットワークテスト版をプレイしましたが,ブラッドコードや錬血,バディの種類が多く,その組み合わせパターンは膨大になることが分かりました。
膨大な選択肢のなかから,プレイヤー自身のプレイスタイルに合致する組み合わせを探すことも,「CODE VEIN」の楽しみ方ですよね。
吉村氏:
そのとおりです。我々は「CODE VEIN」の開発にあたり,攻略に関して唯一絶対の最適解が生まれないように心がけています。プレイヤーの皆さん1人1人に,自身に最も合った組み合わせを見つけほしいと考えています。
ストーリー本編の序盤に選択できるブラッドコードは,「ファイター」「レンジャー」「キャスター」という基本の3つです。習得・継承可能な錬血もそれらに紐付くものですが,残りはゲームの進行に応じて順次登場します。
4Gamer:
理想のアクションビルドを構築するためには,さまざまなブラッドコードでプレイして,錬血を習得したり強化したりして,継承可能な状態にする必要があります。
その一方でプレイヤーのなかには,お気に入りのブラッドコードでしかプレイしたくないという人もいるかもしれません。
吉村氏:
確かに我々はさまざまなブラッドコードでプレイし,継承可能な錬血を増やして,プレイヤー各自が最適なアクションビルドを構築していくという遊び方を理想として考えています。
ただ,我々はかなりの数のブラッドコードを用意しています。例えば重量型のブラッドコードだけでも複数存在し,お気に入りのブラッドコードをプレイしつつ,それに近いものを使っていくだけでも,十分に満足のいくアクションビルドを構築できると思います。
4Gamer:
錬血のためだからといって,無理に苦手なブラッドコードでプレイする必要はないと?
吉村氏:
はい。スピード型のアクションビルドを構築したい方が,重量型のブラッドコードで嫌々プレイする必要はありません。
依田優一氏(以下,依田氏):
アクションビルドの構築に必要な錬血の習得・強化の過程はアイテムで補うこともできますから,その点はご安心ください。
吉村氏:
我々としては重量型であろうがスピード型であろうが,「CODE VEIN」の気持ちいいプレイフィールを誰もが等しく感じられるようにしたいと思っています。アクティブ効果の錬血を最大8つ,パッシブ効果の錬血を最大4つまで組み合わせられるので,いろいろなアクションビルドを試してもらいたいですね。
4Gamer:
アクションのプレイフィールは以前と比べて,どのように変わりましたか。
依田氏:
東京ゲームショウ2017の出展バージョンまで振り返りますと,各武器の攻撃スピードは大幅に見直しています。その後も武器のタメ感,つまりヌルッと動くのではなく,タメの部分と加速する部分のメリハリとバランスを調整してきました。
そのような実際に触らないと分からないうえに言語化しづらい部分を分析し,手を加えていますね。
吉村氏:
錬血の発動にかかる時間も根底から見直しました。TGS 2017の出展バージョンでは「しばらく詠唱してからバーンと発動」というイメージでしたが,今はほぼ即座に発動します。攻撃から錬血の発動への遷移のロジックも,即座につながるように変更しました。
こうした細々とした部分を見直すことにより,レスポンスの向上を図っています。
4Gamer:
アクションの鍵になると思われる「集中システム」について,効果的な使い方や実装の狙いを教えてください。
依田氏:
集中システムは「敵の攻撃を受ける」「回避する」ことでゲージが溜まっていき,ゲージがMAXになると発動します。集中状態になるとスタミナが全快し,さらに一定時間,敵の攻撃に怯みにくくなるといった効果があります。つまり,ピンチをチャンスに変えられるシステムですね。
集中状態の最大の特徴は,敵を打ち上げられるようになり,さらに追い打ちで特殊吸血を発動できることです。
また,集中状態のときにだけ効果を発動する錬血もありますので,あえてリスクを負って大逆転を狙う「集中特化ビルド」の構築も可能です。
吉村氏:
意識して集中を狙うというより,強敵の攻撃を受けたりしてピンチに陥ったときにも,起死回生のチャンスがあるというイメージですね。
依田氏:
主人公が青く光ったら,とりあえず敵を打ち上げてください(笑)。
吉村氏:
集中を上手に使いこなせなくても,スタミナ全快をはじめとする恩恵がありますから,そこからピンチを跳ね返してほしいですね。
4Gamer:
それではバディの戦闘における行動ですが,どのようにして決定されるのでしょうか。
依田氏:
バディは各自の攻撃手段をベースに行動が決定されます。例えば,ミアは錬血を使うとき以外は銃剣を使った遠距離攻撃に専念します。一方,ヤクモは遠距離攻撃ができないので,戦闘が始まると主人公の前にポジションを取ります。主人公が積極的に攻撃をしなければヤクモはガードを優先し,主人公が攻撃を始めるとヤクモも加勢してくれます。
吉村氏:
ただし,バディが勝手に敵を攻撃するとプレイヤーが意図しない乱戦につながってしまうので,基本的にはプレイヤーの行動に沿って動きます。ヤクモはプレイヤーの前に立つことが多いため,ほかのバディより行動が早いと感じられるかもしれません。
依田氏:
それから,まだ主人公達の存在に気づいていない敵をロックオンすると,バフ効果のある錬血を使ってくれるケースもあります。
4Gamer:
そういった部分も,じっくりとブラッシュアップを図ってきたところなんですね。
吉村氏:
はい。要素としては以前からありましたが,プレイヤーが「ここだ」と思ったり,恩恵をより感じられたりするタイミングで,バディに適切な行動を取らせるためには,かなり細かな調整が必要です。この部分は,ずっとブラッシュアップを続けています。
4Gamer:
「CODE VEIN」はキャラクタークリエイションのバリエーションも膨大で,これだけで何時間も費やせるほどです。作成したキャラクターのレシピをプレイヤー間でシェアする機能があると嬉しいと思うのですが……。
吉村氏:
今のところ,そうした機能を実装する予定はありませんが,皆さんから多くリクエストが寄せられるのであれば,コミュニケーション施策の1つとして検討できるかもしれません。
ネットワークテスト版には高難度ダンジョンが登場
4Gamer:
今回のネットワークテスト版は,ストーリー本編の序盤をプレイして,それをクリアすると高難度コンテンツ「深層」に挑めるという流れですね。深層は製品版において,どのような位置付けになりますか。
依田氏:
ストーリー本編のおさらいのようなダンジョンですね。ここで敵を倒して「ヘイズ」(経験値に相当)を稼ぎ,フィールドを探索して素材を集めることでキャラクターを強化できます。
吉村氏:
ストーリー本編を進めて,特定の条件を満たすことで挑戦可能な深層が増えていく仕組みです。
4Gamer:
ネットワークテスト版の深層をプレイしましたが,敵の配置が嫌らしかったり,複数の敵が突然出現して襲われたりと,ストーリー本編より格段に高難度だと感じました。これは本当にクリアできるのかなと……。
吉村氏:
「CODE VEIN」はレベル制のゲームですから,各エリアやダンジョンには適正レベルを設定しています。今回はネットワークテスト専用ということで,深層のレベルをかなり高めに設定しましたので,ストーリー本編の序盤をクリアした直後のレベルで攻略するのは難しいでしょう。
こうした設定にした理由は,期間限定ではありますがネットワークテストをなるべく長く楽しんでいただきたいからです。じっくりとキャラクターを強化する楽しさを感じてください。皆さんからどんな反響が寄せられるのか,今から楽しみです。
4Gamer:
深層では獲得できるヘイズがかなり高く,すぐにレベルが上がる印象を受けましたが,それは意図的なものだと?
吉村氏:
そうですね。主人公のレベルが低い状態で高難度ダンジョンに挑戦するわけですから,どんどんレベルが上がりますよ。
依田氏:
難度を高めにした理由にはマルチプレイも体験してほしいという狙いがあります。もちろん1人でもクリアできるように設計していますが,2人で協力すればその可能性が高まるはずです。
4Gamer:
なるほど。1人では越えられない壁も,2人ならクリアできるかもしれないと。
依田氏:
拠点に戻り,武器や吸血牙装(防具)を強化することも忘れないでください。すべての強化を行ってから挑みましょう。それくらいの高難度です(笑)。
吉村氏:
「深層攻略に有利なブラッドコードは何? アクションビルドは? バディは誰がいい?」といったテスター同士のやり取りが見られると嬉しいですね。
4Gamer:
それでは,最後に「CODE VEIN」のリスタートに懸ける意気込みをお願いします。
吉村氏:
今回のリスタートにあたり,初のネットワークテストを実施します。これまでの体験会では,主にアクションの部分をフィーチャーしてきましたが,「CODE VEIN」の魅力の軸足はプレイヤー自身が理想の主人公を作り出し,難度の高いコンテンツを乗り越えていくという部分です。
ネットワークテスト版ではストーリーや世界観を体験できますので,ぜひ理想の主人公を作成する楽しさを堪能していただきたいですね。さらにマルチプレイでは各々の主人公を持ち寄り,高難度の深層にもチャレンジしてみてください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「CODE VEIN」公式サイト
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(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
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