インタビュー
[E3 2017]なぜ,新たな冒険の舞台が古代エジプトになったのか。「アサシン クリード オリジンズ」のディレクターに話を聞いた
ファンの期待も大きかったが,注目度の高さゆえかリークの多いゲームでもある。今回の発表で「時代背景が古代エジプト」と聞いて,「ああ,やっぱり」と思った人も多いかもしれない。Game Informer! ちゃんと注意しなさい。
それはともかく,E3 2017のUbisoftブースで,「アサシン クリード オリジンズ」のクリエイティブディレクターを務めるJean Guesdon氏に話を聞く機会を得た。なぜ古代エジプトなのか? 気になった人はデモプレイの記事と合わせてチェックしてほしい。
「アサシン クリード」ポータルサイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まず,現在の気持ちを教えてください。
「アサシン クリード オリジンズ」の開発には,「アサシン クリード4 ブラック フラッグ」(2013年)のスタッフが関わっていますが,私達がオリジンズの制作を開始したのは「アサシン クリード4」の仕事が終わった直後ですから,もう4年前になります。それが,ようやくこうして発表できて非常にハッピーですよ。
4Gamer:
試遊の反響はいかがでしょう。
Guesdon氏:
非常にいいのではないでしょうか。来てくれた人達が楽しそうにプレイしているのを見ましたし,気に入ってくれたようにも感じられました。プレイすれば,すぐに「これまでとは違う」と感じられるはずですので,ポジティブな反応が得られことを嬉しく思います。
4Gamer:
さて,おそらく同じ質問を何百回も聞かれていると思いますが,2年ぶりとなる「アサシン クリード」の時代背景として,古代エジプトを選んだのはどういう理由でしょうか。
Guesdon氏:
ヘレニズム時代のエジプトは,多様な文化がある非常に魅力的な世界です。21世紀の現在から見れば,ミステリーとファンタジーが入り混じった,人々を興奮させる要素を多く持っています。それに,ファンから「古代エジプト」を希望する声も少なくありませんでした。
「アサシン クリード」(第1作)がリリースされてから10周年を迎える今年,初めて時代をさかのぼり,「アサシン クリード」以前の時代を描くことになりました。開発者の視点からも,「アサシン達がなぜ生まれたか」という壮大な叙事詩を描くうえで,古代エジプトはビビッドで複雑な,理想的な世界だと感じられました。
4Gamer:
なるほど。あまり詳しくないのですが,ハリウッド映画で描かれるようなエジプトとはちょっと雰囲気が違いますね。ゲームの世界は歴史的に正確なのでしょうか。
Guesdon氏:
もちろんです。制作にあたっては,従来作と同じアプローチを採用しました。つまり,たくさんの書籍を集め,博物館に行き,映像を収集し,さらに歴史家や古代エジプトに詳しい学者とコンタクトを取り,話を聞いています。
とはいえ,今では失われてしまったものも少なくありません。ピラミッドは残っていますが,多くの都市はその姿を消してしまった。こうした部分については,才能あるアーティストの力に頼っていますが,現在の資料でできる限り,当時の世界に近づけたと私は信じています。
古代エジプトには,蒸気機関車もレオナルド・ダ・ヴィンチの飛行機も凧もありません。デモを見る限り,移動手段は馬だけですか。
Guesdon氏:
いいえ。馬だけでなく,ラクダもいますし,チャリオット(古代の戦車)もありますよ。それからファルーカ(帆船)。「アサシン クリード オリジンズ」では,主人公が水中移動できるようになりました。海に限らず,どこでも水の中を好きなように移動できます。
そして,山にも登れます。行けない場所はありませんので,好きなようにどこへでも行ってください。
4Gamer:
ということは,完全なオープンワールドなんですね。
Guesdon氏:
そうです。土地はシームレスにつながっていて,例えばアレキサンドリアやメンフィスなどの大都市で馬に乗り,街を離れてもローディングは発生しません。新しいゲームエンジンのおかげで,完全にシームレスな世界を実現しているんです。
4Gamer:
デモをプレイしましたが,操作方法が変わっていますね。狙いは何でしょうか。
Guesdon氏:
目標としたのは,より良いレスポンスです。プレイヤーが本当にやりたいことができる,ダイナミックで柔軟な操作方法にしたいと考えました。従来作では街を歩き回ったり,探索したり,戦いに突入したりといった,それぞれのシチュエーションで操作方法が変わりました。
「アサシン クリード オリジンズ」では,それらを1つに統合しています。ファルーカに乗るときでも,馬上で戦うときでも,弓を射るときでも,基本的に操作方法は同じです。すべてでより良いレスポンスが得られることが大切だと思っています。
4Gamer:
なるほど。
Guesdon氏:
操作方法の変更によって,戦闘も大きく変わりました。よりハイペースで難しく,チャレンジのし甲斐のあるものになっています。
また,従来作にはなかった要素として,新たに「ボスファイト」を導入しました。これまでボスクラスのユニークな敵は登場しませんでしたが,今回は登場します。ボスに勝つためには,良い武器を発見する必要があるでしょうし,十分にキャラクターを育成する必要もあるでしょう。
4Gamer:
なかなか勝てない相手ということですか。
Guesdon氏:
そうです。最初はなかなか勝てないかもしれませんが,プレイを重ねて戦い方をマスターし,武器を探して,さらにアビリティを伸ばしていく必要があります。ただし,敵も強くなっていくので,ゲームはかなりハードなものになりますよ。
4Gamer:
主人公の人物像を教えてください。
Guesdon氏:
彼の名前はBayek(日本語版では「バエク」),その意味は鷹です。エジプトの古代文字ヒエログリフを調べて選びましたが,正確な発音は分かっていません。ご存じのように,アルタイルもエツィオも鷹を意味しています。「アサシン クリード」の世界では重要な名前ですが,「アサシン クリード オリジンズ」でもその伝統を受け継いでいるというわけです。
彼は訓練を受けた戦士で,警察官のような仕事をしています。昔はファラオの護衛でしたが,クレオパトラが支配するエジプトでは民衆を守る役目を担っていたと考えられます。そうした人物がどのようにしてアサシンになっていたか,それが「アサシン クリード オリジンズ」の重要なテーマです。
4Gamer:
アサシンの宿敵であるテンプル騎士団が登場しませんね。
Guesdon氏:
テンプル騎士団だけでなく,アサシン教団も登場しませんよ。物語については,あまり詳しく話せないのですが,「アサシン クリード」の世界には2つの考え方(Philosophy)があります。
テンプル騎士団は世界秩序を求め,アサシンは自由を尊びます。そういう考え方は古代エジプト時代から存在し,両者は対立していました。それがやがて,テンプル騎士団になり,もう一方がアサシン達になったというわけです。
4Gamer:
ゲームはどのようにして進行するのでしょうか。
Guesdon氏:
シリーズ作品の多くは,ミッションドリブンのシステムでした。1つのミッションを終えると,次のチャプターに進んでミッションを受けるという形ですが,「アサシン クリード オリジンズ」ではそれをクエストに置き換えています。
つまり,さまざまなクエストを自分の好きなタイミングで受け,それをクリアすることで物語が進んでいくというシステムです。
現段階で約150種類のクエストが用意されていて,物語そのものはリニアですが,クエストを受ける順番によって,プレイヤーそれぞれが異なるゲーム体験を得られます。
そうした異なる体験を可能にするために,AIも時間をかけて大幅に改善しました。ゲームに登場するすべての市民や軍人,さらに動物まで,すべてをAIでコントロールしているのですが,それぞれの目的を持って行動しています。
我々は,かつてないほどの「生きている街」を再現しました。あなたが街に足を踏み入れると,いろいろなことが起きるのを見るでしょう。ワニが人を襲い,兵士が悪人から市民を守るといったことです。
4Gamer:
古代エジプトの都市を本当に歩いているような気分になれるというわけですね。それは楽しそうです。ワニに襲われるのは,ちょっと困りますけど。
Guesdon氏:
これまでの「鷹の目」の代わりに,「アサシン クリード オリジンズ」では本物の鷹「Senu」を飛ばして偵察することができます。そんな彼女もまた,AIでコントロールされているんです。
4Gamer:
最後の質問になりますが,カスタマイズの要素はありますか。
Guesdon氏:
もちろん。刀やメイス,槍,アサシンブレードなど多数の武器が登場しますので,好きなもので戦えますよ。
4Gamer:
アサシンブレードは古代エジプトからあったんですか。ということは,左手の薬指は……。
Guesdon氏:
ええ,切り落としています。さらに衣装も多数用意してあり,クエストの報酬や街で購入することで手に入りますので,あなたの好みの外見に変更できます。
また,RPGのようにレベルアップのたびにポイントがもらえるのですが,それを消費することでアビリティを取得できます。アビリティは「ステルス」や「メレー」といった複数のカテゴリに分けられ,ツリー状に配置されているので,自分が必要だと思う方向に伸ばしていけます。
4Gamer:
どうもありがとうございました。発売が楽しみです。
インタビューでは触れられなかったことを補足しておくと,まず「アサシン クリード オリジンズ」はシングルプレイ専用タイトルとなる。これは前作「アサシン クリード シンジケート」の段階で決まったことで,今後のシリーズ作品はシングルプレイに特化していくという。
欧米では2017年10月27日の発売が予定されている「アサシン クリード オリジンズ」。満を持して発表されたシリーズ最新作の続報に期待したい。
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(C)2017 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Assassin’s Creed, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
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