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メタルの力を信じるしかない!ドラム演奏で異星人に立ち向かう「がるメタる!」プレイ動画&インタビュー
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印刷2018/02/08 16:00

インタビュー

メタルの力を信じるしかない!ドラム演奏で異星人に立ち向かう「がるメタる!」プレイ動画&インタビュー

 本日(2018年2月8日)発売のNintendo Switch用「がるメタる!」。“女子高生バンドがメタルサウンドの力を借りて異星人に立ち向かう”というブッ飛んだ世界観に加え,“音楽ゲームなのに譜面がない”システムで話題を呼んでいる。そんな本作について,プロデューサーの藤井隆之氏に話を聞きながらプレイをしてみた。

「がるメタる!」プロデューサー藤井隆之氏
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正確さより盛り上がり。直感的に楽しめるドラム演奏ゲーム


 「がるメタる!」は,女子高生バンドのドラマーとなり,メタルサウンドの力で異星人に立ち向かう音楽ゲームだ。簡単に言えば“リズムに合わせて入力し,音楽を奏でるゲーム”であるのは間違いないのだが,近年スマホアプリなどで流行している,いわゆるリズムゲームとは趣が異なっている。というのも,画面には譜面やノード(入力タイミングを示すカーソル)が出てこないのだ。

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 では実際に,この「がるメタる!」は,どうやって遊ぶのだろうか。


藤井隆之氏(以下,藤井氏):
 Joy-Conがドラムスティックになり,左Joy-Conを振るとスネアドラムが,右Joy-Conでキックドラムが,両方同時振りでシンバルが鳴ります。これで音楽に合わせてドラムを演奏し,リズムが合っていると得点が入ります。ライブ終了時に合計点が基準を越えるとステージクリアという感じです。

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4Gamer:
 画面上に楽譜とかノードが出ていないんですが,何を基準にして演奏するのでしょうか。

藤井氏:
 曲に合わせてリズムを刻めば大丈夫です。右Joy-Conを4回振る「Harlot」と,右と左を交互に振る「EnterSand」という2つのパターンを組み合わせ,あとは自由にやってみてください。今回プレイしていただく「頽廃ニューワールド!」はクラシックをアレンジしたものなので,初めて聞いた人でもどんなものなのか分かるようになっています


 ……ということでいきなりJoy-Conを渡され,メタルの力で地球を守ることに。具体的には,メタル嫌いの異星人に“メタル部”の部員達がライブを聴かせるのだ。ライブシーンはポリゴンのキャラクターが動くのだが,いわゆる“萌え”の文脈とは違った路線のキャラクターたちが可愛らしい。

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藤井氏:
 お話を追っていくストーリーモードと,一度遊んだ曲を自由に演奏できるフリーモードがありますが,ストーリーモードはよほどのことがない限りはゲームオーバーになりません。思ったまま,どんどんアドリブを効かせてください。

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 リズムが乱れたり,曲のテンポと無関係なところで叩いた場合は得点にならないが,“正解にこだわらず,アドリブを効かせてもいい”ということが分かって,何だか解放されたような気分になった。
 いかにも盛り上がりそうな所で両方のJoy-Conを振ってシンバルを鳴らしてもいいし,サビのところでドラムを叩く速度を上げてもいいわけで,好き勝手に演奏しているうちにライブは終了。異星人の侵略を退けることにも成功した。
 この「アドリブOK,何をしても曲が終わらない」というのは,なんとも新鮮に感じる。リズムゲームを遊んでいると,曲が終わって評価の対象外になったところでアドリブ演奏をしたりすることもあるが,「がるメタる!」の場合は,1曲中のどこでそれをやっても問題ないわけだ。


藤井氏:
 いわゆる音ゲーやリズムゲームだと,“正解”がキッチリと決められています。ノードが落ちてくるのを見て,いかに正確にタイミング良く入力するのかがキーです。しかし「がるメタる!」では,自分の演奏を楽しんでもらえばいいんです。

4Gamer:
 それは,音ゲーとしては甘い判定になっていると?

藤井氏:
 そうではなくて,判定に関する考え方が従来の音ゲーとは違っているんですよ。音ゲーやリズムゲームだと,“譜面を追って入力し,間違ったら減点”というものが多いですよね。対して「がるメタる!」は音楽的なところを見ています。これは現実の音楽コンクールなどに近いものです。

4Gamer:
 現実の音楽コンクールですか。

藤井氏:
 例えば,ピアノコンクールだとミスなく弾くことが当たり前になっています。100人参加していたら全員が満点のところからスタートします。そこから曲に対する音色のアプローチや間のため方など,音楽的な芸術点を評価していくんですよ。こうした演奏の表現という考え方をゲームに持ち込めないかと試行錯誤したのが「がるメタる!」です。
 もちろん先ほど話したように,アドリブでノリ良く演奏して自慢したり,動画を公開して評価をもらったり,笑ってもらったりと,ゲームの得点ではないところ……プレイヤーが“ドヤる”ところも重視しているんです。

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4Gamer:
 得点にならないところでも楽しんでほしいと。

藤井氏:
 そうです。点数を多く取るだけなら,曲のセクションごとに「HOT」なフレーズがあるので,その組み合わせて叩いていけばいい。でも本作では,曲を理解して,自分なりの解釈で叩いていいんです。

4Gamer:
 なるほど。とはいえ,お手本というか,どうやって点数を取っていくのかを見てみたいですね。

藤井氏:
 実際にやってみましょうか?

4Gamer:
 ぜひお願いします。


藤井氏:
 撮影されていたのでちょっと大事に行きすぎました(笑)。でも,とりあえず叩きたいように叩いてもらえばいいんですよ。“得点という物差し”を使ってドラムの叩き方の基礎を表現しているので,得点を上げる方法を模索していくと,自然とドラムのことが分かってきます。クリアできるようになったら演奏を崩して,よりカッコ良いアレンジにも挑戦してみてください。


曲の構成に合わせて自ら盛り上げる。画面を見ずに遊べる音楽ゲーム


4Gamer:
 しかし,これは実際に体験しないと,そのコンセプトや遊び方が分からないですよね。店頭体験会(関連記事)での反応はいかがでしたか?

藤井氏:
 良かったです。中学生さんの集団が盛り上がってくれたりしました。ミスという概念がないことを理解してくれると,自分でフレーズをいろいろ試してくれるんですよ。一方,吹奏楽をやっている学生さん,つまり音を聞いてリズムを取ることに慣れている人ですと,すぐにコンセプトを分かっていただけました。

4Gamer:
 そのあたりも音ゲーとは違いそうですね。

藤井氏:
 本作は究極的には画面を見なくても遊べるゲームですから。それに,ライブのステージ上には,譜面が出たり,ノードが流れてきたりなんかしないじゃないですか(笑)。

4Gamer:
 それは確かに。では,そもそも,こうしたゲームデザインにしようと考えたきっかけは何でしょう?

藤井氏:
 電車の中で音ゲーを遊んでいる方を見かけたことですね。音を出さず,ヘッドフォンやイヤフォンを接続してなくて,画面だけを見てタップして高得点を出そうとしていて。公共の場ですから音を出さずに遊ぶのは正しいですが,それは音楽ゲームなんだろうか,と。

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4Gamer:
 あー,音やリズムではなく,ノードだけで遊んでるわけですか。だからこそ,画面上にノードや楽譜などを表示しない本作のスタイルが生まれたと。主人公が演奏するのがドラムというのもユニークですね。

藤井氏:
 社内で企画を説明したときも「ドラムなの!?」という反応がありました(笑)。ドラムというのは直感的でとても楽しい楽器だと思っています。

4Gamer:
 藤井さんの話を聞いていて思ったのが,音楽を聴いてると,自然と自分なりのリズムを取ることがあるじゃないですか。それができる作品なのかなと。

藤井氏:
 そういう見方もありますね。リズムを取ることは,音楽の基礎中の基礎ですから。これが楽しくないと言う人は世の中にいないでしょう。その意味では任天堂さんの「1-2-Switch」に近いのかもしれませんね。そもそも,プラットフォームとしてNintendo Switchを選んだのも“持ち運べるコンソール”というコンセプトが僕の心に刺さったからですし。

4Gamer:
 そのNintendo Switchはタッチスクリーンが特徴ですが,こちらへの対応は?

藤井氏:
 もちろんタッチ操作やボタン操作でも遊べます。Joy-Conではスネアドラム,キックドラム,シンバルを使いますが,これに加えてハイハットやフロアタムなど実際のドラムと同じ構成で,それぞれを任意に鳴らすこともできます。

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4Gamer:
 よりマニアックな操作ができるわけですね。


萌えとは違った文脈の可愛らしさを持つキャラクター。育成要素などゲーム的な深みも


4Gamer:
 個人的にはゲーム内の女の子達が,いわゆる“萌え”の文脈ではない可愛らしさなのが特徴だとも思いました。今や萌え文脈+音ゲーというのは定番というかヒットの方程式になった感もありますが。

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藤井氏:
 低年齢層にアピールするために,萌え的ではない可愛らしさを演出する必要がありました。そこで,キャラクターデザインと漫画作画に青木俊直さんを起用し,コミック形式でストーリーを展開しています。

4Gamer:
 コミックのキャラクターに動きなどの演出が加えられたスタイルですね。

藤井氏:
 この演出を実現するために,青木さんにはかなりの苦労をかけてしまいました。もちろん制作チームにも。その甲斐あって,サクサクと読めて楽しいものに仕上がっています。

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4Gamer:
 ゲーム的な部分についてはどんな取り組みがありますか?

藤井氏:
 主人公を育成していくシステムがあります。放課後の時間を使ってアルバイトや練習をして,パラメータを上げれば演奏時に補正を受けられます。例えば「モラル」を高くすると正確にリズムを刻めたときの得点がアップしますし,「アクティブ」なら異なるリズムを組み合わせてコンボを出したときの得点が上がります。
 放課後にはメタル部の仲間たちも街のいろいろな場所を動き回っていて,同じ場所に行けば人となりを描くエピソードが人形劇風の演出で見られます。基本的には周回が前提の作りになっていますね。

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4Gamer:
 得点の追求とエピソード探しで長く遊べそうです。

藤井氏:
 また,こちらの演奏を妨害してくる異星人もいます。例えばイカ型の異星人だとスミを吐いて,これを食らうとドラムの一部がイカスミで覆われ叩けなくなってしまいます。演奏していると異星人がスミを吐く前にポーズを取っているのが見えるので,そこでシンバルを鳴らせば阻止できます。

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4Gamer:
 なるほど。育成だけではなく,異星人からの妨害など,ゲーム的な要素も取り入れられているんですね。

藤井氏:
 もちろん演奏を邪魔しないタイミングですが。先ほどは画面を見なくても遊べると言いましたが,異星人の動向はちゃんと見てくださいね(笑)。

4Gamer:
 分かりました(笑)。最後に読者へのメッセージをお願いします。

藤井氏:
 誰でも簡単にドラムが叩けて,「バンドや音楽の楽しさを体験してほしい!」という心算で作ってはいるのですが,一番最初はとっつきにくいというのも事実です。でもちょっと頑張ってステージを進めていくと,知らないうちにリズムの気持ち良さが体に入ってきて,いろいろなフレーズが自由に使えるようになります。楽譜通りじゃなくてもカッコよければすべてオッケー! フリードラムだからこそ攻略法は無限大です。ぜひ友達と一緒によりカッコいいドラムを見つけてください!

4Gamer:
 ありがとうございました。

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 音楽ゲームにおいて,アドリブや創造性を評価する試みは早い段階から行われているが,こうした流れを汲んだのが「がるメタる!」だ。単にクリアするだけなら初心者でもなんとかなり,盛り上がる(=高得点が得られる)演奏を追求するなら,バラエティに富んだリズムパターンを組み合わせた演奏が求められていく。
 Nintendo SwitchのJoy-Conを使った直感操作&タッチパネルによるハイレベルな操作とあわせて,ありそうでなかった音楽ゲームという印象。とくに音楽をやっている人,やったことがある人であれば“刺さる”であろう「がるメタる!」の盛り上がりが楽しみだ。

「がるメタる!」公式サイト

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