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Huaweiが誇るフラッグシップスマートフォン「Mate 10 Pro」ハンズオン。国内でも販売予定の6インチ級は大きいけれど持ちやすい
Huaweiはさまざまなスマートフォンをラインナップしているが,その中でもHUAWEI Mateシリーズは,同社のフラッグシップモデルとなっている。
6インチサイズ前後の大型パネルを搭載するスマートフォンとして,「HUAWEI Mate 7」(※当初の製品はAscend Mate 7)が登場したのは2014年秋のこと。当時は大型液晶パネルの採用そのものが特徴的な製品だったが,日本を含む世界市場で好評を得て,それ以降は毎秋ごとに新製品を投入している。2016年秋発表の「HUAWEI Mate 9」では,カメラメーカーのLeicaと共同開発したデュアルレンズカメラを搭載し,Huawei製品のフラッグシップモデルに位置づけられた。
そして今では,例年2月末から3月初旬に発表されるHUAWEI Pシリーズと,9月末から10月初旬に発表されるHUAWEI Mateシリーズが,毎年二回投入するハイエンドスマートフォンの両輪となっているわけだ。
さて,今回発表されたMate 10とMate 10 Proは,スタンダードモデルと上位モデルといった具合に,単純に括るのは難しい,性格の異なる製品になっている。とは言え,現時点で日本市場への投入が明確になっているのはMate 10 Proだけなので,ここでは同製品に焦点を当てて見ていくことにする。
なお,Mate 10 Proの主なスペックは以下のとおりだ。
●Mate 10 Proの主なスペック
- メーカー:Huawei Technologies
- OS:Android 8.0(Oreo)
- ディスプレイパネル:6インチ 有機EL,解像度1080×2160ドット(402ppi)
- プロセッサ:HiSilicon Technologies製「Kirin 970」(「Cortex-A73」CPUコア×4(最大動作クロック2.4GHz)+「Cortex-A53」CPUコア×4(最大動作クロック1.8GHz),「Mali-G72」GPU,AI処理プロセッサ「NPU」搭載)
- メインメモリ容量:最大6GB
- ストレージ:内蔵64GBまたは128GB
- アウトカメラ(モノクロ):有効画素数約2000万画素,F値1.6,光学式手振れ補正機能搭載
- アウトカメラ(RGB):有効画素数約1200万画素,F値1.6,光学式手振れ補正機能搭載
- フロントカメラ:有効画素数約800万画素,F値2.0
- バッテリー容量:4000mAh
- 公称最大通信速度:受信時1.2Gbps(Cat.18 LTE 3波キャリアアグリゲーション対応) 対応LTEバンド:FDD LTE Band 1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28/32,TDD LTE Band 34/38/39/40
- 無線LAN対応:IEEE802.11ac
- Bluetooth:4.2+LE
- USBポート:Type-C
- 本体公称サイズ:154.2mm×74.5mm×7.9mm
- 本体公称重量:178g
それでは,外見から見ていこう。
従来までは,スタンダードなアスペクト比9:16の液晶パネルを採用していたMateシリーズだが,Mate 10 Proでは画面アスペクト比を変更し,LG ElectronicsやSamsung Electronics,そしてAppleがハイエンドモデルで採用している縦長のアスペクト比9:18という6インチ有機ELパネルに変更したのが大きなポイントである。画面解像度は1080×2160ドットで,画素密度は402ppi。横は縦位置にしたフルHD解像度と同等で,縦方向を180ドット引き伸ばした格好だ。
狭額縁デザインの採用により,本体の横幅は74.5mm。背面がカーブしている構造とも相まって握りやすい。いわゆる片手操作でも,横方向にはそれなりに指が届く。さすがに縦方向は物理的に厳しいが。
上下のベゼルもかなり狭くなっているため,前面にボタンを配置する余裕はなく,指紋認証センサーはMate 9同様,背面に置かれている。デュアルカメラのレンズと縦方向に並べることで,指先が届きにくかったり,指先でレンズカバーに触れてしまったりといった問題を回避しているそうだ。
なお,Mate 10 Proのカラーバリエーションは,Midnight Blue(ミッドナイト・ブルー),Titanium Grey(チタニウム・グレイ),Mocha Brown(モカ・ブラウン),そしてPink Gold(ピンク・ゴールド)という4色展開である。
Mate 10 Proは,側面に3.5mmミニピンのヘッドセット端子は備えておらず,底面のUSB Type-Cポートに,製品付属のUSB Type-C接続型のステレオイヤフォンを接続するか,これまた付属する3.5mmミニピンヘッドセット端子への変換アダプタにヘッドセットを差して使うか,あるいは市販のBluetooth接続ヘッドセットを使うことになる。
AppleはiPhone 7世代で3.5mmミニピンヘッドセット端子を廃止したわけだが,それにより,有線で音楽を聴きながら充電するのが難しいという課題を抱えてしまった。その課題はMate 10 Proでも同様というわけだ。
発表会で歓声が沸いた特徴の1つが,充実した音楽再生機能の実装である。Mate 10 Proは,最大384kbps/32bitのハイレゾオーディオ再生に対応するのだ。また,3.5mmミニピンヘッドセット端子は省略された一方で,Bluetoothでは「aptX」と「aptX HD」,そして「LDAC」といった高音質とされる音声コーデックをサポートすることで,ワイヤレス環境でも,いわゆるハイレゾ相当の音楽再生を行える。
通信機能面では,デュアルSIMモデルにおいて,世界初という「デュアルLTE,デュアルVoLTE」をサポートする点がポイントとして挙げられよう。2枚のLTE対応SIMを入れておけば,同時に待ち受けできるだけでなく,どちら側でもVoLTEによる高音質な通話が行えるというわけだ。また,3波キャリアアグリゲーションによるCat.18,最大下り通信速度1.2Gbpsに対応しているのも特徴である。
ちなみに,グローバルモデルでは,LTE対応バンドが,FDD-LTEでBand 1/2/3/4/5/6/7/8/9/12/17/18/19/20/26/28/32,TD-LTEでBand 34/38/39/40と,幅広いのも魅力だ。ハンズオン会場に用意されていた端末では,技適表示は見つからなかったが,あとは技適を通すだけの状態と言ってもいいだろう。
日本市場に投入されるSKUがどちらかは明確になっていないが,同じHuaweiのP10シリーズから想像するに,後者のデュアルSIMモデルとなる可能性が高そうだ。
Leicaとの共同開発よるデュアルレンズカメラは,有効画素数約2000万画素のモノクロセンサーと1200万画素のRGBセンサーで構成されており,いずれもF値1.6という明るいレンズ「SUMMILUX-H」を搭載しているのがポイントである。このSUMMILUX-Hは,Huaweiの「P10 Plus」でも採用していたレンズだが,P10 PlusのレンズがF値1.8だったのに対して,Mate 10 Proはさらに明るくなっている。
ちなみに,カメラ部分は背面パネルから,わずかに突起している。もともとMate 10 Proの背面は緩やかなカーブを描いており,フラットではないので,それほど気になるものではないと思う。デザインつながりで言えば,レンズやセンサー,LEDフラッシュを搭載する部分は,ボディのベースカラーと色調が異なっていて,見た目におけるアクセントにもなっている。
Kirin 970のAI処理機構「NPU」を写真撮影に生かす
Mate 10 Proは,Huaweiの実質的子会社であるHiSilicon Technologies製SoC(System-on-a-Chip)「Kirin 970」を初めて搭載する製品である。
クラウドやデータセンターのシステム上で動くAI(クラウドAI)に対して,ユーザーの手元にある端末で動くAIを「エッジAI」と呼ぶケースが増えているが,Kirin 970は,そのエッジAIにあたる処理をスマートフォン上で実行するために,「Neural-network Processing Unit」(NPU)を搭載しているのが特徴だ。
では,そのNPUとやらは,具体的に何をするかというと,単純明快な説明は,なかなか難しい。大雑把に言えば,これまでCPUが行ってきた画像認識や音声認識といった処理を,さまざまな場面でCPUに代わって行うことで効率化するユニットといったところか。
今回のイベントで具体的に紹介された事例には,カメラでのAI活用がある。撮影時に被写体を認識して13種類に分類したうえで,その被写体に最適な撮影補助を行うといった機能だ。もちろん,これまでもスマートフォンのカメラで,そうした機能を搭載するものがなかったわけではないが,CPUが力任せに演算していたものを,より効率的にかつ短時間で行えるようになったと考えればいい。
写真撮影以外でも,音声による翻訳機能などが,NPUの活用事例として挙げられている。これも今までできなかった機能というわけではないが,音声認識処理の効率化という面で,NPUが果たす役割は大きいという話だった。
なお,HuaweiはGoogleと共同で,NPUのAI機能をサードパーティアプリでも利用できるように,プラットフォーム化を進めていくということだ。
ハードウェア面での特徴に話を戻そう。
Mate 10 Proの内蔵バッテリー容量は,ハイエンドスマートフォンのなかでもトップクラスの4000mAhとなっている。Huawei独自の「SuperCharging」技術を採用しており,約30分間の充電で,58%分の容量を回復できるそうだ。また,急速充電を含めたバッテリーの安全性についても,認証機関のお墨付きを世界で初めて受けたと,イベントでは強調していた。
そのほかに,USB Type-Cポート経由で接続した液晶ディスプレイに,Windows風のデスクトップ画面を表示できる「PC Mode」を搭載。Windows PhoneやSamsung Note8/S8にも似たような機能があるものの,競合製品がドックを必要とするのに対して,Mate 10 Pro本体のみで利用できるのが利点であるとのことだ。
「PORSCHE DESIGN Mate 10」である。
Huaweiは,2016年のMate 9で,Porsche Designとの協業による特別デザインモデルを展開したが,好評だったのか,Mate 10 Proでも特別デザインモデルを用意してきたわけだ。製品名はMate 10となっているものの,ベースモデルはMate 10 Proである。
PORSCHE DESIGN Mate 10は,専用のカラーやマイクロドットによる背面の縦ストライプ,前面ベゼル下部の「Porsche Design」ロゴといったデザイン面での違いがあるだけでなく,内蔵ストレージ容量が256GBに増えていたり,専用アクセサリがパッケージに同梱されていたりといった差別化が図られている。
ヨーロッパでの価格は1395ユーロ(約18万4012円)。なお,現時点での販売対象地域に,日本は含まれていない。
HuaweiのMate 10 Pro製品情報ページ(英語)
Huaweiの日本語版コンシューマ向け製品情報ページ
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