プレイレポート
熟練カードゲーマーは初見の「PSO2 トレーディングカードゲーム」でも勝てるのか? セガの刺客,郡 正夫氏に挑んでみた
正直なところ,依頼の内容を聞いたときは困惑した。なぜなら,筆者は「ファンタシースターオンライン2 トレーディングカードゲーム」(以下,「PSO2 TCG」)の対戦経験がゼロ。名前は知っていたけれど,そもそもルールすらまったく把握していない“超初心者”である。
そして,筆者にとって初の実戦相手には,「ファンタシースターオンライン2」のプレイヤーならおなじみのゲームアナウンサー・郡 正夫氏を予定しているという。「PSO2」のイベントや生放送に出演し,「PSO2 TCG」の実戦経験も豊富で,「コーリー名人」と呼んでも差し支えない存在だ(と思う)。
とはいえ,「まあ,カードゲーム自体は慣れてるし,なんとかなるやろ!」と軽い気持ちで引き受けて,当日を迎えたのだった。
6/29にバトロコ高田馬場店様で行われた公認大会に、みなさんご存知コーリーさん@MasaoKoori と天野名雪さん@7yuki_amanoが参戦!ご両人優勝こそは逃したものの、良いところまで勝ち進んで参加者の皆さんと楽しく交流いただきました。またのご参加お待ちしています!#PSO2TCG pic.twitter.com/W8jzQuUpsN
— PHANTASY STAR ONLINE 2 TRADING CARD GAME (@sega_pso2tcg) 2019年7月2日
こうした経緯があったわけだが,本稿では「PSO2 TCG」を紹介しつつ,「ほかのデジタルTCGをメインにしているカードゲーマーが,『PSO2 TCG』を初めてプレイしたらどこまで戦えるのか!?」というリプレイ記をお届けする。「PSO2 TCG」プレイヤーはもちろん,筆者と同じ立場の読者にも,ぜひご一読いただきたい。
「PHANTASY STAR ONLINE 2 TRADING CARD GAME」公式サイト
「PSO2 TCG」はデッキの枚数がそのままHPになる
本社に到着するやいなや,さっそくセガスタッフからティーチングを受けることになった。前述のとおり,筆者はルールすら分かっていない“Lv1”のプレイヤーだったので,イチから懇切丁寧に教えてもらう。
まず,「PSO2 TCG」の基本的なルールは一般的なTCGのものとそれほど変わらない。場にユニットとなるキャラカードを出したりして相手のプレイヤーを攻撃し,そのHPをゼロにすれば勝ち,ということだった。
しかし,「PSO2 TCG」はHPがデッキそのもの。つまり,デッキの枚数がそのまま残りHPとなり,攻撃を受けるたびにデッキが削られていく。“デッキがなくなったら,ライブラリアウトで負け”というTCGは決して珍しくないが,“デッキの枚数がそのままHPになる”というのはあまり聞いたことがない。
デッキの枚数が固定ではなく,使用するプレイヤーカードによって異なる点も大きな特徴だ。プレイヤーカードとは,「ハースストーン」に例えるならヒーローのようなものだが,プレイヤーカードによってHPが異なる。つまり,使用するプレイヤーカードによって,デッキの枚数すら変わってしまうのだ。
さらに,プレイヤーカードは必殺技的な能力を持ち,お供の「マグカード」には毎ターン,コストとなるPPと引き換えに使える能力がある。ちなみに,PPは自分のターンに手札からカードを1枚,場に置くことで溜められる。つまり,「デュエルマスターズ」と同様の形式だ。
戦闘システムも特徴的だ。攻撃の対象はプレイヤーカードかキャラクターカードのいずれかを任意で選べるが,後者には“前列”“後列”という概念があり,前列のキャラがHPの半分以上のダメージを受けると後列に下がる。この後列に下がった状態で,さらにHPの半分以上のダメージを受けたキャラは破壊される(場から退場する)という仕組みだ。つまり,後列のキャラはHPが半分の状態になっているというわけである。もちろん,前列のキャラがHP以上のダメージを受けた場合は問答無用で退場だ。
キャラクターカードの中には後列に下がると能力を発動するものもあり,あえて後列に下がるようなプレイが必要なこともある。プレイヤーカードの能力やマグカードの能力もあるので,なかなか考えることが多いゲームだ。
「PSO2 TCG」の大まかなルールはこんな感じだ。ただ,筆者がティーチングを受けていて気に留めたのは,“相手のターン中に使えるカードがある”という点だ。例えば「マジック:ザ・ギャザリング」には使用のタイミングを問われない(いつでも使える)カードが存在するが,イメージとしてはかなり近い。
こうしたカードをどこで使うのか。これが「PSO2 TCG」において勝敗を左右するポイントの1つではないか,という印象を受けた。
また,ティーチングの段階では,デッキの枚数であるHPが比較的多めという印象だった。最初に5枚の手札を引き,さらにPPとして場にカードを置いたときにも追加でカードを1枚引けるルールになっているので,試合開始時にはプレイヤーカードに書かれているHPより少なくなるが,概ね30以上と考えていいだろう。
つまり,相手のプレイヤーをガンガン攻撃していくような,いわゆるアグロ(速攻)戦術は成立しにくそうだ。対戦では「相手のプレイヤーを積極的に叩くより,盤面優位を築くために相手のキャラを優先して叩く戦略を採ろう」と,この時点では考えていた。しかし,こうした見積もりがのちに足を引っ張ることになる……。
「ファイター」デッキで,いざ郡 正夫氏と対決だ!
さあ,いよいよセガの刺客と対戦だ! 冒頭でも触れたとおり,相手を務めてくれるのは「PSO2 TCG」に精通し,「PSO2」のイベントや生放送でもおなじみのコーリーこと郡 正夫氏。今回はスターターデッキ同士とはいえ,相手はバリバリの経験者である。
あっさり初心者狩りに遭いそうな予感を抱きつつ,さっそく渡されたデッキを眺めてみる。
今回,筆者が使用するのは「ファイター」のスターターデッキ。相手のプレイヤーカードを攻撃することで,そのターン中の再攻撃が可能になる「連撃」持ちのカードや,後列に下がることでステータスが上がるカードの存在が,デッキの主な特徴だ。
中でもキーカードとなるのが≪パートナー クーナ≫である。コストは6とやや重めだが,4/7(※攻撃力/HP)というステータスに加え,前列にいるときは相手からのダメージを1軽減するという効果を持つ。また,仮にダメージを受けて後列に下がっても,+2/+2のバフが加わり,相手の効果の対象に選ばれなくなる。
このカードを場に出すことさえできれば,八面六臂の活躍を見せてくれるはずだ。いかにして,そこまでの展開をつなげていくのかが,序盤の焦点だろう。
対する郡氏が使用するのは「ブレイバー」のスターターデッキ。≪イオ≫をはじめ,PP(コスト)の軽減能力を持つキャラが揃い,キャラカードの展開力が優れている点が特徴だ。≪ゼログ≫のような,使用条件があるものの,ステータスがコストに比べて非常に強力なキャラの存在もポイントとなる。
高コストのカードのうち,際立っていたのは≪パートナー イオ≫だ。登場時のドロー効果を持つうえに,場に出ているとコスト軽減の効果を発揮するため,相手にとって無視できない存在だろう。もちろん,筆者がカードを見るのは初めてなので,初見のふわっとした感覚でしかないが,かなり厄介なカードだと感じた。
ちなみに,対戦前にちらっと聞いた話では「ファイターデッキはブレイバーデッキに対して有利」(セガスタッフ)とのこと。「うわぁ,ファイターかぁ! これは厳しいなぁ〜」と郡氏もこぼしていた。果たして,経験の差をデッキ相性で補い,下剋上を成し遂げることができるのか!?
序盤は狙いどおりのトレードに成功! しかし……
これは試合開始時の発言だ。というのも,「PSO2 TCG」のプレイヤーカードの能力は,先攻と後攻では使用コストが異なる。後攻は使用コストが1PP低く,さらにゲーム中に1度だけ使用できる1PPを与えられるので,後攻を欲しがるプレイヤーが多いらしい。
というわけで,「勝ったほうが先攻」という取り決めをして臨んだじゃんけんに勝利したのは郡氏だった。筆者としては無事に後攻を取ることができて,まずは順調な滑り出し。まさに「負けるが勝ち」である。
後攻の1ターン目,さっそく特権である1PPを使用し,コスト2の≪バローズ≫をプレイ。2/3のステータスを持ったキャラカードだ。うまく機先を制することができたものの,次のターンに≪バローズ≫がプレイヤーアタックを仕掛けたときに,郡氏のデッキからドロップカードである≪サー≫が捨て札へと落ちた。
ドロップカードはデッキから捨て札に送られると,即座にプレイされるカード。そして,≪サー≫はターンごとにダメージを1軽減するという防具アイテムだ。これを郡氏のプレイヤーに装備されるという少々嫌な展開。しかも,直後に返しに打たれたアクティブカード≪トライインパクト≫によって,≪バローズ≫が3ダメージを受けて除去されてしまう。
その後,お互いがキャラを展開する形になると,郡氏が≪ウィザー≫を場に置いた。4/5という高いステータスを持つ厄介なキャラだ。
そこで≪ウィザー≫を除去すべく,いったんPPを残した状態でターンを相手に返すことにする。そして郡氏が返しのターンで,3/1の能力を持つ≪ラクーナ≫を攻撃してきたところで,アクティブカード≪攻撃アップ≫を使用。これにより攻撃力が+2となり,HP5の≪ウィザー≫と相討ちに成功。強力な相手を狙いどおり,除去することができた。
続いて,郡氏が≪イオ≫を2体展開してきたため,返しで連撃を持つ≪ガルース≫をプレイ。次のターンに連撃でイオを狙うものの,≪カウンター≫で対処されて倒しきれない。そこで満を持して,二の矢である≪パートナー クーナ≫をプレイする。
郡氏が「うわ〜! どうしよう」とぼやいたところを見るに,クーナの存在は効いているらしい。直後,相手のターンにプレイヤーアタックを受けるものの,今度はこちらの≪サー≫がデッキから捨て札に落ち,装着することができたのも追い風だ。
しかしながら,ここから盤面をいまいち取り切れない展開へ。コスト軽減の≪イオ≫に加え,6/5の≪キャプテン・D≫をはじめとするステータスが高めのキャラが並んでいたので,これらを除去しようとするも盤面の主導権を握れないまま,ターンが進行してしまう。
プレイヤーアタックを受けたときに,攻撃対象を自身に変えられる「ウォークライ」を持つ≪アイザック≫で受けなかったミスもあり,その後の展開に響いた。プレイヤーキャラクターのHPに余裕がなくなってしまったのだ。前述のとおり,「PSO2 TCG」はデッキの残り枚数がHPなので,ターンが進むにつれてカードのドローにより,確実にHPが削られていく。
こうした攻防を続けるうちに,ついに虎の子の≪パートナー クーナ≫が除去されてしまう。郡氏の≪キャプテン・D≫の攻撃により後列に下げられると,続く≪トレンシャルアロウ≫で3ダメージ。さらにマグカードの効果(+1/+1)によって,2/5となった≪イオ≫のアタックを受けてしまったのだ。
郡氏のリソースをかなり使わせたとはいえ,怒涛の攻勢により,デッキのエースが除去されたのは非常に痛い。
その後,2枚目の≪パートナー クーナ≫のプレイに成功するも,デッキの残り枚数は風前の灯火になっていた。郡氏のHPも決して多くはなかったが,クーナを無視してプレイヤーに攻撃を集中されると,もはや耐え切れず……。
筆者の下剋上とはならず,無事(?)に初心者らしく敗れ去った。
試合後の感想戦によると,「ファイターデッキはプレイヤーへの攻撃が得意な“攻めのデッキ”。盤面除去よりプレイヤーアタックを狙ったほうが効果的だったかも」(郡氏)とのこと。筆者の「盤面優位を築くために相手のキャラを優先して叩く」という見立てが裏目に出たようだ。言われてみれば,連撃は明らかに攻めの能力だし,思い切ってガンガンプレイヤーアタックを仕掛けたほうが良かったかもしれない……無念。
仲間と共に戦う「協力レイドバトル」はボードゲームのような楽しさ
本日のメインイベント,郡氏との対戦は終わったが,時間に余裕があったので「協力レイドバトル」を体験することにした。複数のプレイヤーが協力して,1体のボスデッキに挑むコンテンツだ(※推奨プレイヤー数は3人だが,4人以上や1人,2人でも遊ぶことができる)。「PSO2」のプレイヤーにとって,おなじみのシチュエーションと言えるだろう。
昨日の敵は今日の友。というわけで,郡氏とタッグを組んで戦うことになったのだが,マイデッキを持っている郡氏に比べて,筆者のスターターデッキはあまりにも貧弱。そこでセガからブースターパックを提供していただき,そこからカードを多少追加することにした。
筆者のデッキに加わったのは≪天真なるアークス ジェネ≫だ。3コスト,2/5という高いステータスに加え,連撃も持っている。非常に優秀なスペックのキャラカードだ(郡氏いわく「超ウルトラスーパー強いカード」)。この陣容でレイドボスである「トランマイザー」デッキに挑んでみた。
トランマイザーは1ターンごとに形態を変形するという特徴を持つ。最初は打撃形態だが,次のターンには射撃形態になり,その次のターンにはまた打撃形態に戻る。
また,協力レイドバトルではボスのHPがデッキの枚数ではなく専用のものだったり,1ターンにつきプレイヤー数と同じカードをプレイするといった,専用のルールが用意されている。
レイドボスのデッキからキャラカードが出ることもあれば,≪ミサイル≫のような直接攻撃のカードが出てくることもある。いずれにせよ,その攻撃は怒涛の勢い。実際,郡氏と共にボスに挑んだものの,最初のターンから攻撃を連発されて,プレイヤーのHPが1/5も削られてしまったほど。想像以上に緊迫感が走る……。
さて,今回の協力レイドバトルは郡氏の強力なデッキに助けられながら,筆者の≪天真なるアークス ジェネ≫も大活躍。後列に下がり攻撃力が3に上がった状態から連撃が決まり,一気にボスのHPを削ることに成功する。序盤はどんどんデッキが減っていくので,どうなることかとヒヤヒヤしたが,なんとかトランマイザー攻略を達成したのだった。
今回,トランマイザー役をセガスタッフに務めてもらったのだが,ボス側のプレイヤーは「プレイを選択する」ことがない。「誰を攻撃するのか。どのように攻撃するのか」といったプレイは,すべてカードのドローやダイスの目に応じて決められる。つまり,プレイヤー達はプログラムされた強大な敵に立ち向かうというわけで,TCGでありながら「ボードゲームのような楽しさ」があるコンテンツだ。
対人戦はもちろん,協力レイドバトルをメインに「PSO2 TCG」を遊ぶというのも楽しいと思う。
「PSO2 TCG」は選択肢が多く,かなり骨太のカードゲームだ
みっちり3時間にわたって「PSO2 TCG」を堪能させてもらったわけだが,率直な印象としては「ターンごとの選択肢が多く,骨太のカードゲーム」というものだ。今回,筆者は郡氏に対して敗北を喫したが,その敗因は経験不足によるプレイングミスが大きく響いた形である。さらにやり込めば,より良いプレイができるようになると確信しているし,「また遊んでみたい」「今度こそ勝ちたい!」と思っている。
筆者自身,コアなカードゲーマーと自負しているが,同様にコアなカードゲーマーである4Gamer読者にもしっかりとおすすめできるカードゲーム,それが「PSO2 TCG」だ。
「PHANTASY STAR ONLINE 2 TRADING CARD GAME」公式サイト
「PHANTASY STAR ONLINE 2 TRADING CARD GAME」商品情報
「PSO2 TCG」では「ファンタシースターオンライン2」EPISODE2に基づく新カードが展開中。新商品「BOOSTER SET Vol.2-1」「Vol.2-2」は大人気のキャラクターを必ず入手できるボックスセットだ。さらにランダムでパラレル仕様のカードも封入されている。
■商品名
PHANTASY STAR ONLINE 2 TRADING CARD GAME BOOSTER SET Vol.2-2
■発売日
2019年07月27日
■価格
1セット:6800円(税別)
■内容
(1)「BOOSTER 2-2」収録の全券種を各1枚封入(パラレル仕様カードは全8券種から1枚をランダムで封入)
(2)特製オーバースリーブ(69mm×94mm)70枚入同梱(全3種類の中から1つをランダムで封入)
(3)PSO2 TCG キャラクターカードファイル1個
■備考
※各収録物のカード種類
「BOOSTER 2-2」新カード 全55券種(パラレル仕様カード 全8券種)
■商品名
PHANTASY STAR ONLINE 2 TRADING CARD GAME BOOSTER SET Vol.2-1
■発売日
発売中
■価格
1セット:6800円(税別)
■内容
(1)「BOOSTER 2-1」収録の全券種を各1枚封入(パラレル仕様カードは全8券種から1枚をランダムで封入)
(2)「スターターデッキブレイバー」1個
(3)特製スリーブ70枚(全3種類の中から1つをランダムで封入)
■備考
※各収録物のカード種類
「BOOSTER 2-1」新カード 全55券種
(パラレル仕様カード 全8券種)
「スターターデッキブレイバー」全26券種
(新規カード「パートナーイオ」収録)
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