インタビュー
オリジナルストーリーやきせかえも楽しめる初のキャラ単体アプリ「キキ&ララのトゥインクルパズル」インタビュー
絵本「リトルツインスターズ物語」の世界観を再現しており,キキ&ララと一緒に星を旅しながらステージをクリアしていくと,本作でしか見られないキキ&ララのオリジナルのストーリーが楽しめるという。
今回4Gamerでは,キキ&ララ初のキャラ単体アプリとなる本作の開発経緯やキャラクターの持つ魅力について,サンリオ ライセンス事業本部のI氏,S氏,イマジニア モバイルメディア事業本部の下園奈津美氏,伊藤 卓氏へインタビューを実施した。
「キキ&ララのトゥインクルパズル」公式サイト
※画面は開発中のものです。“可愛い”だけじゃないリトルツインスターズの世界
時代をこえて愛されるキキ&ララの魅力
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。今回は「キキ&ララのトゥインクルパズル」のインタビューですが,せっかくなのでサンリオキャラクターとしてのキキ&ララについても聞かせてください。リトルツインスターズといえば2015年に,誕生から40周年を迎え,今なお世代を問わず愛されているIPですよね。
サンリオキャラクターの中でも,コアなファンが多い作品です。とくに世界観がすごく好まれていて,言葉では上手く説明しにくいのですが,ただ“可愛い”だけではないキキ&ララっぽさのある世界を大事にされている方が多いように感じています。
4Gamer:
キャラクターデザインだけでなく,イラストの背景が凝ったデザインになっているのもポイントになっていそうですね。
サンリオ S氏:
2人が何をしているのかとか,キキ&ララのお部屋のテーブルや椅子が星の形をしているとか,お菓子にも星がちょこんと乗っているとか,そうした部分まで見たうえで「可愛いな」と感じてくださっているのかもしれません。
4Gamer:
リトルツインスターズは,サンリオキャラクターの中でもとくにファンの年齢層が幅広い印象があります。TVアニメ「サンリオ男子」などの影響で若いファンも増えたのではと感じていますが,どう思われますか。
サンリオ S氏:
その影響かは分からないですが,キキ&ララの公式Twitterでは10代や20代からの反応が多いようだと聞いています。あと「最近キキのファンが増えている」という話も。
4Gamer:
そうなんですね。
サンリオ S氏:
これまではキキ&ララのグッズを作ると,「ララ可愛い!」とファンの方が買っていくことが多くて,ララのグッズを多めに作ることもありました。でも最近はキキのほうが先になくなってしまう現象が起きていて,なぜだろうとみんなで考えていたところでした。
そういった変化に合わせて,Twitterなどでの発信はキキ&ララの比重が同じになるよう意識しているようです。以前は2人セットが多かったんですが,キキ&ララで1人ずつツイートするようにしたら「キキ格好良い!」という反応をもらえるようになったそうですよ。
4Gamer:
2人セットでというよりも,ファンそれぞれに“推し”が生まれているわけですね。
まさに自分の好きな人という目線です。「ララと一緒のキキ」ではなく「自分と一緒のキキ」みたいな感覚? この変化は,二次元のキャラクターを愛する方々にも,「リトルツインスターズ」を受け入れてもらえているからだと思います。このアプリがフックになって,そういった人がもっと増えたらなと。
伊藤 卓氏(以下,伊藤氏):
アプリ内のボイスチェックをしているとき感じたんですが,キキの声は本当に癒されるんですよ。
4Gamer:
なるほど(笑)。可愛いイメージが強い中で,急に格好良いイメージが入ってくるとギャップでキュンとなる気持ちは分かります。
今宵は雪降る夜をイメージした、スノークリスタルソーダをどうぞ☆ 何かお話があったら、ぼくがきくよ★ さぁ、ここに座って♪ pic.twitter.com/vpYKaO9QWD
— Kiki&Lala【公式】 (@kikilala_sanrio) 2018年1月26日
4Gamer:
リトルツインスターズの公式サイトでは,これまでのデザインの変遷を紹介されていますが,この40年の間にさまざまなデザインのキキ&ララが登場しています。その中でも「ここは変えない,ここは自由に」といった決まりごとはあるのでしょうか?
サンリオ S氏:
作品としてパステルカラーをベースにしていますが,イラストレーターの方とコラボした際には,あえて黒っぽいイメージを取り入れることもありました。というのも,私の所属するライセンス事業部は“挑戦的”なデザインを制作することが多いんです。
ただキャラクターデザインに関しては,頭のちょんちょんとなっている部分はなくしたらダメなんですよ。
この“ヘタ”の部分が見切れると誰か分からなくなってしまうんです。なので,アプリを制作するうえでも,ヘタがなくならないよう注意しています。
サンリオ S氏:
これがないと“ただの人”っぽくなってしまって,キティでいうリボンのような,とても重要なパーツなんです。
4Gamer:
ヘタといえば,ララは髪型を変えることもあるじゃないですか。なかには人気の髪型もあったり?
サンリオ S氏:
ベーシックなデザインが好きな人が多いですが,ポニーテールとかおだんごヘアバージョンも人気が高いです。
4Gamer:
先日「ツインテールの日」に公開されたイラストはすごく可愛かったです!
サンリオ S氏:
ありがとうございます(笑)。そういった反応が嬉しいですよね。
4Gamer:
先ほどコラボの話が出ていましたが,これまで「リトルツインスターズ」のデザインに携わられたなかで,とくに印象に残っているものはありますか?
サンリオ S氏:
ジャンル問わず幅広く携わったのでなかなか難しいですね。ももいろクローバーZさんとコラボさせていただきましたし……。
サンリオ I氏:
クリスチャン・ラッセンさんじゃないですか?
サンリオ S氏:
たしかに,ラッセンさんはすごかったですね! 私もまさかと思っていたんですが,快く引き受けてくださって。
最近だと,お笑いコンビの流れ星さんとも“流れ星”繋がりでコラボさせていただきましたね。お2人が「リトルツインスターズ」のファンでいてくださったそうで,コラボのお話しを聞いたときは正直驚きました。もともとこの世界にいたんじゃないかと言ってもらえるくらいに2人の顔に似せられて,すごく喜んでいただけました。
4Gamer:
予想外のコラボにファンも驚かれたでしょうね。
サンリオ S氏:
コラボ発表後は,Twitterなどで流れ星さんのファンの方々からも「すごく可愛い!」とコメントしていただけました。こういったコラボをきっかけに,キキ&ララのファンになってくれれば嬉しいですね。やっぱり何かきっかけがないと,目に留めてもらえませんから。
「キキ&ララしかない!」からスタート
ファンに寄り添うパズルゲームを目指して
4Gamer:
では,ここからはアプリについてお聞きしていきたいと思います。「キキ&ララのトゥインクルパズル」はリトルツインスターズ初の単独ゲームアプリということでも注目を集めていますが,どのような経緯で開発をスタートされたのでしょうか。
下園氏:
以前からサンリオさんとは一緒にアプリを作りたいとお話しをしていて,「パズルゲームを作ろう」というところから始まりました。最初からリトルツインスターズありきだったのではなく,キティちゃんをフロントにしたオールキャラものを考えていました。
すでにオールキャラのアプリは数多くリリースされていますし,キャラクターが集合して並んだデザインだと,バリエーションが多い反面,子供向けのような印象になってしまうこともあります。
ゲームを遊ぶコア層は30代前後になってくると思うので,そういう方々に刺さるよう「キャラクターを一本立ててやりませんか」とご相談させていただいたんですよね。
下園氏:
そこから「どのキャラクターにしよう?」となったときに,しっかりとした世界観が構築されていて,ストーリー性もあるリトルツインスターズが候補に上がったんです。
伊藤氏:
パズルのプレイヤー層は幅広いんですが,ちょうど30代くらいがメインになっています。そういった意味でも,リトルツインスターズのファン層とターゲットの相性が良かったのが決め手になり,アプリ化が決まりました。
サンリオ I氏:
これが「シナモロール」や「ポムポムプリン」ですとファン層は20代前半に,マイメロディは高校生が中心で,リトルツインスターズよりも若い層をターゲットとしているんですよ。
4Gamer:
年齢層の合致ももちろんですが,継続的なコンテンツの供給をするためにコラボレーションのしやすさも重要な要素となりそうですね。
サンリオ I氏:
ええ。先程話にも出てきた,ももいろクローバーZさん,ラッセンさんなど,多岐にわたるコラボ実績があるので,大人の女性に向けてさまざまな見せ方に挑戦したキキ&ララを楽しんでいただけるんじゃないかと,イマジニアのみなさんにお話しさせていただきました。
下園氏:
「30〜40代に強い」「コラボがしやすい」といった条件をほぼ満たすのがリトルツインスターズだったんですよね。なので,最終的には「キキ&ララしかない!」となりました。
個人的には「ポムポムプリン」や「バッドばつ丸」も気になっていたんですけど,キキ&ララをご紹介いただいたときに「なるほど!」と思いました。ラフでマップを作ったとき,一番手応えを感じたのがリトルツインスターズだったんです。
伊藤氏:
絵本の中盤で,キキ&ララがお父さん星とお母さん星からステッキと星をもらって冒険に出るストーリーになっているので,ステージクリア型のパズルゲームにもぴたっとハマったという感じです。
下園氏:
これが「ポムポムプリン」で進んでいたら,今のようなステージクリア型にはならなかったかもしれません。どちらかというと,家でじっとしているようなイメージだったかも。
4Gamer:
「キキ&ララしかありえない!!」という感じで進んでいったんですね。デザインに関するお話も出ていましたけど,なぜキキ&ララのキャラクターデザインを初期寄りにしたのでしょうか。
サンリオ S氏:
40周年のときに「70年代に作ったキキ&ララの絵本が可愛い」と聞いて,復刻版を手に入れてみたらそれがすごく可愛くて大切に持っていたんです。ゲーム化の企画が出たときに,広くは知られていないけれどリトルツインスターズのこういったお話を入れられたらと提案したことがきっかけになりました。
下園氏:
その絵本を見るまでは子供っぽくならないようにしながら,どうやってキキ&ララの世界観を出そうかデザインに悩んでいたんです。絵本をアニメーションやデジタルで再現するのはすごく大変そうだとは思ったんですが,絵本を見たら頑張ろうという気持ちがわいてしまって……(笑)。
伊藤氏:
この本を見たときは「これだ!」となりましたよね。
4Gamer:
そのまま世界観に惚れ込んでしまったと。
下園氏:
このデザインだったら大人っぽさがあるし,初期からのファンも嬉しい,新しいファンにも昔はこうだったんだと受け入れてもらえるんじゃないかと。
絵本をベースにしたイラストは,アニメーションをつけてゲーム内に組み込んでいるんですが,すごく可愛く動くんですよ。
サンリオ I氏:
オープニングムービーも凝った作りになっていて,はじめて見たときはこの絵本に命が宿ったような気さえしました。
4Gamer:
アプリには絵本の物語をそのまま取り入れている形なんですか。絵本の世界をベースにすると,ストーリー上,終わりを迎える瞬間があると思うのですが。
下園氏:
キキ&ララが旅に出るまでのストーリーはオープニングムービーに収録しています。この絵本の物語自体は,キキ&ララが地球に着いてしまうと話が終わってしまうので,途中からオリジナルストーリーとして色んな星や雲を旅するエピソードを加えています。
サンリオ I氏:
原作の絵本に基づいたストーリー構成で,ゲームの中ではさらにオリジナルストーリーが読める流れです。
4Gamer:
もともと絵本を読んだ人もあらためて楽しめる内容になっているんですね。リリースの時点でストーリーはどのくらい読めるのでしょうか?
サンリオ S氏:
20ページ分くらいです。キキ&ララのストーリーはこの絵本の中にあるものがすべてなので,ここから大きく逸脱する物語は付け足せないんです。この世界の雰囲気をベースとしながら,オリジナルのストーリーを加えてもらっています。
下園氏:
キキ&ララが背中の星とステッキで空を飛ぶエピソードに対して,上手く乗れなくて練習した時期もあったんじゃないか,というような想像でオリジナルストーリーを作り上げて,サンリオさんに監修していただいています。
サンリオ S氏:
ユニコーンに星をプレゼントする話もありましたね。
オリジナルストーリーの内容が気になりますね! 絵本のストーリーを読み進めるには,ステージをクリアしてエピソードを開放する必要があるので必然的にパズルパートにも力が入りそうですが,パズルの面ではどのような部分にこだわられたのでしょうか?
下園氏:
パズル部分はデベロッパのピタヤゲームスさんに制作してもらっていて,とくに意識していただいたのは“たくさん消える爽快感”です。
動かす場所がほとんどなくて何もできないまま終わってしまうと,同じ失敗でもストレスのある失敗になってしまいます。これがたくさん消えたうえでクリアできなかったとなると,気持ち的にはたくさん消えたほうがストレスは少ないと考えたんです。
4Gamer:
手応えを感じられると,もう少し頑張ろうという気持ちになれます。
サンリオ I氏:
サンリオのファンは,グッズは好きだけどゲームは得意ではない方も多いんです。難度の部分では非常に気を遣っていただいて,間口を広く誰もが楽しめる作りにしてもらっています。
4Gamer:
本作では三角帽子のパジャマ姿や,妖精さん風など,キキ&ララのきせかえも楽しめるそうですが,今後どのようなバリエーションが登場するのでしょうか。
サンリオ S氏:
アリスっぽいものや,森ガールのようなものもあります。
伊藤氏:
ララは髪型も変わるので,そこも注目です。
下園氏:
あとは,サーカスをイメージしたものもありますね。着ぐるみも追加していきたいです。1つのエリアで衣装を3つ作る予定ですので,オリジナルの衣装は今後さらに増えていくかと思います。
4Gamer:
衣装と関連するシステムとしてアルバム機能もありますよね。
下園氏:
一部のきせかえは「特定の石を○個消す」などの条件をクリアしていくと,そのきせかえに応じた「アルバム」の写真を集められます。例えば,パジャマのキキ&ララを持っていると,パジャマを着て寝ている写真が集められるという具合です。
4Gamer:
実際にゲームを遊んでみて気付いたのですが,本作にはガチャがないですよね。マネタイズの要素はどういったものを想定されているんですか。
下園氏:
パズルをクリアしやすくするアイテムを用意していて,これを購入してもらうのがメインになると思います。お金を使って衣装などを集めるのではなく,がんばった人がもらえるような形にしたかったんです。達成時のご褒美みたいな位置付けで。
4Gamer:
なるほど。フレンドが知らない衣装のキキ&ララを持っていたら,自分でもほしくなっちゃいますね。
下園氏:
パズルを1回プレイするごとにハートを1つ消費しますが,フレンド機能を活用すればハートを送って助け合うこともできます。ステージ進捗に応じたフレンドランキングもありますし,そういった張り合いも生まれるかもしれません。
4Gamer:
やり込むタイプですと,ランキング上位を目指して燃えそうな予感が(笑)。
下園氏:
知らない人同士で繋がっていても,ランキングを重視する人だとついつい気にしてしまうものなんですよね。私が遊んでいるアプリでは,プレイヤー名に「○○に勝った」と書くような人もいて,ランキング機能を楽しんでいらっしゃるなと。
4Gamer:
ちなみに,ランキングに報酬は用意されていたりは?
下園氏:
ファン同士を戦わせたいわけではないので,とくには用意していません。あくまで楽しみの一つとしてランキングを提供しています。
4Gamer:
今後の展望や予定についてお聞かせください。
下園氏:
キキ&ララのオリジナルデザインや,季節ものの衣装を積極的に取り入れていきたいです。いずれはキキ&ララとコラボをしたことのあるタレントさんのイベントステージを作りたいと考えています。今はピューロランドのデザインを作っていて,キキ&ララが写真を自撮りしている風景が見られる,今風っぽいものもあるんですよ(笑)。
サンリオ I氏:
ゆくゆくはゲームオリジナルのグッズを商品化も考えています。実はサンリオピューロランドでは何点か発売されるのですが,そのほかにも具体的に進んでいる商品があるので,楽しみにしていてください!
4Gamer:
絵本も現在なかなか手に入らない状態ですから,今回のアプリを通じて復刻グッズが登場してもアツイかもしれません。
伊藤氏:
ゲーム内イベントや限定ステージといったゲーム内の施策をやっていきたいですが,それだけでなくこのアプリをキキ&ララのファンに対する情報発信の場にしていきたいという構想もあります。例えばですけど,ゲームに支障のない範囲でロード中に関連情報を出すとか。
サンリオ I氏:
ファンクラブとまではいきませんが,ファンならばこのパズルゲームをとおるような,公式アプリ的な立ち位置にしていきたいですね。
伊藤氏:
ファンにリーチする試みとして,3月31日からピューロランドと連携したイベントも予定しています。ピューロランドでアプリ画面見せると,割引や特典がもらえるイベントを開催します。さらにアプリのほうでも,ピューロランド限定ステージを公開するコラボイベントを実施します。こういったリアル連動のイベントは今後のキキ&ララ展開に合わせて実施できたらと思っています。
下園氏:
まずはリトルツインスターズのファンの皆さんに楽しんでもらえるようなアプリを目指していきます。ぜひ一度遊んでみてください。
サンリオ S氏:
これからもキキ&ララをよろしくお願いいたします。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
「キキ&ララのトゥインクルパズル」公式サイト
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キキ&ララのトゥインクルパズル
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キキ&ララのトゥインクルパズル
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