プレイレポート
おそらくボールスは1番可愛い。AI兵器ドールが舞う,2on2ハイスピード対戦ゲーム「ドールズオーダー」CBTをやってみて
本作は“2on2ハイスピードアクション”を謳う,同社のオリジナルタイトルで,対戦ではバーチャルパッドを駆使した本格的なアクション操作で,プレイヤー同士の2vs.2を楽しめる。本稿ではCBTで体験したゲームの特徴と,騎士っぽくてメカっぽい自律型AI兵器ドールの魅力などを紹介していこう。
「ドールズオーダー」公式サイト
マスターとなり,ドールと高みを目指す
今回のCBTは多分に漏れず,正式リリースに先駆けての負荷検証と,ゲームバランスの調整を目的として行われたものだ。また,今回はプレミアムなテスト環境ということで,ゲーム内ではあらかじめ高レアリティに該当するドール達が配布されていた。
当然,配信後の引き継ぎ要素などは用意されていなかったが,こういったアクション性に富んだタイトルは「どのキャラがどんな動きをするのか」といった部分が最大のキモになるので,CBT参加者にとっては非常に価値のある体験となっただろう。
物語の舞台は,統合統治機構キャメロットが治める世界。プレイヤーは統治騎士団に所属する“マスター”として,己が相棒であり剣である自律型AI兵器“ドール”を従え,物語を進めたり,アリーナで対戦したり,ドール達との共同生活を営んだりしていく。
世界観監修およびオープニングアニメーション監督は水島精二氏,メインテーマ作曲は甲田雅人氏が担当,さらにバトルイメージ曲「Imperfect」を佐々木李子さんが歌唱する。とくにゲームスタート時に挿入されるOPアニメは迫力のある仕上がりになっているので必見だ。なお,より詳しい世界観については下記の公式サイトからの引用に目をとおしてほしい。ビンビンくる人もいるだろう。
進化を続け技術的特異点に達したそのAIはアーサーと名付けられた。紛争、貧困、環境破壊…あらゆる問題の解決に最適解を選び続けるアーサーにいつしか人類は世界の裁定を委ねるようになっていた。
だが、アーサーが人類の殲滅を開始したことで「アーサーの反乱戦争」が勃発。アーサーと配下である機械の騎士「ドール-Doll-」によって絶望の淵に立たされた人類を救ったのは…1体のドールであった。
ドールの中でもアーサー直属の12騎士「ラウンズ」の1体、ランスロットが他のラウンズを率いて人類の側に立ったのである。戦いの趨勢は人類に傾き、ランスロットがアーサーを討ったことで戦争は終結。
世界は荒廃し文明は後退したが人類は生き残った。そしてランスロットによる新たな統治機構「キャメロット」に世界の裁定は再び委ねられたのだった。
※公式サイト「WORLD」より引用
最初は冒頭でも推している,本作のアクション性について触れていこう。なお,以降の説明はあくまでCBTでの仕様,筆者の所感となるため,あくまでザックリと受け取ってもらえれば幸いだ。
バトル画面はTPS系アクションシューティングといった体裁だが,ドール達は近接武器を主としている者が多いので,基本はメレー,応用でシューターと考えてほしい。基本操作は画面スワイプで「通常移動」,素早いフリックで「ステップ」,画面右側のボタンで「通常攻撃」,最大3つの「アクションアビリティ」(以下 AA),「ブーストダッシュ」(以下 BD),「ロックオン」,「オーバードライブ」を使い分ける。
通常攻撃はボタン入力時,ある程度の移動(+対象への誘導)が行われた後,相手に攻撃を繰り出す。続けてタップすると連続攻撃となり,HIT時はコンボがつながる。AAはいわゆるスキルで,ドールごとに遠近攻撃や設置系,回復やバフなど効果が異なるが,いずれも通常攻撃と組み合わせられる。瞬間火力の増強,短めに切り上げて離脱など,コンボのバリエーションはプレイヤーセンスが試されるところだ。
通常攻撃は原則,3HITで相手がダウン状態になる。ダウン後の起き上がり時は一定時間の無敵が付与されるため,相手から少し離れておくほうが吉だ。そして本作では複雑なコンボを覚えるというよりも,状況ごとの攻めパターンを考えて,その場の判断で使い分けていくといったイメージを持つといい。コンボ成立時は画面左上にHIT数とトータルダメージが表示される仕組みなので,人によっては延々とトレモが捗るだろう。
移動関連は通常移動,ステップ,BDが挙げられる。通常移動はスワイプする方向に従い,360度方向に自由に移動できるものだ。ステップは素早い回避アクションで,相手の攻撃をかわしたり,ドールの攻撃動作のキャンセル(以下,ステキャン)に活用できる。一部のドールは通常攻撃が遠距離射撃となっているので,攻撃時にステキャンを織り交ぜれば,弾丸をばら撒くことも可能だ。
BDは一方向への高速移動で,相手への接近などに用いていく。こちらも各種アクションのキャンセルに使用できるほか,BD中に通常攻撃を入力すると,専用モーションの「BD攻撃」が発動する。なお,BD中は旋回はできるが,急激な方向転換はできない。使用後の硬直などを踏まえると,【前BD→左BD→前BD】などの戦闘機動は現実的ではないので,ジグザグ機動がしたければステップで代用しよう。そのほうがよっぽどやりやすい。
ステップおよびBD中は「ブーストゲージ」を消費する。このゲージが0になるとオーバーヒート状態となり,一定時間は通常移動しかできなくなる。ほとんどの状況では,相手の攻撃の誘導を切るためにもステップを踏み続けるのがベターな行動と言えるが,ゲージ管理のシビアさを考えるとBDがベストなときもある。彼我の距離感を見極めて使い分けよう。
本作には高低差を生む,ジャンプ系の上昇アクションが存在しないので,バトルはあくまで平面軸でのみ行われる。また,攻撃をガードする防御行動の類も(システム的には)ないので,攻撃の回避はすべて移動関連の使い方次第となっている。立体的なバトルでないのは少し残念であったが,スマホでの操作の負担を考えると,これが最良に思えたので問題なしだ。
通常攻撃でのコンボ中にステップを挟むと,(射撃を除き)前述した3HIT制限が取り払われる。対人戦に臨むのであれば,高火力コンボを用意しておくのも大切だ。しかし,分かる人にだけ伝えておくと,このステキャンコンボとは永久に攻撃をつなげられるものではない。あくまで“通常攻撃1・2はダウン値が低く,通常攻撃3は強制ダウン”という仕組みのなかで,ダメージを加算させる手段である。
一例として【通常攻撃1→(通常攻撃2→)ステキャン×n】とやると,大体5HITから7HITでダウンとなる(※詳細は未検証)。本作ではドールのパラメータ差がダメージ値に影響するので,以下はあくまで概算であるが,「通常攻撃1→2→3=600ダメージ」「通常攻撃1→2×3=850ダメージ」くらいだと思っていてほしい。なお,本作では攻撃の被撃時のよろけ時間を長めに取っていることから,攻撃側はかなりゆっくりな操作でもコンボをつなげやすい。素早い操作が苦手な人でも,爽快に操作できるはずだ。
余談だが,CBTでは通常攻撃の“巻き込み力”がかなり高かった。カット目的で相手の正面および左右から近寄ると,大抵はコンボに巻き込まれてしまっていた。相手が遠距離攻撃や,それに見合ったAAを持っていないと把握できたのなら,よろけ時間すらいっぱいに使った長時間拘束を目的とするコンボも案外悪くない。もちろん,状態異常系のAAなどで締めて適度に切り上げるのもいいし,攻撃範囲に優れたドールなら強力なカット耐性を得られる【通常攻撃1→BD攻撃(→BD攻撃×n)】などもオススメである。
攻撃時や被撃時などに溜まる「オーバードライブゲージ」がMAXになると,画面右上のボタンが点灯する。光るボタンをタップすると,カットイン演出が挟まれると同時に,ドールが一定時間「オーバードライブ状態」(以下,OD)になる。OD中はドールの性能が上昇するほか,制限時間内にボタンをもう1度タップすると,強力な必殺技「ドライブバースト」を発動できる。ドライブバーストには強力な突進技,ロック系の乱舞技,照射系ビームなどが存在し,1撃で高火力を叩き出せる。逆転の要となる手段だ。
CBTではOD抜けとでもいうべきか,被撃中でもODを発動可能であった。OD後はよろけ状態がキャンセルされるが,カットイン演出後に無敵がつくわけではないので,相手に攻勢を継続されると,そのままダメージを受け続けてしまうパターンもあり得る。しかし,ボタンを連打していると,ドライブバーストを続けて発動することができる。ドライブバーストには発生保証として,モーション始動から完走までスーパーアーマー(※ダメージは受ける)が付いており,割り込み性能が非常に高かった。
技の誘導からはステップを踏みまくれば容易に逃げられるし,初撃を外してもモーションを完走するドールが多い都合上,その間は無防備な相手をタコ殴りにできる。だが,本作は近接戦が主体であることから,立ち回りでブーストゲージをふんだんに使っているケースが多い。技の発生までに若干時間を要するため,その間に危機感を覚えてステップを連打しまくった結果,オーバーヒート状態になった相手に刺さることもあった。
ゲージ管理の駆け引きや,各ドールのドライブバーストの性能にまで思考が回りきっていない環境下では,ドライブバーストは引っかけやすい。“逆転あるいは事故を引き起こせるものとして,とりあえずぶっ放す”のは勝利の近道なので,必ず覚えておこう。
肝心のバトルのルールは,3分以内に相手の「チームLP(総LPは10000?)」を0にする,コストの奪い合いだ。個々のドールには体力に相当する「LP」が存在し,これが0になると戦闘不能となり,チームLPからレアリティごとのコスト(☆5=2500 / ☆4=2000 / ☆3=1500)が引かれる。バトル中に戦闘不能になったドールは,その戦闘中には使用不可となる。また,ドールのコストが残りチームLPに満たない場合はコストオーバーが発生し,相応のペナルティを課しての出撃となる。
マスターは原則,バトルパーティに“3体のドール”を編成できる。2on2の相方次第ではあるが,コストの組み合わせ,有利不利の想定など,目的をもって用意していこう。ただし,本作ではドールの属性とフィールドの相性によって,個々のパラメータに「+20%」「±0%」「−20%」の補正が掛かる。対人戦ではフィールドが毎回ランダムで選出されるため,戦場との相性を加味し,複数のパーティを用意しておくのも大切だ。個々のドールの扱いやすさや育成具合もあるだろうが,醸成していくであろう対戦環境では,まずフィールド相性を重視した編成が望ましい。
上述したバトルは,物語を読み進める「クエスト」,プレイヤー同士で戦う「アリーナ」で行われる。いずれもスタミナ的なものはなく,いくらでもプレイできる。クエストでは統治騎士団の一員として,さまざまな問題の解決に挑んでいく。クエスト中はマスターを持たず,人々を襲うドール“ゴースト”などが襲ってくるため,最初のうちはゴースト相手に操作感覚を養い,手持ちのドールの特性を覚えていくのがいいだろう。ちなみにCBTでは未開放であったが,クエストはCo-opにも対応しているようだった。共闘好きは覚えておこう。
またアリーナでは,栄誉ある12騎士のみが列席を許される「ラウンズ」の座をめぐり,数多の騎士達が対戦を繰り広げていく。アリーナに存在するランクは対戦結果によって上下し,オンラインマッチングのレーティングや,ランクごとに配布されるボーナスアイテムに影響する。まあ,少なくない数のプレイヤーは前提となる世界観のことをすっかりと忘却し,獣の如き眼でバトルに次ぐバトルへとズブズブ没入していくだろうが,こういうものは大体そういうものだから,当面は対戦ツールとして割り切るのも悪くない。
アリーナは原則2on2で行われるため,1人プレイとはいろいろと勝手が違う。2on2ではロックオンボタンを駆使するターゲティング要素が加わり,盤面や操作が複雑になるからだ。
また,2on2でのバトルの経験が少ない人は「マップ上に1vs.1が2つあるだけ」と考えるかもしれないが,これはあくまで戦術の1つとして数えるべきものであり,自身の成長の先を見越すのであれば,早々に捨て去るべき思考である。このあたりの“いろは”はアプリの配信後,周囲の腕自慢達が嫌と言うほど教えてくれるはずである。そして周囲の腕自慢達も,まるでお母さんのように,最大限の! 優しさ! 溢れる! レクチャーで! 初心者を迎えてあげてほしい。
とはいうものの,プレイ時間が限定されていたCBTでは,やたらと上から目線な筆者をはじめ,タイミングよくマッチングしてくれた相方も含めて,2on2を意識した立ち回りなんて微かなものだった。よろけ時間を利用して【攻撃→ステキャン→ロックオン変更→攻撃→ステキャン……】といった華麗な動きで場を荒らすこともできたが,プレイ中の大半はそれよりも「敵だー! ころすー!」しか考えていなかったので,したり顔で語れるほどには分かっていない。
本作の場合は,もしかしたらタイマン合戦に持ち込むのがいいのかもしれないし,2人で1人を攻める片追いがいいのかもしれないし,固定の相方と組んで遠距離後衛と高機動前衛で立ち回るのが強いのかもしれない。そんな筆者でも唯一アドバイスできることと言えば,“基本は中距離からのステキャン攻撃の振り合い合戦”というワードだけである。これだけは誰もが必ず通るはずの道なので,絶対に記憶しておこう。
ここまでの説明を踏まえて,誤解を恐れずに言っておくと,こういった2on2のバトルをウリとしたゲームに触れたことのある人ならば,本作の操作感覚はすんなりと理解しやすいものであり,かつ過不足のないものに仕上がっている。同ジャンルで培われてきた戦術の文脈にもしっかりと則っている。「戦闘開始から5秒くらいでBGMが聞こえてこなくなってしまう」といった体験に共感できる人には,間違いなくオススメである。
随所の単語だけですでに惹かれている人もいるだろうから,該当者においては配信後に素直な気持ちでプレイし,自身の体感でもって評価してみてほしい。
確証はないが,間違いなくボールスが1番可愛い
バトルでお世話になるドールは現在「16体」が公開されている(※公式サイトのキャラクター欄には計21枠が存在)。ドールの名称や設定などは,世界観と同様「アーサー王物語」をモチーフとしている。スマホゲームなどを少なからずプレイしている人であれば,それだけで自然とリテラシーが高まってしまうほどに人気な題材であるため,既視感と同時に親近感を覚えてしまうgumiの妙手である。
彼女達にはレアリティが割り振られているが,各ドールは基本的に全レアリティが用意されるようだ。つまり「☆5 ランスロット」「☆4 ランスロット」「☆3 ランスロット」が存在するのである。これは14体ないし21体という限られたプレイアブルキャラクターの作り込みに尽力する,そういったコンセプトの現れだろう。
ただ,レアリティの違いで個々の「武器」「パラメータ」「アビリティ関連」が異なっているため,コミュニティではコストを踏まえつつ,さまざまな研究が行われていくことが予想される。
ドール達はそれぞれキャラクターデザインの担当者が異なっていて,幅広い嗜好を刺してくる。ただし,現時点(2018年2月20日)での公開情報では,abyss氏だけがなぜか1人で「ユーウェイン」と「ガレス」と「ガヘリス」の3体のキャラデザを担当している。
手違いの依頼だったのか,あるいは後ろ暗い癒着か,当初は事件性を疑ってかかった筆者だが,仮に「じゃあどれかイラストの採用を諦めて」と言われたら選びようがない可愛さで拮抗していたので,これはきっとgumi内で“絶対ユーウェインにすべき派vs.いーや断然ガレスだろうが派vs.ふざけんなガヘリス一択派”の3大勢力が血で血を洗う論争を重ねたところ,「もう全部abyss氏でよくね……?」と平和裏な決断を下した結果なのかもしれないし,全然関係ないのかもしれない。
ユーウェイン |
ガレス |
ガヘリス |
ドールは主に「ガチャ」で入手する。ガチャはゲーム内通貨や有料通貨のほか,ゲームプレイで溜まっていく「ガチャポイント」で利用できる。このポイントは要するに“クエストをクリアすると手に入るボーナス石”に相当するものだが,アイテムが直接付与されるのとはわけが違う,ポイント好きな国民性を刺激してくるところに,プレイヤーをアクティビティへと促す設計のセンスを感じられた。
ガチャではドール以外にも「プラグイン」と呼ばれる,装備パーツが手に入る。プラグインはパラメータの向上のみならず,バトルの状況に応じて特殊効果を発揮する。これらを組み合わせて,ドールの得手不得手を伸ばしていく仕組みだ。ドールもプラグインも「持っているだけじゃ意味がないぞ」のスタイルなので,入手後は欠かさずに編成を詰めておくべきである。当然,両者にはいわゆる強化システムが存在しているので,リソースをつぎ込んで,LVを上げておくのも重要だ。
ちなみに筆者がCBTで初回ガチャを引いたとき,☆5「凛潔の黒刃 ボールス」というドールが手に入った。彼女が全プレイヤー共通で強制的に排出されるドールなのかは調べていなかったが,おそらくこのゲームにおいて,このボールスというドールが1番可愛いであろうことは間違いなかった。ドライブバーストもロック技でダメージが安定するうえ,初撃の判定が異様に広いのか,相手に避けられることが滅多になかった。可愛くて強い,つまり最強であった。
ドールには「アタッカー」「ディフェンダー」「サポーター」といった区分があり,リーダースキルなどでパラメータにボーナス値を加算できる。また,「ソード」「デュアルソード」「アックス」「スピア」「ライフル」「ブレイド」といった武器種がそれぞれ設定されているため,攻撃モーションにも違いがある(※☆4 ボールスはデュアルソード,☆5だとソードなど)。
これらを詳しく書くとボリュームが膨れ上がる一方なので,一体全体どういうことなのかは期待で胸をワクワク膨らませてほしいなんて言い方で,ここはひとつ。
アリーナでバトルに参加したドールには「親密度」が加算される。この親密度を一定まで上げるとLVアップし,該当のドールのエピソードが開放されていく。親密度は☆3 ボールス,☆5 ボールスなど,同キャラであればレアリティに違いがあっても共有される。
CBT中は数キャラのエピソードを確認したが,どのエピソードにも複数体のドールが登場し,それぞれ微笑ましい掛け合いを繰り広げていた。3Dモデルも映えているので,可愛いドール目当てでゲームをやるのもいいかもしれない……と思ったが,クエストとは別にアリーナでの対人戦をやることが求められるので,PvPを目的としたくない人には,一歩を踏み出す勇気が求められるかも。
ただ,2on2の対戦ゲームには“対人戦にはまったく興味がなかったけど,やってみるとドハマりしちゃった”という,どんなゲームにでも言えそうなコメントではあるが,そういう魅力があるのは確かだ。むしろ,「気付いたら対戦以外したくない!」くらいに目的がズレていった人も多々いる。こればかりは実際に体験してみて,判断してほしい。やらないと分からないのだけは間違いないから。
最後にせっかくのCBTだったので,筆者もテスターも1人として,個人的な感想の1つでも書いておこう。まずは4人参加型のオンラインリアルタイム対戦らしく,「ラグ」の懸念がある。CBT中は比較的安定した対戦を楽しめたが,ときにはラグの影響により,相手がずっと立っているように見えたり,挙動の怪しい相手への攻撃が確定で当たる,絶対に当たらないという現象に出会った。これは個々人の端末やプレイ環境もあるし,開発および運営がきっと全力で対処する,至上命題としているだろう部分なのでウダウダ言うつもりはないが,ぜひとも正式サービス後はさらなる安定化に尽力してもらえると,とっても嬉しい。
もう1つ,こういった作品では各キャラのアクションやモーションは,プレイ環境のフィードバックを踏まえながら調整していくものである。CBTでは射撃,設置,回復を活用できる「☆5 マーリン」が多少輝いて見られていたが,今の段階で性能に言及するのも無粋だろう。どのドールが強い弱いは,コミュニティの活性化につながるものとして受け入れる気概もあるからだ。しかし,如何せん「対戦相手とのパラメータ差」は看過しづらかった。筆者はCBTでアリーナランク「F9(G9〜G1,次がF9〜F1と昇段する)」までを一区切りとしてプレイしたが,ときどき絶対に勝てない気持ちになる対戦相手に出会った。
アリーナではおそらく,ランクと戦闘力(編成したドール3体の総合値)を参照し,4人のプレイヤーがマッチングされる。その過程で生まれる多少のバラつきは思うこともなく許容できるが,稀に「1体だけ高LV,2体は初期LV」の編成だったのか,強烈なパラメータ差のドールと戦うケースがあった。双方はダメージ値の差もそうだが,なによりドールのLP(体力)が2000vs.6000となることもあり,相手の攻撃をかいくぐって必死にダメージを与えていっても,上述した☆5 マーリンに数十秒(?)ごとのクールダウンで回復AAを使われると,もはや逆に気持ちよくなってしまう。80%回復の魔法を使ってくるラスボスよりもラスボスらしい敵と戦っている気分である。
本作はプレイヤースキルで戦えるゲーム性の反面,スマホゲームらしく成長要素に重きを置き,アクションが苦手な人でもパラメータ差で戦いやすくなる,といったコンセプトがあるのだろう。これ自体は対戦環境の整地につながるものであり,個人的にもまったく悪くないと思っている。このゲームジャンルでは“一定の公平性を保った対人戦”を求めるプレイヤー層が主流であり,私ひいては彼らは上から数えてPay to Winを求めない層であるが,本作のゲームプレイやアプリ内課金の差は順当で,CBT段階でもおそらく納得の範囲内に収まるように見えた。今のままなら不信感は覚えない。
しかし,上記の例は別物である。これは「編成の戦術」と言えなくもないが,それにしても直面する差が大きすぎて,明らかに公平性を欠いている。まともな対戦が成立しているとは言えない。このまま放置が続くのなら,筆者は「編成の戦術」にあやかり,多くの人達を刈り取るようにして,それが収まるランクまでは一足飛びのプレイをする。賢しい人は右に倣って,同様の手段を取るはずだ。その結果,1体くらいしか育てきれないアリーナの下位ランクは事実上,“1体めの高LVドールが負けたら投了”といった,親分&子分2人のグループ同士が喧嘩しているかのような,やるせない対戦環境が続くことは明白だ。コストの奪い合いというルールは敗戦処理と名を変え,当面は駆け引きの概念を記憶の片隅に追いやるだろう。
もちろん,本作を普遍的なゲームサイクルでプレイしている限り,意図的に操作せねばこういった偏りの編成になるケースは少ない。高LVの育成素材の入手頻度も防波堤になるはずなので,上で書いたほどの極端なケースはあまり出てこないと考えられる。しかし,このあたりのパラメータ差は,レアリティ問題にも波及することだ。CBTでは“☆3と☆5のパラメータ差”が大きすぎるように思えた。高コストと低コストでは運用目的が異なっているし,CBT中は☆5が全員配布されていたことから,☆5ばかりだったのは当然である。けれど,AA構成を理解しての☆4使用者に比べると,☆3をわざわざ使っているケースは見られなかった。これは☆5と☆3で戦うと,前述したような“LPが2000vs.6000”の縮図に近い状況になってしまうからだ。回復という手段も悪くはないのだが,リリース後はこの構図を加速させる要因になるかもしれない。
筆者の意見はあくまで,1日遊んでみて程度の所感である。開発側のように☆3を使用して何百戦と重ねたうえでの結論ではないので,まったくの検討違いであったなら笑って済ませてほしい。だが,少なくとも現状のバランスでは☆3はコスト戦略を踏まえた存在としては機能しないし,機能しないでほしい。プレイヤーは“より分かりやすいほう”に流れるので,筆者は☆5と☆4だけで編成を固めて,コストの駆け引きをするつもりである。また,こういう環境下でも使いたくなる特定の低コストというのは概して“壊れ”となり,環境に悪影響を与えかねないので,どうせなら台頭しないでほしいという気持ちすらある。
それにこの現象は,ドールの育成要素が長く,深いことも一因としてある。本作ではドールの育成次第でパラメータ差がより顕著になるのだが,ゲーム内リソースで1キャラをカンストさせるには,結構な時間と労力が掛かるように見えた。その結果,ほとんどのプレイヤーが育成を済ませた後の上位ランクにでも到達しないかぎり,編成次第ではそれまでの過程で,上記のようなハンディキャップマッチに出会ってしまうのである。その際,相手の☆3のドールは戦闘力を無駄に高めて上位の人とぶつからないようにと,ガチャから排出されたままの姿で,高LVドールの脇に添える子分の役割を果たしていることだろう。
まあ,こればかりは長い目で見て考えられたサービスの根幹だろうし,対戦とは別にクエストの進捗もあるだろうしで,「もっと簡単にドールをカンストさせて!」などとは言えない。言いたくないが,せめて「(ランクに応じてだったり)ドール3体の編成LVの制限,LVキャップ値を適用」のようなルールや,「(LVも踏まえた)レアリティごとのパラメータ差やアクションアビリティ内容の再度の見直し」があったりすると,公平な気持ちを保ちつつ,健全なコスト戦略をもって低コストを使いたくなるかもしれない。非常に難しいバランス調整だとは理解しているつもりだが,そうなれば嬉しかったり。あと,グィネヴィアのブレイド(3WAYの射撃武器)の引き撃ちにもムキムキくる。
最後にグダグダと管を巻いたが,同社においてはあくまでCBTアンケートみたいなものということで……どうか見逃してほしい。大学時代に1か月という限られた期間の中で,大事な大事な卒論にかけた数十倍にも及ぶ時間を2on2対戦ゲームに費やして顔を蕩けさせていたよろしくない経験をずっと戒めていた筆者が,編集部で周囲がてんやわんやしている最中にあって,久しぶりに仕事を忘れて猿のように遊び続けてしまったほど,本作に期待してしまっているのだから。
さて,ようやくではあるが本稿の結論に入ろう。本作は2on2対戦ゲームに求められる魅力をギュギュっと凝縮し,適度に複雑すぎず,適度な駆け引きが存在感を放つ,2on2をスマホゲームにするうえでの最適解に近い内容に仕上げられている。上記の筆者の意見,もしくは愚痴と呼ばれるものがシステム面のみの言及であるのは,操作面や駆け引きに関しては現状でもほとんど文句なしだからだ。身動ぎすらせずに,バトルに次ぐバトルに没入してしまった。
これはCBTアンケートで“82.7%のプレイヤーが楽しかったと回答(途中集計結果)”したことも裏付けとして挙げられる。一部のプレイヤーは「このドルオダを待っていたんだ!」と言いたくなること請け合いである。興味を持った人は正式サービスが始まった折に,ぜひとも遊んでみてほしい。そして分かってしまうだろう。ボールスが1番可愛いし,強いしで,最強だという事実をね!(※本当に,マジで,全然言うほど最強ではないので,Nerfだけは許してください)
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