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印刷2021/12/29 01:00

テストレポート

数多くの製品が登場した「小型ゲームPC」はどこが違う? 代表的な5製品の見どころとゲームの動作をチェックしてみた

小型ゲームPCの鏑矢となったGPD WIN
画像集 No.045のサムネイル画像 / 数多くの製品が登場した「小型ゲームPC」はどこが違う? 代表的な5製品の見どころとゲームの動作をチェックしてみた
 ここ1〜2年,携帯ゲーム機風のデザインで簡単に持ち運べる小型ゲーム機が相次いで登場し,注目を集めている。それ以前にも,Shenzhen GPD Technology(以下,GPD)の「GPD WIN」シリーズのような小型ゲームPCはあったのだが,CPUおよびGPUの性能的にゲームを快適にプレイするのは難しく,話題としてはしばらく下火になっていた。

 しかし,ノートPC向けCPUの性能向上により,小型ゲームPCを取り巻く状況は変わった。とくに第11世代CoreプロセッサやRyzen 5000/4000シリーズといった高性能CPUに,大容量のメインメモリと内蔵ストレージを組み合わせた最近の製品は,見た目は小さいが,中身は高いスペックを備えている(※単体GPUを備えるゲーマー向けノートPCには及ばないが)。グラフィックス品質の高い最新のAAAゲームや,高フレームレートが求められるFPSなどのeスポーツタイトルでなければ,問題なくプレイできる性能を有しているのだ。

 また,従来はノートPCの延長線上といった形で,クラムシェル型の製品がほとんどだったのに対して,最近の小型ゲームPCでは,ディスプレイの左右にゲームパッド機能を搭載したNintendo Switch(以下,Switch)風のデザインを採用した製品も登場し,バリエーションが増えてきた。
 そこで本稿では,日本国内で購入できる小型ゲームPCとして,以下の計5製品を取り上げて,それぞれの特徴や,実際にゲームをプレイしたときの使用感をチェックした。


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GPD WIN 3
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GPD WIN Max 2021

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OneGx1 Pro
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ONEXPLAYER

AYANEO 2021
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 個別紹介の前に,各製品のスペックをにまとめておこう。AYA NEO 2021を除いた4製品は,CPUに第11世代Coreプロセッサを採用している。メインメモリ容量や内蔵ストレージ容量は共通である一方で,ディスプレイサイズと解像度に違いが現れているのがポイントである。

表 試用機のスペック比較
製品名 GPD WIN 3
(1165G7 BlackSilver)
GPD WIN Max 2021Intel版1TBモデル) OneGx1 Pro (1TB) ONEXPLAYER プロエディション(1TB) AYA NEO 2021
CPU Core i7-1165G7 Core i7-1195G7 Core i7-1160G7 Core i7-1165G7 Ryzen 5 4500U
メインメモリ容量 16GB
内蔵ストレージ容量 SSD 容量1TB(M.2/PCIe接続)×1
ディスプレイ 7インチ液晶,解像度1280×720ドット 8インチ液晶,解像度1280×800ドット 7インチ液晶,解像度1920×1200ドット 8.4インチ液晶,解像度2560×1440ドット 7インチ液晶,解像度1280×800ドット
無線LAN Wi-Fi 6
公称本体サイズ 198(W)×92(D)×27(H)mm 207(W)×145(D)×26(H)mm 173(W)×136(D)×21(H)mm 288(W)×130(D)×21(H)mm 255(W)×106(D)×20(H)mm
公称本体重量 約550g 約897g 約623g 約820g 約650g
税込価格 13万8800円 13万9800円 19万5800円 16万6100円 9万9999円


GPD WIN 3


 GPD WIN 3は,小型PCブームを牽引するGPDの「GPD WIN」シリーズ最新モデルで,ディスプレイの左右に,ゲームパッドを搭載するSwitch風のデザインをいち早く採用した製品だ(関連記事)。

Switch風のデザインをいち早く採用したGPD WIN 3
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 ディスプレイには,5.5インチサイズで解像度1280×720ドットの液晶パネルを採用しており,今回取り上げる製品の中では最も小さい。ただ,画像や文字が見えにくいということはなく,小さいディスプレイによってコンパクトな筐体を実現していることを考えると,悪くない印象を受ける。
 重量は実測で約560gと,今回取り上げる機種の中では軽い部類に入る。持ったときの重厚感はあるものの,手に持ってゲームをプレイし続けても重さはあまり気にならない印象だ。

 GPD WIN 3は,ディスプレイ部分が上部にスライドする機構を備えており,ディスプレイの下に小型のタッチキーボードを搭載するのも特徴である。

特徴的なスライド式キーボード。ディスプレイを上部にスライドする事でキーボードが出現する
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 タッチ式キーボードはクリック感がないため,少し使いにくい印象だ。小型PCにキースイッチなどのメカ機構を詰め込むのは,筐体のスペース的に厳しいということだろう。ただ,Windows標準のソフトウェアキーボードと比べたらマシで,IDやパスワード程度の文字入力に使う程度なら十分だ。

タッチ式で使いにくい部分はあるものの,キーに触れると振動して入力していることをフィードバックする仕組みを備える
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ゲームパッド機能は,ディスプレイの左側に左アナログスティックとD-Padを,右側に右アナログスティックと[A/B/X/Y]ボタンを備える。加えて,本体の奥側には[L1/R1]のショルダーボタンと[L2/R2]のトリガーボタンが並ぶ。左側面にあるスイッチを切り替えると,アナログスティックでマウスカーソルを操作できるようになるので,タッチパッドの類はない。

GPD WIN 3のゲームパッド
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マウスモードの切り替えスイッチ(左)を切り替えると,アナログスティックとショルダーボタンでマウスカーソルを操作できる
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GPD WIN Max 2021


 GPD WIN Max 2021は,GPD WINシリーズの正統進化とも言えるクラムシェル型ノートPCだ(関連記事)。GPD WINシリーズのうち,ゲーム機に近い方向に形状や機能を寄せたのがGPD WIN 3であるのに対して,GPD WIN Maxシリーズは,小型ノートPCとしての強化に重きを置いた製品といったところか。
 
GPD WIN Max 2021
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 キーボードの奥側にゲームパッド機能を搭載しており,GPD WIN 3と同様に,アナログスティックでマウスカーソルを操作可能だ。ゲームパッド機能は,奥側中央のタッチパッド左側に左アナログスイッチとD-Padを,右側に右アナログスティックと[A/B/X/Y]ボタンを並べた,GPD WINシリーズ特有の配置になっている。特殊なレイアウトだが,操作してみると意外と使いやすい配置となっており,かなり良好な印象を受けた。

GPD WINシリーズではおなじみであるキーボード奥側のゲームパッド。レイアウトは特殊だが,意外と使いやすい印象だ
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 GPD WIN Max 2021のディスプレイは,8インチサイズで解像度1280×800ドットのH-IPS液晶パネルである。ディスプレイサイズから考えると,もう少し高い解像度でもいいのではと思いはするが,GPDは,単体GPUと比べて非力なCPUの統合型グラフィックス機能(以下,統合GPU)でゲームをプレイすることを考えて,この解像度を採用しているようだ。

 また,GPD WIN Max 2021は,物理キーボードがかなり使いやすいのも特徴だ。しっかり打鍵感があるキーを使っているのに加えて,文字部分のキーピッチを約17mmとしっかり確保されているので打ちやすい。

文字部分のキーピッチが広めに取られたキーボード
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OneGx1 Pro


 GPDと並んで名高い小型PCメーカーであるONE-NETBOOK Technology(以下,ONE-NETBOOK)は,「OneGx」シリーズと「ONEXPLAYER」シリーズという2種類の小型ゲームPCを展開している。このうち,OneGxシリーズの最新モデルである「OneGx1 Pro」は,一見すると小さなクラムシェル型ノートPCなのだが,別売りの専用ゲームパッドを本体の左右に装着することで,ゲーマー向けPCとして使用できるのが特徴だ(関連記事)。
 
専用ゲームパッドを本体左右に合体した状態のOneGx1 Pro
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 専用ゲームパッドは,左側の奥にアナログスティック,右側の手前にアナログスティックを備えたXbox風レイアウトを採用している。PC本体との接続は,2.4GHz帯の電波を使う独自ワイヤレス接続方式だ。

専用ゲームパッドの突起部分をOneGx1 Pro本体の溝にはめて装着する。しかし,接続はワイヤレス方式だ
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 ディスプレイは,7インチサイズで解像度1920×1200ドットのIPS液晶パネルを採用する。小型PCとしては高い解像度は,通常のノートPCとしての利用も考慮すると使いやすい。
 
 物理キーボードは,カチッとした打鍵感があり,触れていて心地よい。ただ,コンパクトな本体に詰め込むために,数字キーや矢印キーなどが小さい特殊なレイアウトを採用しているので,快適に使えるようになるには慣れが必要だ。キーボード下側には,マウス代わりに使う光学式ポインティングデバイスと左右ボタンが並ぶ。

キーボードの配列は,変則的な日本語配列となっている
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 OneGx1 Proは,5Gまたは4G LTE通信(以下,WAN)に対応したモデルをラインナップしているのが,ほかの製品にない見どころだ。今回取り上げたほかの製品を屋外で使うときには,スマートフォンのテザリング機能を使って通信する必要があるので,わずかとはいえ手間がかかる。移動中でも小型ゲームPCを積極的に使いたい人は,WAN系通信機能を搭載したOneGx1 Proを選ぶといいだろう。


ONEXPLAYER


 ONEXPLAYERも,ディスプレイの左右にゲームパッド機能を搭載したSwitch風のデザインを採用したPCだ(関連記事)。最大の特徴は,小型ゲームPCとしては大きめの8.4インチディスプレイを搭載する点にある。本体サイズもやや大きめで,手にしているとまさに巨大なSwitch Liteを持っている感覚だ。
 
8.4インチの大画面が特徴であるONEXPLAYER。解像度が高いのも魅力だ
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 サイズが大きいだけでなくディスプレイの解像度も高めで,2560×1600ドットとかなり広い。ただ,ドットバイドットの解像度でゲームをプレイするのはGPU性能面で難しいため,解像度を落としてGPUの整数スケーリング機能を利用するといいだろう。

 ゲームパッドは,左奥に左アナログスティック,右手前に右アナログスティックを備えたXbox風レイアウトだ。本体が大きい分,筐体内部にも余裕があるのか,ボタン類も大きく押しやすい。小型ゲームPCに搭載するゲームパッドの中では,かなり使いやすい部類に入る。

ゲームパッドのボタンは大きく。押下時の感触も非常に良好だ
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専用キーボードカバーと組み合わせてノートPCとしても使える
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 なお,ONEXPLAYERは,別売りの専用キーボードカバーを組み合わせて使うことも可能だ。このキーボードカバーは,マグネットでONEXPLAYERに取り付ける仕組みなのだが,磁力が弱く,持ち歩いていると外れてしまうのが気になる。加えて,配列も特殊なので慣れが必要である点にも注意が必要だ。キーボードが必要なゲームをプレイするときは,キーボードカバーではなく,普通のキーボードを使ったほうがよさそうだ。


AYA NEO 2021


 新興メーカーであるAYA NEOの小型ゲームPC「AYA NEO 2021」も,Switch風のデザインを採用した製品で,今回試した製品で唯一,CPUにAMDの「Ryzen 5 4500U」を搭載するのが特徴となる(関連記事)。
 
Ryzenを搭載したAYA NEO 2021
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 7インチサイズで解像度1280×800ドットの液晶ディスプレイを搭載した本体は,GPD WIN 3とONEXPLAYERの中間くらいのサイズで,持ち運びながらゲームをするギリギリのサイズ感に収まっている印象を受けた。
 
ソフトウェアキーボードや,タスクマネージャーを呼び出す専用ボタンも搭載する
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 ゲームパッドは,ONEXPLAYERと同じくXbox風のボタンレイアウトを採用しており,違和感なく操作できる。また,[Windows]キーや[ESC]キー,ソフトウェアキーボードの呼び出しといった機能を割り当てた独自ボタンを備えているので,物理キーボードなしでもちょっとした操作が可能であるのも面白い。

 なお,AYA NEOは,ランチャー機能を搭載した独自の設定ソフトウェア「AYA SPACE」を開発中だという。現在,同社Webサイトからベータ版を提供できる。いずれは,このAYA NEO 2021 SPACEで,各ボタンの機能割り当てが可能になるかもしれない。

ベータ版を提供中のAYA SPACE。現在はランチャー機能とCPUのモニタリング機能が利用できる
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実際のゲームで操作感をチェック


 ここからは,それぞれの製品で実際にゲームをプレイして動作を検証した結果を紹介する。今回は,「DEATH STRANDING」と「フォートナイト」,「Forza Horizon 5」という3つのゲームに加えて,「BlueStacks 5」を利用してAndroid版「アズールレーン」をプレイした。
 ディスプレイの解像度は,とくに断りがない限り,フォートナイト以外のタイトルは1280×720ドットに統一して,ゲームのグラフィックス設定は最も低いプリセットを設定した。フォートナイトのテスト解像度については,各PCの該当部分で説明する。
 
DEATH STRANDINGの設定。タイトル画面のオプションからディスプレイ解像度を1280x720ドットに変更し,グラフィック品質設定を「低」のプリセットを選択した
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フォートナイトの設定。解像度を変更すると画面表示がおかしくなるため,解像度は自動検出で設定されたものを使用した。最大フレームレートは無制限に設定し,グラフィッククオリティは「低」を選択した
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Forza Horizon 5は,ビデオ設定から「解像度」を1280×720ドット,フレームレートを「アンロック済み(VARIABLE)」,「V-SYNC(垂直同期)」をオフとした。グラフィックス設定は「最低」のプリセットを選択している
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BlueStack 5は,CPUの割り当てを4コア,メモリ割り当てを4GB,パフォーマンスモードを「高パフォーマンス」に設定した。フレームレートは最大の240とした
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 プレイ中のフレームレートは,計測ツールの「CapFrameX」と「RivaTuner Statics Server」を組み合わせて,ゲーム画面にオーバーレイ表示して確認している。
 
 また,ゲームの動作以外に,筐体の持ちやすさや,動作中の排熱といった気になるポイントも合わせて確かめてみた。


GPD WIN 3


 まずはGPD WIN 3だ。
 DEATH STRANDINGでは,平均フレームレートが30fps前後だった。FPSほど高いフレームレートが求められるゲームではないものの,30fps前後だと快適とは言いにくい。とはいえ,ゲームがフリーズしたり,強制終了したりすることもなく,プレイし続けることができた。

平均フレームレートが30fps前後であった。動作自体は安定している
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 フォートナイトは,解像度1280×720ドットで平均66.7fpsと安定して60fps以上でプレイ可能だった。十分にゲームができる快適さである。

フレームレートは平均66.7fpsと高めのフレームレートが出た。プレイしていても動作で気になることは一切ない
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 一方,Forza Horizon 5は,起動時に「非対応のグラフィックスカード」であるという互換性に関する警告が表示されてしまう。これを無視して起動はできるが,動作は安定しない。ゲーム側やグラフィックスドライバのアップデートで解決する可能性もあるが,今のところ,本機でForza Horizon 5はプレイできないと思っておこう。 

起動時にアラートが表示される
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ゲームを起動することもできるが,フリーズや強制終了が起きてしまう
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 BlueStacks 5によるアズールレーンは,60fps以上のフレームレートを維持しており,安定して快適に動作した。ただし,ゲームパッドへの機能割り当てを手動で行う必要があるため,最初は少し手間がかかる。

フレームレートは,基本的に60以上をキープしており安定動作だ
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 GPD WIN 3で実際にゲームをプレイしてみると,今回試した製品の中でもトップクラスの持ちやすさで,小型軽量という特徴が生きている印象だ。ちょっと重めの携帯ゲーム機といった感じで手軽に使える。
 
 一方で,ゲームをプレイすると,本体の右側がかなり熱くなるのは気になった。とくに背面はかなり高温になる場所もあり,上側面の排気孔から出る排気も熱い。小型筐体に高いスペックを詰め込んでいるために,致し方ない面はあるかもしれない。


GPD WIN Max 2021


 GPD WIN Max 2021の試用機は,第11世代Coreプロセッサの上位モデルである「Core i7-1195G7」を採用しているので,ほかの製品と比べて,一段上の性能を発揮している。
 DEATH STRANDINGの平均フレームレートは45fps前後とGPD WIN 3と比べても高い。
 
平均フレームレートは45fps前後で,ほかの製品と比べて快適にプレイできた
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 フォートナイトは,解像度1280×800ドットでグラフィックス設定が一番低いとはいえ,平均フレームレートは100fpsを超えた。移動速度が早いビークルを操作していても,コマ落ちすることなく,快適にプレイできた。

オブジェクトの多い場面でフレームレートが少し落ち込むが,それ以外はおおむね100fpsを超える
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 Forza Horizon 5は,GPD WIN 3と同様に,突然コマ落ちしたり,ゲームが強制終了したりとトラブルが続いた。後述するが,Ryzenを搭載したAYA NEO 2021ではそういった問題は起きていないので,第11世代Coreプロセッサの統合GPUである「Iris Xe Graphics」や,Intelのグラフィックスドライバが原因で発生しているのかもしれない。

 アズールレーンは,フレームレートが70〜90fpsで,快適にプレイできた。
 
アズールレーンは,70〜90fpsでプレイできる
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 GPD WIN Max 2021は,ディスプレイが8インチサイズと大きめなので,7インチサイズのGPD WIN 3と比べると,少し解像度が低くくて表示が荒く感じるものの,ゲームをプレイするうえでは一切支障がないレベルだ。
 公称本体重量は約790gと重量級ではあるものの,ゲームパッドを使う場合は,底面を支えるような形で持つので,思ったよりも疲れにくい。また,最初に持ったときは,キーボードが指に当たって操作の邪魔になりそうだと思ったが,実際は気にすることなく使用できた。

背面を支えるような形で持つと重さが気になりにくく,キーボードがあまり邪魔に感じない
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 ただ,ディスプレイを大きく開くと,本体奥側にある[L1/R1]のショルダーボタンが押しにくくなるので,その点には注意したい。

ディスプレイが180度開くので,見やすい位置に調整しやすい。ただ,開きすぎるとショルダーボタンが押しにくくなる
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 上位モデルのCPUを搭載しているが,筐体に触れていても熱はそれほどでもない。負荷がかかったときに,底面の左側で少し熱を感じる場面はあるものの気になるほどでなかった。


OneGx1 Pro


 続いてはOneGx1 Proだ。
 DEATH STRANDINGは,GPD WIN 3と同じように平均30fps前後で,やはりプレイできないわけではないが,スムーズなプレイというにはいま一歩といった印象だ。

平均フレームレートは30fps前後だ
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 フォートナイトは,フルスクリーン設定で解像度を変えようとすると,変更が反映されない現象が起こった。そのため,解像度はドットバイドットの1920×1200ドットに設定してプレイしたが,平均70fps前後とそこそこのフレームレートをキープしている。

解像度が変更できなかったので,標準設定のままプレイした。バスからの降下時こそカクつくものの,そのほかのフレームレートは平均70fps前後と動作に問題は感じなかった
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 Forza Horizon 5は,ほかのIntel CPU搭載製品と同じく,初回起動時に互換性問題の警告が出る。これを無視して進めても強制終了してしまった。
 アズールレーンは,60ps前後でプレイ可能で,動作中に気になる点はとくにない。

アズールレーンは60ps前後でプレイ可能だ
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 7インチサイズ,解像度1920×1200ドットのディスプレイは高精細だ。OneGx1 Proの公称本体重量は約652gで,専用ゲームパッドと合わせると約770gとそれなりの重量ではあるが,ゲームパッドのグリップ感が良好で,持ち続けていても疲れにくい。ただ,OneGx1 Pro本体と専用ゲームパッドの接続部分にわずかに遊び,というか隙間があるので,少々ガタつくこともあった。また,専用ゲームパッドは,OneGx1 Proとは別に充電する必要がある点にも注意したい。

専用ゲームパッドは個別に充電が必要だ
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 ディスプレイが開く角度に制限があるので,画面を見やすいポジションに調整しにくいこともある。

ディスプレイはこの辺りまでしか開けない
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 本体はそれなりに熱くなるものの,ノートPCとして使う分には底面に手が触れないので問題ない。膝の上に乗せていても少し熱を感じる程度だ。また,装着した専用ゲームパッドに熱は伝わらないため,ゲームをプレイするときにも気にならない。


ONEXPLAYER


 ONEXPLAYERの場合,DEATH STRANDINGは平均40fps前後で,比較的快適にプレイできた。また,ONEXPLAYERが搭載する振動機能を利用できるのもポイントである。

フレームレートは平均40fps前後だった。基本的に安定動作ではあったが,ゲームの起動時に強制終了するケースにも遭遇した
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 フォートナイトは,標準設定である2560×1600ドット以外の解像度を選択すると,画面が乱れるなど正しく設定できなかった。そのため,OneGx1 Proと同様に解像度は2560×1600ドットでプレイした。GPU性能に対して解像度が高すぎることもあってか,平均フレームレート48fpsとふるわない。ただ,表示崩れなど動作そのものに影響を与えるような問題はなかった。

2560×1200ドットでプレイしたところ,平均フレームレートは40台後半だった
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 Forza Horizon 5は,本機でも起動中にゲームが強制終了してしまう。一方,アズールレーンは,平均60fpsを維持しており,とくに問題なくプレイできた。

フレームレートは60fps前後を維持できており,動作も気になる点はない
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 8.4インチで解像度2560×1600ドットの高解像度パネルによる没入感は,ONEXPLAYERの大きな魅力だ。ただ,本体が大きいということは当然重量も相応にあるということでもある。公称本体重量は約820gと,今回試した製品で最も重い。体感でもかなりずっしりとした感覚で,ごろ寝しながらの手持ちプレイは腕がしんどい。机や膝の上に置いて使うのが適切だろうか。

 ゲームをプレイするときの熱は,あまり気にならない。本体奥側の排気孔に手を近付けると,ぬるめの風が出ているのが分かる程度だ。本体が大きい分,冷却機構も大型のものを搭載できて,十分に冷却できているということだろう。ただし,ファンが高速回転するとそれなりの音がでるので,ファンノイズが気になるときはイヤフォンやヘッドフォンの利用をお勧めしたい。


AYA NEO 2021


 Ryzenを搭載したAYA NEO 2021は,Intel CPUを搭載したほかの製品と比べて安定した動作であった。DEATH STRANDINGは,平均フレームレートが30台後半だったが,フォートナイトは,解像度1280×800ドットで平均120fpsを超えており,違いがすぐに分かるほどスムーズに動作している。

DEATH STRANDINGのフレームレートは30台後半で推移した。
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AYA NEO 2021でプレイしたフォートナイトは,ほかの製品と比べて格段にフレームレートが高い。操作もスムーズだ
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 Forza Horizon 5は,Intel CPU搭載製品とは異なり,起動時に警告が表示されることもない。また,画質設定でプリセットを選択するときの警告は出たものの,フリーズや強制終了といった問題は起きずにプレイできた。

Intel CPUを搭載したほかの製品とは異なり,強制終了することなく安定して動作した。フレームレートは60fps前後だ
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 アズールレーンのフレームレートは,ほかの製品と比べると低めではあるものの,平均60fps前後であり,快適にプレイできたといっていいだろう。また,AYA NEO 2021では,ゲームパッドのキーマッピングが自動で行われたので,手動で設定する必要がなかったのもポイントだ。

アズールレーンのフレームレートも60fps前後
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 AYA NEO 2021の約650gという重量は軽くはないものの,持ちやすい形状であるため,許容できる範囲だ。ゲームパッドの感触も良好である。一方,ゲームをプレイ中は相応に熱くなり,とくに背面の中央部はかなりの高熱を発する。手や指が当たりにくい場所ではあるのだが,少し気になった。


ゲームに特化したGPDとAYA NEOに対し,PCとしての使い勝手を考慮したONE-NETBOOK


 以上,5機種の小型ゲームPCをまとめて検証してみた。いずれも,解像度や画質設定の調整は必要だが,新しめのゲームであってもおおむね支障のないレベルで動作する性能を備えていることを確認できた。実際にゲームをプレイしても,一部の場合を除いて,製品間での差はそれほど大きくない。

 一方で,とくにディスプレイは,メーカーそれぞれの考え方の違いが現れており,この辺りに製品を選ぶヒントがありそうだ。
 GPDやAYA NEOの製品は,統合GPUの性能と,ゲームがメインの用途であることを割り切って,解像度が低めのディスプレイを搭載したのだろう。高解像度が必要だと思う場面はあるものの,フォートナイトでの挙動を見る限り,高解像度の液晶ディスプレイを搭載した製品で不具合が発生することもある。こうしたトラブルを避けて,多くのゲームを安定してプレイできる環境を構築しているのは評価したい。
 また,GPD WIN 3とAYA NEO 2021は,充電用端子が本体の下側面にあるので,充電用のケーブルが邪魔になりにくいのもポイントだ。寝ても覚めてもゲームをしたい層のことを考え抜いた作りになっていると感じる。
 
 一方,ONE-NETBOOKは,ゲーマー向けといえども,通常のノートPCとして利用したときの使い勝手を考慮した作りになっている。たとえば,Webサイトを見たり,動画配信サービスを利用したりするときは,フルHD以上の解像度がほしくなる。ゲーム以外でも小型PCを使いたいのであれば,OneGx1 ProやONEXPLAYERが適しているのではないか。
 使いたい用途や求める要素を整理した上で,自分にあった製品を選ぶといいだろう。

Steam Deck
画像集 No.043のサムネイル画像 / 数多くの製品が登場した「小型ゲームPC」はどこが違う? 代表的な5製品の見どころとゲームの動作をチェックしてみた
 現在は,GPD WIN 3やONEXPLAYER,AYANEO 2021のようなSwitch風のデザインを採用した小型ゲームPCがトレンドになっており,2022年2月には,ゲーム配信プラットフォーム「Steam」を運営するValveが開発中の小型ゲームPC「Steam Deck」が,Switch風デザインの新顔として北米市場などで発売となる予定だ(※国内向けの発売時期は未発表)。ゲーム特化の小型PCは,今後もさまざまな製品が登場して,市場を賑わせてくれそうである。

天空のGPD WIN 3製品情報ページ

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