プレイレポート
初のオープンワールドとなった「真・三國無双8」の発売から6か月。アップデートによってさまざまな要素が追加された現在のバージョンを紹介
発売から約6か月が経過し,プレイヤーによる評価もまとまってきた現状となるが,コーエーテクモゲームスは発売後から本作のアップデートを定期的に行い,不具合の修正以外に新要素を追加するなど,ゲーム内容にもいくつかの変化が出てきている。
そこで本稿は,本作の概要を改めて紹介するとともに,アップデートによって追加された要素についてチェックし,真・三國無双8の現在についてお届けしていきたい。なお本稿ではPS4版を使用して執筆している。
これまでの無双シリーズといえば,ストーリーごとに決められた形の戦場に出撃し,一騎当千のアクションで戦闘やミッションなどをこなしていくことでゲームが進行していくというゲームシステムが受け継がれてきたが,真・三國無双8では,これらを一新。一騎当千のアクションは残しつつ,戦場のマップが中国大陸を模した広大なオープンワールドとなり,その上で戦闘や任務(ミッション)が発生。規定の場所に移動して,任務をこなすことでゲームが進んでいくというシステムとなり,プレイフィールがガラッと変わった。
マップは移動することで開拓されていき,その道中には道標や見張り台,陣地などがあり,それらを発見すればファストトラベルも可能となる。移動中は拠点を守る敵部隊と戦ったり,町人や兵士などから請け負った任務(サイドミッション)を遂行したり,武器の強化や道具の開発用に素材を集めたりしてもいい。また動物相手の狩りや水場で釣りができるなど,オープンワールドゲームにおける自由度の高さを楽しむ要素が多数盛り込まれている。
マップは共通で,プレイした武将が訪れたところがオープンされていく。緑色のポイントにはファストラベルが可能 |
戦場には昼夜があり,天候が変わることも |
1つのマップとして構築された中国大陸は非常に広大で,特徴的な城塞や村々,大陸を分断する巨大な河川,霞がかかる山々など,三国志関連の映像作品などで見たことのある風景が広がっている。中には景勝地などもあり,後述するフォトモードで撮影シチュエーションを作るのも楽しい。当然ながら三国時代の中国大陸を模したものであり,その多くは荒れ地や平原,森林など自然のままの状態で,ランドマークもそれほど多くないため,長距離を移動するのに飽きてしまうという点もプレイヤーから指摘されている。個人的にはそれほど気にならないのだが,確かに広大な平原の移動は,馬を使っても大変に感じる人はいるかもしれない。
敵部隊は拠点や村,戦場などに点在している。豪快に蹴散らしていこう |
狩猟や釣りでは,動物系の素材が手に入る。原則としてリアルタイムで戦況が大きく変わることはないので,のんびり楽しめる |
戦場のシステムとともに,大勢の敵を蹴散らす一騎当千のアクションとして,新たに「ステートコンボシステム」が導入された。敵の状態によって自動的に技が変化する「フロー攻撃」([□])と「リアクト攻撃」([△]),敵の状態を変化させる「トリガー攻撃」(打上・[R1]+[△],気絶・[R1]+[□],転倒・[R1]+[×]),武将固有の強力な特殊技([R1]+[○])と,さまざまな攻撃手段があり,これらを組み合わせることで,より簡単に気持ちのいいコンビネーションをくり出せるのだ。敵武将や隊長などの強敵に対するロックオン([R3])や弓で行う射撃(方向キー↓で弓を構え,[□]で射撃)などの新システムも導入され,戦いにおける自由度も上がっている。
弓は狩りや単独の敵に対する攻撃に有効だ |
敵城に潜入する任務も。気付いていない敵に対して[△]を押すと大ダメージを与えられる |
プレイヤーキャラクターとなる武将は,DLCも含めると全部で94名にもおよび,当然ながらそれぞれに異なるストーリーとアクションが用意されている。訪れた戦場のマップや手持ちの武器・道具などは共有されているので,進行の途中で別の武将のストーリーに切り替えたとしても,すべてを最初からやり直す必要はない。
さらに発売後のアップデートにより,曹操,孫堅,劉備で冒頭の主要任務を終えると,各勢力の全員の武将が解放され,魏・呉・蜀3勢力で冒頭の主要任務を終えると,晋の武将全員が開放されるという仕組みだ。
武将は最初に活躍した時代からスタートとなる。最初は曹操,孫堅,劉備が選択可能 |
ゲームを進めると武将がアンロックされていく |
勢力ごとのストーリーの盛り上がり方はドラマチックで,オープンワールドのゲーム全体のスケールの大きさがそれを盛り上げている。ただしストーリーが分岐するようなことはなく,いわゆる「IF」の展開はない。プレイの自由度は高いものの,あくまで寄り道であり,主要となるストーリーは武将ごとに一本道である。
武将の会話シーンは基本的にすべてボイスが入っている |
特別なシーンでは,ドラマチックなムービーが流れることも |
ここからはアップデートやDLCなど,発売後に追加された要素について紹介していこう。発売後の無料アップデートによって追加された要素でとくに大きなものは「フォトモード」と「闘技場」だろう。
フォトモードはスクリーンショットを撮影する専用モードで,ゲーム中にポーズをかけることでその場面がストップし,カメラやシチュエーションなどを変更することで,公式サイトに掲載されているような,迫力のあるシーンを撮影可能だ。
時刻や天候,風向きと強さ,露光,画角,被写界深度のオンオフ,絞り値,ビネット効果など,設定できるシチュエーションは非常に細かく,さらにキャラクターの表情や視線,服の汚れや汗まで調整できるなど,開発中のデバッグモードを思わせるような機能の充実ぶりとなっている。
ゲーム中には景勝地や見張り台などから眺める景色のいい場所が存在し,また大勢の敵を相手にしているときなどもフォトジェニックだ。SNSで自慢のスクリーンショットをシェアしたくなる。
そして後者の闘技場は,ストーリーとは直接関係のない戦闘を行う場所で,連続して現れる武将と戦って撃破する任務を受けられる。戦闘中の条件は自分で選択でき,それにより得られる得点が変化するので,腕前に合わせるもよし,上を目指すもよしだ。
闘技場がある建寧はマップ南西の端にあり,最初からファストトラベルで移動できる。得点によって報酬もあり,ここでしか手に入らない装飾品や竹簡なども存在するので,ゲーム開始直後に訪れて,腕試し代わりに挑んでみるのもいいかもしれない。
任務という形で戦闘に挑む闘技場。ルールにより報酬が変わる |
装備中の道具は使用不可で,戦闘ごとに出現するアイテムを取って回復などを行う |
このほかにも,武将の強化ポイントをリセットまたは追加獲得できるアイテム「無双の書」の追加や,ハイリスクハイリターンの最高難度「究極」の追加,ステータス上限値の引き上げ,オプションの充実など,ゲーム発売直後から比較すると全体的にゲームプレイの幅や遊びやすさが向上している。
遊びやすさという点で最も大きいのが,発売直後にプレイヤーから指摘されていたフレームレートの不安定さが,アップデートにより改善したことだ。現在もシーンによっては多少コマ落ちするが,ゲームにならないほどではなく,通常のPS4でも問題なく楽しめる。本来なら発売の時点でこうあるべきではあるが……。
それでも気になる場合には,タイトル画面の「グラフィック設定」のオプションで,フレームレートの安定性を優先する「アクションモード」を選択することもできる。
また,敵のAIも改善されている。発売当初よりも,敵がプレイヤーに向かってワラワラと寄ってくるようになったので,無双シリーズならではの敵をまとめて吹き飛ばす爽快感を,楽しみやすくなった。
有料DLCでは,追加シナリオに注目だ。こちらを購入すると「華雄」「董白」「袁術」「夏侯姫」の4人のキャラクターが追加され,それぞれのストーリーをプレイできるようになる。
大軍相手にただ暴れたいという理由で董卓の配下となる華雄,祖父董卓の復讐のために貂蝉と呂布を追う董白,張飛と運命的な出会いを果たし,後に妻となる箱入り娘の夏侯姫,ライバル視する袁紹を出し抜き,名家としての権力を手に入れようとする袁術と,これまで体験する機会のなかった武将達のストーリーを楽しめるのが魅力だ。
華雄はただ戦いたいという理由で董卓の軍勢に加わる。ストーリーには董白も登場 |
祖父の董卓と同じ鎖分銅を使って戦う董白。そのわがままキャラにも注目だ |
もちろん単純な使い回しの内容ではなく,キャラクターのアクションやイベントは新規に作られたものなので,本編をすでに終えているという人も,購入検討する価値は十分にある。価格は税込2400円となるが,「シーズンパス」を購入すれば,この追加シナリオのほか,「隠れ処カスタマイズパック」「追加武器パック」,そして宝玉と素材の特典すべてを3000円で購入できるので,こちらの方がお得感は強い。
筆者個人的にイチオシの袁術。プレイヤーキャラクターになるとそのイメージは変わるはず |
張飛に救われ,劉備の軍勢に所属する夏侯姫。叔父の夏侯淵が敵勢にいることに悩む |
長く続く「真・三國無双」シリーズにおいて,新たな試みを取り入れた本作。それだけに同じシステムで完成度を高めてきたこれまでと比較すると荒削りなところも多く見られるが,個人的にこの方向性は評価したい。広大な1つのマップの上で無数の軍勢による戦いがくり広げられている様子は説得力があり,見た目にも自然だ。これまでのシリーズに馴染めなかったという人にはぜひプレイして,この感覚を味わってみてほしい。
本稿で述べたように,その後のアップデートによって遊びの幅が増えているので,ある意味,今が買い時だ。
「真・三國無双8」公式サイト
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