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[GDC 2018]新作ゲーム機「Atari VCS」,その正体はAMD製APU搭載のLinuxマシンだ
四半世紀ぶりの再挑戦となるAtariのハードは,いったいどんなゲーム機なのだろうか。
その正体はBristol RidgeベースのLinuxマシン
残念だったのは,展示機は本体前面のAtariロゴが光るだけで,波打ったような外観になっている天板部の溝も通風孔としては機能していないことだ。ただ,氏によるとこの展示機はいわゆるモックアップではなく「インダストリアルデザインのモデル」で,外観は最終デザインそのものだそうだ。つまり,最終的に市販されるAtari VCSの筐体展示というわけである。
さて,Arzt氏によると,Atari VCSが搭載するプロセッサは,Bristol Ridge世代のAMD A-Series APUで,スペックとしては「A10」クラスとのこと。OSはLinuxベースとなる独自のものだそうだ。
背面のインタフェースがHDMI Type A
1973年にAtariがリリースした「Atari 2600」は当初,「Atari Video Computer System」(※太字は4Gamerによる)と名乗っていた。それだけにAtari VCSという名称が当時を知るAtariファンに懐旧の念を起こすことは疑いようがないが,それだけではないとArzt氏は言う。「Atari VCSの基本コンセプトはあくまでも,『テレビ向けのコンピュータシステム』だ」(同氏)。
つまり,Atariの古いゲームをプレイしたり,対応する最新のゲームをプレイするための「ゲーム用途」だけではなく,ビデオや音楽を楽しんだり,Webブラウザを立ち上げてオンラインのコンテンツを利用したりすることまで,Atariは意識しているということである。イメージとしては,ニンテンドークラッシクミニシリーズとSteambox,そしていわゆるセットトップボックスの機能を足して3で割ったといったところになるだろうか。
Arzt氏の口ぶりからすると,Atariとしてはかなり「多機能セットトップボックス」に近い,広範な用途を想定しているようだった。
価格は未定ながら税別300ドル未満がターゲット。標準添付のコントローラはClassic Joystickのみ
3月20日の記事でお伝えしているとおり,Atariは4月にも,Atari VCSの予約受け付けを開始すると予告している。ただし,搭載するAPU以外のスペックが固まっていないこともあって,現時点で価格は未定だそうだ。Arzt氏も「(税別)249ドルから299ドル,もしくはそれ以下ならもっと好ましい」と述べるに留めていた。
その理由としてArzt氏は「すでに多くの家庭にはXbox ControllerなどUSB対応の周辺機器が出回っており,新しいものを買い増しするのを好まない消費者が多いことが想定されるから」と述べていたので,Atari VCSはどうやら,USB接続のゲームパッドなどを広くサポートすることになるようだ。XInput対応ならOKかも,くらいに考えておくといいかもしれない。
気になる対応ゲームに関する詳しい情報は一切がノーコメント。ただし,Classic Joystickに対応したAtariのクラシックタイトルのうち,いくつかが標準でバンドルとなることは間違いないようだ。
気になるのはAtari VCS用のサードパーティ製タイトルが出てくるか否かだが,ここは何とも言えないところ。Atariがサードパーティを口説き落とせるかどうかで,ゲーム機としてのAtari VCSの最終評価は変わってくるように思われる。SteamOS向けのタイトルがAtari VCS上でも動くとかいったことがあれば,それでもずいぶん救われそうだが……。
量産準備はほぼ完了。今後は情報も出てくる?
Arzt氏によると,ハードウェア製造委託先との交渉はほぼ終わっているらしいので,スペックさえ固まれば,量産を始められるのではなかろうか。
氏は「Atariboxとして2017年7月にアナウンスして以降,まったくフォローアップできていなかったのは反省すべき部分」と語っていたので,量産開始,そして販売開始に向けて,今後は情報の頻繁なアップデートに期待したい。
[GDC 2018]Atari,据え置き型ゲーム機「Atari VCS」を正式発表
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Access Accepted第349回:Atariの歩んだ栄光と苦難の歴史
Atari VCS公式Webサイト(英語)
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