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「ウイニングイレブン 2019」,e-Sports イノフェスCUP 決勝戦の模様をお届け。優勝したウイイレのプロ“Mayageka選手”にも話を聞いた
当日は台風24号の接近により,あいにくの天候になってしまったが,さまざまな最新テクノロジーに触れることができ,多くの著名なイノベーターやアーティストが集結してライブやトークイベントが行われるということもあり,多くの来場者で賑わっていた。
今回,イノフェス2018のステージイベントとして,29日に「e-Sports イノフェスCUP Powered by Zoff」が開催された(関連記事)。このイベントでは,スポーツに関するトークショウ,そしてサッカーゲーム「ウイニングイレブン 2019」を使用した大会“イノフェスCUP 決勝大会”が行われたので,その模様をレポートしよう。
なお,最後にイノフェスCUP 決勝大会に出場した,ウイイレのプロ選手であるMayageka選手のインタビューを掲載している。Mayageka選手にプロになった経緯やこれからの目標など気になる部分を聞いているので,ぜひ最後まで読み進めてほしい。
eスポーツとは,性別や年齢,国籍,人種,言語,宗教などすべてを超越できるコミュニケーションツール
最初のトークショウでは,司会にジョン・カビラさん,ゲストにメディアアーティストの落合陽一氏,日本のeスポーツを牽引するRIZeST代表の古澤明仁氏が登壇し,eスポーツの現状と未来について語られた。
eスポーツとは何か? について,古澤氏は「家庭用ゲームやスマートフォンなどコンピューターゲームで,そこに勝敗や競技要素があること」がeスポーツの定義になるという。eスポーツは,2018年時点で3.8億人のプレイヤーや観戦者がいて,東京オリンピックが終わる翌年2021年には,5.6億人まで膨れあがると予想されているそうだ。
落合氏は,今年行われた平昌オリンピック開催中にeスポーツのデモンストレーション競技として行われた「StarCraft II: Legacy of the Void」の大会で,女性プレイヤーが優勝したことに触れ,「性別や年齢,国籍,人種,言語,宗教などすべてを超越できる可能性があり,eスポーツの良さは,まさにここ」と語った。
「たとえば障害のある人,高齢の人,そしてシニア社会に向かっていく日本においても,人と人を繋ぐ大きな力になるイメージがある」というカビラさんに対し,「高齢化が進むと周囲とのコミュニケーションが減ってしまうが,たとえば老人介護施設や老人会などでゲームを楽しむことで,誰かとコミュニケーションを取るツールになる」と落合氏はコメントした。
最後に,今後のeスポーツの発展のために必要なことについては,古澤氏は「ゲームを知らない人さえも関心を持つようなゲームが登場し,それを国内外に発信すること」,落合氏は「スター選手を何人育てられるかが重要」と語り,締めくくった。
ウイイレプロMayageka選手とダルマ選手によるイノフェスCUP 決勝大会
トークセッションのあとは,ウイニングイレブン 2019を使ったイノフェスCUP 決勝大会が行われた。8月19日に秋葉原で行われた予選大会「e-sports SQUARE AKIHABARA」を勝ち上がってきた,「ウイニングイレブン 2017」(PS4 / PS3),「ウイニングイレブン 2018」(PS4 / PS3)の大会で2年連続ベスト8に進出したプロ選手のMayageka選手,そして予選3試合無失点の鉄壁の守備を誇るダルマ選手による決勝戦となった。
Mayageka選手 |
ダルマ選手 |
解説は,コナミデジタルエンタテインメントの梅津 慧氏,さらにミュージシャンのGAKU-MCさん,タレントのハリー杉山さんという顔ぶれ。そして実況は,トークセッションに引き続き,カビラさんだ。
説明する必要もないと思うが,カビラさんはウイイレ全シリーズの実況を担当しており,ウイイレの大会を生実況で見られるところも,今回のイベントの見どころの1つと言えるだろう。
ジョン・カビラさん |
梅津 慧氏 |
GAKU-MCさん |
ハリー杉山さん |
さて,試合では,Mayageka選手はスペイン,ダルマ選手はドイツを選択。フォーメーションは,お互いに4-1-2-3だ。カビラさんは画面に映るドイツ選手を見て「とくにドイツ! 誰が思ったか,あの展開。心なしか悔しさを引きずっているような表情あります」と,実際のワールドカップに絡めた話で場を盛り上げた。
キックオフ早々にスペインが先制。さらにオフサイドぎりぎりに飛び出した選手にクロスボールが繋がり,スペインが追加点。緊張しているのかパスの精度に欠け,スペインのボールさばきに翻弄されている感のあるドイツに対し「鉄壁の守備を誇るダルマ選手も翻弄される!」とカビラさんが実況。
華麗なドリブルテクニックで見せるスペインのイスコ(Mayageka選手)に対し,「うぜ〜,イスコうぜ〜!」とハリーさん。続けて,カビラさんが「イスコ,早く出しなさい!イスコ!」「こんなこと実際の試合実況では絶対に言えませんからね。ここはeスポーツならではの……(笑)」と会場の笑いを誘った。そして,2-0のまま前半終了。
後半はスペイン,ドイツとも一進一退の攻防が続き,ドイツがゴールを決めて1点を返すが,すぐさまスペインが追加点を決めて3-1へ。スピーディーな試合展開,そしてカビラさんの実況で会場は大いに盛り上がった。
ここで選手交代。スペインはスタミナが減った選手のみを交代させ,フォーメーションを4-3-3に変更。2点差があり,攻めなければならないドイツは,ポジションを見直し,さらにフォーメーションを3-3-1-3に変更する。これが功を奏したのか,ドイツがゴールを決めて3-2となったが,スペインは攻撃の手を緩めることなく,さらに得点を追加して4-2で,Mayageka選手が優勝した。
優勝の感想を聞かれたMayageka選手は「嬉しいです。早い段階で先制点が取れたので……」とコメント。それに対し,ダルマ選手は「強すぎだよ! 勝てないっす(笑)」と悔しさを滲ませた。
2人の試合を背後から見ていたGAKU-MCさんは「コマンドの入れ具合が大変なことになってました。手元を見ていたけれど,ついて行けない(笑)」,さらにハリーさんは「イスコとかチートモードですよ」と。それに対し,Mayageka選手は「あれは自分の技術というよりもイスコ選手の能力ですね。ああいうことができる選手で,それを自分が補っている」と謙遜した。
その後,GAKU-MCさんとMayageka選手(スペイン),そしてハリーさんとダルマ選手(ドイツ)という組み合わせで,2人対2人のエキシビションマッチが行われた。「セルヒオ・ラモスかよ,また!」など,カビラさんのイケない実況も飛び出し,相手がシュートを大きく外すと「ちょっと飛ばしすぎなんじゃないの」など相手を煽るシーンも見られた。
隣のチームメイトと会話をしながらプレイするなど,両チームがコミュニケーションを取りながら展開した試合は,0-0のスコアレスドローで幕を閉じた。
イノフェスCUP 決勝大会を制した,Mayageka選手インタビュー
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずは,本日の決勝戦,優勝おめでとうございます。
Mayageka選手:
ありがとうございます!。勝てて良かったです。負けたら,どんな気持ちでこのインタビューをやればいいんだろうって思ってました(笑)。
4Gamer:
まずは一安心ですね(笑)。決勝戦の感想などを聞かせていただけますか。
Mayageka選手:
野外でウイイレの大会をやるのは今までにない経験で,少し緊張しました。あとイノフェスということもあり,観客の人たちはウイイレだけを観に来ている人ばかりじゃないと思うんですが,そういう人たちが観戦してくれたことはよかったです。
4Gamer:
観客の層は幅広い印象でしたね。満席で立ち見の人も多くて,みんな雨で濡れていましたが,観客サイドもかなり盛り上がってました。決勝戦の試合の内容については,いかがでしたか。
Mayageka選手:
自分よりもダルマ選手のほうが緊張していたと思います。会場の雰囲気だったり,決勝戦で,しかも観客のいる野外ステージでやるのは相当緊張すると思います。入場するときに「めちゃくちゃ緊張してる」とダルマ選手が言ってました(笑)。そのへんは,場馴れの差が出た感じはあります。
4Gamer:
それに今回は,カビラさんが実況についたり,GAKU-MCさんやハリーさんのゲストがいたり……。
Mayageka選手:
そうなんです。自分はそこが緊張しました。本物のカビラさんがしゃべっているのは,これはちょっとすごいなと思って。だって,ゲームで実況してる人が出てきて,そのままのことを言ってる。あれは緊張しますよ(笑)。
4Gamer:
凄いですよね。実際に試合を観戦させてもらって,華麗なドリブルテクニックを見せてもらいました。観客サイドからは手元が見えませんでしたが,どうコントロールしているのか手元を見たかったです。プロ選手としては,手元は見られたくないものですか。
Mayageka選手:
あまり抵抗はないですね。特別な操作をしているわけではなくて,できる技術は上級者でもみんな同じくらいなんです。その技術の使いどころが違うので,そこが差になると思います。
4Gamer:
実際のサッカーでも1秒でもタイミングが違えば違う結果になるのと一緒で,テクニックと選手のセンスな部分が大きいということですね。ゲームがよりリアルに近づいてきている感じがしますね。
Mayageka選手:
そうですね。だから,自分はリアルサッカーを知っていたほうが有利なんじゃないかと思います。ウイイレはそうだと感じてます。自分はサッカーをプレイしていましたが,ウイイレ上級者の多くはゲームしかやったことがない人が多いですね。
4Gamer:
なるほど。実際にサッカーをやられていたとのことですが,それはいつ頃からですか。
Mayageka選手:
兄がクラブチームでサッカーをやっていたのが切っ掛けで,小学3年生のときに同じチームに入って始めました。それから高校生までサッカーを続けていました。
4Gamer:
高校生までサッカーをやられていたんですね。その頃は,Jリーグや海外サッカーなどは観ていましたか。
Mayageka選手:
国内サッカーはテレビなどで見る機会がありましたが,海外サッカーはまだ観るツールがなかったので,ほとんど観ていませんでした。でも,日本の選手では中田英寿選手,海外選手ではカカ選手を応援してました。
4Gamer:
なるほど。では,ウイイレを始めた切っ掛けも教えてください。
Mayageka選手:
小学生のときに親戚の家に行ったときに遊んだのがウイイレとの出会いです。自分が初めて買ったのは,たしか「ワールドサッカーウイニングイレブン6」だったと思います。
4Gamer:
その頃はオンラインプレイはできなかったと思いますが,友達などとプレイされていたんですか。
Mayageka選手:
はい,地元最強でした(笑)。
4Gamer:
その頃から上手かったんですね。どのタイミングでオンラインプレイを始めましたか。
Mayageka選手:
たぶん,14歳か15歳だったと思うんですけど,兄に「オンラインでやってみれば?」と言われて始めました。プレイヤー名は本名は止めといた方がいいよと言われて,兄が「名前を逆にしよう」と……それで生まれたのが,この“Mayageka”なんです(笑)。
4Gamer:
なんと!。サッカーといい,ウイイレのオンラインデビューといい,みんなお兄さんが切っ掛けなんですね(笑)。ウイイレの大会に出るようになったのは,いつ頃ですか。
Mayageka選手:
大会に出るようになったのは働くようになってからですね。「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2015」(PS4 / PS3 / Xbox One)の日本代表決定戦があって,そこに出場して優勝したのが始まりです。
4Gamer:
初めて大会に出て,いきなり優勝ですか!
Mayageka選手:
ワールドサッカー ウイニングイレブン 2015以前からプレイしている上級プレイヤーたちが集まるコミュニティがあるんですが,なかなかそこに入りづらい雰囲気なんです。でも,いきなり大会に出てきて,優勝候補と言われていた人を倒して優勝できたので,なんか変わったのが来たぞみたいな感じで,そういったコミュニティにもすぐに受け入れてもらえました(笑)。
4Gamer:
お兄さんは,Mayageka選手がプロになったことに何か言いましたか
Mayageka選手:
eスポーツというジャンルで少しずつ名前が出るようになったので,たまに名前を見ていたみたいです。「お前,なんか凄いことになってんな」って言われました。「ウチの弟,ウイイレ凄いらしいよ」って周りに話しているみたいです(笑)。
4Gamer:
ちなみにお兄さんは,今でもウイイレをやっていますか。
Mayageka選手:
やってないみたいですね。小学生のころは兄にボコボコにされていましたが,自分が勝つようになってからは一緒にプレイすることは減りました(笑)。
4Gamer:
漫画にありそうなシーンですね(笑)。ちなみに,サッカーゲームはFIFAシリーズもありますが,そちらはプレイしますか。
Mayageka選手:
周りにFIFAで遊んでいるプレイヤーもいるので,たまに触ったりはしますけど,ウイイレとFIFAと両方やってどちらも勝てるかというと,そう甘くないので……自分はウイイレに専念してます。
4Gamer:
ウイイレのプロ選手になるのを目標に何か取り組んだことはあれば教えてください。
Mayageka選手:
プロ選手を目指していたことはなくて,自分が好きだったゲームがたまたま人気があって,それでたまたまその時期に自分が強くて,それでそういう声をかけていただいたという感じです。実は自分でも信じられないというのが正直なところなんです。
4Gamer:
そうなんですね。プロ選手になってやろうという意識で挑んできたわけではないんですね。
Mayageka選手:
はい。どちらかと言うと,自分の中ではウイイレの盛り上がりに乗った感じが強いです。
4Gamer:
プロ選手になってからウイイレに対する意識は変わりましたか。
Mayageka選手:
日本eスポーツ連合(JeSU:Japan esports Union)のライセンスを持ってるということで、プロとして負けたくないと思うようになりました。なので,そのあたりを意識して練習などに取り組むようになりましたね。
4Gamer:
プロ選手になってから,面白いエピソードみたいなものがあれば聞かせてください。
Mayageka選手:
そうですね。アジア競技大会の予選の日に,UEFAチャンピオンズリーグの決勝戦(レアル・マドリード対リヴァプール)があってですね,ゲームよりもリアルサッカーが好きなので,チャンピオンズリーグの決勝戦を選んでしまいました(笑)。
ウイイレのプロ選手なのに,なぜ大会に出なかったんですかと本当に良く聞かれるんですが,純粋にサッカーが大好きで,レアルのファンなので行かないという選択はできなかったですね。何より,チャンピオンズリーグの決勝戦に行けるチャンスは滅多にないことなので(笑)。
4Gamer:
プロ選手だけど,サッカー好きを優先してしまうのが,Mayageka選手なんですね。では,今後の大会などに対する意気込みや目標があれば聞かせてください。
Mayageka選手:
やはり,PES LEAGUEと言われる世界大会なんですけど,まずはその大会に出られるように努力することです。もちろん,最終目標は世界一です。
4Gamer:
なるほど。やはり,世界一ですよね。ご活躍を楽しみにしています。最後に4Gamerの読者に向けて何かメッセージをください。
Mayageka選手:
eスポーツは盛り上がってきていますが,まだまだこれからなので,ウイイレを含めeスポーツ自体を盛り上げていきたいと思っています。サッカーは子供から大人まで年齢,性別を問わず楽しめるスポーツですし,これはウイイレも同じです。多くの人にeスポーツイベントや大会に足を運んで,楽しんでほしいと思っています。今年は本気で世界一を狙っていますので,応援をよろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
https://twitter.com/mayageka1993
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