無料配信タイトル「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット」プレイレポート。「ライフ イズ ストレンジ 2」へとつながる物語を体験しよう

　スクウェア・エニックスより2020年3月26日に発売が予定されている「ライフ イズ ストレンジ 2」（PC/PS4/Xbox One 以下，LIS2）のスピンオフ作品「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット（The Awesome Adventures of Captain Spirit）」（PC/PS4/Xbox One）の日本版が，本日（2月6日）無料配信される。


　本作は，2015年にリリースされた「ライフ イズ ストレンジ」（以下，LIS）の3年後のストーリーが描かれる「ライフ イズ ストレンジ2」と世界観を共有する作品であり，スーパーヒーローにあこがれる少年を主人公に据えた短編作品だ。本稿ではそのプレイレポートをお届けしていく。
　なお本作はアドベンチャーゲームであり，そのストーリーを楽しみたいという人も多いかと思う。ワールドワイドでは発売済みのタイトルではあるものの，本稿ではストーリーに関しては，公式サイトで触れられているところまでの紹介にとどめておくことにしたい。

冬のオレゴンの雪景色の中にたたずむクリスの家。静かで時折鳥の声や雪が落ちる音が聞こえる

　ゲーム本編となるLIS2は前作同様，複数に分けられたエピソードが数か月ごとに配信される形で，海外では2018年から2019年にかけリリースされた。この「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット」は，それに先駆けた体験版のような形で制作されたもので，LIS2と同じ世界の物語であり，ゲーム中で選んだ選択肢における結果などは，LIS2に引き継がれる仕様となっている。
　今回リリースされる日本版は全編ローカライズ済みで，セリフも日本語による吹き替えとなる（オプションで英語音声も選択可能）。画面に表示される日本語フォントもゲームの雰囲気を損なわないものが使われていて，クリスの心の声はセリフの字幕とは違うフォントが使われているなど，細かなところまで凝っているのも嬉しいところだった。

　舞台となるのは，クリスマスを迎えるオレゴンの田舎町。その背景には雪景色が広がっている。グラフィックスの雰囲気もLISのそれを継承していて，フォトリアルと絵画の中間のようなタッチで描かれているのが，このシリーズにおける特徴の1つでもある。

特定のシーンで見られるカメラワークやサウンドによる演出にも注目

　本作の主人公となるのは，想像力豊かな9歳の少年クリス（本名クリストファー・エリクセン）。父親と2人暮らしの彼は，クリスマス前の静かな休日，自らが考えたスーパーヒーロー「キャプテン・スピリット」となって冒険の世界へと旅立ち，スーパーヴィラン「マントロイド」との戦いへとおもむいていく。……というのは彼の空想の中でのお話。日常の出来事すべてが冒険のように感じられた懐かしいあの頃を思い出すようなストーリーを，ヒーローにあこがれるクリスの視点で体験していくのである。

空想することが大好きなクリス。1人遊びも実に楽しそうだ

クリスは父親と2人で暮らし。その関係や母親についてはストーリーの中で分かるはず

　基本となるゲームシステムもLISとほぼ同じで，三人称視点で移動するシーンの中で発見できるポイントで対応のボタンを押すと何かしらの反応が起こる。場合によっては，それがその後のストーリーに影響をもたらすこともあるわけだが，見つけなくてもゲームは進んでいくため，遊び方によってストーリーの印象が変わっていくところも大きな特徴だ。

選択肢によって会話やその後の展開が自然な流れで変わっていく

会話に対してリアルタイムに返答をするという選択肢もある

　本作で面白いのは，クリスがキャプテン・スピリットの姿となっており，新たな選択肢の「ヒーローアクション」が行えるということ。クリスがスーパーヒーローとなったことで，それまで何も起きなかったものでも，新しい反応が起こることがあるのだ。このヒーローアクションによって発生するいくつかのシーンは，ゲーム中に提示されるミッションにもなっている。

キャプテン・スピリットに変身したクリス。どう変身するかは，プレイヤー次第

怪物が目の前に！？　エフェクトが表示されるヒーローアクションで対応しよう

　プレイ中に聞こえてくるのは主にセリフと効果音だが，特定のイベントやシチュエーションによってBGMが流れてくることがある。この自然な演出が実に心地よく，コントローラから手を離して，癒しのひとときを味わってみるのもいいかもしれない。

BGMが流れてくると，時間がゆっくり経過しているような気分になれる

　本作の開発は，前作を手がけたDONTNOD Entertainmentが担当している。LISの外伝的なタイトルとしてリリースされた「ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム」は，開発会社が異なっていた関係で，ゲーム的な手触りがやや硬い印象があった。一方本作は，LISと同等かそれよりも進化している感触で，最後まで気持ちよく遊べた。これなら，本編となるLIS2も安心してプレイできそうだ。

家や庭はいろいろな場所を見て回れる。気づいたものを見てみると，新しい発見があるかも

ヒーローアクションはぜひ試してみてほしい。キャプテン・スピリットの見せ場だ

　体験版的な位置付けではあるものの，LIS2とは別のストーリーを設け，短編ながらもラストまで綺麗にまとめられていて，自然な形で次へとつなげる展開も好印象だった。シリーズ恒例のシステムにより，遊び方で異なる展開を見られたり，行動におけるミッションが用意されていたりするなど，ちょっとしたやり込み要素もあるので，本編が発売されるまで，次につながるベストな展開を模索してみるのもいいと思う。
　もちろんシリーズの予備知識がなくても問題なく楽しめるので，ぜひこの機会にLISシリーズの世界観やゲームシステムに触れてみてほしい。

「オーサム・アドベンチャーズ・オブ・キャプテン・スピリット」公式サイト