プレイレポート
1周目と2周目のギャップに,恐ろしさすら感じる。言葉と音を排した「THE QUIET MAN」プレイレポート
本稿では2周目までしっかりプレイしたうえでのレポートをお届けしよう。もちろんネタバレ要素は避けているので,その点は安心してほしい。
なお,プレイしたのはPS4版で,ボタン表記はそちらに準じている。記事中のスクリーンショットもPS4版のものだ。
本作の舞台は,眠らない街・ニューヨーク。主人公であるデインはナイトクラブ「Club Moonrise」の用心棒で,耳が聞こえないが,人並み外れた格闘能力と集中力を持っている。
ある日,Club Moonriseに脅迫状が届いて,歌姫のララが仮面の男に誘拐されてしまう。デインはララを救うべく仮面の男を追うが,そこに,デインを古くから知るアッシュ警部補,Club Moonriseのオーナーであるテイ,ギャング団「SOL33」の構成員であるピーターとマルセロといった人々が絡み,人間ドラマを紡いでいく。
デイン |
ララ |
仮面の男 |
アッシュ警部補 |
本作は,実写によるドラマとCGによる格闘アクションで構成されている。一般的なゲームなら「ドラマパート」「ゲームパート」もしくは「ドラマモード」「ゲームモード」というゲーム用語を使うところだが,本作は実写ドラマとアクションのつなぎ目が実にスムーズなので,そういった用語はあまり似つかわしくない。
デインが怪しげな路地に踏み込むシーンを例に取ると,「たむろするギャングに絡まれてカメラが寄ると,ローディング画面もなしにデインを操作できるアクションシーンになっていた」という感じで,没入感が阻害されないのだ。
自分で操作する格闘アクションにおいても,画面に体力ゲージなどのゲーム的なユーザーインタフェースは表示されないのだから徹底している。ただ,ダメージが溜まると画面がどんどん赤くなっていくので,おおまかなデインの状況は把握可能だ。
[□]でパンチ,[△]でキックが出せて,2つのボタンを続けて押すとコンビネーション攻撃となる。余裕が出てきたら,[○]で敵を掴んでみよう。そこから[□]や[△]の連打で一気に大ダメージを狙えるのだ。
攻撃を受けた敵はグロッキーになり,壁によりかかる。ここで[□]や[△]を押せばフィニッシュ攻撃を繰り出し,単に連打で敵を倒すよりも迫力あるシーンが見られる。
フィニッシュ攻撃には特定のシーンだけで使える特殊なものもある。ガソリンスタンドでの戦いでは,給油機に敵を押しつけて[△]を押すと,ノズルを口に突っ込んでガソリンを飲ませる大技が発動するといった具合だ。このほかにもさまざまなフィニッシュ攻撃が用意されているとのことなので,探してみよう。
[×]を押すと,スウェイで敵の攻撃をかわせる。さらに,ギリギリで避けると自動でデインが反撃し,カッコ良く敵を仕留めてくれるので,相手の動きを見ながら使っていくといいだろう。決まったときはなかなか爽快だ。
そして気を付けておきたいのが,画面右上に差す青い光だ。この光があるときに[L2]で「フォーカス」を発動させると,デインの体力が回復するうえ,敵を一方的に攻撃できるチャンスとなる。
敵によってはフォーカス中であっても反撃してくるが,ここでもスウェイが可能。後半では必須のテクニックとなるので覚えておこう。
なお,青い光は敵に攻撃を当てていくと発生する仕組みなので,積極的に攻めていく必要がある。
前述したように,1周目のプレイでは,基本的に音楽・台詞・字幕が存在しない。テレビの音を消して映画を見るようなものだ。
そのため,プレイ中はいやがうえにも集中力が高まる。台詞や字幕がないことの影響は大きく,話の筋や登場人物の役割といったことまで,すべて映像から読み取らなければならない。ちょっとした演出からカメラワーク,果ては画面の隅にある小物まで,さまざまなものが気になり,想像が膨らんでいく。1周目はいわば“考察編”だ。
物語が終わる頃には,プレイヤーたちそれぞれの心に,自分だけの物語が生まれているだろう。すぐにでも2周目をプレイしたくなるだろうが,個人的には自分が想像したストーリーや疑問点をどこかにメモしたうえで,3日ほど時間を置いてからにすることをオススメしたい。ストーリーのイメージを固めたほうが,2周目との違いをはっきり感じられるからだ。
2周した筆者としては,ストーリーについていろいろ語ってみたいのだが,そのような野暮はしないでおきたい。ただ言えるのは「普段ゲームを遊ばない人にも楽しめる」「映画や海外ドラマを見るような人にもお勧め」といったところだろうか。
以下は具体的なネタバレこそないものの,物語の構造的な部分に触れる内容となっているので,できれば2周目をプレイしたうえで読んでほしい。
2周目で,プレイヤーは想像したストーリーとの違いに驚かされることだろう。さまざまなシーンがミスリードを誘うように作られており,この企みにまんまと引っかかっているはずだからだ。
そして,印象で物事を判断することがいかに危険で不確かなことであるかが分かってきて,ゲームを進めていくうちに恐ろしさすら感じるかもしれない。
1周目で描かれる音のない世界は,主人公・デインの耳が聞こえない境遇と重なっている。そうした意味で言葉の重要さを描く物語でもある。もちろん,言葉は万能ではない。登場人物達は言葉を交わしつつも,すれ違っているからだ。
本作は100時間近く遊べるようなAAA級タイトルではなく,実験作的な尖ったタイトルなので,“普通に面白いゲーム”を期待している人は肩すかしを食らうだろう。
ただ,2周遊べば,物語の印象が強く心に刻まれるのは間違いない。作り手の掌の上で転がされるような体験をしてみたいのであれば,ぜひプレイしてほしいと思っている。
「THE QUIET MAN」公式サイト
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