プレイレポート
「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」プレイレポート。17年の時を経て蘇るマルチプレイアクションRPGを,現代の環境で手軽に楽しもう
2003年にニンテンドー ゲームキューブにて発売された「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル」(以下,FFCC)に新規要素を加えて現代のプラットフォーム向けにリマスターし,本作の大きな特徴である最大4人参加の協力プレイをオンラインかつクロスプラットフォームで可能としたものだ。
本作はゲームのクオリティアップを理由に,発売が今年の1月から延期されていたが,ついにこの夏に登場する。今回は一足早く,製品版に近いPlayStation 4版を触る機会を得たので,序盤のダンジョンをメインに,本作のゲームシステムやプレイフィールなどについてレポートしていきたい。
大陸を襲った巨大隕石により,世界が猛毒の「瘴気」に包まれ,人々はそれを浄化する「クリスタル」の力で生き延びていた。そのクリスタルも永遠ではなく,クリスタルの命を紡ぐ「ミルラの雫」が必要で,その入手のために村からはキャラバンが旅立っていく。
プレイヤーはそんな「クリスタル・キャラバン」の一員として馬車に乗り,ミルラの雫のあるダンジョンへと挑んでいくこととなる。
プレイヤーキャラクターは「クラヴァット」「リルティ」「ユーク」「セルキー」の,見た目も強さも異なる4つの種族から選び,さらに家族の職業を選ぶことで,それぞれ異なる恩恵を受けられるようになっている。筆者は今回クラヴァットの男の子,家族は「かじ屋」を選んでいる。
クラヴァットは剣と盾で攻守に長けた戦闘を行い,魔法もそつなくこなす種族で,最初に遊ぶ時は扱いやすいかと思う。かじ屋の家族は,手に入れた素材で作れる武器防具の製作を,ほかの店よりも安価でやってもらえるという恩恵を受けられるのだ。
キャラバンの馬車は2Dのマップ上を移動し,ダンジョンの最奥に自生するミルラの木からミルラの雫を持ち帰る旅を進めていく。ダンジョンは見下ろし視点となっていて,ここでリアルタイムの探索が展開していく。
ダンジョン内はアクションゲームらしい操作で進んでいくことになるが,「たたかう」や「まもる」,「ファイア」といった魔法などをセットしたコマンドを1つ選び,[○]ボタンを押して繰り出すというシステムなため,それぞれを同時に行うことができない。このあたりは「ファイナルファンタジー」シリーズのRPGテイストを残した仕様が感じられる。
また魔法のシステムはすこし変わっていて,MPの概念はなく,敵がランダムで落とす「魔石」をコマンドにセットすることでいつでも使用可能となる。使うときは一定の詠唱時間を必要とし,詠唱後に表示される「ターゲットリング」で発動場所を決める。詠唱中は動けず無防備になるので,敵から離れたり,仲間に護ってもらったりしたほうがいい。
敵が落とす「魔石」。ダンジョンを出ると消滅するため,常に拾った魔石を利用する必要がある面白いシステムだ |
コマンドリストはいつでも変更が可能。魔石はもちろん,アイテムもセットできる |
こうしたバトルが繰り広げられる中,本作には1つ大きなルールが設定されている。それが「瘴気」の存在だ。ダンジョンは瘴気で満たされていて,通常は生きられないが,キャラバンがミルラの雫を入れるために持ち運ぶ器「クリスタルケージ」が周囲の瘴気を払ってくれる。
その範囲外に出てしまうと瘴気によるダメージを受けてしまうので,キャラバンの誰かが常にクリスタルケージを持ち運び,安全な範囲を確保しながら移動。バトルのときなどは地面に置くなどして,全員が範囲の外に出ないようにして戦い,終わったら再び持ち運ぶ。この仕組みがほかのゲームにはない斬新な緊張感をもたらしている。
そしてダンジョンのラストには強力なボスが登場。これを倒すことでミルラの雫を手に入れられるわけだが,その量はわずかで,1度の採取でクリスタルケージは満たされない。ケージをすべて満たすまでキャラバンの旅は続き,無事に雫を村に持ち帰ると盛大なお祭りが開かれる。そうして次の年を迎え,キャラバンは再び旅へとおもむくこととなるのだ。
「リバーベル街道」のボス「ジャイアントクラブ」。大きさの割に動きが速く,動きが遅くなる「スロウバブル」やサンダー系の魔法を使ってくる |
「キノコの森」のボス「モルボル」。動かないが,根っこによる攻撃が強烈。もちろん「くさい息」も使ってくる |
本作はマルチプレイを意識した内容となっており,ゲームシステムやダンジョンのレベルデザインにもそれが見られる。
例えば複数のプレイヤーが魔法を同時に使用して強力な魔法を発動する「マジックパイル」や,コマンドの「たたかう」から派生する溜め攻撃「必殺技」に属性魔法をかけ合わせる「魔法剣」などが一例だ。これらをシングルプレイで使う手段は用意されているが,マルチプレイなら選択肢が大きく増え,それにより戦略性も必然的に上がる。ダンジョン内には複数のプレイヤーが関与することで発動する仕掛けなどもあり,マルチプレイが本作を最大限に楽しむプレイスタイルだということは間違いない。
また,リマスター版はオンラインのクロスプレイにも対応していて,4つのプラットフォームをまたいだマルチプレイもできる。気の合う仲間とソフトを一緒に購入して遊んだり,野良プレイで遊んでくれそうな相手を探したりするのがいいかもしれない。
なお全プラットフォーム共通の仕様として,オフラインのローカルプレイには対応していないとのこと。元々はローカルプレイ前提のタイトルだっただけに,ここは少し残念なところだが,例えばSwitch版やスマホ版なら,友達同士などでハードを持ち寄った先にあるWi-Fiなどのネットワーク回線を介してマッチングすることで,“対面によるオンラインプレイ”も可能かと思われる。このあたりは製品版で試してみたいところだ。
現代のプラットフォームに合わせたグラフィックスの進化やオンライン要素の追加など,リマスター版として正統な進化を遂げた本作だが,さらなる新要素として高難度のダンジョンとボスが追加されている。
条件を満たすと,これまでの旅で訪れたダンジョンで高難度設定がアンロックされる。もとのダンジョンとは雰囲気がガラッと変わって,登場する敵の数や強さなども4人プレイを前提とした,かなり歯ごたえのある内容だ。新武器のレシピが手に入るなど,嬉しい報酬もあるので,手練れの仲間を集めて挑戦してみてほしい。
ダンジョンの入口に新たなダンジョンが。リバーベル街道は,背景が紅葉になる |
序盤から強敵が登場する。装備が整った状態でのマルチプレイ推奨な難度なので心して挑もう |
オリジナルのFFCCで4人のマルチプレイをするには,ゲームキューブ本体とソフト,そして専用のケーブル4本とゲームボーイアドバンス4台を用意しなければならないという,かなりハードルの高い環境が必要だった。ある意味,ハードウェアの技術的な可能性をアピールしたタイトルでもあったわけだが,当時4人で楽しめたという人は,どうしても限られるだろう。
あれから17年が経過し,ゲームを取り巻く環境が大きく変わったことで,本作の本来の面白さをカジュアルに体験できるようになったのは実に嬉しいところだ。
その一方で,シングルプレイでもちゃんと進められるように作られているのもポイントだ。キャラバンのキャラクターは最大8人まで作れるので,シングルプレイ専用のキャラクターを作って進めてみるのも面白いかもしれない。
17年越しに蘇る,FFシリーズ本編とはまた違う魅力を持つ本作を,ぜひこの機会に味わってみよう。
「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター」公式サイト
- 関連タイトル:
ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リマスター
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