インタビュー
「LoveR」は「フォトカノ」「レコラヴ」にない要素も満載。VTuber「マジカルユミナ」も含めた新しい試みの数々を開発陣に聞いた
4Gamerは,プロデューサーである杉山イチロウ氏と,アートディレクターの九印-quin-氏(以下,九印氏)に,本作のグラフィックスや,VTuber「マジカルユミナ」を使った企画(関連記事)について聞いてきたので,その模様をお届けしよう。
「LoveR」では“光と影”を大事にしたい
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。九印さんが具体的に担当している作業は,どういったものになるのでしょうか。先日の記事で公開となった優美菜と凜世の3Dキャラクターモデルと3Dイラストレーションは,九印さんが手がけているとのことでしたが。
個々の作業で比べると,一番時間をかけているのはそれかもしれませんが,キャラクターのモーションや背景の方向性,ゲーム全体のアートディレクションなど,3Dに関わる部分は,ほぼすべて見ている感じです。
杉山氏:
なので,作業全体に占める割合はそれほどでないかもしれませんが,一番分かりやすいところになると,やはりキャラクターモデルの作成やモーションになるんでしょうね。細かい部分まで気を使ってもらっていますし,プログラマーとのやり取りも多いです。
九印氏:
そうですね,めちゃくちゃ話してますね(笑)。
携帯ゲーム機向けにリリースした「フォトカノ」や「レコラヴ」のキャラクターは,ポリゴンにテクスチャを貼っただけのものだったんです。例えば,顔のテクスチャには影が入っていて,光が当たっていようがいまいが,影が表示される。
ですがPS4向けの「LoveR」ではシェーダやフィルターを使い,よりリアルな陰影を表現するので,見え方の調整はプログラマーとのやり取りになるんですよ。
なので,話がしやすいように,九印さんはプログラマーの向かいの席に座っています。
4Gamer:
前作まではキャラクターの見た目を調整するときに,九印さんがモデリングやテクスチャをいじるだけでよかったのに,そうではなくなったと。
九印氏:
これまでのようにがっつりとテクスチャを描いてしまうと,シェーダを使ったときに最終的な見た目が変わってしまうので,テクスチャは控えめにするといった調整が必要でした。
杉山氏:
場所や時間によってライティングも変わるので,2Dイラストを描いた箕星太朗さんから「髪の色が違います」という指摘を受けたりとか。
4Gamer:
箕星さんからすると,自分が描いたイラストに近づけてほしいわけですよね。
杉山氏:
はい。そうなると,夕方だからといってあまり赤い光を当てるのも……となります。
そういった調整は,実を言うといまもまだやっています。
これまでと同じやり方なら楽だったとは思うんですが,写真が撮れるゲームですので,光と影を大事にしたいと思いました。
4Gamer:
調整が必要になったとき,モデル側をいじるのか,それともシェーダ側か,といった問題は発生しませんか。
九印氏:
今は落ち着きましたが,開発当初はそういった問題でプログラマーと話し合うことが多かったですね。仕様が固まるまでがけっこう大変でしたし,いまでも「どうしようかな」という部分はあったりします。
杉山氏:
最終的な色合いはもちろん九印さんが決定しますが,前段階でプログラマーがいじることもあるんです。そうこうするうち,プログラマーにグラフィックスの知識がついて,「何でそんなことまで知ってるの」みたいなことに(笑)。
九印氏:
あれはびっくりしましたね。
4Gamer:
ハードウェアが変わると,開発の進め方も変わるんですね。
九印氏:
できることが増える分,手間もかかります。
また,携帯ゲーム機では見えていなかった細かい部分がはっきりしてしまうことで,逆に汚く見えるようなケースもあります。そこは特に注意しました。
杉山氏:
PS Vitaの画面サイズは5インチで,解像度もHDに満たなかったのですが,PS4になると60インチの4Kディスプレイでプレイする人もいるかもしれません。なので,細部まで作りこまなければいけないですよね。
4Gamer:
具体的にはどういった部分が変わりますか。
九印氏:
画面が大きくなることで,いままでと同じポリゴン数のモデルではカクカクして見えてきます。さらにシェーダを使うことで,ポリゴンの粗が目立つようになるので,そのあたりの改善が必要でした。
また,マップ系のテクスチャと言えばいいのかな,ポリゴンモデルに貼るもの以外のテクスチャも,今回はたくさん使っています。
杉山氏:
もちろんPS4では使えるポリゴン数が飛躍的に増えますが,それをどう割り振るかという問題もありますよね。
最近,非常に出来のいいモデルのVTuberが増えていますよね。あれはゲームではないとはいえ,3Dモデルとしては気になります。ものすごくポリゴンを使っているんじゃないかな。
九印氏:
VTuberは確かに意識します。ただ,うちはそこまで割けないから,そこ以外の部分でどうにかしないといけないなと。
杉山氏:
VTuberの場合,画面内にそのキャラだけ出て,最終的には映像にすればいいわけですが,こちらは3Dで作った背景と合わせて表示させたうえで,リアルタイムで動かさないといけないので,条件的にはなかなか厳しいんですよ。
とはいえ,比べると見劣りするので,気になっちゃうんですよね。なんか悔しい。どんな理由があるにせよ,見る側にとっては関係ないことですから。
4Gamer:
キャラクターの3Dモデルは箕星さんがチェックしているとのことですが,作業はスムーズに進んだのでしょうか。
九印氏:
“どこから見ても箕星さんのイラストに似ている3Dキャラクター”にするのが一番大変でしたね。一方向から描いたイラストと違って,3Dモデルは全方向から見られるものですから。
杉山氏:
こっちを向いたときだけモデルを歪める,といったように,“嘘をつく”ことができないんです。ましてLoveRはさまざまなアングルから写真が撮れるゲームですから,さらに難度が上がります。
4Gamer:
なるほど。確かにほかのゲームなら,例えばあおりや俯瞰のアングルは,なくても成立しそうです。
杉山氏:
箕星さんの絵は目や鼻に特徴があるんですよね。髪も,リアルな方向ではあるんだけれども,イラストレーターらしい描きかたでもあって,3Dモデルにするのは大変なんです。
九印氏:
そうなんですよ! 髪が難しいんです(笑)。
4Gamer:
イラストを描いた人によって,3Dにしやすかったり,しづらかったりといった違いはあるんですか。
九印氏:
ありますし,かなり大きいです。僕の場合,箕星さんのイラストは少し難しいタイプのテイストというか,タッチでしたね。3Dだと色の付け方が表現しにくくて,けっこう苦労しました。
杉山氏:
「スクールスタードリーム〜カミオシ!〜」のキャラクターデザインを描いていただいた,ぺこさんと比べてどうですか?
九印氏:
ぺこさんのほうがデフォルメが効いていて,よりイラストチック,2Dチックに個人的には思えるので,モデルにしやすかったと思います。
4Gamer:
イラストっぽいほうが,3Dモデルにしやすいというのは意外でした。素人考えだと,リアルなほうが3Dモデルに近いんじゃないかと思ってしまうのですが。
九印氏:
決まったアングルだけから見るものなら,リアル系のイラストからでもすんなり作れますが,360度になると,イラストチックなほうがイメージしやすいですね。
4Gamer:
九印さんは,一部の衣装デザインも手がけていますよね。
九印氏:
店舗特典の衣装や,ゲーム中の私服,水着,レオタードなど,たくさんデザインしてます。男性だけでなく女性にも可愛いと思ってもらえるものを意識しました。
4Gamer:
男性プレイヤーが圧倒的に多くなると思うのですが,女性を意識してデザインしたのはなぜでしょうか。
九印氏:
女性が可愛いと感じるものには,男性もそう感じる部分があると思っているんです。
また,特典衣装やDLCは過激と言うか,より男性が好む方向性のものになると思っていたので,私服や部屋着などは,“男性がデザインした感じ”がするものではなく,等身大の女の子がふつうに着ているようなものを意識したんです。
杉山氏:
女性が見ても変じゃないデザインって大事で,それでリアリティが増すんです。ファンタジーなんだけど野暮ったくない感じ。九印さんの衣装デザインは洗練されていて,露出を抑えつつも可愛くなっています。
特典衣装も店舗ごとに違うものをデザインしてくれて,大変ありがたいです。
4Gamer:
九印さんは幅広い仕事を担当されているようですが,共通して意識されていることはありますか。
九印氏:
「LoveR」は空想の世界ですが,実際にあるような雰囲気を感じられたらいいなと思っています。もちろんファンタジーなデザインもたくさんありますが,“本当にありそうだな”と感じて,ゲームの世界に入り込む人たちが増えると嬉しいです。
4Gamer:
例えば学校という舞台ひとつにしても,人によって“本当にありそう”と感じるものは違ってくると思うのですが,デザインコンセプトのようなものがあれば聞かせてください。
九印氏:
モチーフとして選んだのは,“新設の私立高校”みたいなところではなく“少しレトロな雰囲気が残っている現代の学校”なんです。キャラクターのデザインから,舞台は割とクラシックな雰囲気のほうが合うのかなと思い,その方向でデザインを進めました。杉山さんが作るゲームのファンは割と年齢が高いのかなと思っていまして,そこに引っかかるのもいいなと。
杉山氏:
懐かしいイメージを持たせながらも,施設には最新のものがあったりするんです。家庭科室にIH調理器があるとか。プールもモダンな感じがいいなあと思って,いろいろ相談しました。
4Gamer:
周囲が壁でも金網でもなく,アクリルみたいな透明の板で囲まれてますね。
九印氏:
話をいただいたときは驚きました。
杉山氏:
ここは,ゲーム内で写真を撮ったときの見栄え重視にしたんです。壁だと撮っていてもつまらないでしょうし。
九印氏:
プールに限らず,背景はかなり細かいところまで作り込んでいます。担当のデザイナーさんがすごく背景にこだわりがある方で,設定から感じられる空気感を再現してくれるので,キャラがその空間にいる感じが出るんですよ。LoveRの世界観を作っていると言ってもいいと思います。
4Gamer:
小中高一貫の学校という設定も,多くの人にとってはファンタジーに近いけれど,存在しないわけではないという,絶妙なところを突いていますよね。
杉山氏:
実際にあったら広大な敷地が必要なんでしょうけど,まあそこは夢の舞台なので。いろいろな学年でいろいろなことを起こせるので,面白いです。
九印氏:
小学生の凜世と高校生キャラの絡みがあるのがいいなぁと思います。
杉山氏:
主人公が凜世と話しているところを見ても,ほかの女の子たちは嫉妬しないんですよ。小学生だからノーマークなんです。
でも,一番危険な相手かもしれないんですよね。
ゲーム開発のノウハウがあっても,VTuberの収録は想定外の連続
杉山氏:
九印さんにはモーションも見てもらっていると話しましたが,本作ではモーションキャプチャを導入しています。
4Gamer:
アイドル育成などではなく,純粋な恋愛シミュレーションでは,まだまだ2Dグラフィックスのタイトルが多いですし,モーションキャプチャまでやっているのは珍しいかもしれませんね。
九印氏:
莉里愛が新体操,凜世が体操をするところのモーションは,本当の選手にお願いしました。単にリアル,人間らしいというだけでなく,アクターさんの演技とはまた違った雰囲気になっていると思います。小学5年生の凜世は10代の,近い年齢の子にやってもらっているんですよ。
新体操の選手は20歳くらいのとても上手な方だったのですが,それだけに「ちょっとふらついてほしい」という要望が逆に難しかったみたいです。
杉山氏:
ムービーをお見せしましょうか。
4Gamer:
これは実際に平均台の上で演技してもらったんですよね。
九印氏:
はい。何度も体操クラブに行ってキャプチャしました。スタジオの床に描いた線の上でやってもらっても,この生々しい感じは出ないんです。
手付けではできない動きが表現できたので,非常によかったなと思います。とはいえ手付けじゃないとできないこともあるので,その両立かなと。
4Gamer:
手付けのモーションは,どんなところで使っているのでしょうか。
杉山氏:
セリフを読んで,次のセリフを送り出すまでの時間というのはプレイヤー次第ですから,その間のキャラクターの動きは,立ちポーズの組み合わせであったり,待機パターンで表現しています。
4Gamer:
なるほど,確かに時間の尺が決まっていないところは,モーションキャプチャだとやりづらいかもしれませんね。
そうやってゲーム開発でモーションキャプチャを扱っていると,VTuberの「マジカルユミナ」もさらっと作っているんじゃないかと思ったりするんですが,実際のところはどうでしょうか。
九印氏:
モーションキャプチャで撮った動きをそのままポンと使えるわけではないので,いろいろな調整の手間はかかりますね。
演者である花守ゆみりさんと,マジカルユミナのモデルでは腕や足の長さに違いがあるので,そこを合わせる必要がありますし,スカートや髪の動きなどはモーションキャプチャでは用意できませんので,別途追加しています。
杉山氏:
体育座りをしただけで,けっこうな修正が必要になったんですよ。花守さんは当然ですが綺麗に座っているわけですけど,そのモーションをマジカルユミナのモデルに入れると,モデルのほうが少し足が長いので,たたみ方を工夫しないと自然に見えないんです。もちろん花守さんのスタイルが悪いということではありません。むしろいい方だと思うのですが,マジカルユミナはキャラクターなので,すごく足が長いんです。
4Gamer:
なるほど。花守さんの体に合わせたモデルを作れば,そういった問題は少なくなるのかもしれませんけれど,あくまで「マジカルユミナ」としてベストなモデルにしているわけですね。
九印氏:
撮影しながら「ここは直さなきゃダメだな」と思ったりしますね。
杉山氏:
肩を派手に動かしているときなどは,修正が大変だろうなと感じます。3Dモデルは肩を綺麗に見せるのが本当に難しいんですよ。人は簡単に動かしちゃいますが。
4Gamer:
花守さんにはそのあたりを伝えず,自由にやってもらっているんですか。
九印氏:
そうですね。基本的にはあまり言わないでやってもらっています。
杉山氏:
九印さんが動きやキャラモデルの細かい調整を続けているんですが,見ているみなさんが本当によく気づくんですよ。3回めの配信で,「前髪が揺れるようになった」という声があったんです。僕はまったく気づかなかったので,九印さんに確認すると,「前から揺れてましたが,少し動きを大きくしました」って。
九印氏:
前髪が大きく揺れるとキャラのイメージが壊れる場合もあるので,あまり強くはしていなかったんですが,少しだけいじりました。
杉山氏:
髪の表現はいまだに進化し続けていますからね。
九印氏:
そうですね。スキンをいじったり,モーションをいじったり,モデルをいじったりと全部やっています(笑)。
マジカルユミナはもちろん箕星さんが描いた優美菜がベースですけど,そこから自分がデザインをいろいろ考えて作ったので,思い入れはありますね。
杉山氏:
最初は15歳の優美菜が魔法少女になる,という設定でしたけど,何か“はじけて”ないなと思って。女子高生YouTuberって普通に世の中にいますから。
そこで子供にするという案を思いついたんですが,モデル修正などの作業工数が増えるので,九印さんに恐る恐る相談したんです。そうしたら引き受けてくれましたし,その話の中で9歳くらいにしようというアイデアも出ました。
九印氏:
15歳の案を8から9パターンくらい出したけど通らなくて,その後9歳になったんです。
杉山氏:
イメージをうまく伝えられなくて,数多く描いてもらいました。プロモーションの要なので,妥協しちゃダメだと……。でも,子供という設定が決まってからのデザインには,それほど時間がかからなかったです。
4Gamer:
デザインだけでなく,収録と編集もなかなか大変そうですが……。
杉山氏:
はい。週刊連載を抱えているようなものですからね。開発スケジュールを圧迫しかねないので,なんとか作業の合間合間にやっています。
みなさんが楽しみにしてくれているので,頑張るしかないのですが,回を重ねるたびに,何故か尺が長くなっているんですよね。
九印氏:
キャプチャした次の日にモーションが出ていないと,ほかの作業が詰まってしまうので。すぐに素材を揃えて,とりあえずざっと手を入れたものを完成させます。
杉山氏:
そこからスクリプターで表情や指の動きなどを入力していきます。花守さんの動きを再現するようにしているので,花守さんがウィンクしたら,ユミナもウィンクさせるといった感じです。
指はもともと1本指,Vサイン,グー,パーくらいのパターンしかなかったのですが,あるとき花守さんが3か4を出したので,九印さんが「全部の指を用意しますよ」ということになりました。
4Gamer:
撮り直すのではなくて,あくまで「再現」するんですね。
杉山氏:
おたよりが採用された人にプレゼントするバッジを紹介した回のときもねぇ……。収録前に花守さんが「どんなものか見せて」というので渡したバッジを,収録中にいきなりカメラに向かって「ほらー!」って突き出したんです。バッジは実物を撮影したカットを差し込もうと思っていたのに(笑)。
4Gamer:
おぉ……。その瞬間に,バッジとバッジを持つ手のモデルを新たに作ることになったわけですね。
九印氏:
はい。まずバッジと子供の手のサイズ比が分からなかったので,スタッフのお子さんに持ってもらって。「子供が持つとこんなに大きく見えるんだ」などと確認しながら作ってましたね。
杉山氏:
え? そこまでやってたんですか? 収録が終わった直後に,九印さんがフォトショップでバッジに描かれているイラストの加工を始めたので,バッジのモデルを作ってるんだろうなあとは思ってましたが。
でもその甲斐あって,本物みたいなバッジを,マジカルユミナがかっこよくバーンと出してくれました。
4Gamer:
結果的には,実物の写真が入るよりもライブ感が出て良かったんじゃないでしょうか。開発スタッフのみなさんは大変だったと思いますが。
杉山氏:
彼女の指を出すためには,管理番号を用意して,それを入れたプログラムを組む必要があるんです。なので,指の形が増えたことをプログラマーに伝えるわけですけど,そのときはまず「えっ? 何で?」という顔をしますね。
4Gamer:
これまでのお話を聞いていると,マジカルユミナは現時点でもかなりバージョンアップしているようですね。
九印氏:
実を言うと,マジカルユミナがゲームに入ることになった関係で,ポリゴン数も変わっているんです。
杉山氏:
マジカルユミナはあくまでのプロモーション用のキャラとして作られたもので,当初の予定ではゲームには出てくるけれど,限定的な登場の仕方だったんですよ。
でも人気が出たことで,ゲーム内のフォトセッションで撮影できるようにしました。VTuber用のモデルはゲームのものに比べてポリゴン数が多いので,落とし込みやすいように調整してもらったり,逆にほかのキャラクターのポリゴン数を増やしたりと,いろいろな作業が発生することになったのですが,スタッフには無理を言って対応してもらいました。
4Gamer:
ゲーム内でマジカルユミナを撮るときは,どんなシチュエーションになるのでしょうか。
杉山氏:
「フリーフォトセッション」モードで撮影できます。ここではストーリーモードで恋人になったキャラクターが撮影対象になるのですが,マジカルユミナは最初からいます。
ゲームを立ち上げると「マジカルユミナ」のコーナーがあって,“試しに撮ってみれば”的な場所ですね。
九印氏:
マジカルユミナを撮影できるようにする,と言われたときは,「そうですよねー」と思いましたね(笑)。
4Gamer:
予想通りでしたか(笑)。
九印氏:
ほかのスタッフとも話していたんですよ。「絶対ゲームにも出ることになるから,管理方法を考えておこうよ」って。
杉山氏:
すみません(苦笑)。察して準備していてくれたなんて,ありがたいです。
おかげで思った以上の人気になってくれて,4GamerさんのTwitterアカウントにもお邪魔できましたし,これからもっとファンが増えてくれると嬉しいですね。
【マジカルユミナが4Gamer公式Twitterにやってきた】体操服にスクール水着,セクシーポーズと,「LoveR」のフォトセッションはお楽しみ要素満載 https://t.co/rZ65wYAC3B pic.twitter.com/IQnES5Zp2Y
— 4Gamer (@4GamerNews) 2018年10月26日
九印氏:
そういう意味だと,今後マジカルユミナで何か大きなものを作る構想があったりするのか,気になるところですね。
杉山氏:
発売後になにかイベントをやりたいですね。九印さんのほうで何かやりたいことはありますか。
九印氏:
(しばらく考えて)……ほかのキャラクターがゲストで来たら面白いかなぁ。
杉山氏:
そんな自分の首を絞めるようなことを!(笑)。2キャラは経験がないから怖いですね。難度的には何倍になるんだろう。
やるなら年齢的にあまり変わらない凜世かな。そうじゃないと身長差がありすぎて,演者さんの絡みがうまく表現できないかもしれないですね。ろみを9歳にして「マジカルロミーナ」とかでもいいですけど。
4Gamer:
いつかゲストが出てくるんじゃないかと期待している人は多いんじゃないでしょうか。
杉山氏:
準備だけで我々は何か月作業をするんだろう。収録でも演者さんがいっぱい絡んで,キャラの体が食い込みますよ。「絡んで抱き合ったりしちゃだめ!」とか指示しても,絶対やりそうだもんなぁ。周りのスタッフが青ざめそうだ(笑)。
でも見てみたいですね。1回やればいろいろなノウハウも溜まるだろうし。
九印氏:
面白そうですよね。
杉山氏:
まぁ色々と大変そうなので,「今はないです」と言っておきましょうか。
九印氏:
ひとまず安心しました。
杉山氏:
本編の制作が終わっても,いろいろとやることはありますけど,その最中に「そろそろ2キャラ目いく?」と言い出すかも(笑)。いや,宅配便で突然段ボールが届くほうがいいか。なんだろうって開けると,2着目のキャプチャースーツが入ってるとか。
九印氏:
ついに来たか! って感じで。
4Gamer:
これまでの話だけでも,かなり力が入っているのが分かります。開発チームがプロモーションにそこまでの時間を割くゲームはなかなか珍しいんじゃないでしょうか。
杉山氏:
そうでしょうね。ムービー編集などの協力はこれまでもしてきましたが,ここまで何かをガッツリと作ることはなかったです。
マジカルユミナの企画をチームに持ちかけたのは,2017年の12月なんですよ。VTuberが盛り上がってきたので,「うちでもやれる」と思って話してみたら,みんな「面白そうですね」と快く乗ってくれました。
4Gamer:
そのときは,現在の量の作業が発生するとは思っていなかった。
杉山氏:
はい,こんなに大変とは思っていませんでした。毎日にように更新するVTuberの方もいらっしゃいますけど,本当に凄いと思っています。
我々は8年くらい3Dグラフィックスでアドベンチャーを作ってきたノウハウがあるといっても,VTuberは始めたばかりなので,まだまだ手探りだし,手弁当な感じです。ただその手作り感,多少粗があるくらいが愛されるんじゃないかなとも感じています。もちろん毎週やっているので,だんだんうまくなっているとは思いますが。
九印氏:
そうですね。少しずつクオリティは上がっているのかなと。
杉山氏:
花守さんも回を重ねるごとにキャラクターが定まってきてますね。初回と今ではノリがだいぶ変わって,なんかVTuberっぽくなってきていますね。
九印氏:
「アイ・ラヴ・ピース!」という決めのポーズで片足になるときも,最初の頃はぐらついていたのが,最近は安定してますよ。
杉山氏:
体幹が鍛えられたのかな(笑)。花守さんのバイタリティは本当にありがたいし,非常に助かっています。彼女の若さ,マジカルユミナ9歳の若さに助けられていますね。
4Gamer:
ゲームの開発と並行しての作業は大変だと思うのですが,マジカルユミナはこれからも同じペースで続けていくのでしょうか。
杉山氏:
現在でも睡眠と休日を削ってやっているような状況なので,本当に開発の大詰めになったら,さすがに更新が厳しくなるかもしれません。そのときは僕が1人で,総集編でも作りますか(笑)。
4Gamer:
変な話ですが,本業のゲーム開発ではない作業に,睡眠と休日を削ってまで打ち込めるのはなぜですか。
九印氏:
ゲームを作り始めてから実際にリリースするまで,数年かかるのが当たり前になっている中で,週に1回みなさんの反応をいただけるマジカルユミナは,励みになっているんです。
また,マジカルユミナの作業中に「ここはもう少しこうしたほうがいいな」と気づいて,それをゲームにフィードバックできたこともあるので,役に立ってもいるんですよ。
なので,「大変だなぁ」といいう気持ちがありつつ,「ないと寂しい」とも思い始めています。可能な限り,途切れないようにしたいですね。
杉山氏:
九印さんの言うとおり,反響がすぐ返ってきて,本当に励みになります。花守さんまで含めたチームのみんなで,毎週毎週完成させるものはこれまでなかったので,非常に面白くて新鮮だし。
全力疾走でマラソンしているようなものなので,自分にもチームにも疲れは感じていますが,ここから学べることはたくさんありそうなので,続けていきたいです。発売後も続けたいので,売れてほしいですね(笑)。
4Gamer:
LoveRとマジカルユミナ,どちらも成功してほしいですね。では時間も少なくなってきたようなので,最後に4Gamer読者へのメッセージをお願いします。
九印氏:
過去作品の雰囲気を継承しつつ,新しいこともいろいろとやっています。今回もヒロインの年齢層が高校生から小学生までありますので,お気に入りのキャラを見つけてもらって,たくさん写真を撮っていただけると嬉しいです。
VTuberのマジカルユミナに興味を持っていただいた方は,ぜひゲームのほうも手に取ってみてください。よろしくお願いします。
杉山氏:
「フォトカノ」「レコラヴ」などの3D恋愛シミュレーションで培ったノウハウを生かしながら,マジカルユミナを含めた新しいことに挑戦しています。大変なことも数多くあるのですが,過去最高のチームワークで乗り切っていますので,ぜひ期待してください。
4Gamer:
ありがとうございました。
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