新システムの導入で遊びの幅がさらに広がった「チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ！」インプレッション

　スクウェア・エニックスが2019年3月20日に発売する「チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ！」（PS4/Switch）は，2007年に発売された「チョコボの不思議なダンジョン 時忘れの迷宮」をベースに，新システムを加えたタイトルだ。
　本稿では，その新システムの概要を中心に，本作の序盤をプレイしたインプレッションをお届けしよう。

今回はNintendo Switch版でプレイしている。携帯モードで気軽に遊べるのが嬉しい

「時忘れの街」に暮らす人々の記憶を取り戻すべくチョコボが奔走

　本作の舞台となるのは，「忘れることによって幸せになれる」と信じられている「時忘れの街」。この街の住人は，時計塔の鐘が鳴り響くたびに記憶を失っていき，ときには自分自身の名前さえも忘れてしまう。そんな街に，トレジャーハンターのシドと相棒のチョコボは迷い込むのだ。

シドとチョコボは，時忘れの街の「忘却こそ美徳」という考え方に疑問を持つ少女・シロマと行動を共にする

　シドとチョコボが迷い込んだのとほぼ同じ頃，街には謎の赤ん坊・ラファエロが現れた。それ以降，街には住人の記憶によって作り出されたダンジョンが続々と出現。そのダンジョンをチョコボが探索することにより，住人達はそれぞれの記憶を取り戻していく。それと並行して，この街に封じられていた記憶も明らかになっていく……というのが，本作のストーリーである。

住人の頭上に現れる「記憶の渦」に入っていくラファエロを，「記憶のブローチ」を手に入れたチョコボが追うことに

チョコボが記憶の渦の中にある「記憶のダンジョン」をクリアし，住人が記憶を取り戻すと，預かり所や薬屋など街の施設が機能するようになる

　実際のプレイは，これまでの「チョコボの不思議なダンジョン」シリーズ同様，ダンジョンの探索が中心だ。ダンジョンでは，「入るたびに構造や敵・アイテムの位置が変動する」「行動はターン制になっており，チョコボが移動や攻撃など何かしらの行動を取ると，敵も行動する」「行動を取ると，チョコボのHPとSPが回復する代わりに満腹度が下がる。満腹度が0％になると行動するたびにHPが減る」といった，ローグライクゲームに倣ったルールが課せられている。

基本的なルールや操作方法，Tipsはゲーム内で学べるようになっている

　一方，一般的なローグライクゲームと少々異なるのは，チョコボが敵を倒すことで経験値が溜まってレベルが上がっていき，その経験値とレベルを以降のダンジョン探索に持ち越すことができる点だ。また，セーブデータ作成時に「ハードモード」を選択すると，探索中にチョコボのHPが0になった場合はその時点で所持しているギル（通貨）とアイテムをすべて没収されるが，「ノーマルモード」なら装備中のアイテムは残る。

ゲームの難度は，最初のセーブデータ作成時のみ選択できる

　つまり，レベル上げや装備アイテムの変更・強化によってチョコボの強化ができるため，本作はローグライクゲームとしては遊びやすい内容となっているのだ。
　ただゲームを進めていくと，アイテム持ち込み不可，レベル上限ありなど，さまざまな制限が課せられた難度の高いダンジョンも登場するので，緊張感のあるプレイも楽しめる。

チョコボがずっとブライン状態になり，命中率が下がるだけでなくフロアマップを参照できないダンジョンや，ボムの自爆に巻き込まれてHPを削られるダンジョンなども登場する

　さらに「時忘れの迷宮」にて採用された，「ジョブチェンジ」も健在だ。これは「ファイナルファンタジー」シリーズではおなじみの転職システムで，本作では全14種類のジョブを使い分けながらゲームを進められる。
　例えば「ナイト」であれば，HPと防御のステータスが全ジョブ中トップでという防御特化型で，正面1マス前のモンスターにダメージを与えつつ，1マス分ノックバックさせるアビリティ「パワースラッシュ」を使えるといった次第だ。

ジョブチェンジは，ダンジョン入り口やボスバトル前にある「チェンジクリスタル」にアクセスして行う

ナイトの初期アビリティ「パワースラッシュ」

　なお各ジョブは，特定のダンジョン内で「ジョブの記憶」を拾得することによりアンロックされていく。今回プレイした範囲では，初期状態の「すっぴん」と上記の「ナイト」に加え，「白魔道士」と「黒魔道士」を体験できた。
　白魔道士はジョブレベルが上がると回復魔法に加え，物理と魔法それぞれの防御魔法が使えるようになるため，相当打たれ強くなる印象だ。
　また「黒魔道士」は，正面3マス内にいる敵1体を属性魔法で攻撃できる。弱点属性を把握していれば容易に敵を葬り去ることも可能なため重宝した。

アビリティを使うためのSPは，HPと同じくチョコボが行動することで回復していく。回復速度が比較的速いので，アビリティをバンバン使ったほうが有利だ

「ジョブチェンジシステム」と組み合わせて，さまざまな戦術を繰り出せる「バディシステム」

　本作で新たに登場した「バディシステム」は，ダンジョンのモンスターやストーリーに登場する一部のキャラクターを，「バディ」としてダンジョン探索に連れて行けるというもの。
　モンスターは，倒したときに一定確率で種族ごとの「バディポイント」をドロップする。それを一定値まで貯めると，その種族のモンスターをバディにできる。
　キャラクターの場合は，ストーリーの進行に沿ってバディとして選択となる。

バディにできるモンスターやキャラクターは，「バディ図鑑」で確認可能。なおバディの変更は，ダンジョン内のチェンジクリスタルで行う

ストーリーの進行に沿って，シドもバディとして選択可能になる

　バディはモンスターと同じく，チョコボが行動を取ると自動的に行動する。加えて，バディはそれぞれ異なるアビリティを持っており，プレイヤーの任意で発動可能だ。
　そのため本作では，チョコボは遠隔攻撃タイプのジョブ，バディは防御アビリティを持つ近接タイプといったように，異なる特性のジョブとアビリティを組み合わせることにより，戦術に大きな幅が生ずる。実際，筆者はとある制限付きのダンジョンに苦戦したのだが，チョコボのジョブとバディの組み合わせをいろいろ試したところ，「あの苦労は何だったのか」というくらいアッサリとクリアできた。

チョコボを回り込ませて，バディを盾にしながら移動することもできる

ローグライクゲームの多くは，いかにして敵と1vs.1の状況に持ち込むかがポイントとなるが，本作ではチョコボとバディの双方が敵1体を集中攻撃できる位置取りも重要だ

　なおダンジョン内のバディのレベルは，その時点のチョコボと同じで，攻撃力や防御力にはチョコボの装備の性能が反映される。したがってチョコボが強いほど，バディも強くなる。

新規購入特典のバディチョコボ「アルファ」。初期アビリティ「チョコボドロップ」は，周囲1マスの敵全体を攻撃する。なお，アルファは本作の新ジョブとしても存在するが，今回のプレイではアンロックできなかった

ニンテンドーeショップ予約特典のバディチョコボ「機工士」。初期アビリティ「アルティメットファイア」は，正面6マスまでの敵全体を貫通攻撃する。敵が1列に並んでいる状況では大変有効

PlayStation Store予約特典のバディチョコボ「魔獣使い」。初期アビリティ「てあてする」は，チョコボと自分のHPを中回復する。攻撃特化のジョブとの相性は当然いいが，白魔道士と組み合わせても悪くない

スクウェア・エニックス e-STORE購入特典（※数がなくなり次第終了）のバディチョコボ「赤魔道士」。初期アビリティ「マクシム」は，周囲3マスまでの敵全体を攻撃する。SPを大量消費するが，その効果は絶大だ

Amazon.co.jp購入特典（※数がなくなり次第終了）のバディチョコボ「竜騎士」。初期アビリティ「ホーリーランス」は，正面3方向2マスまでの敵全体を貫通攻撃する。複数の敵が迫ってきても対応可能

　そのほか本作には，歴代シリーズのキャラクターも登場。今回のプレイでは，初代「チョコボの不思議なダンジョン」のカミラを発見できた。そのほかにも歴代シリーズのキャラクターが登場するとのことなので，ファンは期待が高まるところだろう。


　もともと，親しみやすいローグライクゲームとして登場した「チョコボの不思議なダンジョン」シリーズ。繰り返しになるが，この最新作では，ジョブチェンジと新たに登場したバディシステムの組み合わせにより，遊びの幅がグッと広がった。20年以上におよぶ往年のシリーズファンも，ローグライクゲームファンも，ぜひ一度遊んでみてほしい。

「チョコボの不思議なダンジョン エブリバディ！」公式サイト