骨太な新作JRPG「最果てのバベル」先行プレイレポート。魅力的な世界設定と物語が想像力を刺激する

　コロプラが2019年内にサービス開始予定のスマホ向けアプリ「最果てのバベル」（iOS / Android）は，巨大な塔“バベル”がそびえる世界を舞台に，少年ライと仲間たちが冒険をくり広げるRPGだ。

　シナリオに野島一成氏（代表作「ファイナルファンタジーVII」「Dragon's Dogma Online」など），サウンドに崎元 仁氏（代表作「ファイナルファンタジーXII」「伝説のオウガバトル」など），コンセプトアートにINEI（コンセプトアートのスペシャリスト企業）と，名立たるクリエイターを起用し，その独創的な設定やストーリーで注目を集める本作。今回，開発版をプレイする機会を得られたので，インプレッションとともにゲームの概要をレポートしよう。

「最果てのバベル」公式サイト

外界と隔絶された階層都市“バベル”から
自由を手にした少年が今旅立つ

　本作は，“ストーリーを楽しむこと”にかなりのウェイトが置かれたタイトルだ。ジョブによるキャラクター強化や陣形システム（詳しくは後述）によって戦略性の高いバトルを実現しているため，PvPなどのマルチプレイモードが盛り込まれても面白そうではあるが，今回遊べた範囲では，ソロプレイで物語を進めていく“王道RPG”という印象を受けた。


　本作の舞台はどのような歴史を抱えた世界なのか。人々が押し込められた階層都市バベルとは一体どんな建造物なのか。そして，主人公ライやマイリージャはなぜ隔離されているのか。導入部で詳細が語られることはなく，多くの謎をはらんだまま物語は始動する。プレイヤーはほとんど情報を持たずに作品世界に放り込まれるのだが，謎が多いからこそ想像はとめどなく広がり，これから先，壮大なストーリーが展開されるのだろうと期待を抱かされる。

ファンタジーでありSFであり，ディストピアやスチームパンクの要素も含んだ「最果てのバベル」の世界。冒険の目的は明示されないが，“外”へと足を踏み出したライとともにこの世界の全貌に迫ることが，物語を動かす大きな動機になるようだ

◆ライ（CV：阿部 敦） バベルの密室に閉じ込められたまま育った少年。そのため，外の世界への憧れが強い。好奇心旺盛で明るく，素直な性格	◆マイリージャ（CV：石川由依） バベルの“鳥籠”に囚われた少女。自身が負うべき役割について，強い責任感を抱いている。強気な性格で，他人を寄せ付けない
◆ポッケ（CV：諸星すみれ） ライの友人であり，妹のような存在。ライ，イタクとともにいることを優先し，よく一緒に行動する。明るく前向きで，場を和ませるような発言が多い	◆イタク（CV：斉藤壮馬） ライの幼なじみ。議会のあり方に疑問を感じ，バベルの将来を考えるようになる。観察眼に優れ，真面目で正義感が強い
◆トノト（CV：遠藤大智） “現状維持”をモットーとする下級バトラー。10年前の記憶を失っていることを，精霊に食われたせいと信じている。ライの保護者として行動をともにする。冷静で口数は少ない	◆オヌマン議長 人々の尊敬を集める，バベルの老指導者
◆リイコ（CV：西田望見） 機械いじりも人も大好きな技術担当市民	◆カヤ（CV：甲斐田裕子） 湖に住む，ミステリアスな女盗賊
◆シュノン（CV：小西克幸） 歴史から取り残された男	◆アダパ（CV：田村睦心） トールンの熱き戦士
◆サルト（CV：上田麗奈） 心優しきベアールの女戦士	◆パエート（CV：平川大輔） 神出鬼没なブライの青年

■クエストを解決するごとに広がる冒険の世界

　主人公ライが仲間とともに世界を巡る物語の本編は，“メインストーリー”のクエストを達成することで進行する。メインストーリーは一本道で，塔内や森などのフィールドには凶暴な敵が出現。一行は探索とバトルを経て成長し，個々/全体の戦闘力が増すにつれて行動範囲が広がっていくという，オーソドックスなスタイルのRPGだ。

まずはお目付役のトノト，ついで友人のポッケ＆イタクが仲間に加わり，4人での冒険がスタートする。画面をスワイプしてキャラクターを操作し，フィールドを探索しながらメインストーリーに関わる情報を集めるのだ

マップ間の移動には“飛翔”という能力が役立つ。一度訪れていてチェックポイントになっているマップであれば，“飛翔先リスト”から場所を選ぶだけで瞬間移動できる

フィールド内には，タップするとアイテムを取り出せる宝箱や装置，キャラクターのHPやSPを全回復できる“回復装置”などがある。フィールド画面右上のミニマップにはキャラクターの周囲の地形が表示され，ミニマップをタップすると全体マップに切り替わる

クエストには，本編に関わらない単発のサブストーリーも存在する。お使いを解決すると報酬でもらえる“モル”（ゲーム内貨幣）やアイテムなども，キャラクターの強化の助けになるのだ。ちなみに，メインストーリーの進行度（チャプター）や，受注したサブストーリーの内容は，メインメニューのクエストで確認できる

無駄のないチームプレイで勝利をつかめ！
時間無制限のコマンドバトル

　バトルは，フィールド移動中にランダムエンカウントで発生し，ターン制のコマンド選択形式で攻防がくり広げられる。時間制限は設けられていないため，ゲーム，RPG初心者でもじっくりと戦略を練りながら戦えるだろう。

画面下に並ぶキャラクターのアイコンをタップすると，攻撃や防御，スキルなどのコマンドが表示される。このとき，敵をタップして個別にターゲットを定めることも可能。4人全員のコマンドを選び，“攻撃開始”でターンスタート。今回プレイした開発版ではオートバトルはなかったが，デフォルトのコマンドが“攻撃”なので，格下の相手にはいきなり“攻撃開始”をタップしてOKだ

アイコンが赤いコマンドは，相手の弱点となる属性を持つスキル攻撃（敵側にも“WEAK”の表示が付く）で，より大きなダメージが期待できる。なお，スキルの発動にはSPが必要で，消費したSPは回復装置の利用やレベルアップで回復する

メインストーリーの各章の最後には，ボスとのイベントバトルが発生することが多い。ボス戦の前には警告があるので，キャラクターのHP/SPを回復させ，万全の状態で臨むべし

■敵を“ブレイク”してラッシュをかけろ！

　敵にはHPゲージのほかに“ブレイクゲージ”が設定されている。ブレイクゲージは攻撃を当てるごとに溜まり，ゲージが満タンになるとその敵は“ブレイク”状態になる。ブレイクした敵は，こちらの攻撃によって受けるダメージが通常より増加するのだ。

　これが本作のバトルの特徴であるブレイクシステムで，とくにHPが多いボスクラスとの戦いでは，相手をいかに効率よくブレイクし，ブレイク中にどれだけラッシュをかけられるかが勝利のポイントになる。

敵のHPゲージの左にあるのがブレイクゲージ。ブレイクに成功するとゲージの右に数字が表示され，これがブレイク持続ターン数になる。スキル攻撃の中には，与ダメージは小さいが，ブレイクダメージの大きいものがあり，ボス戦ではまずはそうした攻撃でブレイクを狙うのが基本戦術だ

ブレイクした敵に威力の大きいスキル攻撃を使い，HPをガンガン削りまくる！　なお，ブレイク中の敵を攻撃すると“ダウンゲージ”が伸び，このゲージが満タンになると，敵は“ダウン”状態に。相手の被ダメージ量がさらにアップし，一定ターンのあいだ行動不能となる

キャラクター/パーティの戦力を決めるのは
“ジョブ”の組み合わせと“陣形”の選択

　パーティに組み込めるすべてのキャラクターは，ジョブを3つまで装備することができる。ジョブはキャラクターの能力を底上げしたり，スキルを使えるようにしたりするもので，装備品のように自由に付け替えが可能。その組み合わせによって，能力やスキルのカスタマイズが行えるのだ。

ジョブには，付加パラメータ，アクションスキル，オートスキル，ジョブボーナスの項目が設けられており，装備するとこれらの一部がキャラクターの能力やスキルに反映される

ジョブのスロットはMain，Sub1，Supportの3つ。付加パラメータはどこにセットしてもプラスされるが，そのほかはセット位置によって反映される項目が異なる。たとえばMainなら，ジョブのアクションスキル，オートスキル，ジョブボーナスがキャラクターに付き，Supportだとオートスキルのみが追加される。なお，移動/戦闘中のキャラクターのグラフィックスは，Mainに装備したジョブのものになる

ジョブは，バトル報酬の“ジョブ経験値”を得るか，「メダル」という素材で経験値を与えてレベルを上げ，基礎能力を伸ばすことができる。また，ジョブが持つアクションスキルもレベルアップで効果を高められる

装備品は，武器1つとアクセサリー2つをセットでき，アイテムの付加パラメータやアクションスキル，オートスキルがキャラクターの能力に反映される。武器のみ，強化でレベルを上げられる

　装備を変更するだけで能力/スキルをガラリと変えられる本作のジョブシステム。キャラクターの強化手段としては手軽で自由度が高く，それゆえに，キャラクターやジョブが増えれば増えるほど頭を悩ませることになりそうだ。全体的な性能は低いがオートスキルが優秀なのでSupport用にキープ，といった賢い“やりくり”も可能で，何よりもプレイヤーの才覚が試される要素と言えるだろう。

■“陣形”を切り替えてキャラクターの個性を引き出そう

　パーティを構成する4人のフォーメーション（配置）は，プリセットの陣形から選んで決める。陣形で注目すべき点は3つで，“物理ダメージ倍率”と“敵からのターゲット率”，そして“陣形特性”だ。その陣形にするだけでメンバー全員が何らかの恩恵を受けられる陣形特性はとくに重要。特性の内容は陣形によってまるで異なるため，ボス戦など重要なバトルの前にはどれがベストかをその都度判断するといいだろう。

陣形は最初から4種類あり，メインストーリーを進めてマイリージャが仲間に加わるともう1つ増える。物理攻撃のダメージ量を左右する物理ダメージ倍率と，敵からの狙われやすさを示すターゲット率は，陣形の前ほど高く，後ろほど低くなる

同じ陣形の同じ位置でも，武器種によって物理ダメージ倍率が変わるケースがある（写真のトノト，イタクの数値参照）。どうやら，武器種ごとに陣形（位置）に対する得手/不得手があるようなので，そこもしっかりチェックすること

　陸の孤島として森の奥にそびえる高い塔。“死”の兆候として塔内部に頻発する異変。階層都市を支配する不透明な政治。何らかの理由で外界と隔離された少年と，彼が出会う“鳥籠”の中の少女――。

　冒頭から怒涛のごとく押し寄せるミステリアスな展開がプレイヤーを惹き付ける本作は，“物語の力”で真正面から勝負を挑む骨太な国産RPGだ。ライたちの冒険がバベルの闇に光を当てたとき，きっと大きな驚きと感動がもたらされるだろう。まだ導入部に触れただけだが，そんな予感や期待を抱かせてくれる“つかみ”と“引き”の上手さが感じられた。

　ターン制コマンドバトルと，そこに戦略性を与える“ジョブ”や“陣形”などのシステムもとっつきやすく，誰もが想像力をフル稼働して冒険世界に没頭できる“大作”に仕上がりそうだ。

「最果てのバベル」公式サイト