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水野 良氏原案による「ロードス島戦記RPG」リプレイセッションが公開。最新刊「誓約の宝冠」の話も聞いてきた
1998年に放映されたアニメ「ロードス島戦記-英雄騎士伝-」の一挙放送と合わせて配信された同番組では,8月1日に発売される「ロードス島戦記 誓約の宝冠1」の紹介が行われたほか,同小説の内容と連動した,テーブルトークRPG「ロードス島戦記RPG」のセッションの模様を放送。事前収録のプレイ風景に,原作者である水野 良氏,そしてセッションでGMを務めたグループSNEのゲームデザイナー・杉浦武夫氏が感想や解説を加えるコメンタリー方式の生配信となっていた。
本稿では,その配信の内容をお伝えするとともに,番組収録後に両氏に聞いた話を中心にレポートしていこう。
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邪神戦争から100年後が舞台のシティアドベンチャー
水野 良氏が原案を務めた今回のセッションは,前作から100年後の世界におけるロードス島南東部――マーモ王国を舞台としたシティアドベンチャーとなっていた。小説での主人公「ライル」を中心とした4人パーティが,特殊な薬草の横流し事件を追うというもので,新作「ロードス島戦記 誓約の宝冠1」の冒頭へとつながるプレストーリーだという。
水野氏の解説によれば,マーモ島も100年が経過していろいろと変化しているようで,そうした裏設定が次々と飛び出してくる。盗賊ギルドと王国の関係,暗黒神ファラリスの教団の教義,前作キャラクターのその後など,盛りだくさんな新情報が語られた。
また設定面以外にも,テーブルトークRPGを遊ぶうえで役立つテクニックの解説も,今回の番組の見どころの一つだ。セッション中のヒントの出し方や,シティアドベンチャーでの時間の区切り方,メタゲームを利用した重要情報の目星のつけ方などは,筆者としても真似してみたくなるものだった。とくに棒読みを利用して,情報の重要度の提示するテクニックなどは思わず膝を打った。
そのほかプレイ中のお菓子のエピソードや,10時間を超える長時間プレイの思い出など,テーブルトークRPGファンならニヤっとしてしまう話もあったので,気になる人はぜひ配信のアーカイブをチェックしてみよう。
ニコニコ生放送のアーカイブ(該当部分は1時間30分頃から)
セッション配信の感想と新作の手応え――水野氏・杉浦氏ミニインタビュー
4Gamer:
本日はお疲れ様でした。事前に行われたというセッションが5時間,本日の生放送が2時間半と,長丁場な番組になりましたが,感想はいかがですか。
水野 良氏(以下,水野氏):
シナリオの原案自体は割とシンプルだったんだけど,杉浦くんは無茶苦茶準備してくれたよね。でも実際のセッションになると,その準備がどんどん踏みにじられていくっていう(笑)。僕はそんな世知辛さを感じながら見ていました。
杉浦武夫氏(以下,杉浦氏):
準備は結構頑張ったんですけど(苦笑)。でも今回は,収録したセッションの映像編集にも関わらせてもらって,さらに生で解説までできたので,面白い試みだと思いました。
4Gamer:
リプレイ動画にさらにコメンタリーというのは,なかなか斬新に感じました。
水野氏:
僕は将棋の観戦が好きなので,大盤解説みたいなのはテーブルトークRPGでも活かせればと思っていました。ちょっと喋りすぎちゃったかなって反省もあるんですけど,手が進まない時の雑談とか,そういうのも含めて楽しんでいただけたらと。ただ将棋もそうですけど,ある程度詳しくないと楽しめないかなあ。
杉浦氏:
シティアドベンチャーは,プレイヤーがどこで引っかかってて,何が問題なのかというところがミソなので,解説があるとより楽しめるかもしれないですね。
水野氏:
答えを知ってると,「なんでやねん!」ってツッコミを入れたくなる。「いきなりソコ行く?」とか(笑)。
杉浦氏:
やってみて,自分のマスタリングにもすごくツッコミ入れたくなるってことが分かりました(笑)。
水野氏:
難しいよね,ヒントの出し方。そこは反省会かな〜。
4Gamer:
今回のセッションでは「ゴブリン上位種」や「魔獣使い」といったルールブック未掲載のデータが使われていて,見ているほうとしてもワクワクしたんですが,今後どこかに掲載される予定はあるのでしょうか。
水野氏:
それは皆さんの応援次第かと思います(笑)。まあでも,GMマガジンとかでサポートできたらいいですよね。このセッションのシナリオやリプレイとかもあったらいいかも。これは杉浦くん次第ですけど(笑)。
杉浦氏:
(苦笑)。
4Gamer:
8月1日に発売を迎える小説「ロードス島戦記 誓約の宝冠1」の手応えはいかがでしょうか。
水野氏:
現時点で僕が書きたいものは書き切ったと思っています。あとは読み手の皆さんにどういう風に受け取ってもらえるか,すごくドキドキしています。あと今回書いてみて分かったんだけど,ロードスは書くのにむっちゃ時間かかりますね。とくにディードリットが出てくるときは,ファンの皆さんを裏切らないよう,セリフを一つ一つ吟味する必要があるんです。
4Gamer:
「誓約の宝冠1」ということで,続きが気になるところですがご予定はいかがですか。
水野氏:
あとがきにも書きましたが,1年後くらいかなあ,と。
4Gamer:
水野先生は,毎回ちゃんと完結まで書き上げてくれるので,読者としてはありがたいかぎりです(笑)。
水野氏:
僕は完結させる前提で物語を考えているので,そこは大丈夫ですね。同じ設定で10巻20巻と続けられたらもっと儲かったと思うけど,そういう書き方はできないんです(笑)。キャラクターが一つ一つ階段をのぼっているから,いつか頂上についてしまう。それはもう,僕のスタイルですね。
4Gamer:
では,今回も終着点はある程度見えているわけですか。
水野氏:
そうですね,ある程度は。でも,そこに至るまでの道のりは絶対に作者の思いどおりにはならないし,逆に想定どおりだったら面白くない。だから話を広げて広げて,あとは最後に自分がまとめる上げる力を信じる。これまでそうやって物語をまとめてきたので,だからこそ最初は広げられるだけ広げて,面白いものにしたいですね。最終的にそれらを全部回収して,「これしかなかった」みたいなところにたどり着けたら成功だと思います。
4Gamer:
期待しています。本日はありがとうございました。
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