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  • DMM GAMES
  • 発売日:2016/11/01
  • 価格:基本プレイ無料+アイテム課金
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「文豪とアルケミスト」,永井荷風が愛したカツ丼を再現。俺のコラボカフェ:Menu 086
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印刷2026/03/28 10:15

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「文豪とアルケミスト」,永井荷風が愛したカツ丼を再現。俺のコラボカフェ:Menu 086

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 4Gamerをご覧の皆様こんにちは。クッキングエンターテイナーの大西哲也です。さまざまなゲームやアニメに出てくる料理をプロの料理人が本気で作ったり,プロ目線で勝手に検証して発表したりする「俺のコラボカフェ」。今回もよろしくお願いします。

 今回のテーマは,「文豪とアルケミスト」です。公式略称は「文アル」で,DMM GAMESが提供する「文豪転生シミュレーションゲーム」ですね。2016年11月1日にPCブラウザ版のサービスが始まり,翌2017年6月14日にはスマートフォン向けアプリ版の配信もスタートしました。

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 2016年のリリースから現在に至るまで運営が継続されており,安定した人気を誇るロングセラータイトルです。

 本作の舞台は,近代風情が漂う平和な時代。突如として文学書が黒く染まり,人々の記憶から文学が奪われる異常現象が発生します。

 プレイヤーは特殊な力を持つ「アルケミスト(特務司書)」となり,本の中の世界を破壊する敵「侵蝕者」から文学書を守るため,実在した文豪たちを転生させて部隊(会派)を編成し,戦いに挑みます。

 最大の魅力は,総勢80名以上(※アップデートにより順次追加)登場する多彩な文豪キャラクターの深い人物描写でしょう。

 文豪たちの性格や人間像には,彼らが残した実際の作品や史実のエピソードが色濃く反映されています。師弟関係や文学的派閥,あるいはライバル関係など,史実に基づいた緻密な人間関係が設定されているのです。特定の文豪を組み合わせて戦闘に出撃させることで,特別な会話(回想)や協力技(双筆神髄)が発生する仕組みがあり,キャラクター同士のドラマを深く楽しめます

 プレイを進めるうちに,これまで文学に馴染みがなかった層でも自然と近代文学や作家の知識を深められるという,教養的な側面も持ち合わせているのが素晴らしいですね。

 さらに,ゲームの影響は現実社会にも波及しており,キャラクターのモデルとなった近代文学者の関連書籍が重版されるきっかけを作ったり,日本全国の文学館や記念館でのタイアップ企画展が開催されたりするなど,文学界や地域振興にも貢献しています。

 幅広いメディアミックスに取り組んでおり, 2020年4月にはTVアニメ「文豪とアルケミスト 〜審判ノ歯車〜」が放送されました。また,舞台化作品はこれまでに何度もシリーズ上演されています。

 そして,本作を語るうえで欠かせないのが,ゲーム内における「料理」への強いこだわりです。
 ゲーム内には文豪たちが食事をする「食堂」という場所がありますそこで描かれる料理のイラストは極めてリアルで美味しそうに描かれており,オムライスや牛鍋といった近代日本特有のメニューが用意されているだけでなく,それらが「現実の文豪たちの好物や史実の逸話」と直接結びついているんです。

 プレイヤーの間では「飯テロゲーム」と称されるほどの評判を呼びました。アニメ版でもわざわざ「文豪グルメ」という料理紹介のミニコーナーが設けられ,一迅社からゲーム内料理の再現レシピを収録した書籍「文豪とアルケミスト ごはん帖」も出版されたほどです。

 2021年の大型アップデートによって,パラメーター回復のためのシステムとしての「食堂と献立」機能は廃止されましたが,その世界観の重要性から,現在は「散策」機能内の訪問先の一つとして食堂が再実装されています 。



 そこで今回は,永井荷風がこよなく愛した「カツ丼」をテーマにします。

 ゲーム内での荷風は洗練された耽美派として描かれていますが,現実の彼は大衆食であるカツ丼を偏愛していました。晩年,千葉県市川市に住んでいた荷風は,駅前の「大黒家」という店に日参し,並カツ丼を注文し続けたという記録が残っているそうです。
 そして1959年,彼が息を引き取った際,最後の食事となったのもこの店のカツ丼でした。現場には,血の中に飯粒が混ざっていたという凄惨な事実が残されています。

 最期の瞬間まで彼が愛した証として存在したこのエピソードは,料理が単なる栄養摂取ではなく,時間や死を越境して人間の本質を伝える媒体であることを改めて教えているのではないでしょうか。

 悲しくも大黒家はすでに閉店していますが,当時の記録から「甘めの味付け」「しっかり火の通った卵」「グリーンピース」といった特徴が分かっています。今回は,プロの料理人として,この「失われた味」を科学的アプローチで完全再現してみせましょう。

 カツ丼における物理的な課題は「衣の旨味保持」および「卵の最適な凝固」です。これを解決するには,「浸透圧の利用」と「熱伝導のコントロール」が不可欠です。皆さまには錬金術の秘術のように聞こえるかもしれませんが,実際に証明します。


■材料(1人分)
豚ロース肉 120g
玉ねぎ 50g
卵 2個
グリーンピース 適量
ご飯 200g
サラダ油 適量(衣用)
小麦粉,卵,パン粉 各適量

(割り下)
醤油 大さじ2
みりん 大さじ2
砂糖 大さじ1
出汁 50ml

玉ねぎを置き忘れました……
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豚肉は赤身と脂身の境目にある結合組織(筋)を包丁で切断する。これにより,加熱時の収縮によるタンパク質の急激な凝固を防ぎます
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小麦粉,卵,パン粉の順に衣をつける。小麦は薄く,パン粉はしっかりと押しつける
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170度の油で揚げる。アミノ酸と還元糖によるメイラード反応を促進し,香気と旨味を最大化させます
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鍋に割り下の材料と薄切りにした玉ねぎを入れ,火にかける。醤油と砂糖の比率で「甘め」の浸透圧を構築します
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玉ねぎに火が通ったら,切ったカツを入れる。衣の毛細管現象と浸透圧により,出汁の旨味が内部に均一に保持されます
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溶き卵を2回に分けて入れる。最初は卵白の凝固点(約80度)を利用して全体を結合させ,2回目は卵黄の凝固点(約65〜70度)を利用して表面の水分量を保ちます。火を止め,蓋をして余熱で史実通りの「固めの卵」に仕上げます
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ご飯の上に盛り付け,グリーンピースを配置して完成
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実食


 完成しました。甘辛い香りが食欲を激しく刺激します。一口食べると,しっかり火が通っているのにパサつかない卵と,旨味を吸い込んだ衣が一体となり,豚肉の豊かな風味が口に広がりますね。

 グリーンピースの青い香りが,甘めの味付けに対する見事なアクセントになっています。食べていると,不遇や孤独の中にあっても,日常の食を愛した荷風の人間らしさに触れられた気がしました。
 特務司書の皆様も,剣や弓は使いませんが,それぞれの場所で毎日戦っています。たまには自分自身へのご褒美として,あるいは文豪たちへの敬意を込めて,このカツ丼を作ってみてください。

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 今回のテーマはいかがでしたでしょうか? 面白いと思ったり,実際に試したりした人は「#俺のコラボカフェ」「#COCOCORO」といったハッシュタグをつけてSNSに投稿してくれると嬉しいです。それでは,また会いましょう。したっけ!


■■大西哲也(クッキングエンターテイナー)■■ あるときは,料理研究家,またあるときはYouTuber,しかしてその実体は……,料理を通じて多くの人を喜ばせたいと日々奮闘する,クッキングエンターテイナーだ!最近は原点回帰として出張料理など目の前の人への料理提供に力を入れつつ,料理人視点からの歴史・文化・科学の研究に没頭しているそうな。料理の歴史を紐解くのも,錬金術の真理に近づくようで面白いですよね。


※次回の掲載は2026年4月25日を予定しています
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