インタビュー
“終末世界で支え合う”コンセプトの実現を目指した1年を振り返る。サバイバルゲーム「ライフアフター」開発者インタビュー
あらためて紹介すると本作は,ウイルスによって変貌させられた“感染者”がはびこる世界で,仲間と協力しながら生き抜くゲームである。“人と人が支え合う”ことが真のテーマとして掲げられていることもあり,プレイしているとついいろいろと考えさせられてしまう作品だ。
今回はサービス1周年を記念して,NetEase Gamesで本作の開発プロデューサーを務める李 哲氏へのメールインタビューを実施した。正式サービス開始からの1年を振り返りつつ,今後の展望についても語ってもらったので,プレイヤーはぜひ一読してほしい。
4Gamer:
今回はよろしくお願いします。
李さんが4Gamerに登場するのは,昨年5月に中国で開催されたカンファレンス(※関連記事)の取材記事以来です。現在,李さんがライフアフターでどのようなお仕事をされているのか,あらためてお聞かせください。
開発プロデューサー 李 哲氏(以下,李氏):
4Gamerの読者の皆さん,お久しぶりです。ライフアフターの開発プロデューサーを務めている,李です。
私の主な業務は,ライフアフターのゲームコンセプトや方向性を設定し,開発作業がそれに沿って正しく行われているかを管理することです。ライフアフターは個性的なゲームですが,それだけにコンセプトや方向性をブレさせないことが重要ですからね。
4Gamer:
ライフアフターの日本サービスは1周年を迎えました。率直な感想はいかがですか?
李氏:
まずは,現在遊んでくださっている皆さんに向けて,感謝の気持ちを伝えたいです。また,皆さんがゲーム内で活動をすることが,それ以外のプレイヤーから見た終末世界の彩りや,あるいは生き甲斐などにも結びついているはずです。皆さんが楽しんでくれているからこそ,ライフアフターはその世界を実現できているわけで,二重の意味で深く感謝しています。
正直に申し上げると,私は最初,日本人のプレイヤーがライフアフターを楽しんでくれるかどうか,自信を持てなかったんです。個性的なゲームということは,今までのゲームと大きく違うことを意味していますからね。
ですがサービス開始から1年が経過したいま,日本はもっとも重要な海外マーケットに成長しているんです。これには個人的にも大変驚かされ,同時に嬉しく思っています。
4Gamer:
李さんは,日本のプレイヤーに対してどういった印象をお持ちでしょうか。思い出深いエピソードなどがありましたらお聞かせください。
李氏:
日本人のプレイヤーは,クリエイティブな方が多い印象を持っています。
とくに,自由にハウジングを行える「荘園建設」のアイデアには驚かされることが多いです。映画の有名なシーンを再現したり,家具やオブジェクトなどで絶妙なレイアウトを行ったりしていて,我々スタッフも楽しく拝見していますよ。
こういった反響を踏まえて,ハウジングやお花見にちなんだゲーム内イベントも日本で開催していますが,いずれも大きく盛り上がっています。先日のお花見のイベントの際は,桜並木の背景を活用して非常に美しいMVを作ってくれた方がいて,とても感激しましたね。
※イベント開催時のTwitterハッシュタグ:
#終末建築マスター #終末花見
4Gamer:
仮想世界でサバイバルを行うオンラインゲームは他にもありますが,ライフアフターに似たゲームは,あまり見当たらないように思えます。李さんは,ライフアフターのどの部分がもっとも個性的だとお考えですか?
李氏:
それは,終末世界でサバイバルを行うだけでなく,“プレイヤー同士が支え合う”という部分ですね。
ライフアフターにおけるゲームプレイの根っこには,常に他のプレイヤーとのコミュニケーションがあります。そして,コミュニケーションを通じて得られるゲーム体験が,ライフアフターと他のサバイバルゲームを大きく隔てているのだと思います。
極端な例を紹介すると,去年11月に新マップの「レイヴン市」を実装した直後は,10万人規模のプレイヤーが協力プレイを行う必要がありました。レイヴン市には大勢の感染者がはびこっており,これを退治しないと入場できないようにゲームバランスを設定したんです。
このときは,プレイヤー同士がゲーム内のみならず,外部掲示板やSNSなども駆使して戦術を議論したり,他プレイヤーへの呼びかけを行ったりしました。そうして見事にイベントをクリアして,レイヴン市を利用できるようになったんです。これらを通じて育まれる人と人との絆によって,レイヴン市はサバイバルゲームの舞台だけでなく,プレイヤーたちを繋ぐ「家」のような場所になりました。
4Gamer:
サービス開始から1年が経過しましたが,ライフアフターにおける現在の課題はなんでしょうか。
李氏:
やはり,1年間も遊んでもらうと,ゲーム内のことはプレイヤー間にだいぶ知れ渡ってしまいます。これは,オンラインゲームの長期運営を行ううえで,避けられない問題といえるでしょう。たとえば「サバイバルゲーム」の側面に限っていえば,マンネリを感じているコアプレイヤーがいるかもしれません。
ですが,先ほども申し上げたとおり,ライフアフターはサバイバルだけのゲームではありません。人と人との絆を活かしたコンテンツを実装し続け,この世界を新鮮に楽しんでいただくことは,我々開発スタッフの努力次第で実現できると信じています。
4Gamer:
今後の運営方針に関して,何かお話しできることはありますか?
李氏:
中長期のビジョンになりますが,「世界の変化を感じる」「世界を創造する」「世界と繋ぐ」という3つのコンセプトを掲げています。
「世界の変化を感じる」から順番に説明しましょうか。ライフアフターのゲーム内世界で,終末世界ならではの多様性のある光景や,常に起きている変化を実現させたいです。具体的には,現在ある緻密なマップ情報や,それに基づいた天候システムをもとに,「地震」や「台風」などの災害を発生させられるようにしたいです。
また,終末世界で起こりうるこれらの災害は,現実世界のそれと比べてもより凄惨なものとなり得ます。そこで,サーバー内のプレイヤーが一丸となって災害に立ち向かう,「世界事件」と呼ばれるイベントも現在開発中です。
続いては「世界を創造する」について。我々は常に,自由度が高いオープンワールド的な終末世界を,プレイヤーの皆さんにお届けすることを考えて開発しています。現在実装されているレイヴン市は,プレイヤーが探索や物作りを行うことで,ゲーム内エリアが段階的に拡張されています。この概念を,他のマップにも適用する計画があります。
また,荘園や野営地建設の関連システムも,今後継続的に拡張します。将来的には,マップ同士の隔たりをなくしてオープンワールドに近いゲーム内世界を実現したいですね。
最後に「世界と繋ぐ」ですが,これはプレイヤー同士の社会的関係を強化するというコンセプトです。ライフアフターのメインテーマである「一緒に生きていく」を,より強調したいと思いますね。
たとえば現在実装されている「ダブル荘園」や「野営地試合」のような,プレイヤーキャラ同士のコミュニケーションや協調性が求められる,新たなコンテンツを計画しています。世界中の人とコネクションを作り,この世界と繋がるようなゲーム体験を経て,これまで以上にワクワクする物語を楽しめるようにしたいですね。
私たちは1年前にライフアフターを発表したとき,「共に,明日を求めよう。」というキャッチコピーを打ち出しました。その原点に立ち返るべく,頑張って開発作業を行っています。
4Gamer:
個人的には,ライフアフターの開発スタッフが,リアリティを追求するために,チェルノブイリや砂漠などの現地調査を行われていたことが印象に残っています。リアリティをとことん追求するスタンスは,いまも変わりませんか?
李氏:
はい,今も変わらないですよ(笑)。
実は,現在開発作業を行っている新マップのために,とある遺跡のロケハンを行いました。この遺跡は火山灰に埋もれていて,世界的に有名な場所です。ロケハンの前には入念に下調べを行っていたのですが,史料に目を通すだけでは分からない“歴史”を現地で目の当たりにして,大きな感銘を受けましたね。
せっかくなので,そのほかのアップデート情報も少し紹介させてください。
今後,レイヴン市における新たなエリアを拡張する予定です。そこでは複数のNPC勢力が活動しており,プレイヤーが関連クエストやイベントをこなすことで,それぞれの好感度を増減させられます。ミニゲームに挑戦したり,闇市で値切りをしたり,NPCと決闘したりと,さまざまな催しを用意しますよ。
もちろん,どの勢力に肩入れするかはプレイヤーの自由です。大勢のプレイヤーがレイヴン市に参加したとき,勢力間抗争がどのような展開を迎えるのか,ぜひご期待ください。
4Gamer:
世界観がユニークな作品なので,ゲーム外でのタイアップ企画も期待できそうですが,何か検討はされていますか?
李氏:
世界的に有名な,とあるゲーム作品とのコラボイベントの準備を進めています。個人的にもライフアフターの世界観にピッタリの作品だと思っていて,お披露目できる日が待ち遠しいです。今年の第3四半期に正式発表する予定なので,ぜひ期待してください。
4Gamer:
今回はありがとうございました。
「ライフアフター」公式サイト
「ライフアフター」ダウンロードページ
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